kairakunoza @ ウィキ

たまには女子高生らしく?

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匿名ユーザー

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「かがみってさ、彼氏とか作らないの?」
 昼休みの教室。いつも通り三人でお昼ご飯の最中、こなたがそんなことを言い出した。
「何よ急に」
「いや、かがみってルックスも性格もそれなりに良いのに、そういうの興味無いのかなって思って」
「うーん……」
 かがみは箸を止め、しばし考え込む。
「全く興味が無いってわけじゃないけど、強いて彼氏とか作りたいとは思わないわね」
「ふーん」
「お姉ちゃん、美人で頭も良いんだし、ちょっと勿体ない気がするなぁ」
「そんなことないわよ。どっちかっていうと、つかさみたいなタイプの方が男子は好きなんじゃないの。料理とか得意だし」
「つかさのそういう魅力は『お嫁さんにしたい』タイプであって、少しニーズが違うのだよ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんだよ。つかさみたいな可愛くて家庭的なタイプの子は、日常系の話だと幼馴染み設定のメインヒロインを張ることが多いけど、バトル物とか非日常系の作品だと主人公の日常を象徴するサブヒロインに甘んじることが多いんだよね」
「話が変わってるぞおい」
「幼馴染みは汎用性がある分あつかいやすくライト層から玄人まで幅広く萌えられるヒロインの基本属性。
 対してツンデレは見た目なんかは金髪やツインテールが多いがあえてそっけなくきつい態度を取ることでデレ時のギャップや意外性を増加させて単純な萌えより複雑なプロセスを踏ませる玄人好みのあつかいにくすぎる属性。
 慎重にフラグを立てねぇと萌えないゴミになりかねないってのに何でかがみんは?」
「また微妙なネタ持ってきたわね……って、私のことかよ」
「そういうわけで、かがみもみゆきさんと一緒で若干マニア向けなタイプなんだよね」
「何かすげー失礼なこと言われてる気がするんだが」
 一旦話題が途切れ、三人はしばらく静かに、お弁当を突っついたり、飲み物を飲んだり、チョココロネからはみ出したチョコを舐めたりする。
「かがみは好きなタイプとかってある?」
「え……それは、男の子の?」
「んー? 女の子の方がいいっていうならそれもアリだけど」
「んなわけねえだろ。……別にこれといって好きなタイプとかは無いけど」
「つかさはどう?」
「え、私は……うーん……そういうのはよく分かんないかな」
「ふーん……」

「そう言うあんたはどうなのよ?」
「私はもう結婚してるしなぁ」
「そりゃネトゲの話だろ。しかもお互い性別逆で」
「まあ、リアルで選ぶなら、やっぱり経済力があって頼りがいのあるタイプがいいよね」
「そんなとこだけやたらシビアな意見を……」
「でも、愛があれば多少の障害ぐらいは乗り越えられるかも」
 こなたのその発言に、かがみとつかさが驚く。
「意外ね、こなたが愛とか言うなんて……」
「愛の力ってのは侮れないもんなんだよ。デビルガンダムを倒したり、加速ひらめき必中気合熱血努力幸運が同時にかけられたり。でも愛ゆえに聖帝十字陵作っちゃったりする人もいるから気を付けないとね」
「またそっちの話かよ」
「それはさておき、障害がある分恋が燃えるってのはあるよね」
「ドラマとか見てる分には確かにそうかも」
「ギャルゲーだって、苦労してフラグを立てるとエンディングでの喜びも大きいしね」
「いやそれは知らんが。何かこなた、今日は随分その手の話が多いわね。ひょっとして好きな人が出来たとか?」
「ええっ、こなちゃんそうなの?」
 かがみは冗談で言ったのだが、つかさは本気で受け取って驚嘆する。
「いやつかさ、私は冗談で――」
「いるけど」
「――え?」
 かがみが固まる。
「こなた、いるって……?」
「好きな人なら前からいるけどって」
「そ、そうなんだ……」
 高校生にもなれば好きな異性がいるぐらい、別に驚くべきことではない。かがみもそれは分かっているのだが……
「前からってことはその……片思いとか?」
「まあね。向こうの気持ちは確かめてないから分かんないし」
「へー……そう。前から、そうなんだ……」

 ――何で、今まで何も言ってくれなかったのよ。

 その言葉を、かがみはぐっと喉の奥に留める。親友だと思っていたのに、今まで相談の一つもされなかったのが、少しショックだった。
 だが、そういう気持ちとは少し違う、何か息苦しい感情もあった。それが何なのかよく分からないが。
「ねえこなちゃん。その人、どんな人なの?」
 つかさが屈託無い様子でこなたに質問する。
「同い年で、ちょっときつめな印象。けど何だかんだで面倒見が良かったりするね」

 こなたが好きな人とやらの特徴を、普段と変わらぬ調子でつかさに説明していく。かがみはそれをぼんやり聞き流していた。
「ルックスはどんなの?」
「どっちかというとハンサムかな。髪は長いけど男前で。つり目気味なんだけど、意外に可愛らしい表情もあったり」
「この学校の人?」
「うん、そだよ」
「へー。会ったりしてるの?」
「ほぼ毎日顔を合わせるよ」
「あ、やっぱり同じ学校だとそうなるよね。でも、いつ会ってるの?」
「登下校一緒だったり、お昼休みも一緒だったりするよ」
 さすがにここに来て、つかさの表情が変わった。
「……あの、こなちゃん……それって……ひょっとして……」
 つかさの視線がゆっくりかがみへ向く。
「……お姉ちゃん?」
「え、あ」
 上の空だったかがみは、呼びかけられてハッとなる。
「どうかしたのつかさ?」
「いやその……さっきの話で……」
「ああ、こなたが好きな人の話でしょ」
「聞いてた?」
「ごめん、ちょっとボーッとしてて……何かあったの?」
「何かっていうか……」
 つかさはどう言えばいいか分からず、こなたとかがみの間に視線を往復させる。
「……かがみ。今日、学校の後、暇?」
 こなたが急に話題を転換させた。全く普段と変わらぬ表情。だが何か、どこか違うのをつかさだけが感じていた。
「特に予定は無いわね」
「遊びに来ない? うち今日はお父さん留守だし。のんびりできるからさ」
「うん、いいけど」
「んじゃ、決まりね。……――」
 その瞬間、つかさは確かに聞いた。こなたがとても小さな声で「遠回しでダメなら体に教えてやんよ」と呟くのを。
「じゃあ、つかさも一緒に――」
「わっ、私は今日は遠慮しとくよ!」
「何か用事でもあるの?」
「うん……お姉ちゃんだけで行ってきて」
「……さすがつかさ、空気読めてるねぇ」←超小声。
「うう……(聞こえてるよこなちゃん……)」
 時計を見ると、昼休みも残り僅かになっていた。
「じゃあ、私は教室に帰るわね」
「うん。それじゃ放課後に」
 かがみを見送るこなたの口元に、どこか邪な笑みが浮かんでいたのはつかさの気のせいであろうか。
 否、事実だろう。
 しかしそれが分かったとて、つかさに出来るのは、放課後こなたの家に行くかがみが、色んな意味で無事であることを祈るばかりであった。


おわり


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コメント:
  • GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-03 05:00:38)
  • GJ!


    面白かったです! -- 名無しさん (2010-05-10 19:34:02)
  • かがみん、貞操の危機!ってあれ?
    こなたが相手なら全然OK?? -- kk (2010-05-07 01:20:26)
  • 続編を!続編をはやく読ましてくれ! -- 名無しさん (2010-05-06 06:02:59)
  • 研無刀www
    乙! -- 名無しさん (2010-01-01 19:46:21)
  • GJ!

    放課後編が見たいっ! -- 名無しさん (2009-03-24 19:07:44)
  • ワロタwGJ! -- toratora (2009-03-23 18:37:25)

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