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ああ、素晴らしきお泊り会 ゲーム結果

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匿名ユーザー

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思いの他あっけなく勝負はついた。
14試合目の1ターン目で後手に回ってしまい、後はもうかがみのスピードについていけなくなった。
スペードの8が場にあったからダイヤの9を出そうとしたのに、かがみが先にスペードの7を出してきて。
慌ててカードを引っ込めて違うカードを出そうとしてもすでにアウト。
結局かなりの差をつけられて負けてしまった。集中力が続かなかった。
かがみも全力出しすぎだよ。もしかして千年道具でも持ってる? なんて思ってしまった。

「うあー、かがみ速すぎ!」
「勝つつもりでしたんだから当然よ」

ガッツポーズとりながら息切れしているかがみ。
トランプゲームをしただけとは思えない。さっきまでは私も息切れしてたけど。

「で、一つお願いできるんでしょ?」

かがみが訴えかけるような、すがるような瞳で私を見つめる。
お願いと言うか命令だけどね……
とにかく縦に首を振ると、かがみはふぅと一息ついて。

「本当はこういう賭けじゃなくて、普通にお願いしたほうがよかったんだけど……」
「何? 前からお願いしたい事決まってたんだ?」
「うん……」

妙に歯切れが悪い。いや、恥ずかしがってるのかな?
さっきの気迫はどこにいったんだろ。
かがみはそんな無理難題押し付けたりしないだろうし、大抵の事なら笑って頷く用意はあるんだけど。

「あの……今日、一緒に寝てくれない?」

普通に頷こうとした私の首から変な音が出た。

ついさっき布団を背景に見えたエロゲ的シチュエーションが脳内で早送り再生される。出演は私とかがみで。
ああもううるさいよ心臓! そんなに血液送っても送らなくても、恥ずかしい事には変わりないんだってば!
恥ずかしさでかがみの顔を直視できなくて、少し視線を逸らして呟く。

「か、かがみ?今日、お父さんもゆーちゃんもいるんだけど……」
「え?」

かがみが間抜けな声を出して。
あれ? 何か意思疎通が上手く出来てない? と思っていたら。

「ち、違っ!! そうじゃなくて!! 一緒に寝るだけ! それだけだから!」

かがみが私よりも真っ赤になって首を横にぶんぶん振っていた。
ああ、そうなんだ……と納得して了解しようとした瞬間。
さっきの私は何て恥ずかしい妄想をしてたんだ!! と思わず盛大に頭を抱えた。

「ちょっとこなた!?」
「ご、ごめん。ちょっと待って……今顔見られるのは恥ずかしいから……」

さっきの反応じゃまるで期待してるみたいじゃん、とさっきまでのアホな私を追い払う。
エロゲは結局ゲームで現実とは違うって何回思い直せばいいんだろ。
とにかく心臓が落ち着くのを待つ。今かがみの顔見たらそれだけで発火しそうだ。

「……かがみ。さっきのお願い、いいよ」
「え?」
「一緒に寝るだけ……なら、いい」

顔を見られないうちに言っておこう。
自分らしからぬ小さな声だったけど、かがみには聞こえたはず。
聞こえたはずだけど反応が無くて思わず顔を上げてかがみを見てみる。

かがみは口に手を当てて恥ずかしそうに、でも幸せそうに笑っていた。

ああ、恥ずかしいのは私だけじゃないんだと思えば、少しは恥ずかしさが軽減された……気がする。
結局恥ずかしい事には変わりないけど何とか頭を抱えるのをやめることが出来た。

「でもさ、かがみって何で『お願い』したの?」
「え? だってそういうルールでしょ?勝者が敗者に」
「『命令』できるって言ったからさ、私。わざわざそういうソフトな言い方するのってかがみらしいなと思って」
「あー……それは、一緒に寝るってことは命令とかそういうのじゃなくてこなたの意思を尊重したかったからだけど…」

ふむ、とかがみが考え込んで。にやっと口角を上げて笑った。
何かすっごく嫌な予感。自分で仕掛けた地雷を自分から地雷踏みに言ったような、そんな感覚。

「じゃあ、まだ一つ私はあんたに『命令』できるわけか」
「ず、ずるいよ! もうかがみは私に」
「『お願い』をしただけ……よね?」

じりじりと、散らかったトランプを踏みながらかがみが近づいてくる。
近づかれた分だけ私も思わず下がった。
ああもうかがみが悪代官に見えるよ。
『よいでないか、よいでないか』って言いながら帯を引っ張って『あーれー』みたいな感じで。

って洒落になってないよこの状況でその想像は!!

腕の力で何とか下がってきたけど、急に下がりにくくなって何事かと思ったら丁度布団の上に来たらしい。
今のこの状況とさっきの妄想が相まって腕の筋肉が動かなくなった。
その間に距離を詰められて、かがみが目の前に来る。

「こなた。5分間じっとしてて。それが『命令』」

そんなにっこり言われても。
でも思ったよりはマトモな命令だった。
まぁさすがに「服を脱げ」とか「今からここで……」なんて命令しないよね。
じっとするぐらいなら簡単だろうし。5分は短いのか長いのか絶妙な時間だけど。
結局言い出しっぺが負ける法則って本当なんだろうなぁ。

「……それだけでいいの?」
「そう」

一応の確認。
勝負で私は負けたわけだから、口答えは出来ないけど聞きたくもなる。
身の危険を感じたし。思わず逃げるぐらいには。
かがみは時計を一瞥して時間を確認してから私の頬に手を伸ばした。
さっきから赤面したりしてたからか、かがみの手を暖かいとか冷たいとか感じない。
ただ、触られている感覚はどうしても慣れなくてくすぐったかった。
何かを確かめるように頬から唇、唇から首筋へと指を滑らせてくる。
声を抑えるぐらいならどうにかできたけど、身をよじるのを我慢するのはきつかった。

「じっとしてないとダメよ」
「わ、分かってるよ……っ」

声が震えていて、今何か喋ったらダメだと悟った。いろんな意味で。
そもそもただのトランプゲームの勝負で、口約束だから動こうと思えば動ける。
大それた拘束力なんて無いにもかかわらず、何でこんなに従ってるんだろう。
くすぐったさやお腹のグルグルを我慢して必死で動かないようにしている自分が居る。
こういうのを惚れた弱みっていうのかな、なんて恥ずかしい事を考えてた。



「こなた」

名を呼ばれ、その中に含まれている意味も感じ取る。
わざと焦らそうかなって思ったりもしたけど、声帯が自然に動いて望む人の名を呼んでいた。

「……かがみ」

キスする前の合図。了解という意味で名を呼ぶ。
何だか私はすごくかがみに染められてる気がする。
調教……まではいかないけど。というより、そこは達しちゃいけない区域でしょ。
ふんわりと唇が振ってきて重なる。かがみの下ろされた髪から家のシャンプーの香りがした。
肩に手を置かれて体重がかけられる。そのままなすすべなく私はキスされたまま後ろに倒れた。
布団とはいえ、ゆっくりとはいえ背中から倒れこんだらちょっと痛い。
しかも私の上にはかがみが圧し掛かったまま。
過去に私の家にかがみとつかさで遊びに来て、つかさがトイレに行っている間に雰囲気に流されキスして押し倒された時は
ものすごく焦ったけど、今はなんだか焦りを通り越して何も考えられない。
軽いキスが何度か降ってきて、徐々に角度を変えられて深くなる。
暴走したときは遠慮無しに突っ込んでくる舌も、今はスロースピードで絡まってくる。
行き場のない手でかがみの腕を掴んだら、かがみの手の平が私の手の平に重なってきて握り締められた。
そのまま布団に押さえつけられて、少し肩が痛い。
けど、重なっている唇や手の平から、かがみが私を思ってくれるんだと言う事が伝わってきているようで強く握り返した。
世界がグルグル回ってる。酸欠状態だろうか。
それとも受け止められる感覚のキャパシティを超えてしまいそうなのか。
唇が離れて、冷えていく。何だか物足りないと思ったのは、恥ずかしいから言いたくないし認めたくない。

「ねえ……」

重ねている手の平とは逆の手の平で私の頭を撫でてくる。
何? と言葉に出すことすら荒い呼吸で阻まれて、首を少しかしげて先を促した。

「何か、一緒に寝るとき我慢できそうにないから……少し薬を貰っていい?」

薬って何? とか、聞きたかった。
私への問いかけだったはずなのに、かがみは私の反応を待たずに行動を開始した。
耳へと吐息が掛かって、ダイレクトに水音が響く。
普段触る事も触られる事もない耳を、湿った舌が撫でる感覚。
触覚だけじゃなくて聴覚からも何かが削ぎ落とされていってるようで、足が勝手に動いていた。
ダン!!と床を踵で蹴ってしまい、暴れたらばれるんじゃないかという恐怖で筋肉の誤作動を抑える。
いや、お父さんにはばれてるけどこういうシーンを見られるなんて嫌だし。
ゆーちゃんには言ってすらないんだから見られる以前の問題だ。
勝手にぎゅっと曲がってしまう足の指や、圧し掛かられている所為でちっとも動けない体。
パジャマという薄い布二枚向こうにある肌の熱や、胸に押し付けられているかがみの胸の大きさを感じたり。
間違いなくピンチなのに、押さえつけられた手とは逆の腕でかがみに抱きついている自分が居る。

「かが、みっ……ぁっ、く……ゆーちゃんに、ばれるっ……ん!?」
「大丈夫」

それはばれないって意味で!? ばれても大丈夫って意味で!?
なんて突っ込む余裕はこれっぽっちもなかった。耳から下がって首筋を滑っている舌で思考が溶けていく。

「それと、それは言ったらダメ」

舐められた余韻が残っている首筋から口を離し、また口の中に舌が入ってきて絡みつく。
さっきみたいにスローペースじゃない、暴走したときの動きだった。
暴走するきっかけなんかなかったじゃん!
言ったらダメって何の事!? ああ、もう本当頭働かないや。
重なっていた手の平が離れて、今度は何をされるのかと目を瞑ったら。

「……5分経過したから、終わり」

本当に、あっけなく。
かがみは私から起き上がって、私を見下ろした。
まだ熱が引かない私はかがみと天井をぼんやりと見ている。
そっか、もう5分経ったんだ。
良かったような、残念なような……って、何で残念?

「物足りなかった?」
「なっ……!? ち、違うよ!!」

慌てて起き上がって否定しようとしたら、グワンと一際世界が回って再び布団に倒れそうになった。
かがみが慌てて支えてくれたから倒れる事は無かったけど。
抱きしめられた状態だけど、そうされると体の熱が引きそうにないから困る。
でも居心地はいいので離れるのは嫌だし……いいや、このままで。

「ご、ごめん。ちょっとやりすぎたわ」
「うー……ちょっとどころじゃないよ……」

かがみが私の頭を撫でながら背中を軽く叩く。
子ども扱いされてる気はするけど、落ち着くのはかがみがお姉さんだからかな。
年齢的なものじゃなくて、妹がいるって点でね。
もしかしたらつかさにもしてあげてるのかな。
……あ、想像したら何かモヤモヤする。

「これでも結構我慢したのに……危なかったんだから」
「いや、そんなこと言われても」

でもかがみは絶対に我慢したと思うな。
暴走は時々するけど、何だかんだで私の気持ちを尊重してくれるし。
もし、そういう事を望んでたとしても最初に「最後までする」とか宣言はしてくれそう。
流石にそう言われたらすぐに頷く用意はないけど。やっぱりそういう行為は怖いし。
というよりお父さんとゆーちゃんいるし。本当、さっきのでゆーちゃんにばれてなければいいんだけど。
ばれたらかがみのせいだ。
ちょっと怒ってやりたいけど、こういう風に抱きしめられてると許してしまいそうになる自分が単純だと思う。
抱きしめる、抱きしめられるっていう立場は年齢的に考えると逆のような気もするけど。

「かがみより私の方が年上だよね?」
「え? あんたの誕生日って5月だから……そうね。2ヵ月こなたの方が年上ね」
「つまりかがみは年下攻めか」
「訳がわからん。そもそもあんたは年上っぽくないし」

体を離され、うにーっと頬を引っ張られた。
そりゃ確かに私は年の割に若く見えるかもしれないけどさ。

「んじゃ確かめてみようよ」
「どうやって?」
「はい」

言ってかがみに向けて両手を広げる。
ぽかん、としているかがみの表情はちょっと面白かった。

「何してんの?」
「感覚的に、なんだけどね。かがみに抱きしめられると落ち着くというか……お姉さんなんだなって気がするんだよね。
 年齢の関係じゃなくて、妹が居るっていうしっかりした感じっていうのかな。そういうのがある気がする」
「……えーっと、つまり何だ? こなたが私を抱きしめるから、そういう感覚がするかどうか確かめろってこと?」
「イエス。だから、どーぞ」

『私の胸に飛び込んできなさい』的に再び両手を開く。
お願いだからかがみ、恥ずかしそうにしないで。恥ずかしさは伝染するんだって。
冷静になると『何やってんの私』って思っちゃうから気が変わらないうちに早くしてほしい。
そんな願いが通じたのか、かがみはなぜか咳払いをして私の左肩あたりに額を置いた。
座高も違うから少し無理があるかもしれないけど、何とかかがみを抱きしめる。
さっきかがみがしてくれたように、頭を撫でて背中を軽く叩く。
あ、結構感覚が違うもんなんだ。何処らへんが? と尋ねられたら答えるのは難しいけど。
保護欲というか……なんだろう? 離したくないと思う、独占欲みたいなのが湧き上がる。

「かがみ、落ち着く?」
「落ち着けない」
「酷っ!!」
「い、いや! 言葉通りの意味じゃなくて! なんというか……嬉しいのは嬉しい」

ごにょごにょと何か言ってるっぽいけど聞こえない。
鎖骨辺りに息が掛かってくすぐったいんだけどな。

「甘えてもいいっていう安心感があって、そこは落ち着く。そう思える人ってあんまりいないから」
「かがみはどちらかと言うと、甘えてもいいと思われる人だよね。私もよく勉強面で甘えてるけど」
「そこは自立しろ」
「うっ、やぶへび……」

でも確かにかがみが誰かに甘えてるって見ない気がする。
つかさはかがみに甘えてるのは良く見るけど。かがみの上に二人の姉さんがいたけど、あの二人とは私接点ないし。
だったら……こういうかがみが見れるのって私だけなのかも。
腕の中に居る、私だけのかがみ。何かすごくいい響き。

「たまにはこうやってかがみも私に甘えてよ」
「えっ!? いや……それは」
「恥ずかしいっていうのは無し。私だってかなり恥ずかしいよ!」

抱きしめているから顔を見られる事はないけど、今の私の顔は真っ赤でにやけてるって言うのはよく分かってる。
かがみはどうなんだろう。笑ってくれているなら私は嬉しい。
背中に体温を感じた。かがみが手を回したらしい。

「……たまにならいいかもしれない」

そう言ってくれたかがみが無性に可愛くて。
顔を離して、口にしようかとも思ったけど恥ずかしさが勝ったから頬に軽く唇を寄せた。

「こっ」
「え?」

鶏?と突っ込みたくなったけど、急に震え出したかがみに嫌な予感を感じて。


「こなたぁぁぁ!!」
「だぁあああ!!! 落ち着いてかがみ!!!」


再び押し倒そうとしてきたかがみから、今回は本気で逃げ出した。
ほんの少しばかり自分にも非があるとは思うけど、ベッドの上にあったクッションを思いっきりかがみにぶん投げた。
直撃してようやく我に返ったのか、かがみが謝ってくれたけど、その謝り方が凄くて申し訳なくなるぐらいだった。
自分にも責任がありそうだし、すぐに許したけど……押し倒されそうになった瞬間、かがみにケン並の地獄車をかけそうになったのは黙っておこう。
「それは酷すぎる!」と怒られそうだから。



















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