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永遠の親友

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だれでも歓迎! 編集
 2学期も始まり、9月もそろそろ終わりに近づいてきました。
 私とこなたお姉ちゃんは夏休みに付き合っている事を皆に伝え、一騒動ありましたけどみなみちゃんとかがみ先輩にも認めてもらう事が出来ました。
 おかげで私達はこれまで通りに仲のいい友達でいられます。
 ただ、残った夏休みの間かがみ先輩はどこかぎこちなかったんですが、新学期が始まってしばらくすると晴れやかな笑顔を見せる事が増え、女の子の私から見てもとても素敵に見えました。
 みなみちゃんは特にそうした様子もなく、今までと同じように私の事を助けてくれるのですが、やっぱり私の中ではみなみちゃん達に無理をさせてるんじゃないかな?と不安に思う気持ちもあります。
 そんなある日の放課後……

 最近は体調もよく保健室のお世話になる事も減っていたのですが、午後の体育の授業中にちょっと油断してしまい、結局保健室へ行くことになってしまいました。
 次の授業には間に合ったんですが保健室にタオルを忘れてしまったのでHRが終わってから取りに行く事にすると、みなみちゃん達も来てくれたのでそのまま一緒に帰る事になり、私達はおしゃべりしながら保健室へ向かいました。
 教室でしばらくお話していたので、廊下には人はあまり多くなく、私達の他にはほとんどいません。
 もう少しで保健室という所で不意に後ろから
「あれ~? ゆーちゃん達どしたの~~?」
 聞き間違える事のない声が掛けられて、私は嬉しさを感じながら振り向いて、
「こなたお姉ちゃーん」
 と大好きな人の名前を呼びながら手を振ろうとした時に、うっかり足をもつれさせてしまいその場で転んでしまいました。
「ゆーちゃん?!」「っ! ゆたか!」
 まだ離れたところにいたお姉ちゃんと、すぐ横にいたみなみちゃんの声が重なり、私は大丈夫だとアピールする為にすぐ立ち上がろうとしたのですが……右足首に鋭い傷みを感じて、そのままうずくまってしまいました。
 駆け寄ってくるお姉ちゃんの足音を聞いていると、急に体がふわりと浮く感じがして、お姉ちゃんは唖然とした顔で途中で立ち止まってしまいました。一緒にいた田村さんは表現の難しい呻きを上げ、パティちゃんは歓声を上げています……
「ゆたか、保健室はすぐそこだから……ちょっと我慢して」
 いつもより近いところからみなみちゃんの声が聞こえ、自分の状況を理解しました……みなみちゃんに『お姫様抱っこ』をされていました……
「ふぇっ? み、みなみちゃん?! だ、大丈夫だから!」
「だめ。この方が足に負担がかからない……田村さん、保健室のドアを開けてくれる?」
「り、りょーかいっス!」
 恥ずかしがる私を無視して田村さんに声を掛けると、みなみちゃんはスタスタと保健室へ向かい、その後をお姉ちゃんとパティちゃんが何か話しながら付いて来るという感じです。
「失礼します。足を捻ってしまったんですが……」
「あら、じゃあすぐこっちに座らせてあげて。えっと、小早川さん。足を出しておいてくれるかしら?」
 そんなやり取りがあり、みなみちゃんは私を椅子に座らせると、捻った右足から靴と靴下を脱がせてくれました。
「じゃあ具合を見るから。少し痛むかもしれないけれど我慢してね」
 天原先生が私の足に触れて少し捻ったりして容態を確認すると、用意してあった湿布を張って包帯で固定して、
「はい、お終い。そんなにひどくはないみたいね。でも今日は安静にしておく事。いいわね?」
「わかりました。ありがとうございます」
「いえいえ、それと忘れ物よ。はい」
「あ。どうもすみません」
「さて。私はこれから職員室に行かなきゃいけないのだけれど、よければ少し休んでいく? 帰る時にこの札を掛けておいてくれればいいから」
「えっと……」
「それではお言葉に甘えます。ゆたか、その方がいいよ」
「あらあら、すっかり保護者みたいね。誰かさんも岩崎さんのしっかりしたところを見習ってほしいのだけれど。皆も中に入っていいわよ。今は他に誰もいないから。じゃあ岩崎さん、後はよろしくね?」
「はい、わかりました」
 そう言って出て行く天原先生と入れ違いにお姉ちゃん達3人が入ってきました。

「ゆーちゃん、大丈夫?」
 ベッドに腰を掛けたおねえちゃんが、何故か申し訳なさそうに尋ねてきました。
「うん、少し痛むけど歩けないほどじゃないよ。先生がちゃんと手当てしてくれたしね」
「ならいいんだけど。私が声掛けたタイミングが悪かったみたいだしさ」
「そ、そんな事ないよっ! 私がうっかりしちゃっただけだから」
 慌てて手を振ってお姉ちゃんの心配を否定するとほっとした表情になり、
「そう? あ、みなみちゃんもありがとね。すぐゆーちゃんを助けてくれて」
「気にしないでください、泉先輩。友達なら当然です」
「いつも迷惑掛けちゃってごめんね、みなみちゃん……」
「謝らなくていいよ、ゆたか。先輩にも言ったけど、友達なら当然の事」
「友達なら……」
 その言葉に私は胸が熱くなりました。
 あんな事があったのにここまではっきりと言ってくれるなんて、私ならきっと無理です。
 その強さを羨ましく思うと同時に、みなみちゃんが友達でいてくれる事がとても誇らしく思えました。
 思わず泣きそうになったその時に、田村さんとパティちゃんがこんな事を言い出しました。
「いやぁ、それにしてもいいもの見せてもらったっス。あんな所でお姫様抱っこなんて、みなみちゃんもずいぶん大胆ッスよね」
「Yes! コナタには悪いデスガ、とってもお似合いデシタヨ」
「た、田村さんにパティちゃん! 恥ずかしいよ……」
「いや~、確かにあれは私じゃ絵にならないね。衣装をきちんとしたら、お姫様とその騎士、って感じだね」
「お、お姉ちゃん!」
 3人がからかうので、私は顔が赤くなるのがわかりました。みなみちゃんを見ると、やっぱり顔を赤くして俯いちゃってます。
「そんな……すぐに運べて、負担が少ない方法をしただけです……」
「その割にはちらっと見えたけど、なんだか口元が緩んでたッスよ?」
「っ! そ、それは……」
「あれあれ~? もっともらしい事言ってたけど、実はみなみちゃん役得だとか思ってたんじゃないかな?」
「……ええ、そうです。大好きで大切なゆたかに、ああいう風に出来るのは私だけですから」
 ……今、すごい事を言われた気がします。お姉ちゃん達も固まっちゃっていて、
「……あ、あれ? ここは真っ赤になって否定するところじゃないッスか?」
「ミナミ大胆ネ! 夏に言っていたのは本気だったデスカ?!」
「ゆ、ゆーちゃんは渡さないよっ!」
 お姉ちゃんが私を抱きしめて、みなみちゃんを威嚇してます。なんだか本当に猫みたい。
 その様子を見ていたみなみちゃんは……くすりと笑うと、
「心配しなくても、取ったりしませんよ。泉先輩」
「ふえっ?」
「さっき言ったのは本当です。ゆたかは私にとって一番の親友。だから大好きで大切。ゆたかがいなかったら、こうして田村さんやパティ、先輩達と親しくなることもなかったでしょう。
 でも、だからこそ。無理矢理ゆたかを奪う事で、ゆたかを、皆を傷つけたくない。裏切りたくないです」
「みなみちゃん……」
「でも、あの時も言ったように、先輩がゆたかを悲しませたり傷つけたりしたら。その時は先輩からゆたかをさらうかも知れませんよ」
「……大丈夫。絶対、そんな事はしないよ。私だってゆーちゃんとの事を認めてくれた皆を裏切りたくない。
 想いに答えなかった私達を、それでも友達だと言ってくれるみなみちゃんとかがみに、私達を好きになった事を誇ってもらえるようにしたいからね」
「私も、みなみちゃん達の想いを裏切ったり悲しませたりしないよ!」
「うん。これからもすっと友達だよ」
「ありがとう、みなみちゃん!」
 私は嬉しくてみなみちゃんにぎゅっと抱きついてしまいました。足の痛みなんか全然気になりませんでした。

 一方その頃……
(ねぇパティ。お邪魔虫は退散すべきだったかな?)
(イヤイヤ、ヒヨリ。まずはそのカバンに伸びる手をドーニカシマショウ)
(え?あ、あははは……もちろんスケブなんか取り出したりしませんとも)
(ヤレヤレ、困った性分デスネ……)

 しばらく私達5人は、いつの間にかパティちゃん達が買ってきてくれたジュースを飲みながらおしゃべりして……主に私とみなみちゃんがからかわれて、ですが、結局天原先生が戻ってくるまで保健室に残ってました。
 天原先生は呆れてましたが特に咎められる事もなく、お礼を言って保健室を出るとお姉ちゃんがおんぶしてくれました……恥ずかしいから断ったんだけど聞いてくれませんでしたが。
 皆と別れて家へ向かう道で、お姉ちゃんの押す自転車に乗りながら、お姉ちゃんがこんな事を言ってきました。
「かがみといい、みなみちゃんといい。本当にいい子だよね」
「うん。私、みなみちゃんに会えて本当によかったよ」
「がんばらないとね、私達。あの2人が……皆が自慢出来る友達でいられるようにね」
「うん!」



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