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ゆに☆すた ~University☆Star~ えぴそーど3

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hakureikehihi

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だれでも歓迎! 編集
 気分と目的が一致しない事って、ないかな。
 そう、たとえば試験勉強をしてるときに無性になにか別の事がしたくてたまらなくなったりする事。
 もっとも……ありていに言えば、今の私がそんな状況になってるって話なんだけど。

「まぁ、こんなものかな?」

 開きっぱなしの英語の参考書の上に勉強用の眼鏡を置いて、軽く伸びをした。
 割と上手に焼けましたーっ、チックに呟いてみたけど、このセクションの文法はもう一回やり直し確実なのは理解してるんだ。
 実際、ノートに例文を写して、訳文をその下に並べていく……それだけの『作業』になっちゃってたから。

 原因は私の中では判りすぎるくらい理解してるんだけど。
 この前、かがみと一緒に帰った時に、ちょっと強引だったけど……スキンシップにいそしんだって言うか、膝枕してもらった事。
 もっとも、おかげで私の中で色々……決心とか踏ん切りとか、方向性みたいなものが出来たし、何となくかがみとの距離も縮まった気が、する。
 その副作用みたいなもの、なのかな。それは言い訳なのかもしれないけど。
 ひとりえっちの時、いままでエロゲー……だったのに。なんでか、かがみで。それを求めちゃう私が生まれちゃったんだよね。

 ――今日も、シちゃおかな。

 私にとっては大変ある意味不本意かつ、不謹慎で厄介な事に、このえっちもーどな私は自重する事があんまり無い。
 勉強中は強固な精神力で、シカトをいつも試みるんだけど、どんどん心の中でおっきくなってく。
 英単語も、年号も、論説文の内容も、全部があいまいにぼやけて頭に入ってこなくなっちゃうんだよね、これが。

 今までの私だったら全然、それでもオッケーノープロブレム、むしろウェルカムだったかも知れないんだけど。
 今は目的地の前の障害物で、乗り越えなきゃイケない試練とゆーやつのですよ!
 そう理由付けてベッドへ潜り込んだ。まぁ、もっとも、ただ単に一人えっちして気持ちよくなりたいだけなんだけど。

「……っ」

 その気になってたからなのか、それともいつもの流れだからかな。
 自分の左肩に右手がさわっただけで、背筋がゾクゾクしして、やらしい私になってくのが、わかる。
 軽く肩をさするだけで、かがみに抱かれているようで、少しづつ身体が熱くなり始めた。

「はぁ。ん……」

 息を軽く吐き出して、肩で遊ばせてた手を、胸に誘っちゃう。
 指先で軽く押し込んで、そっと手のひらで、慎ましくてもそれなりに柔らかい場所をさする。
 さすった場所から、首筋の辺りまでくすぐったいような、痺れるような感覚が広がってく。

「ふぅ、ふぅん……」

 胸に手を当てて、優しく撫でてあげながら、逆の手をパジャマの下へ……ゆっくりゆっくり、滑らせてく。
 おなかを通過するときは、おへその上を丸く引っ掛けるようにして、焦らさせる。
 急がないで、躰をいたわるように。壊れ物をさわるように、高めてく。

「はぁ、あぅん……っ」

 躰を横向けに、枕に顔を押し付けて、膝枕された時のかがみのスカート越しの感触を、頭の中で再生しはじめる。
 かがみのセーラー服の下から香ってくる、汗ばんだキャミにお鼻の先を押し付けたとき。
 そのとき嗅いだ、あの甘酸っぱいようなにおいを思い出す。
 ――ヤバい、アタマ溶けそう。

「ふぅん……っ、くぅん」

 太ももの内側をすり合わせるみたいにして、じれてた動作を……脚を少し開き気味にしてやめさせる。
 まだ、そこはだめなんて思いながら、内ももを手のひらで、直に、ふにふにとほぐしてく。
 胸を弄ってる手は周りを撫でてたところから、そっと中央のふくらみに近づけて、その周りを回すように弄ってく。

「っ、はぅん、っ」

 ぱんつの上からだけど。大事なところに指があたって、どんどん気分が高まってく。
 指で、ラインを上下にさするように。あわてないで、息を吸って、吐くたびに上下に動かして。
 指先は、もうぱんつがふやけてきて、濡れてるんだよって伝えてくる。えっちになってるんだよって。

「はふ、はぁ……ぁうん」

 我慢できなくなって、パジャマの中の手をぱんつの中に差し込んじゃう。
 枕に当たってる吐息がどんどん熱を帯びて、触られてる感触だけ、頭にダイレクトに響きはじめてる。

 ――かがみぃ、切ないよかがみぃ……。

「……かが、みぃ。ああ、そこ……やぁあ」

 直にソコに触れた手で、指が当たってる事が脳に伝達されたら、勝手にぱんつの中にある手のひらが動き始める。
 濡れ始めてるすじを、こすりはじめたら、真ん中のぷくぷくの周りを、小さく指のおなかで回すようにして。
 ふっと気を抜いてそれに身を任せたら、入り口のひだの内側に溜まっているぬるぬるを指に絡めて弄くってる。

「はぁん……かがみ、やだ。あんっ……あつい、きもち、いいよぉ」

 かがみの名前を呼ぶと、体の感じる度数が数倍に跳ね上がって、溶けそうになる。
 友達に、親友にされてるなんて妄想で、かがみにされてるって思って、ひとりえっちしてる背徳感が、たまらなく切なくて。

 ――指先が触れてるトコ、触ってるトコ、全部……かがみにシてもらってるんだよ、私。
 ――もっと、もっと。かがみ、触って。なでまわして。

 好き勝手に、キモチイイを求めて動いてたら、パジャマとぱんつが膝元まで落ちちゃってる。
 膝と身体を丸くしちゃいながら、もぞもぞと動かして……足が広げられるような体勢にする。
 いつものゲームでヒロインがされてるみたいに。お尻を、誘うように上げて、もっと恥ずかしい体位にする。
 脚を、おっきく開いて見てもらう。大事なところも、きたないところも、何もかもさらけ出して。

「吸って……っ、ああん、もっとぐにくにぃ……ふぅ、んあ……っ」

 もう指先と、弄繰り回されてるところは、出してるお汁でべっとべとになっちゃってる。
 まんなかを二つの指の間に挟むようにして、弄くられる。むき出しにさせてもらえないもどかしさと、しびれるようにくる快感。
 息を吐く。躰のなか全部にかがみが駆け抜けてく。

「あふ、かがみっ、そこ。ふぅうん……っ! くぅん、あふ。んっ、ふっ! ほぁふ……ぅ」

 声が高くなって、おっきくなってる事はわかってるけど、やめるなんて事は想定の範囲外。
 目の前の枕を噛み締めて、声が広がる事だけはなんとか食い止める。おとうさんとゆーちゃんに聞かれたら、洒落にならない。
 枕の端っこを、改めて口全体に入れて噛み締めながら、躰を完全に熱く火照らせて。

 ――かがみ、もう、もういい?

 こみ上げてくる何かに、限界で。耐えられなくて、かがみに訴える。
 髪ごと枕に押し付けて、咥えた枕に唾液を染みさせちゃいながら……胸の真ん中を強く、摘み上げる。

 でんきが、はしってく。

「ひぁ……っぅ、くぅん……んんっ! ぁっ、ふぅん。かがみっ、イクぅ、イクっ!」

 大事なところの真ん中を、指で広げるようにして、むき出しにされると、もう止まんない。
 胸から手を離して、露出させてる指を交代させて。ぬるぬるでふやけきってる指のおなかで、くるくるくにくに。
 もうキモチイイだけしか追いかけられなくて、動きがどんどん速くなる。
 高く上げてるおしりが、何も考えなくても、その指の動きにそってまわされちゃう。

 あたまのなかが、かがみとわたしでいっぱいになる。

「はぁあ……ふぅ、はぁ……」

 気がついたら、もう寝ようとしかおもえなくなっちゃってた。激しくしすぎたせいもあるかも知れないけど。
 この後シャワーを浴びなおしたする事もあるけれど、今日はもうそんな気分になれなくて。
 足元で丸まっているぱんつとパジャマをもぞもぞ引っ張りあげて、つけなおして。
 ……なんだか幸せな睡魔に躰ごと投げ出した。


 股間の辺りが気持ち悪くて、夜に目が覚めたのは言うまでもない事なんだけど。


――――――――――――――――――
ゆに☆すた ~University☆Star~
えぴそーど3 夏のお昼のサプライズ!
――――――――――――――――――

 ――こんにちわ受験生の私。さようなら欲望にまみれた私、またいつか会う……のかな?

 人間、やろうと思えば不可能はないんだろうなと最近を振り返って思う。
 時計を見ると夜明けの少し前、四時半。この生活がすでに二週間近く続いてる。
 お父さんからも、ゆーちゃんからも『よく続いてるね』と先週辺りに言われた気がする。
 ――ええ、私としてもそう思います。

 とは言うものの……やっぱりこの時間だとまだ頭がはっきりとしていないのは確かなんだよね。
 その重さで右側に曲がる頭のまま、洗面所で軽くクレンジングする。
 夏だ猛暑日だなんて言われてるけど、朝の水道水はそれなりに冷たいし、もやもやしていた頭を晴らしてくれる。

 洗濯機にパジャマを突っ込んで、洗面所近くに乾かしていたTシャツと、短パンを身に付ける。
 ついでにリボンで髪をポニーテールにして。鏡に写してばらついてないかをチェックする。
 寝てる二人を起こさないように、廊下を音を立てないように歩いたら、そっと外に出る。

 夏の真っ盛りで仕事しすぎな太陽が、まだ寝ぼけている時間帯。大きく吸い込む空気は気持ちいい。
 暑くない、と言えば当然ばっちり嘘だけど、真昼間にクーラーのない部屋で起きるよりはね。
 ネトゲでこの時間帯まで起きている事もあったけど、寝る前と起きた後では気持ちのノリが違うんだ。
 どっちも嫌いじゃないけどね。


 軽く準備運動をして身体をほぐしたら、一歩前へ足を出す。
 体重を前にかければ次の一歩が自然と出る。
 ここからは夏休みの日課にしているジョギングの時間。

 公園に差し掛かると、私の横を過ぎ去る草や木々からいつもとは違う空気を感じる。
 ボキャブラリがそんなに豊かじゃないから、表現するのは難しいけど……何とも言えない懐かしさが広がる。
 この感覚は私にとって大切な、本当に大切な物だと思う。

 ジョギングコースを走り切ると、さすがに息が切れて、髪まで熱を持ってるみたいに、体中から汗が止まらなくなる。
 また音を立てないように洗面所まで戻って、着ている服を全部洗濯機に投げ込んじゃう。

 お風呂場でお湯の蛇口を捻って、最初にシャワーの口から出る冷たい水を足元にぱしゃぱしゃかける。
 お湯が出始めたところで、身体全体を軽く流して、椅子に座って髪を洗う。
 首筋から胸の前に垂らしたら、股まで流れてくるくらいの長い髪。何気に維持するのが大変な私のトレードマーク。

 でも大変さより、少しづつお母さんに触れられるような気がするから。キモチが強くなってくんだ。
 枝毛にならないようにしっかりとトリートメントをして、水の蛇口を少し捻る。
 ぬるめの温度になったら、また身体全体を軽く流す。身体がしゃきっとするから、好き。

 お風呂から上がったら、朝のニュースを見ながら髪にドライヤーの風を通していく。
 さすがに長い分だけ時間がかかるけど、今の時間ならゆったりする余裕まである。
 髪が乾いてもまだ朝食の準備まで時間はあるから、趣味になってしまった暗記物でもする事にする。
 ――まずは昨日の続きでもしましょーか。

 §

 やる気があると時間というものはあっという間に過ぎていく。
 朝食の準備、洗濯ものを干して。後はクーラーを効かせた部屋で軽く勉強、のつもりが……すでにお昼を過ぎてお茶に近くなってた。
 ゆーちゃんから、ものすごく申し分けなさそうな顔で『こなたお姉ちゃん……お昼、どうする?』って聞かれるまで、
 ゼンゼン全く、気づかなかったのに自分でもびっくりした。

 ちょっと、いやむしろ。すごくかも知れない遅いお昼の準備。今日も素麺を茹で上げた。
 毎日毎日三人でお昼は素麺を食べているんだけど、一向に減る気配がないんだよね。
 お父さんの仕事関係からお中元が続々と届いたのだけど、今年に限って何故か素麺ばっかり。

 日持ちするのはとっても良い事なんだけど『冬まで素麺は嫌、お昼はなくなるまで素麺』って宣言した手前、作らない訳にはいかない。
 せめてもの救いは、つゆだけは毎日少しづつ変えたりしてるせいか、みんなが何の文句も言わずに食べてくれる事だけ。

「うぷ……」

 ベッドに横になり、身体を大の字に広げる。
 ゆーちゃんが途中でダウンしたから、その分も引き受けて頑張って食べた。
 その結果……明らかに食べ過ぎました、ごめんなさい。もう机で勉強なんて余裕はしばらく無理だと思う。
 枕もとの横に転がっていた通学用かばんから、本を適当に取り出す。出てきたのはパティからもらった海外版同人誌。
 ――これは英語の勉強って事で。
 最初のページから頭の中で場面と言葉を当てはめながら自分なりに読み始めた。

♪一万年と二千年前から、あいしてるー♪

 件の同人誌を解読しながら、中ほどまで読んだところで、不意にケータイから音楽が流れた。
 顔がニヤついたのが自分でもわかる。これはかがみ専用の着信音なのだ。

「こにちゃー、かがみー」
「やっほ、どう、元気にしてる?」
「もちろん。最近は早朝ジョギングしちゃうくらい元気してるヨ」
「あんた、ホント唐突にスイッチ入るわりに、入ったら極端ね……」
「こう見えてもやる時はやるのです」

 久々の会話だからか、かがみの声は最初少し緊張してるみたいな声だったけど、すぐいつもの声になった。

「真面目に勉強してるわけ?」
「んーどこまでが真面目っていうかわからないけど、まぁそれなりにやってるー」
「後から宿題みせてーって来ないでしょうね」

 ずいぶんと酷い言い方だと思う。
 失った信頼を取り戻すのは難しいとよく言うけど、きっとこういう事なんだろうな……なんて内心でいじけ涙を流してみた。
 顔がニヤ付いてるのが自分で判るから、流せてない気もするんだけど。

「大丈夫だよぉ、もう大体終わらせてるッス」
「どーだか。ふぅ、ま、いいわ。少し息抜きでもどう?」
「何かイベントでもあるのかな、かがみんや」
「今日、あんたの家の方で花火大会あるのよ。もしよかったらどうかなって。ドカンドカン鳴ってたら勉強もできないだろうし」
「むぅ。そういえば町内会のお知らせにそんな事書いてたよーな……今日だったのか」
「……ふぅ。大丈夫? こなたってば日付感覚ズレてるんじゃないの」

 ――ん、何かかがみの声の様子がちょっとおかしくない?
 花火大会に一緒に行くのは構わないんだけど、今のかがみにそんな余裕あるのかな……なんて考える。

「ねぇ、かがみってば大丈夫?」
「宿題ならもう終わってるわよ」
「そっちじゃなくて、何か声が変だよ。さっきからため息ばかりでさ」
「あー、ちょっと生理が来ちゃってたのよ。さっき薬飲みなおしたから、そろそろ効くと思うけど」

 なるほど、確かにかがみのは結構重かった気がする。
 酷い時は『だるいー』だけしか言わなかったり、机に突っ伏して動かなかったりしてた事を思い出した。
 ――その憂いを帯びた顔なんか、誘ってるみたい。

「まぁ、昨日と今日はホントだったら縁故の社の例大祭の手伝い行くはずだったんだけどね」
「あー、サボって遊ぼうとしてる悪い子がいるー」
「しょうがないじゃない、昨日はホント酷かったんだからさぁ」

 恥ずかしいのかきまりが悪いのか、言い訳をしているかがみの声のトーンが落ちてく。
 嘘をついてるとすれば、間違いなくどもっているはずだから、きっとシロだろうけど。

「んじゃつかさは?」
「当然行ったわよ、私の変わりにまつり姉さんも行ってくれた」
「いいお姉さんをお持ちだねぇ」
「普段はそういうんじゃないのよ、でもこういう時は感謝くらい……してもいいかもしれないわね」

 ――ぷぷ、照れてる照れてる。
 さすが天性のツンデレだけあって、素直になりきれていないのが微笑ましい。
 電話の前で顔を真っ赤にしてるかがみが想像できてすごく楽しい気分になった。

「みゆきさんはどうなのさ?」
「それがね……やっぱりみゆきらしいのよ」
「軽井沢の別荘いってるとか?」
「聞いてよ、さっきケータイに電話したらさ、今レマン湖ですーとか言われちゃって」
「ちょ、海外デスカ」
「そう、家族で欧州だってさ……さすがみゆきよね」
「ワールドワイドを地で行くって、こーゆー事なのかねぇ」

 想像の遥か上を飛んでいくみゆきさん、さすがだなと思ってしまう。
 ――どーせ私らは近所の花火大会で満足できる小市民ですよ。

「でさ、良かったら泊めてよ、最近ぜんぜん会えてなかったし、勉強会もかねて」
「ん、もちろん構わないよー」

 言ってから、私の部屋にかがみと二人きりなるんだねって気付いた。
 ――あれ、おかしいですよ私。
 一人えっちの時に想像するかがみと完璧に別扱いなのか、あの時の切ない気持ちは起き上がってこなかった。

「んー調子よくなさげだから、おとーさんでも使いに回そうか?」
「自分の親を何だと思ってるのよ……さすがに悪くない?」
「そーでもないよ、多分喜んで行く、〆切り前だし。多分花火大会にも付いて来ると思うよ」
「さすがアンタのお父さんよね、でもそれでいいならお願いしようかな」

 昼ご飯の時の気が抜けたおとーさんの様子を頭に思い浮かべる。
 さかんに『〆切りがー』とか呟いていて、私とゆーちゃんは危ないから近づかないようにしてたから。

「んじゃおとーさんに聞いてみるけど何時頃がいいかな」
「そうねぇ……六時頃かな、無理だったら無理でいいから」
「わかった、決まったら電話するよ」
「うん、それじゃまた後でね」

 携帯電話の切断ボタンを押して、机の上の時計を見る。
 今は四時をちょっと回ったところ、結構話してたんだって気付いた。
 ――そろそろ洗濯物も乾いたよね、おとーさんに話をするついでに回収でもしようかな。
 廊下に出た瞬間、暑くてじめじめした空気が身体に纏わりついてくる。
 背中の付近から早くも汗が出ているのがわかった。
 ――またTシャツ洗濯ですか、今日二枚目だよ……トホホ。

「で、おとーさん、どう?」
「もちろん、喜んで! 当然ながら花火大会も参加で」

 洗濯物の取り込みも終わって、お父さんに麦茶を運ぶついでにかがみのお迎えについて聞いてみる。
 実際の意図は火を見るより明らかなのだけど、父思いの娘という設定にすれば世間様も納得……してくれると、いいな。
 話してみたら、予想通り乗り気どころの騒ぎじゃない。

「お昼に〆切りって言ってなかったっけ」
「え、ああ……取材だ取材。丁度花火大会のシーンを書いててだな……」
「ほんとかなぁ?」

 おとーさんを下からじっと見つめてみる。
 ――あ、目をそらした。こりゃ嘘だ。鉄板。

「こなたはこういうところまでお母さんに似てきたなぁ」
「え、そうなの?」
「まぁ、それはそうとして、六時だったよな。ちょっと車のエアコンでもかけてくるわ」

 ――ちっ、逃げられた。
 私の興味が移ったところで勝手に話を切り上げて飄々と部屋を出て行った。
 おとーさんはこーゆーのがうまくて話してる方としては困る時が多い。
 担当さんはホント大変そうだなと思う。

「や、やばい! タイヤがパンクしてやがる!」

 ガレージから聞こえてきた叫び声に、ため息をつきそうになった。
 ――はぁ、マジで。
 ダッシュで戻ってきたお父さんが、慌ててるから言ってあげた。

「すぐ予備のと付け替えてね。無理でもなんとかしてね」

 まぁ、それから汗だくかつ必死になって車を浮かそうとしてるお父さんを見たとき、
 男ってバカだよねぇなんて感想が浮かんだのは黙っててあげることにした。


【Finale / えぴそーど3 夏のお昼のサプライズ!】



















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