さわやかな朝の光の中。四人の少女は、いつものように学校へ向かっていた。
高い薄雲と、それをものともしないように照りつける強い日差し。―もう、夏が近い。
高い薄雲と、それをものともしないように照りつける強い日差し。―もう、夏が近い。
「……それでね、ゆきちゃん。お母さんがね~……」
「……まあ、そうなんですか?うちの母も……」
「……まあ、そうなんですか?うちの母も……」
話題はいつしか、他愛ない母親の話。
こなたは歩きながら、そんなつかさとみゆきの会話を楽しげに聞いていた。
こなたは歩きながら、そんなつかさとみゆきの会話を楽しげに聞いていた。
十日前だったら、ちくちくとこなたの心を刺していたであろう、何気ない会話の中に潜んだ棘。
でも、今はもう違う。もう、寂しくない。
でも、今はもう違う。もう、寂しくない。
……だって……
「……こなた?ボーっとしちゃってどうしたのよ」
「お母さんかぁ……やっぱり、血のつながりっていいよネ」
「つかさってば、未だにお母さんっ子なところがあるからね~……あっ」
「お母さんかぁ……やっぱり、血のつながりっていいよネ」
「つかさってば、未だにお母さんっ子なところがあるからね~……あっ」
しまった、というように、自分の口を塞ぐかがみ。
短い沈黙のあと、つかさがおずおずと、口を開いた。
「……こなちゃん、ごめん……ね」
「すみません、泉さん……」
目を伏せながら、みゆきも頭を下げる。
「……こなちゃん、ごめん……ね」
「すみません、泉さん……」
目を伏せながら、みゆきも頭を下げる。
「ん、気にしないでいいよ。私もこの間、お母さんがさ~……」
「えっ?……ちょ、こなた!?」
「どしたの?」
「だって、あなたのお母さんって……」
「えっ?……ちょ、こなた!?」
「どしたの?」
「だって、あなたのお母さんって……」
そこまで言いかけて、かがみも視線をそらす。
こなたの小さい頃に亡くなったという、こなたの母親。
知っていたはずなのに……軽々しく母親の話をしていた、数分前の自分達がうらめしい。
こなたの小さい頃に亡くなったという、こなたの母親。
知っていたはずなのに……軽々しく母親の話をしていた、数分前の自分達がうらめしい。
「……ね、かがみ」
「何?」
「こないだうちに来たとき、私のPCのデスクトップに、マスコットがいたの覚えてる?」
「え?……ああ、私がマウスで突っついたら逃げ回って、しまいにはウインドウの裏に隠れちゃったやつ?」
「そそ。あれね、……本物の、お母さんだったんだ」
「何?」
「こないだうちに来たとき、私のPCのデスクトップに、マスコットがいたの覚えてる?」
「え?……ああ、私がマウスで突っついたら逃げ回って、しまいにはウインドウの裏に隠れちゃったやつ?」
「そそ。あれね、……本物の、お母さんだったんだ」
少し視線を逸らし、こなたは、恥ずかしそうに言った。
「……こなちゃん?」
「……泉さん?あの、何をおっしゃって……」
困惑した表情。……そして言いにくそうに、つかさとみゆき。
「……泉さん?あの、何をおっしゃって……」
困惑した表情。……そして言いにくそうに、つかさとみゆき。
しかし、かがみだけは違った。
「そうなんだ……ちょっと、悪いことしちゃったかな」
申し訳なさそうに、苦笑い。
申し訳なさそうに、苦笑い。
「かがみ……驚かないの?ていうか、私の事、変だって思わないの?」
「ん。あんたはいっつもふざけてるけど、悪い冗談だけは絶対言わない子だからね。……信じるわ、あんたのこと」
真っ直ぐにこなたを見つめて、かがみは言った。
「ん。あんたはいっつもふざけてるけど、悪い冗談だけは絶対言わない子だからね。……信じるわ、あんたのこと」
真っ直ぐにこなたを見つめて、かがみは言った。
「……かがみ……」
「何があったのかわからないけど、お母さんと会えたんだ。よかったじゃない」
かがみの優しい表情。その顔に、こなたの表情も明るくなる。
「何があったのかわからないけど、お母さんと会えたんだ。よかったじゃない」
かがみの優しい表情。その顔に、こなたの表情も明るくなる。
「うん。……ほんの十日間だけで、また天国に還ってっちゃったけど……いっぱい話せたし、笑ってお別れできたしね」
高く青い空を見上げて、こなた。
高く青い空を見上げて、こなた。
ほんの十日間……大事な十日間。
それでも、おぼろげな記憶の中にしかなかった母と会うことができた。話すことができた。いろいろな思い出をもらった。
それでも、おぼろげな記憶の中にしかなかった母と会うことができた。話すことができた。いろいろな思い出をもらった。
それだけで……こなたには十分だった。
「……ね、こなた?」
「何?」
「……聞かせてもらっていい?あんたのお母さんの事」
かがみが、優しい顔で笑う。
「何?」
「……聞かせてもらっていい?あんたのお母さんの事」
かがみが、優しい顔で笑う。
「うんっ、いいよ。……私のお母さんはね……」
かがみに負けぬ優しい表情で。こなたは、母親のことを話し始めた。
かがみに負けぬ優しい表情で。こなたは、母親のことを話し始めた。
ほんの、十日間。
短い間ではあったけれど……
短い間ではあったけれど……
たくさんの思い出と元気をくれた、大好きなお母さんのことを。
― Fin. ―
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- ここまで読んでほんとの完結だね!
そしてやっぱり かがみはこなたの嫁だね~ -- 名無しさん (2011-04-14 03:56:40) - 最終話みて涙腺崩壊したのに…またここで…本当にGJ! -- ななし? (2008-08-21 09:37:25)