天夜奇想譚内検索 / 「エルマ=マクスウィーニー」で検索した結果

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  • 《交差 -mask-》
    contents mask -Side.A File.1-  ある人に憧れて、赤峰楓という少女はジャーナリストを目指している。  その友人、仲河みのりは彼女のよき相談相手であった。  しかし、終業式二週間前のその日、彼女は姿を消した。  楓は、みのりを探そうと決意する。  自らを突き動かすものも知らないまま。 ○登場人物○ 蛇神と少女の幻想曲より ……羽久 いずも 天夜奇想譚-狼-より ……尾霧 希 馬鹿と魔術と吸血鬼より ……黒蔵 一角/エルマ・マクスウィーニー/泉亭 狩猟者より ……樫月 耀司 ※登場人物をクリックすると、キャラクターの説明が出ますby琥珀 (勝手にごめんなさい、グリムさん) *
  • 馬鹿と魔術と吸血鬼 第2話『出会い』
    作者:晴華流吏 タイトル:馬鹿と魔術と吸血鬼 第3話『出会い』  明るい月の下。  でも暗い路地裏。  一人の青年と。  一人の少女。  退魔師と、吸血鬼。  二人は出会った。  この月の下で。  物語はやっと始まる。  馬鹿と魔術と吸血鬼  第二話 「出会い」  助けられた少女と助けた青年は向かい合って話しをしていた。 「私は吸血鬼…真祖だ、しかも、国外から忍び込んだ…な」  少女は自慢げに言う。  一方、一角は呆けた顔をして固まっていた。  それはそうだろう、少女の言葉はあまりにも衝撃的過ぎた。 「どうした?驚きのあまり声もだせないか?」  その呆けた顔を見て、少女は勝ち誇った顔をする。  一角はああ、と頷き、まさか吸血鬼だったとはな…と呟いた。  しかし、驚きの顔は一瞬にして疑問の顔に変わり、一...
  • 姫月アヤメ
    キャラクター名:姫月アヤメ 作者:グリム 出展:狩猟者遊戯 1 名前 性別 年齢 姫月アヤメ 女 16 2 国籍 住所 日本 天夜市(月明学園から徒歩数分) 3 人種 種族 日本人 人間 4 容貌 容姿 黒のロングヘア。パッと見、大和美人 5 社会的地位 職業 信仰する宗教 学生。無宗教。むしろ神をも異形とみなし、存在すれば殺すと嘯く。 6 性格 癖 ポリシー 学内では明るく、世話焼きの性格。しかし狩りをする彼女は既に破綻者の域に達している。 狩りは快楽として学内で学生を装うのは遊びとしているらしい。 事がうまく運ばない時、舌打ちをする(狩猟時のみ) 7 美点、悪点 無し 8 知性、知識 健康  一般知識は中の上、問題なし。理解力もそれなりにある。 異形に対する知識は取り分け“殺す”事に傾いており、『感染者』でも『汚染』レベルでも関係...
  • 月下、彼の窓辺/side out 1/2
    作者:グリム タイトル:月下、彼の窓辺/side out 1/2  生ける者、死せる者。  その全てに実感が湧かない。  ブラウン管越しのテレビのように。  彼はいつだって、狭間。  生と死の狭間の中、ただ夢想の存在。  切り取られた空が彼の全てだった。  花瓶の水を代える看護士を、何気無しに見る少年がいた。そこは真っ白な病室。広い窓の外には青空が広がり、乗り出して下を見れば灰色の地面が見える。  少年の年齢は高校生か、中学生かそのくらい。ベッドで上半身を起こしている。白い服から覗く、病弱な細く青白い腕。頬もこけていて、お世辞にも、生気があるとは言えない。目の色は濁っていて、今本当に看護士の動向を見ているかも怪しいほどだ。  看護士もその様子に慣れているのか、水を代えた花瓶を窓辺に置く。  青空に、白...
  • mask -Side.A File.1-
    作者:グリム タイトル:mask -Side.A File.1-  この世の中には面白いことが沢山ある。その言葉を聞いたのは、三年前だったと思う。中学校の先輩だった。もう一度会っても分からないぐらいに忘れているけど、彼女の楽しそうな生き方は忘れられない。自分の見たものを皆に伝え、表現する。その素晴らしさを彼女はその生き方で語っていた。  だから私は、彼女を目指した。私には彼女のように写真は取れないけれど。私には、ペンがある。そして―― 「……この燃えるような野次馬根性がある? だっけ」 「ジャーナリスト魂だってば!」  みのりの茶化しに少し出鼻をくじかれながらも、私は手元のペンを動かした。時刻は放課後、夕暮れに赤く染まる教室で椅子に座り、ペンを走らせる。これって結構、様になってるんじゃないかしら。とか考えたりして。  がに股になって逆向き...
  • -真夏の夜の夢 ROUND2-
    作者:扇 タイトル:-真夏の夜の夢-  昼間の喧噪をそのまま引き継ぎ、夜は夜でイベント盛り沢山。昼夜を通してバカンス漬けにされた参加者達はすっかり警戒心を無くしていて大騒ぎ。  夜の訪れと共に舞台をホテルに移し、現在進行形で笑いを絶やさずに楽しんでいた。 「よしよし、全て計画通り。小五月蠅い鼠も退散したようだしのー」  しかしそんな騒ぎに加わらず、主催はホテルの屋上で悦に浸る。  戦場の準備は完了した。残るは引き金をどのように引くかだけ。  少しばかり気にかけていた者共も隔離結界を越えることが出来ずに退散したようであり、何一つ核心に触れる事は出来なかったはずだ。  ここまでの流れは概ね満足。愉快愉快と笑うしかない神様である。 「良い感じに緩みきったところでボチボチ開始。くくっ、楽しみだよ」  諸悪の根源がカモフラージュを止め、本当のイベントの開...
  • 年表
    天夜奇想譚年表 ・1955/?? 《馬鹿と魔術と吸血鬼》  吸血鬼エルマが英国の某所にある廃城に誕生する。 ・1995/10 《天夜奇想譚 -風-》  沙耶が一人の退魔士と出会う。 ・2003/06 《こちら白夜行!》  退魔組織『白夜行』頭首蔵野藤吾の一人娘、『蔵野明』病死。これで白夜行の後継者は途絶えることとなる。  周辺組織、また統括にそれを知られぬよう密葬される。 ・2005/04 《本編 -狩猟者-》  牛鬼来襲・アヤメが退魔士になる。 《こちら白夜行!》  退魔組織『白夜行』頭首蔵野藤吾が失踪。混乱の中、関係者は隠蔽を試みるが、病死と言うデマが伝播。  その後周辺組織や統括に幹部により解体、構成員は散り散りとなる ・2007/04 《とつげきっ!る~ずどっく小隊!》  エミリアがラザロ騎士団の番外小隊、通称負け犬部...
  • -真夏の夜の夢 ROUND1-
    作者:扇 タイトル:-真夏の夜の夢-  それはある日の出来事。  一匹の異形の思いつきで始まった、一つの事件が織りなす物語である。 「うーむ・・面白いか面白くないかはともかく、この趣向は実に愉快だの。予も真似、もといオマージュして実行に移すとしよう」  いつものようにだらだらと寝転がり、お菓子を摘みながらとある映画を見ていた月。  基本的に感化されやすく、事あるごとに硯梨に諫められるのが常なのだが、今日に限ってストッパーが不在だった。 「えーと、場所はアレを封じた島で・・・どれ、余がプロデュースする一大イベントの為、久方ぶりに全力を尽くすよ!頑張れ余、負けるな神様!」  スタッフロールが流れ終えると、やおら立ち上がって概念を創造・展開。  同時に何処かへと電話しつつ、開いた片手でキーボードを高速で叩きつける。 「とりあえず硯梨、蕎麦屋のバ...
  • プラグイン/ニュース
    ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 白夜極光攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキ...
  • アンティークショップ『湖亭』
    コミュニティ名:アンティークショップ『泉亭』 コミュニティの作者:晴華流吏 出展作品:馬鹿と魔術と吸血鬼(予定) 1 コミュニティの名称 アンティークショップ『湖亭』 2 施設の概要(喫茶店、蕎麦屋、等) アンテークショップ 喫茶店 退魔組織(ほぼ何でも屋) 3 国籍 住所 日本・天夜市 4 コミュニティの店主、店員他。 店主:湖森魔理(年齢不明)白髪でモサモサの白い髭を生やしたお爺さん。ノンビリ屋ではあるが老人にしては元気。思慮深く、経験と知識双方とも豊富な凄腕の術者である。アンティークショップ担当。 妻:湖森恵玲(見た目は20後半くらい)喫茶店を切り盛りする美人さん。落ち着きのある人だが…年齢の話は禁止。夫には及ばないがこちらも相当な術者。ちなみに、どうみても金髪だが日本人と言い張る。 アルバイト:黒倉一角(19)退魔師として、...
  • 浅桐 沙希
    キャラクター名:浅桐 沙希 キャラクターの作者:飛崎 琥珀 出展作品:天夜奇想譚 -狼- :天夜奇想譚 -風- 1 名前 性別 年齢 浅桐 沙希 -あさぎり さき- 女 32歳 2 国籍 住所 日本 3 人種 種族 日本人 人間 4 容貌 容姿 赤い髪のポニーテール すらりとしたスタイルで胸は…。 一見モデルの様で身長は172センチ 5 社会的地位 職業 信仰する宗教 主に欧州で活動するフリーのジャーナリストで2児の母。信仰する宗教はなし。ただし、昔住んでいた孤児院がキリスト教が作ったものだったため、祈りや賛否歌などができる。あくまで信者ではない。 6 性格 癖 ポリシー ざっくばらんで、細かいことはあまり気にしない。しかし、一見図太く見えるが実は打たれ強くない。 コップのふちをなぞる。 家族第一。 7 美...
  • 聖ラザロ騎士団
    コミュニティ名: コミュニティの作者: 出展作品: 1 コミュニティの名称  ・聖ラザロ騎士団 2 施設の概要(喫茶店、蕎麦屋、等)  ・名目上はカトリック教会傘下の完全独立系対魔組織  ・一般社会における表の顔は慈善団体 3 国籍 住所  ・本部はフランスに在り、世界50ヶ国余に支部を持つ  ・日本には天夜市を含め、小さいながらも拠点となる支部を複数有する 4 コミュニティの店主、店員他。  - 本部 -  ・枢機卿 :ラーク・イルドックス  ・騎士団長:ウィントン・エイル・エインセル  ・魔道局長:ファベット・ディ-スペック  - 日本、天夜支部 -   <常駐>  ・運営担当の常勤団員  ・日本支部支部長  <不規則>  ・三番隊隊長、リーファ・エイル・エインセル 5 コミュ...
  • 「Chapter4」を終えて
    琥珀「なんだ、この支離滅裂な台詞文」 ブランドラン「まあ、お前セリフ苦手だしな」 エルゼッティ「なれない事はするものではないですねぇ」 琥珀「うわ~ん!!(走り去る)」 エルゼッティ「さて、皆様お久しぶりでございます。あの駄目な作者を時に苛め、時に貶め、時に苛め抜く美人姉妹…」 ブランドラン「ブランドランとエルゼッティの時間だぜ!!」 エルゼッティ「………」 ブランドラン「? どうしたエルゼッティ」 エルゼッティ「ブランドちゃんが最初なの?」 ブランドラン「なにが?」 エルゼッティ「ブランドランとエルゼッティ…」 ブランドラン「あん? そんなのどっちでも…あ、すみませんごめんなさい逆です逆です、エルゼッティとブランドランです!!(汗)」 エルゼッティ「ということで、始まりましたのぉ~」 ブランドラン(別に、どっちでも良いじゃないかよ…) エルゼッティ「何か...
  • 「Chapter1を終えて」
    タイトル:「Chapter1」を終えて ???「だれが、2月中にだって?」 琥珀「……(ガタガタブルブル)」 エルゼッティ「まあまあ。この人も反省していることですし。そろそろ針のムシロの上で正座一週間、とかは許してあげましょう」 ???「まったく。Prologueが出てから2ヶ月って、何処まで伸ばせば気が済むのよ」 琥珀「だ、だってしょうがないじゃない。仕事が一杯いっぱいで。こんなか弱い新米社員をいたぶる会社に文句を言いなさいよ!」 エルゼッティ「まあ。自分の事を棚に上げてステキ発言♪ さすが私たちの作者。駄目っぷりが輝いてますわぁ(にっこり)」 琥珀「ひ、酷い……」 ???「さて、心理と言葉の暴力で沈めた作者は置いておいて。私たちで先を続けよう」 エルゼッティ「あら。それは大変ステキな提案ですけど。アナタ、さっきから自分の名前が明かされてませんよ?」 ???「な...
  • 「Chapter1」を終えて
    ???「だれが、2月中にだって?」 琥珀「……(ガタガタブルブル)」 エルゼッティ「まあまあ。この人も反省していることですし。そろそろ針のムシロの上で正座一週間、とかは許してあげましょう」 ???「まったく。Prologueが出てから2ヶ月って、何処まで伸ばせば気が済むのよ」 琥珀「だ、だってしょうがないじゃない。仕事が一杯いっぱいで。こんなか弱い新米社員をいたぶる会社に文句を言いなさいよ!」 エルゼッティ「まあ。自分の事を棚に上げてステキ発言♪ さすが私たちの作者。駄目っぷりが輝いてますわぁ(にっこり)」 琥珀「ひ、酷い……」 ???「さて、心理と言葉の暴力で沈めた作者は置いておいて。私たちで先を続けよう」 エルゼッティ「あら。それは大変ステキな提案ですけど。アナタ、さっきから自分の名前が明かされてませんよ?」 ???「なに!? 作者に拷問を行うのに夢中で、まったく気づ...
  • 「Chapter1」を終えて
    ???「だれが、2月中にだって?」 琥珀「……(ガタガタブルブル)」 エルゼッティ「まあまあ。この人も反省していることですし。そろそろ針のムシロの上で正座一週間、とかは許してあげましょう」 ???「まったく。Prologueが出てから2ヶ月って、何処まで伸ばせば気が済むのよ」 琥珀「だ、だってしょうがないじゃない。仕事が一杯いっぱいで。こんなか弱い新米社員をいたぶる会社に文句を言いなさいよ!」 エルゼッティ「まあ。自分の事を棚に上げてステキ発言♪ さすが私たちの作者。駄目っぷりが輝いてますわぁ(にっこり)」 琥珀「ひ、酷い……」 ???「さて、心理と言葉の暴力で沈めた作者は置いておいて。私たちで先を続けよう」 エルゼッティ「あら。それは大変ステキな提案ですけど。アナタ、さっきから自分の名前が明かされてませんよ?」 ???「なに!? 作者に拷問を行うのに夢中で、まったく気づ...
  • 小説一覧
    小説一覧~語り部達の間~ ここでは、天夜奇想譚の設定を元に描かれた小説などの類を公開しています。 自由に自分の小説を公開していただけると嬉しいです。 投稿方法については、@Wikiの説明をお読みください。 作者・作品のリスト グリム《本編 -狩猟者-》 《交差 -mask-》 《番外編》 えすぺらんさぁ《こちら白夜行!》 《学園迷走》 扇《蛇神と少女の幻想曲》 《王と騎士と魔法の剣》 雨後 柏陽煉斗 飛崎 琥珀《天夜奇想譚 -狼-シリーズ》 《天夜奇想譚 -番-シリーズ》 《天夜奇想譚 -詩-シリーズ》new 《天夜奇想譚 -風-》――現在準備中。 《天夜奇想譚 -聖-シリーズ》――現在準備中。 《琥珀の部屋》 小説のテンプレート contentsのテンプレート グリム 作者コメント欄(編集したらこの文は消してね♪) TITTLE 《...
  • 天夜奇想譚 -狼- Chapter8
    作者:飛崎 琥珀 タイトル:天夜奇想譚 -狼- Chapter8 本文  人気がなくなった街を、息を切らせながら走る人影があった。  右肩にA4サイズの物が入る大き目のショルダーバックを下げ、冬場には肌寒さを感じさせるミニスカートをはためかせている。  しかし、走り続ける人影は、額に薄っすらと汗を浮かべ、ずれ落ちそうな眼鏡を左手で直しながら、整備された歩道の花壇を飛び越える。 「まったく。沙耶ったら突然飛び出すんですから………。こっちの気も知らないで………」  人影―――烽火は悪態を吐きながらも足を止めない。  パートナーの様な人外染みた体力もなければ、追跡用の足も今は隠れ家の駐輪場に置いて来てしまっている。  こんな風に走らなければならないのは―――、 「本当に、全部、沙耶のせい、なんだから………」  吐いてみても、肝心のパートナーはその場にはいない。  ...
  • なべ・でい。/side out
    作者:グリム タイトル:なべ・でい。  ――鍋料理。  昔から伝わる、様々な具材をぶち込み、煮込み、掻き回し、ぶち撒き、完成する料理。  具材は何か……なんて野暮なことは聞くものじゃないですね。  今宵は冷え切った夜。  そんな夜の、平和な鍋を覗いてみましょう。 「海晴遅かったな。もうお前の柚子さん帰ってきてるぞ」  アヤメと公園で別れてから家に帰り、玄関で僕を出迎えたのは、樫月だった。しかもワザワザ外で待っていたらしい。ポケットに手を突っ込み、寒そうに肩を震わせている。変なところで気を利かせる。  何か言おうと考えて、止めた。  何を言っても野暮のような気がした。 「味ポンと具材――牛肉買って来たよ。寒いし、とっとと食べよう」  樫月はポケットから少し赤くなった手を出して、おう、と応えた。 ...
  • 一息、アチキ珍道中/Calm 3
    作者:グリム タイトル:一息、アチキ珍道中/Calm 3  ゴオオォォー……  ガタッ、ガタ、ガタタタタッ!  ガン、ゴト、 「あいたっ」  ズンッ――ゴォォォォー!  景色が突風のように過ぎ去っていく。暗い夜道をアチキ達はスゴイ勢いで進む。それにしても、歩いてもいないのに進むというのは奇妙な感覚だ。よく揺れるし、速い。隣に座った気弱そうな男は顔が青くなり、たまに揺れて壁や天井に頭をぶつけて悶えている。 「柚子さん! 制限速度! 制限速度を守ってください!」 「……同行は必要ない、って言っただろう」  男の文句を無視して、前の席に座った柚子という女は男を責めた。男は押し黙り、というか天井に頭をぶつけて黙り込んだ。  はて、なんでアチキはこんなところにいるんだったか。そう思って、少し前のことを思い出す。確...
  • ウナ
    キャラクター名:ウナ キャラクターの作者:飛崎 琥珀 出展作品:天夜奇想譚 -詩- 1 名前 性別 年齢 ウナ 女 16歳 2 国籍 住所 イギリス 不定 3 人種 種族 イギリス人 人間《感染者》 4 容貌 容姿 ざっくばらんな灰色の髪 年相応の幼い顔付き。 服装は着崩した黒い長袖のシャツにデニム地の半ズボン。靴は素足にスニーカーという放浪児の格好。 5 社会的地位 職業 信仰する宗教 なし 無職 なし 6 性格 癖 ポリシー 無口で無愛想だが、それは周囲を信用できないという精神状態からくる敵愾心によるもの。 不明 特になし 7 美点、悪点 ??? ??? 8 知性、知識 健康  一般常識はなし 言葉は喋れるが、字はかけない 体内の核により身体は正常以上。 9 趣味 特技 ...
  • 狩猟者―迷い子/missing―
    作者:グリム タイトル:狩猟者―迷い子/missing―  私は切符を失くしてしまった。  列車は回り続ける、ぐるぐると私の目の前を。  誰かは手を伸ばした。 『切符は要らないよ。お乗りなさい』  そして私は答えた。 『あれが無いと私は行く先が分からない』  列車は回り続ける。 《迷い子/missing》 「だっはっは、災難だったねーみっちー」  豪快に笑われて、その上に鳩尾にパンチを貰った。あの雪の事件から一週間……まだ残雪も寒さも消えない頃。僕は相変わらず自室のベッドに居た。あれだけの事があったら仕方ないかもしれないけど。  でも、まだ家の中でしか動けないってのは先行き不安だ。  だと言うのに……目の前の女性は“災難だった”の一言で笑い飛ばしてしまった。鳩尾にキツイ一撃をくれた上...
  • 施設
    施設 このページでは、天夜奇想譚の設定を用いて作られた施設を掲載しています。 ここにおいてある施設については小説内に自由にだして構いません。 人の寄る辺、世界の交じり合う場(Community) 統括組織  ≫≫≫元老院  ≫≫≫警察署 教会 聖ラザロ騎士団 月明学園 煎餅屋 亜鰤琴(あぷりこっと) 蕎麦所『白杉』 アンティークショップ『湖亭』 調魔組織:編集部 月影 神嶋家 コミュニティテンプレート
  • 馬鹿と魔術と吸血鬼 第壱話『出会い』
    作者:晴華流吏 タイトル:馬鹿と魔術と吸血鬼 第壱話『出会い』 「ありがとうございましたー!」  店員に見送られてコンビニから出てきたのは、物が一杯まで詰まったコンビニ袋を持った青年こと黒倉一角である。  少々体格の良い彼は如何にも重そうなコンビニ袋を三つほどを左手で握り、右手はポケットに突っ込んだまま歩く。  今は寒い冬の夜で、道行く人はコートを着たりマフラーを巻いていたりするのだが、一角はは半袖のTシャツにジーパンという寒々しい格好をしていた。  無論、彼が寒さを感じていない、と言うわけではない。  その証拠に、大柄なその体を若干縮こせて歩いているのだ。 「筋肉滅却すれば火もまた涼しい寒さもしかりっつーが……流石にちと寒いぜ」  若干何かが間違っている気がしなくも無いが、一角は誰とでもなく一人愚痴る。 「俺の筋肉なら大丈夫かと踏んだが……昼ならともかく流石に...
  • 狩猟者―存在の証明/Do you ... know?―
    作者:グリム タイトル:狩猟者―存在の証明/Do you ... know?―  この世界は狂っている。  生きている限りに救いはなく、死ぬ事に安らぎはない。  神は居ない、怪物だけが蔓延る。  嗚呼、なんと嘆かわしい事か。  彼の狂人はそんな事を言っていましたとさ。 《存在の証明/Do you ... know?》  居なくなったあの子と関わったあの日から。傷は癒えた。少なくとも、上っ面だけ。そして僕は戻ってきた。形だけ。考えていると溜め息が漏れそうだ。だから、できるだけ考えないようにした。でも決して忘れない。  あの雪が去ってから、一段と冷え込んでくる。学生は皆、長袖。学ラン。こうやって教室から外を眺めると、校門から出て行く黒い学生達が見える。色とりどりのマフラーや手袋。寄り添って歩くグループの生徒。外は寒...
  • 狩猟者―狼煙/Cat box― 1/2
    作者:グリム タイトル:狩猟者―狼煙/Cat box― 1/2  七つの村の七つの墓場から土を持って参れ。  その土を人の血によって捏ねよ。  こうした土を三年かけて三千の足にて踏ませる。  その土にて九寸のヒトカタを千作り、鍋にて煮るがいい。  さすれば、一つ、浮かび上がらん。 「ホトケは何人だ?」 「二人――ですね。たぶん」  頼り無さそうな男――部下の上島泰斗(ウエジマ タイト)は頼りなさげにそう答えた。まぁそうだろう。現場の写真を見て考える。現場は世辞にもきれいとは言えないようなアパートの一室。室内はどす黒い血で彩られている。被害者と思しきモノは衣服の切れ端と色んなものの欠片だ。  無論、その“欠片”には被害者の身体部分も含まれる。  恐らく人間業ではない。 「異形か……そうでなければ退...
  • 葵 恵
    キャラクター名:葵 恵 キャラクターの作者:えすぺらんさぁ 出展作品:こちら白夜行! 1 名前 性別 年齢 葵 恵(アオイメグミ) 男性 十七歳 2 国籍 住所 日本 住居は統括組織内の寮、ただし出張多し 3 人種 種族 日本人 4 容貌 容姿 細身で華奢、そして童顔。クシャクシャの多少伸びすぎた黒髪 服装は安物を適当に選んでいるらしいが、似合わないシルバーを巻きたがる傾向が見られる。 5 社会的地位 職業 信仰する宗教 裁定者、ただし末席。無宗教 6 性格 癖 ポリシー 面倒くさがりだが無駄に正義感なところがあり、曲がったことやルール違反を嫌う 主にツッコミ担当。 苛立つと髪を乱す癖あり。 7 美点、悪点 美点は正義感と面倒見のよさ、悪点も正義感と面倒見のよさ。 8 知性、知識 ...
  • 七夜 月
    キャラクター名:七夜 月 作者:扇 出展:蛇神と少女の幻想曲 1  名前 七夜 月 2  国籍 住所 日本 天夜市二丁目三番二十四号 3  種族 世界に偏在する蛇神伝説・信仰から発生した異形。 各地に散らばる蛇の属性を束ねている為、何かに特化していない代わりに多種多様な概念を扱うことができる。 しかし発生地点が南米であり、太陽神ケツァルクァコトルがベースである。 特筆する点として無数の人の恐れや敬いを核としてなり立っており、数少ない”神”属性を得た個体の一つ。 故に異形ではなく”神祖”。強力な個体である”真祖”を凌駕する、文字通りの天災的存在と言えよう。 4  容貌 容姿 本来  :八枚の光翼持つ大蛇 人間形態:20前後の優男で、顔に締まりがない三枚目。 5  社会的地位 職業 信仰する宗教 社会的地位:昔は違ったが、色々あって働かず...
  • こちら白夜行! 第六話
    作者:えすぺらんさぁ タイトル:こちら白夜行! 第六話  統括組織内、執務室。柔らかく日の射し込む部屋、ただしその光は堆く積まれた書類の山に遮られ、白い床にその影を落とす。そのビル郡のような書類の山の中で、安倍桜花は欠伸混じりに背伸びをした。伸ばした手が、机の上からいくらかの書類を薙ぎ、落とす。 「あー……」 落とした書類へと一度は眼を向けるが、うんざりとした表情で再び逃げるように眼を逸らした。 「少し、休憩」  逃避。机の上の冷めたコーヒーカップに手を伸ばし軽く啜る。その動作を数回繰り返した後、 「さて……」 用心深くあたりを見回す。人の気配がないことを確認すると、机の引き出しを開け、おもむろに何かを取り出す。それは狐色の、温かい毛の塊……詰まる所、狐である。 「はぁぁ……」 抱きしめるときぃ、と小さく鳴き、桜...
  • こちら白夜行! 第四話
    作者:えすぺらんさぁ タイトル:こちら白夜行! 第四話  十一連敗の夜から、十日後。 「……帰るまでに止みそうに無い、かな」 「そうねぇ。予報じゃ、夕方から激しくなるんだって」 蕎麦屋白杉、その店内から、明は恨めしく、降り続く雨を眺めていた。 曇天で日は見えないが、店内の簡素な時計はおおよそ十五時頃を示している。本来ならば結構に賑わっている時間帯だ。しかし平日の雨天とあって、店内は、本当にまばらにしか客が来ない状態が続いている。 雨の日に、客の足はわざわざ甘物を食べへとは向かないらしく――蕎麦については論外である――本来ならば明は、こんな日はもう仕事上がりで帰宅する。しかし残念なことに店の置き傘がすべて出払ってしまっている今、彼女に出来るのは、外を睨みながら雨が止むのをひたすら待つことと、通常の接客業だけだった。 お客は三名二組...
  • 天夜奇想譚 -詩- Prologue
    作者:飛崎 琥珀 タイトル:天夜奇想譚 -詩- Prologue 本文          ◇  目の前で開かれた薄桃色のカーテンの先。  そこには戸惑った貌の私の姿がある。手には二人に選んでもらったレモン色のワンピースが抱えられていて、それと鏡を行き来する視線は、どうしようかとさまようばかりだ。  ほら、と背中を押されて、私は靴を脱いで試着室に入る。人があふれる煌びやかな建物に入ったのも初めてなら、服という自分には着ていればなんでも良いという程度の物だったものためにある、試着室という場所は未知の世界だ。  そう考えると、とたんに胸の鼓動が早鐘を打つ。 「じゃあ、閉めるから着てみてね。着方はわかるわね?」  後ろでやさしく微笑む女性に、私はこくんとうなずいた。その姿に安心したのか、女性はゆっくりとカーテンを閉める。  すると、とたんに世界には私だけになった。  試着室...
  • 第二話~ 暴風魔術師誕生
    作者:扇 タイトル:蛇神と少女の幻想曲~第二話~  ずるずる、と言う音が延々と続いていた。  音の主は満面の笑みで箸を動かす三枚目風の男である。 「あ、メニューの端から端までもう一度追加で」  四人掛けのテーブルを埋め尽くすのは、空の蒸籠が作る巨大な塔と丼の山。  音の正体は月が蕎麦を啜る食事の音だった。 「・・・まだ食べ続けるなら、私は先に帰る」 「いやその、まだ腹六分目」 「さっきイタリアンを十分食べたよね?店の人が真っ青になって許しを請うくらい」 「ご、五百年ぶりの御飯でお腹が減っていまして」 「じゃあお一人でどうぞ、私はこのあんみつを食べたらお暇するから」 「店員さーん、今の注文キャンセルっ!」  渋々追加を断念する月だった。  だって仕方がない、硯梨の発言は何時だってセメント過ぎる。  まだ話さなければならない事が山のように...
  • 第1話   ~化け物達の宴~
    作者:扇 タイトル:王と騎士と魔法の剣 第1話「化け物達の宴」  人は人種も、親も、能力も、己自身の存在理由さえも選べずに生まれてくる生き物だ。  神は人が生み出した最大の発明だと聞く。ならば、人は人自身の手でこんなにも運任せな世界を容認しているのだろうか?  否、そんなはずが無い。人の欲に限りはなく、不利益な事象を甘んじて享受するとは考えにくい。 「世界には矛盾が当たり前のように組み込まれている」 「そうだねー」  宗教に哲学を交えた真理を問うかのような言葉が次々と紡がれていく。  しかし、真剣な話し手とは裏腹に聞き手は果てしなく投げやりだった。 「つまり人は存在してしまったが故に苦悩するのだ。何とも救いがたい話ではないか」 「そうなんだー」 「しかし対処は簡単でもある。逆説もまた然りなのだからな」 「ふーん」 「私が言いたいのは唯一...
  • 第八話~ 再起の時 ~
    作者:扇 タイトル:蛇神と少女の幻想曲~ 『定期報告。先頭集団とのタイム差が12分に増加、最後尾と比べても7分の遅れが発生』 「・・そっ・う・・・なん・・だ・・・っ」 『ですが、四日前に比べ1%の能力向上を計測。基礎トレーニングとしては悪くない伸び率だと判断します』 「が・・・ん・・ばる・・・よ」  全員参加の山中マラソンに参加した硯梨だったが、集団のペースに付いていけず一人取り残されていた。  呼吸を荒げ息も絶え絶え。しかし他者と比べて遅遅とした歩みでも、決して足を止めることはない。  収まらない胸の動悸、カラカラに乾いた口の中。普段酷使しない筋肉は当の昔に悲鳴を上げて限界を訴えていてもだ。 『体力作りは種蒔きのようなもの。即効性はありませんが、いずれ花開き収穫の時が訪れます。故に私はガンガン走り込んで頂くのが最善と判断し、苦言を弄す今日この頃』 「・・...
  • 狩猟者―寒がりの白雪/far snow―
    作者:グリム タイトル:狩猟者-寒がりの白雪/far snow-  駆け抜ける衝動を抑えることができる事はできない。  悲しみは知らない、哀れみは知らない。  知らないから、それはきっと喜びだ。  ――彼女は、そう言って錆色を振り下ろす。 《寒がりの白雪/far snow》 「――起きろ、ミハル」  揺り起こされる。頭痛が消えたためか、その感覚は心地良い。覚醒しかけた意識が消えかけて、側頭部に押し付けられたゴリッとした鉄の感触に飛び起きた。  上半身を動かして枕の方を見ると、ショートヘアの姉貴が拳銃なんぞ構えている。表情は不機嫌。もしあのまま起きなかったら確実に頭にトンネルが開通していた。賭けても良い。 「おはよう。今日学校だろう、海晴」 「……おはよう姉貴。その拳銃しまってくれよ。桜の大門が泣...
  • 狩猟者遊戯
    作者:グリム タイトル:狩猟者遊戯 ――夜闇を切り裂くは、錆色の刀身。  逃げようとする連中を追う。相手は纏まって逃げている。行き先は恐らく人通りの多い場所か、民家のある場所。  そこまで逃げられたら狩るのは難しい。  森を駆け抜ける。目標は三つ、未だ健在。身体能力で追いつけないらしい。  右腕の手甲に精神を集中させる。概念式複合を起動。概念は、根・急成長・壁・地脈の四つ。地形の把握と準備は十分だ――!  「式名、五行――木遁」  目標の目前の地面が盛り上がり、ものの数秒でそれが複雑に絡み合って壁を作る。  連中は拳を振り上げてそれを破壊しようとするが、根が絡み合った壁だ。早々破壊されない。  戸惑ってる間にすぐ背後まで追いついた。走りこんだ勢いで背後から居合い。  リーマン風の男を左下から右上...
  • 狩猟者―平穏な日々/lazy trap―
    作者:グリム タイトル:狩猟者―平穏な日々/lazy trap―  鈍色に輝くのは、日々と言う名の刃。  腐敗を進ませるは怠惰の日常。  何も得られぬのは無為の時間。  誰も彼もが知らずにその輝きを磨耗してゆく。  誰も彼もが知らずにその刃を首筋へ持ってゆく。  降りしきる雨。普段着が肌に張り付いて気持ちが悪い。  ああ、こんな山奥の道路まで逃げるなんて思いもしなかった。  巨大な影が、道路を占領するように待ち構えていた。ゴワゴワした毛に、人間離れした巨躯。一見すると猿かゴリラのようだが、……まぁ、間違っては居ない。ただ猿やゴリラよりも獰猛で、人の害となる。教科書に載っている猿人に近いそれらは、退魔士の間ではサスカッチと呼ばれる。意味は毛深い巨人だとか。どうでもいい。  そいつ雨水の滴る切先を向ける。 ...
  • 天夜奇想譚 -狼- Chapter3
              ◇  抱えて最初に思った事は、軽い――だった。  突然叫びを上げて道路の中央へと飛び出した少女は、変わろうとしている信号を無視して、急に曲がってきたトラックに、まったく気づいていなかった。  信号が変わるのを待つ人込みの中、数秒先の結末を容易に想像できた俺は、別段、何時か何処かで起き得る出来事のひとつと考え――。 「―――!!」  静観――という態度を取れずに少女を追って人垣の上を飛び越えた。  少女とトラックの出来事が一瞬であるならば、自分は刹那の間に少女の傍へと舞い降り――そこで、自分の手に提げているはずの得物が無いことに気づいた。  圧倒的な質量の前に、丸腰で飛び込んだ事を後悔する前に、渾身の力を込めて、右足に重心を、左足に会心の回し蹴りを放つ。  トラックのバンパーを打ち上げる様に蹴りを放ち、軌道を変えて隙間を縫うように少女を連れて逃げ出すはずが...
  • 2010/4/27
    23 14 (ougi) ノ 23 14 (ougi) HAGA様のエースモンスターが倒せなくて愚痴りに( 23 14 (ES_) ぉぉぅ? ノシ 23 15 (ES_) インセクトクイーンかしら、グレードモスかしら( 23 15 (ougi) アリの女王様( 23 15 (ES_) アリ? 23 15 (ougi) こう、いつまでも耐えられる硬直状態は続けられるんだけど 23 16 (ougi) 与ダメが全然足りなくてやってられない( 23 16 (ES_) えー、結局何の話かしら( 23 16 (ougi) 世界中の迷宮( 23 16 (ES_) ぁー( 23 17 (ougi) きっとB1Fがクノックス迷宮かなんかなんだろうさ( 23 18 (ES_) バイトが見つかって稼げれば買えるのに。。。(ぁ 23 18 (ougi) 買うな( 23 18 (ES_...
  • 第2話   ~遙か彼方の平穏な日々~
    作者:扇 タイトル:王と騎士と魔法の剣  「必ず誰にも文句を言わせないくらい強くなるから、私を信じて待っていて欲しいの」  「姉さんは今でも十分強いよ。何も出来ない・・・要らない子供の僕と違って」  「それは違います。例えば米国の大統領は誰でも知る“強力無比な力”を操ることの出来る強い人ですよね?でも、彼自身は只の弱い人間でしかありません」  「うん」  「もしも私を強者と言うのなら、全身全霊忠誠を誓う“私”の力はせー君の力だよ?この意味判る?」  「・・・うん」  「強さの形は数え切れないほどあり、人心掌握だって紛れもない強さです。だから胸を張って前を向いてください。私の主は立派に無敵ですからね」  これは夢だ。微塵も良い想い出のない、幼少期の記憶。  小さな自分と、それをあやす少しだけ年上の少女の姿を眺める今の自分。  すっかり忘れていたはずなのに、何処かで...
  • 第七話~ 敗北と土の味
    作者:扇 タイトル:蛇神と少女の幻想曲~ 『敵の座標位置不明。申し訳ありません、マスターの視認情報が頼りです』 「・・・一次領域に“天弓”を圧縮展開。移動の兆候を見つけ次第全力で打つよ」 『了解。マスターは大技の準備に専念を』 「・・・うん」  ずきずきと疼く頭を片目を閉じて我慢。無理を承知で構えを崩さない硯梨は、劣勢挽回のチャンスが訪れそうも無い状況に辟易していた。 『負荷軽減に“アルゴスの百眼”を解除してはどうでしょう』 「彼らと違って気配を察知できない私達だよ?そんな事をしたら良い餌になっちゃうからダメ、絶対ダメ。それが自滅に繋がっても譲れない」 『了解、この場での判断はマスターが正しいと判断します』  柔らかい土の地面に爪先を食い込ませ、ふらつく体を押さえ込む。  近隣一帯に草木が生い茂る緑の世界、それは想定していた戦術を根底からひっくり返...
  • らんらんるーっ♪
    作者:柏陽煉斗 タイトル:らんらんるー♪  暗い。  暗い、昏い、喰らい、 Cry。  私はびくびくとしながら、街を行く。  夜。街を走るバスはすでに終わり、寒い街中を辺りを見回しながら、ただ、急ぎ足で家路に着く。 (もう……っ! こんな日に残さなくたっていいじゃないっ! 私なんてただのバイトなのにっ……)  いやらしい、スケベ面をした上司の顔を頭の中で殴り飛ばしつつ。  普段とは変わらない接客、調理もまともにこなしていたはずなのに、残されてうだうだうだうだ、何々がなってないなどと、私だけを残しお説教。  他の先輩方や後輩も心配そうに見ていたけれど、どうすることも出来なくて帰っていって。  そしてようやっとついさっき解放されて。心配げな顔で送っていこうか? 等という上司を振り切って、今ここを歩いている。  絶対にもう辞めてやる、と、頭の中で店の特徴と...
  • 一息、アチキ珍道中/Calm 2
    作者:グリム タイトル:一息、アチキ珍道中/Calm 2  からころ……からりん……  ……カラン、カラカラン……  ズゲッ、ズデッザザザーッー……  ブッ……  ……  盛大にこけた。お面は落ちなかったけど、下駄の鼻緒が切れたらしい。まさか天下の大通りにこんな穴があるとは思わなかった。……アチキを倒すなんて凄くはないけど、認めてやってもいい。  ……しかし下駄がこれじゃあ歩きにくい。  加えて今日は満月の晩。月夜には怖いものがいる。前は見逃してもらったけれど、今日は見逃してもらえるとは限らない。裸足で……いや、ダメだ。裸足だと足が汚れてしまう。  目の前に転がっていた箱を見て、アチキの脳裏に名案が浮かんだ。そうだ、これを使えば怖いものにも見つからない。アチキはさすがだ。頭が良い。早速、その茶色くて大きな箱を...
  • 一息、アチキ珍道中/Calm 1
    作者:グリム タイトル:一息、アチキ珍道中/Calm 1  カラン、カラン……  ……  カラ……  ……  ……カラン――  踏み鳴らす下駄の音が夜道に響き渡る。  人通りの無い寂しげな道。周りの家々の住民は寝静まっているのか、アチキの歩く音以外は何も無い。空を見上げてみると、それはそれは綺麗な月が下界を照らしている。  なるほど――今日は、晴れか。  響く音、遠くの方に、影が見えた。  アチキは慌てて横道に逃げ込んだ。怖いものかもしれない。こんな綺麗な月夜には、怖いものがいる。  地を踏みしめる音を聞きながら息を潜める。足音は止む。顔を上げると、二つの瞳がジッとアチキの姿を捉えていた。影が動く。月が、その影の持つ凶器を照らす。錆色の輝きの刀と、銀色の手甲。  ああ、やっぱり。綺麗な月...
  • 狩猟者―狼煙/Cat box― 2/2
    作者:グリム タイトル:狩猟者―狼煙/Cat box― 2/2  油をフライパンに流し、広げる。 「……最近炒め物ばっかりな気がするな」  呟いて、ニンジンを投入。炒める音が響く。鍋以外は炒め物系が主流になってきた気がする――いや、別に炒め物が悪いわけじゃないが、さすがにこれではバランスが悪い。でも残った材料を使いきるにはこれが一番の方法でもある。  今一番に考える事はバランスじゃない。  振り返る。そこには不機嫌な姉貴が不機嫌そうにテレビを眺めながら、不機嫌そうに人差指でテーブルを叩いていた。  肉野菜炒めができあがり、振り返ってみる。もう一回前を向く、振り返る。間違いなく姉貴は銃を抜いていた。ペンを弄くるような手軽さで銃を弄っている。深呼吸を一つして、声を掛ける。 「姉貴、できたよ」 「あ――?」  姉貴がこちらを...
  • 狩猟者―辻の蛭/sister― 2/2
    作者:グリム タイトル:狩猟者―辻の蛭/sister― 2/2  声は上から。刀を構え、振り下ろされるそれを受け止める。金属音がぶつかり合い、火花が散った。そのまま勢いに任せて弾く。弾いた俺の刀を利用して、少し離れたところに男は着地する。炎を浴びせかけたやったのにもかかわらず、焦げあと一つない。  細目を更に細めて笑い、かなり余裕ぶっこいてやがる。  つい先日相手にした鎌鼬を思い出した。当たらないなら、まずは相手を囲って封じ込める。手甲を相手に向け、魔力を走らせる。  威力は最大、手加減なんてできない。 「式名、五行――木遁、句句廼馳ノ抱擁」  コンクリの地面を突き破り、相手の動きを封じる根の壁が螺旋状に檻を成す。  封じたらもう一撃で終わりだ。 「木生火ニ則リ、陽トッ」  詠唱を中断する。体を捻り、刀を構えなおす。激し...
  • こちら白夜行! 第三話
    作者:えすぺらんさぁ タイトル:こちら白夜行! 第三話  その部屋は騒然としていた。むき出しのコンクリート作りの建物。壁という壁、床という床には魔方陣を基にした基本的な式が刻まれ、そこら中に書物や、一見怪奇な道具……式具が散らばっている。おおよそ居住空間とは程遠い。  退院した葵がこの場所を見つけるまでに、4日ほどかかった。何故か――十中八九、桜花の仕業だと彼は踏んでいるが――統括機関に連絡できなかったおかげで、位置の割り出しにかなりの時間を食ってしまった。  繁華街や住宅地からは外れ、開発計画の枠にも入らなかった僻地。その廃ビルの中にそこはある。水道不通、ガス不通、おまけに電力拝借。かろうじて天井にぶら下がる、割れかけの裸電球や、隙間風いらっしゃいませな悲惨な窓ガラスが哀愁を漂わせる。朝日差し込む時間だというのに、やもすれば心霊スポットに仲間入りできそうな風格を持...
  • 第三話~ 硯梨と愉快な仲間達
    作者: タイトル:蛇神と少女の幻想曲~第三話~  草木も眠る丑三つ時。  街灯のぼんやりとした光だけが見守る闇の世界を一匹の化け物が闊歩していた。  教え子の注文に応え、一度組み上げた魔具を再構築するのは愉快と同時に面倒臭い。  故に蛇の王は淀んだ頭を一新すべく、獲物を探して唯進む。  そして、自らの感覚に従い見つけ出したのは一匹の異形だった。  外見上は人のように見えるが、その身から漂う気配は人にあらざる者。  おまけに食事中だったのか、抱きかかえた女の首筋に牙を突き立てていたりする。 「昔、大陸で見かけたことがある。アレか、お前は血を吸う鬼じゃろ?」 「何だ、人間ではなさそうだが我に何か用か?」 「とりあえず膝を付け。神を前にしての不遜な態度、今なら大目に見よう」 「・・・見なれない種だが、200の齢を数える我に向かって何を言う」 「何だ、若造ではない...
  • 第1.5話 ~その頃の姉(後編)~
    作者:扇 タイトル:王と騎士と魔法の剣  破損して使い物にならなくなった甲冑を脱ぎ捨て、代わりとなる騎士団標準の制服をきっちり着込んだ少女は鏡に映る己と無言で向き合っていた。  姿見の鏡に映るもう一人の自分は当然のように不安顔。我が事ながら情けないと思う。  しかし、表情に反して少女の容姿には華があった。  肢体はすらりと長く、大きな瞳に形のいい鼻筋。均整の取れたスタイルを彩るきめ細かい肌と、見る物を引き込む黒の瞳を日本人の父から。  金糸を束ねたような髪はフランス人の母より受け継いだ産物であり、父の血が色濃く見える外見である。  もっとも混血を嫌う人種に言わせれば無国籍と一笑されることもあるだろう。  が、そんなこと少女の知ったことではない。  例え他の誰が蔑もうと、たった一人の主さえ受け入れてくれればそれで良いというのがリーファ・エイル・エインセルの揺るぎない芯なのだ...
  • 第1.5話 ~その頃の姉(前編)~
    作者:扇 タイトル:王と騎士と魔法の剣  灼熱の世界に乾いた風が吹いていた。  風は砂を運び、気紛れにその強弱を変えながら有象無象の区別無く猛威を振るう。  しかし、そんな自然の脅威をものともせずに動き回る者達がここに居た。  一つは朽ちた体に年季の入った包帯を巻きつける世界的にもメジャーな化け物の群れだ。  その数は10や20ではきかない。今この瞬間にも蟻が巣より這い出すかのようにその数を増し続けており、このまま放置するとミイラで大地が埋まりかねないだろう。  対し、それを阻止せんとする人間たちが残る二つ目の勢力である。 「このまま場当たり的な対処を続けても意味が無い。全員俺に続け、突破口を開くぞ!」  左手に盾、右手に剣を持つ男は焦りの色を隠さずに叫んでいた。  これは男に限った事ではないが、異形の軍団に立ち向かう彼らの装備はやけに古風である。  なに...
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