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SEA & SHE A.S.+

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-----SEA & SHE  A.S.+-----

こなちゃんが死んだ。

私がその報せを聞いたのは、家に着いてすぐのことだった。
その日はお姉ちゃんとこなちゃんが旅行から帰ってくる予定の日だった。
こんなことは聞きたくなかった。ゆきちゃんも合わせて四人で新しい学校のこととか、旅行の話とか聞くつもりだった。

ふと、お姉ちゃんがこなちゃんと海に行かなかったらって思っちゃった。
そんなこと思ってもこなちゃんは帰って来ないのに。お姉ちゃんが一番辛い筈なのに。

こなちゃんはもういない。
そのことは、私に不思議な気持ちを残した。
「寂しい」という言葉が私の知っている中では一番その気持ちに近いと思う。
卒業式の日とかその後とか。
お姉ちゃんとこなちゃんがどんどん仲良くなっていった時とか。
そんな時と同じ感じ。


お姉ちゃんは通夜の時、泣いて無かった。
それを見たとき、多分、初めてお姉ちゃんを本気で憎んだ。
でも、お葬式の朝にこなちゃんの横で泣きながら、
こなちゃんの名前を呼びながら寝ているお姉ちゃんを見たとき、今度はそんな私が嫌になった。

お葬式の時、私はゆきちゃんに抱き着いて泣いた。
抱き返して呉れたけど、ゆきちゃんも泣いてたと思う。
黒井先生やお母さんが声を掛けて呉れた。それで少しだけ気持ちが癒された。


こなちゃんが煙になっていく。出来るだけ高く上がって欲しい。
それで、偶に雨と一緒に帰って来てくれたら嬉しい。
こなちゃんは雨が好きだって言ってたから、きっと、帰って来てくれる筈だ。

それから一週間。お姉ちゃんはおかしかった。普通だったんだ。
普通だからおかしいっていうのは、変だと思う。でも、お姉ちゃんの気持ちを思ったら、普通なのはやっぱり、変。
だから、私は皆に連絡をとって、海にお姉ちゃんを連れていく事にした。

海でお姉ちゃんは思いっきり泣いた。私に縋り付いて。こんな風に泣くお姉ちゃんは初めて見る。
太った時にもお姉ちゃんは泣いてたけど、何か涙の質みたいなものが違う気がした。
私も皆も、お姉ちゃんからもらい泣き。

お姉ちゃんが泣き止んで、波打ち際に歩いていく。
その時、私はお姉ちゃんまでいなくなるんじゃないかって思った。それは私の思い違いだった。
だって、お姉ちゃんは「大丈夫」って言ったんだから。


波打ち際まで行くとお姉ちゃんは足元が濡れるのも気にせずに、ずっと立っていた。
ふと、お姉ちゃんの隣にこなちゃんが立ってる気がした。目を擦るといなくなってたから、多分、私の気の所為。



私は、私たちはこなちゃんのいない世界で、こなちゃんが決して知ることの無かった世界で生きていく。
そのうち、こなちゃんとのことは想い出になるんだろう。
それでも、生きていくことがこなちゃんの為にもなると信じて。


私はこの世界で生きていく。













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