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みずたまりのほとり(ひより視点・エピローグ)

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匿名ユーザー

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「……!」

二人を見て、ぎょっとした。

ゆーちゃんはよかった。不思議なことに、いまのゆーちゃんはもう
さっきまでの何もかもにおびえ続けてたゆーちゃんじゃなかった。
あのことが起きる前の、明るいゆーちゃんだった。

だけど…。
みなみちゃんの痛々しく泣きはらした目。
苦しくて涙がにじんたとかのレベルじゃなくて…思いっきり泣いたばかりの目。
それに…恥ずかしさで今にも気を失ってしまいそうなその表情…。

それらが意味することは…一つしか考えられなかった。


☆☆☆☆☆☆☆

ぽろ…ぽろ…。

大粒の涙がみなみの頬を流れ落ちて、足元の水たまりに溶けていきます…。

それは、ゆたかの切実なお願いに応えて、納得の上でしたこと。
でも…しているうちに、急に涙が出てきて止まらなくなってしまったのです。

…無理もありません。
一番大切な人の前で、一番大切な人に見つめられながらおもらしをして、
泣きたくならない女の子なんて、そんなにいないでしょう…。

「………」

ゆたかはずっと黙ったまま、みなみの顔と、おしっこの跡がきらきら光る脚と、
足元の水たまりとの間に視線をさまよわせていましたが…

「みなみちゃん…」

やっと、口を開きました。

「ごめんね…そして…ありがとう」

「………」

みなみは答えません。涙だけが落ち続けます…。

「うまく…言葉にできない…だけど…とにかく…どきどきする…
 してるときも…終わってからも…みなみちゃん…すごくかわいくて…。
 泣いてる顔も素敵で…涙も…おしっこも…きらきら輝いてきれいで…」

熱に浮かされて、自分でも何を言っているか分かっていないゆたか。

「………」

みなみは涙が止まるどころか、顔まで真っ赤になって…。
今にも声を上げて泣き出すか、気を失うかしてしまいそうでした…。

その姿は、ゆたかにとってさらに今の感情を煽ることになって…。

「みなみちゃん…ちょっと…顔…下げて。私が届くぐらいまで…」

みなみが、よく分からないままその言葉に従うと…。

ゆたかは、顔をみなみの顔にそっと近づけ、二人の唇が……。

☆☆☆☆☆☆☆


……ああああぁ、何だこれ…自重…自重を…。

何とか妄想を振り払い、意識を現実に戻すと…。

「だめだったんだね…」

「あんなになってたんじゃしょうがないよな…」

「むしろ、あの状態まで耐えた上に少しでも歩けたことがすごいよ…」

「するとこ、ちょっと見たかったかも…」

みんな、口々にそんな事を言っていた。
言っておくと、どさくさにまぎれて不穏なことを言ってるのは決して私じゃない。

「……?」

みなみちゃんとゆーちゃんは『わけがわからないよ』という感じで、
教室の入口に立ったまま顔を見合わせた。

「あちゃー…その様子だと間に合わんかったようやな」

「え…」

黒井先生の言葉で、二人は初めて状況を悟ったようだった。

「まー、気ぃ落とすな。おもらしなんて大した失敗やないって。
 泣くだけ泣いたんやろ?もう忘れーな」

「え、え、ちょっと…」

うろたえるゆーちゃんだったけど、一方のみなみちゃんは『別にいいや』というように
苦笑しながらため息をつくだけだった…。

やっぱり…そうなんだ。みなみちゃんは…。

「違うよっ!」

ゆーちゃんが叫んだ。

「みなみちゃん、そんなので泣いたんじゃない!
 みなみちゃん、おもらしなんかしてないよ!
 ほら、スカートだって全然濡れてない!
 ほら!横も!後ろも!こっち側も!」

ゆーちゃんはみなみちゃんの体を回転させたりスカートを引っ張ったりして
もらしてないことを懸命にアピールした。そして…

「ゆたか、落ち着いて…私はいいから…」

みなみちゃんが言う間もなく…

「ほら、スカートの中だって…!」

ばさっ!

ゆーちゃんは、みなみちゃんのスカートを思いっきりまくり上げた。

「!!」

みなみちゃんのスカートの中の聖域が露わになって…
教室の中が凍り付いた。

「あ…」

ゆーちゃんはすぐ我に返ってスカートを戻してあげたけど、
聖域の光景が私の網膜に焼き付くのには、そのわすかな間で十分だった。

私の勘…当たってた。

「淡い…スカイブルー…」

私は、聖域の中に見た色名を声に出してつぶやいて…

最後の理性が…砕けて…

…ぶばっ。

がくっ。

鼻から鮮血を噴き出しながら、机に突っ伏した…。

たぱたぱたぱたぱ……。

おしっこより濃い液体が流れ落ちる音。

止める気も止まる気もしなかった。
鮮血が机からあふれて、床に真っ赤な水たまりを作っていく…。

…神様。
…何というものを見せてくれましたか。
…この三日間、いけない妄想を重ね続けた罰?
…それとも、正解したご褒美……?

…最後に、あのスカイブルーには一片の曇りもなかったことを思い出して…

(みなみちゃん……間に合ったんだね……よかった……)

心の中でそうつぶやいて…後のことはもう覚えてない。

(おわり)











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