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HAPPY SUNDAY MORNING

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匿名ユーザー

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日曜日、ネトゲをする日。朝日を見送ってから眠る日。
いつもなら布団にこもっているはずの時間に泉こなたは窓から空を見上げていた。
昨晩はお気に入りのネットゲームがメンテナンスで早く寝たのだ。
タバコを吸うなら、こんな時は凄くおいしいはずだ。
経験はなくても分かったような気になる、そんな感覚。
自分が吐いたタバコの煙がもくもくと上っていき、千切れ雲を作る。
流れる雲を見て一通り楽しんだ後、こなたは電話を手に取った。
「あ、かがみんおはよー。いや、何だか朝早く起きたらテンション上がっちゃってね」
「あんたが8時に起きてるとはめずらしいわね。それで何の用なの?」
「特にないんだけどさ・・」
「え?」
「いや、だから特にないんだけどね」
「なによそれ、ただ電話しただけなの?」
「いやぁ、何か嬉しくなっちゃってさ。分からないかなぁ」
「まぁなんとなく分かるけど」
「それじゃあね、かがみん」
「あ・・」


日曜日、休みの日。なんとなく何かが起こりそうな気持ち。少しだけ特別な日。
相変わらずマイペースなやつだ、と思いながら柊かがみはトーストをかじる。
いつも自分の言いたいことを言ってきて、こっちがついて行けるかなんてお構いなしだ。
その代わりこなたは嘘をつかないし、おかげで自然と本当の気持ちを伝えられる。
その度からかわれたりもするのだが、そういったことも含めてかがみはこなたのことを嫌いではなかった。
そして朝からその親友の楽しげな声を聞いたせいだろう。
かがみは学校での楽しいやりとりを思い出し、なんとなく走りだしたいような嬉しい気持になった。
朝食を終え、かがみの中でその気持ちはもっと大きなものへと変わり
「よし」
と一言つぶやき妹のへ部屋向かった。
「ほらつかさ!!いつまでも寝てないで起きなさいよ」
「だめだよう・・それポン酢だよう」
「なに寝ぼけてるの」
「そうだよ、そっちだよ。バルサm」
「ほら、起きて」
「でもそんなの関係ねえ」


日曜日、遅くまで寝ててもいい日。大好きな日。
そんな日に朝から起こされた柊つかさの頭は働いておらず、寝ぼけ眼で姉の顔を見上げた。
「あれお姉ちゃん、今日は学校?」
時計を見るともう教室にいる時間だ。日曜日が逃げたわけではない、安心して布団に潜る。
「あぁもう、起きてって言ってるでしょ。つかさ!!」
「うぅ、まだ眠いよう」
「いいから起きて起きて」
「・・なんでエプロン?」
「まぁまぁ、とりあえず朝ごはん食べちゃいな」
かがみは機嫌よさそうにしている。何かあったのかな?誰かの誕生日かな?
あれこれ考えているうちにかがみに台所まで連れて行かれた。
朝食も変わったところはない。隣ではかがみが何やら包丁とにらめっこしている。
「どうしたの?おねえちゃん」
「ちょっとお弁当作ってるのよ、つかさも食べたら手伝ってね」
「うん、一緒に作るよ。でも、どうして?」
「久しぶりに公園でも行かない?そこでお弁当食べようかなって」
「ピクニックなんて久しぶりだねぇ、最後に行ったのって小学生の時だよね。
でもなんで行かなくなちゃったんだろう?私ピクニック好きだったのに」
「あんた覚えてないの?」
「ん?」
「最後にみんなでピクニック行った日ね。あの時お弁当食べてたらつかさが急に歯が痛いって泣き出して。」
「そうだっけ?」
「そうよ。お父さんたち焦って歯医者さん探しててさ。小さかったからよく覚えてないけど、すごい大変そうだったわよ」
「う~ん、なんとなく覚えているような」
「それからあんたは『ピクニック行くと歯が抜けるから嫌!!』ってぐずっちゃって。
それで行かなくなったんじゃないの。まぁお姉ちゃん達も大きくなったりして色々あるんだろうけど」
話しているうちにだんだん記憶が蘇ってくる。つかさは少し照れながらトマトを飲み込んだ。
「お姉ちゃん、せっかくだからみんなも誘おうよ」
「そうね。こなたも起きてるみたいだしちょっと電話してくるかな・・」
かがみはエプロンを脱ぎこなたの家の番号を押す。
「あ、もしもし。私柊かがみです。こなたさんいますか?」


トマトがつかさにつつかれている頃、こなたの父泉そうじろうは娘に淹れてもらったコーヒーを堪能していた。
エプロンの丈よりも長く伸びた髪、体は小さいがテキパキと動く姿は母親そっくりで。
そうじろうは何となく娘の名前を呼ぶ。
「おうい、こなたぁ」
「なあに、お父さん?」
「いやあ、朝からエプロン姿のこなたを見てたらちょっと嬉しくてさ」
「萌えた?」
「いや、うん・・。」
「?」
「萌えたよ、エプロン萌えだな」
「はいはい。頼むから外ではそんなこと言わないでよね」
「自分でふっといてそれはないだろ」
「フフッ」
ちょっとした切なさとギャルゲ的には勝ち組である自分への満足感。幸せのかたちは人それぞれだ。
「こなたはさっきから何作ってるんだ?」
「ん?お弁当だよ。ちょっと気合い入れて作ってるんだ。大切な人と一緒に食べようと思ってさぁ」
「まさか男じゃないだろうな?お父さんは許さんぞ」
こなたはニヤついている。明らかに父親をからかっている顔だ。
「なにいいい、どこのどいつだ!!うちのこなたに手を出す馬鹿やろうは!!」
「かがみとつかさだよ」
「何いぃいい、2人もいるのかあああ」
「だから、かがみとつかさだってば」
2分後、ようやく落ち着いたそうじろうは冷めかけのコーヒーを飲み干し
自分好みの女の子に成長したこなたを感慨深く見つめた。
うん、大丈夫だ。母親がいなくてもこの子は真直ぐに育っている。
優しい空気が流れるキッチンに電話の音が響いた。
「こなたぁ、かがみちゃんから電話だぞー」



日曜日、気持ちいいくらいに晴れた日。空には青が広がる、そんな日。



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  • やはりかがみとこなたは、
    一心同体ですね。(笑) -- チャムチロ (2012-09-03 01:25:40)
  • 何も話していないのに双方お弁当をつくるとはなんという以心伝心。
    ピクニックの様子は各自ご想像ですか。 -- 名有りさん (2009-09-23 16:54:18)
  • でもやっぱり、心の何処かでみゆきさんがいないのがなんか…なんか… -- 名無しさん (2009-09-23 11:38:33)
  • この話はなんだか大好きで何度も読み返してしまう -- 名無しさん (2008-09-30 08:50:10)
  • でもそんなの関係ねえ -- 名無しさん (2008-05-12 10:16:20)
  • こなた達は何でもないようで愛しい日々を過ごしているんですね -- 名無しさん (2008-05-11 07:12:38)
  • ほのぼのした。
    こうゆうのが、平和って感じだな。 -- 名無しさん (2008-05-09 23:45:57)
  • ウレ、キ、イ、ハトォ、ホサマ、゙、熙ャナチ、?テ、ニ、ュ、゙、キ、ソ
    、ス、ヲ、ク、?ヲ、マケャ、サ、筅ホ、ヌ、ケ、ヘ -- 名無しさん (2008-05-08 21:04:00)

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