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奇跡のかけらの指輪を探してる

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奇跡のかけらの指輪を探してる」 から 次の単語がハイライトされています :


泉こなたは愛というものが分らなかった
愛情は長い時間をかけて自然と感じるようなもので
目に見えるものではないので、「分かる」という言葉は適当ではないかもしれない

父親は目一杯の愛情を注いできたし
こなたも父親のことは大好きだった
それでもこなたにとって「愛」というものは未知数だった
分からないと不安なので、口に出してみるのだが
それで余計に分からなくなって不安になるのだった
――――――――『奇跡のかけらの指輪を探してる』―――――――-

「こなちゃん何してるの?」
「あぁこれ?これはコンプの懸賞だよ~。今回はかなり気合入ってるからね」
「だからこんなにたくさん同じハガキがあるんだね?」
「ふふふ、ひとえに・・・愛だよ!」
「そ、そうなんだ」
夏休みもあと少しなのに補講があるのはめんどくさい。
まぁこうやって友達に会えるのはちょっと楽しみだったりするだけど。
「あんたはまた、毎回すごいわねぇ・・・」
「か、かがみんいつの間に?」
「ホントにあんたの情熱には感心するわ」
かがみがあきれ顔で聞いてくる。
大分オタクっぽくなってきとはいえまだ理解されない領域なのかな?
「私の愛情は常に全力で同じ方向に向けられているのだよ」
ちらっとかがみの方へ目を向ける。
「その前に現実に目を向けなさいよ」
つれないなぁ、かがみん。ん、―――現実?
「あんたこの前計画的にやるとか言ってたけど、大丈夫なんでしょうね?」
何のことだろう?みんなで遊びに行く計画のことかな? 勉強のせいで遊んでくれないので
「みんなで集まれたらどこへ行こうか」
なんてことを考えたこともあったけどかがみには言ってないし。
「あの、かがみ?なんのことかさっぱり分らないんだけど」
「こなた、本当に言ってんのか?宿題のことよ。しゅ、く、だ、い」
「宿題・・・だと・・・!?」
「死神代行か!!もう。」
「いやぁ、ネトゲに夢中になってたらすっかり忘れててね。手もつけてない」 
ホントはもうひとつ理由があるんだけどね。それは言えない。
「終わってないとは思ってたけどさ。いつも助ける方の身にもなりなさいよ」
「あ、あの。お姉ちゃん」
「どうしたの、つかさ?」
つかさの瞳が、心なしか潤んでいるような。
「私も、まだ宿題やってないの・・・」

「全く!こなたはともかく、つかさは一緒に宿題やってたじゃないの」
「最初は難しい所を飛ばしてやれる所だけやってたんだけどね」
「空欄ばっかりで気づいたら全然終わってなかった、てことね」
「うん。数学なんて2ページくらいしか終わって無くて」
「つかさはドジだなぁ、私なんて最初から分んないからノート開いてすらないよ」
「こなたはもっとダメでしょ!!」
「あぅ」
「あぅ」
ふたりして落ち込んでいるのを見かねてか、最初からのそのつもりだったのか
かがみが救いの手を差し伸べた。私たちは、すぐさまそれに飛びついた。
「でもやっぱかがみんは優しいねぇ。なんだかんだ言ってこうやって宿題見せてくれるんだからさぁ」
「た、ただあんた達ふたりが留年しかけたらもっと困るだけよ。
特にこなた、お前はホントに留年しかねん。こうやって見ててあげないとどーせやらないだろうし」
「さすがツンデレ。無意識ながらもお手本のような答えのかがみ萌え」
「な、なによ。そんなこと言ってると全部自力でやることになるわよ」
「か、かがみ様それだけはご勘弁を」
「じゃあふざけてないで始めなさいよ。もう」
かがみの優しさは、すごく心地がいい。気兼ねなく甘えることを許してくれる。
そこには見返りを求めるようないやらしさも、だらしない自分への憐れみもない。
友達としての優しさだけがある。心の中で感謝を告げて、真っ白なノートへ向かった。

「かがみー、つかさー。紅茶入ったわよー」
「あ、お母さんだ。私手伝ってこようかな?」
「あんたはいいって。勉強してな?私が行ってくるからさ。あぁ、こなた。」
「ん?な~にかがみん」
「紅茶レモンとミルクどっちにする?」
「ミルクで。勉強の時にはミルクティーという恐ろしい掟があるのだよ」
私の怪奇的な発言を華麗にスルーして、かがみはみきおばさんを手伝いに部屋を出た。
みきおばさんは四人も子供を産んだとは思えないほど若々しくてスタイルもいい。
かがみは将来あんな素敵な大人になるのかと考えると、羨ましいと思う反面
そんなかがみをからかうのもいいなぁ、とニヤニヤしてしまう。
「ふふふ・・・」
「こ、こなちゃん?」
あ、つかさがいたんだった。
さすがに勉強中に妄想してニヤけてました、とは言えない。
「そ、そう言えばさ。つかさはみきおばさんによく抱っこされてたんだよね」
「前そんな話したねぇ。私ぎゅうってしてもらうの大好きだったなぁ。」
「つかさは甘えんぼさんっぽいもんね。かがみと比べると大違いだ」
「えへへ。お母さんってキレイだし優しいし、私だーいすき」
「そっか。つかさは愛されて育ったんだねぇ」
「こなちゃんのお父さんもすっごく優しそうだったよ」
「そうだね。お父さんは未だにぎゅうってしてくるからね」
「それはそれで・・・凄いね」
何とかニヤけ顔はごまかせたみたいだ。でも抱っこされるってどんな感じだろう。
お父さんには<抱っこさせてあげてる>って感じだから今一ピンとこない。
私もつかさみたいにお母さんに抱っこしてもらうのが好きだったのかな?
三人で写ってる写真で、私は確かに抱っこされてる。その中で私は微笑んでいた。
今となってはその時の気持は分らない。ねえ昔の私、ちょっとでいいから教えてよ。
冷房が強すぎる気がする。

「うわっ、もうこんな時間じゃない」
「集中するとけっこう時が経つのって早いよね。つかさ?」
「ん、こなちゃん・・・あじゃぱー?」
「あんたはもう眠かったみたいね、つかさ」
「う、そうみたい」
「じゃあお風呂にしますか」
「・・・・・・ね、ふたりとも知ってる?夜中お風呂に入ってて寒気を感じたら、
それは幽霊がそばを通ったってことなんだって。水のある場所は幽霊の通り道らしいよ」
「ちょっと今からお風呂入るって時にそんなこと言わないでよ」
「まぁ、本当かどうかは知らないけどね」
「――――あのさ、お風呂はみんなで入るんだよね?」
「さすがに三人は狭くないか?いつも一人で使ってるし」
「どったの、つかさ?私の話聞いて怖くなったの?」
「だってオバケなんて、Qちゃんでも怖いのに」
しまった、この子はこういうの苦手だったんだ。
でも怖い話ってなぜか人に言いたくなるんだよね、困ったことに。
寒くもないのにつかさは毛布をかぶりはじめた。
「もうこなた、あんた先にお風呂入ってて。私はつかさが落ち着いてから二人で入るわ」
「ういー」

「あ、みきおばさん。お湯あじゅじゅしたー」
「いえいえ、かがみ達は?」
「私と入れ替わりでお風呂に入ってます」
「そう、こなたちゃん何か飲む?」
「はい、ありがとうございます」
前から挨拶くらいはしてたけどちゃんと話すのは初めてだ。
かがみの雰囲気をもっと丸くして、指通よくした感じ。春みたいな匂いがする。
ツンとした瞳がみきさんの柔らかさを引き立たせていて、見つめられるとなんだか心の糸が解けてしまいそうだった。
「つかさが、言ってました」
「ん?」
「みきさんのこと、優しくて大好きだって」
「あら、うれしいわね」
「ぎゅってされるのが大好きだったって」
「うふふ、あの子らしいわね」
「みきさんも、かがみやつかさのこと大好きですか?」
「もちろんよ。みんな大切で、いい子だもの。こなたちゃんみたいな友達もいるしね」
「そんな。私は助けてもらってばかりだし」
「こなたちゃんのお母さんもこなたちゃんのこと大事にしてくれてるでしょ?」
「私、お母さんいないから」
「おばさん変なこと聞いちゃって。ごめんなさい」
「いや、私は気にしてないんでいいです。でも・・・」
「でも?」
「お母さんにぎゅってされた記憶がないのは少し残念。かがみやつかさが羨ましいなぁ」
「そうなの。―――こなたちゃん、目をつむってお母さんの姿を思い浮かべてみて」
「え、なんで?急にそんなこと」
「いいから、ね?」
「はい。」
みきさんの瞳には私を素直にさせる何かがあるみたいで。

ぎゅっ

「あ・・・」
「お母さんもこうやってこなたちゃんを抱きしめてくれたんだと思うよ
こどもを想う母親の気持ちはみんな同じじゃないかな?」
涙が、勝手に流れてきた。これは何?なんで泣いてるの、ねぇお母さん?
みきさんは胸元でなにかをささやいている。
聞き取れないけど、みきさんもそれを分かってるみたいだ。
「おばさん、余計なことしちゃったかしら?」
「いや、おばさん―――じゃなくてみきさん。嬉しかった」
「あら、こなたちゃん。泣いてるじゃない、大丈夫?」
「いや、これはその自分でもなんで出てきたか分からなくてですね
みきさんのせいじゃないと思います。多分」
「きっとそうね。いつかその涙のわけが分かる時が来るわ」
「あの、みきさん。ありがとうございました」
「私も久しぶりに抱っこできて嬉しかったわよ。
もうすぐかがみたちが出てくるんじゃないかしら?私も部屋に戻るわね」
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」

「あれ、さっきからこなたなんか機嫌良いじゃない。どうしたのよ?」
「そうだね、鼻歌なんか歌って」
「まぁ簡単に説明すると
ひとえに・・・愛だよ!!」


つづきます)




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  • かなたさんから受け継いだものはひとえに愛ですね
    こなたが可愛かったです -- 名無しさん (2008-08-25 10:21:16)
  • みきさん優しいね★ -- 幹さん (2008-03-29 19:14:47)

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