手野沖縄本島鉄道株式会社
手野沖縄本島鉄道は、沖縄本島に線路を有する貨客混線の鉄道会社である。
もともとは、米軍の輸送のための、貨物専業路線であったが、現在は客扱いも行っている。
現在は
手野鉄道の子会社である。
目次
概要
戦前、1920年に名護町(現名護市)から美里村(現沖縄市)を経由して那覇市へと到達する貨物専業、後に客取扱も行う鉄道があった。
手野統括が100%出資して設立された沖縄縦断鉄道である。
なお、本線以外に港へとつながる港湾線というのがあった。
沖縄縦断鉄道は、1944年から45年にかけ、客車、貨車全てを滅失したとされた。
客車は戦前の記録に残っている分で、最大119両、貨車は最大91両あった。
なお、後に壕の一つに客車2編成3両と4両、有蓋貨車1編成5両が発見された。
1945年の終戦後、米軍が沖縄に進駐してきた際、そのための輸送路を開拓する必要があった。
そこでテック・カバナー財閥へ、その輸送能力を役立てるようにという要請があった。
このためテック・カバナーは保有しているアメリカコンチネント鉄道から役員1名、社員6名を派遣し、鉄道貨物の可能性の可否を判断することとなった。
この派遣はカバナー鉄道派遣団と称され、派遣団の報告書により、沖縄縦断鉄道の残りが使えるのではないかという提案がなされた。
沖縄戦後、収容所に収容されていた沖縄縦断鉄道の職員を、一時アメリカコンチネント鉄道社員として雇用し、その後設立される特別会社沖縄縦断鉄道株式会社に出向させた。
1946年2月3日、琉球列島米国軍政府へ報告書を提出し、同時にあらかじめ申請していた鉄道敷設の承認を取り付けた。
ただし、米国軍政府が発行される株式の51%を取得すること、会社役員の1人を米国軍政府の役人とすること、運営についてはアメリカコンチネント鉄道が全権を握ること、さらにできるだけ現地人を雇用することが条件として付けられた。
これらすべてを承諾して、軍政府からの特別法により設置された沖縄縦断鉄道は、貨物専業鉄道として設立された。
3月下旬から最初の車両、レール、枕木などがアメリカ本土から輸入され、6月から沖縄縦断鉄道臨時線と称して運行が開始された。
なお、単線のみで有蓋貨車10両2編成、無蓋貨車15両3編成の輸入である。
臨時線は、米軍輸送ということもあり、那覇港から普天間基地間の輸送であった。
後に路線は延長され、普天間経由嘉手納、さらには普天間から分岐して辺野古、キャンプコートニーへと接続されるようになった。
1951年1月1日、米兵の輸送のため貨物専業から貨客混載輸送を実施するように業務形態が変更された。
また、この際、テック・カバナー財閥のみの経営ではなく、手野グループを参画するように琉球列島米国民政府へ要請し、受け入れられた。
これは本土復帰を見据え、本土になじむようにしたという説があるが、詳細は不明である。
この結果、米国軍政府が保有する以外の株式は、手野鉄道が20%、残り29%をアメリカコンチネント鉄道がそれぞれ保有することとなった。
1952年、非軍人も乗車することができるようになる。
ただし、軍属、軍人が最優先であり、他の者は米国籍人が優先され、現地人はその次の優先度とされた。
また、運賃にも差異があり、米国軍人は2割、軍属は5割、それ以外は正規料金とされた。
また那覇港から普天間間の路線が廃止され、代わりに天願桟橋との路線が開設された。
1957年製造分をもって、米国からの輸入車両計画は完了した。
今後の製造については沖縄領域内のほか、本土から輸入する形となっている。
米国製造分は客車410両、貨物車298両となっており、2015年をもって各1編成4両ずつ以外はすべて引退した。
1972年に沖縄が日本に返還されるにあたり、1970年から順次日本式に変更となった。
また、特別会社から一般の株式会社へと組織変換が1972年に行われ、アメリカコンチネント鉄道は株式の保有割合を10%とした。
米国軍政府から手野鉄道へと一部の株式が譲渡され、手野鉄道の保有割合が30%とされ、残りは沖縄県が持つこととなった。
以後、手野グループ傘下としてみなされるようになり、1980年には現在の株式割合となった。
現在の株式割合は、沖縄県が50%、手野鉄道が40%、アメリカコンチネント鉄道が10%である。
路線
手野沖縄本島鉄道の路線は、本線1路線と支線3路線で構成される。
- 本線
- 名護市―沖縄市―那覇市―糸満市
- 国頭支線
- 名護市―国頭村
- 本部支線
- 名護市―本部町
- 南城支線
- 那覇市―南城市―糸満市
- 具志川支線
- 沖縄市―うるま市
本線のうち、名護市から那覇市までの間、具志川支線は複線、他は単線である。
なお、全路線電化されている。
具志川支線のみ、全線米軍専用線とされる。
車種
車種としては、以下のものがある。
- 特急
- 本線、国頭支線
- 急行
- 本線、国頭支線、南城支線
- 普通
- 全線
- 貨物
- 全線
- 特務
- 米軍用
なお、特急は専用車両あるいは通常車両を特急用としている場合の2つがある。
貨物は、林業、サトウキビ、その他を輸送している。
特務車種として米軍用列車がある。
特務扱いの車両は、唯一米軍基地内にある鉄道駅に発着することができる。
貨客混載となっており、防爆しようとなっているのが特徴である。
また見張り兵が置かれており、一目で米軍用の車両ということが分かるようになっている。
例外として基地祭の際は急行または普通が停車することがある。
米軍基地を間近に通ることもあり、特別添乗員と称して米軍兵あるいは手野武装警備員がランダムに乗り込むことになっている。
特に米軍が一定以上の警戒レベルに達すると、常に添乗することになっている。
駅種別
駅種別としては、以下のような駅がある。
- 直轄駅
- 本社が直轄している駅
- 県庁所在地にある駅、終点駅
- 駅長駅
- 大部分の駅が該当する駅
- 本社あるいは支社が管轄する駅
- 管理駅
- いわゆる無人駅
- 但し、近所の者や退職者に委託し、管理を行ってもらうことがある
- 支社が管轄する駅
- 米軍管理駅
- 米軍基地内あるいは隣接部にある駅
- 常にアメリカ陸軍工兵隊が監理する
- 交換駅
- 単線区間内において上下線を交換するための駅
- 単線区間内のみ存在
本支社
手野沖縄本島鉄道は、那覇市に本社がある。
また、支社として名護市、大阪府手野市、営業所としてアメリカ合衆国マサチューセッツ州プリマス郡カバナー市にある。
社史
最終更新:2020年06月11日 23:42