イギリス史研究史料・文献収集法

一次史料収集法

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一次史料(primary sources)

(1) 刊行史料(printed):本

  • 国務文書・議会文書等は19世紀後半くらいから史料編纂と刊行が行われているため日本の大学図書館で所蔵しているものも多い.それらについては「二次文献収集法 (1) 本 借りる場合」と同様.
  • オンライン検索で刊行史料を見つけたい場合はRHS Bibliographyが便利である.また,Clarendon Pressから出版されているBibliography of British Historyは,情報が最新ではないものの,刊行されている史料の一覧として有益である.
  • 19世紀から刊行の続くHistorical Manuscripts CommissionのReportsは量が膨大だが,索引(一部)として利用できるA.C.S. Hall (ed.),Guide to the Reports of the Royal Commission on Historical Manuscripts, 1911-1957, 4 vols (London: HMSO, 1966-73)がある.
  • IHRのサイトBritish History Onlineでは,Journals of the House of CommonsJournals of the House of LordsVictoria County Historyなど(いずれも一部)をオンラインで公開している.

(2) 刊行史料:パンフレット・定期刊行物等

  • 19世紀まで:BLでEnglish Short Title Catalogue[ESTC]のデータを検索できる.各図書館・文書館の所在を確認できたらコピーが可能かどうかを問い合わせて,可能なら利用する.マイクロではEarly English Books (STCI 1475-1640, STCII 1641-1700),The Eighteenth Century (1701-1800),Goldsmiths'-Kress Library (1460s-1850)が日本の複数の大学で利用可能.
  • 19世紀以降:19世紀以降の出版物であればBLのIntegrated Catalogueで検索可能.Goldsmiths'-Kress Libraryは1850年までなら利用できる.またBLのカタログThe Nineteenth Centuryではマイクロ化されている史料を調べることができるので,調べた後は番号を特定してコピーを注文することができる.
  • Internet Library of Early Journalsでは,Gentleman's MagazineThe Annual RegisterPhilosophical Transactions of the Royal SocietyNotes and QueriesThe BuilderBlackwood's Edinburgh Magazineなどの18-19世紀の定期刊行物の一部を閲覧できる.
  • 新聞:BLのNewspaper Catalogueを利用して調べる.所蔵が確認できたらコピーサービスを頼むことができる.マイクロではEarly British Periodicals (1681-1921)が日本の複数の大学で利用可能.新聞各紙のタイトルで検索できる場合もあるので,かならずNACSIS Webcatもあたってみること.

(3) 刊行史料:日本の大学図書館の所蔵(有料データベースは除く)

  • 日本の主要大学図書館はマイクロ等の大型コレクションを所蔵しているところが多く,修士論文レベルなら十分すぎるほどの史料が日本で手に入る(参考までに,日本の国立大学で1978-2001年に購入した大型コレクション一覧はこちら).ただし,史料の書誌データは必ずしもNACSISおよび各大学のOPACで検索可能とは限らないので,オンラインで検索できない場合は各コレクションのカタログあるいはCD-ROM等で調べる必要がある.いずれも各大学図書館に問い合わせてみること.
  • 早稲田大学はマイクロ等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索WINEでは,マイクロコレクションSTCISTCIIThe Eighteenth CenturyGoldsmiths'-Kress Libraryのデータを検索できるので,マイクロでの所蔵が確認できたら学外利用者も閲覧・複写が可能である.
  • 東京大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索ではマイクロ史料のデータを一部検索可能.また部局図書館によって所蔵の確認・利用方法等が異なるので注意が必要である.
  • 京都大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら.法学部(国際法政文献資料センター)はこちら.経済学部はこちら.地域研究統合情報センターのBritish Parliamentary Papersはこちら).蔵書検索KULINEでマイクロ史料のデータの一部が検索できる模様.
  • 一橋大学は,社会科学古典資料センターを中心にマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索HERMESでは同センターのマイクロ史料のデータの一部が検索可能.
  • 慶應義塾大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索KOSMOSではマイクロ史料のデータが検索できない模様.
  • 大阪大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索でマイクロ史料のデータが検索できるかは不明.
  • 東北大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索ではマイクロ史料のデータが検索できない模様,
  • 名古屋大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索ではマイクロ史料のデータが検索できない模様.
  • 北海道大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索ではマイクロ史料のデータが検索できない模様.
  • 桃山学院大学はマイクロ史料等の大型コレクションを豊富に所蔵している(こちら).蔵書検索ではマイクロ史料のデータが検索できない模様.

(4) 手稿史料(manuscripts)

  • 史料が特定できる場合:二次文献に引用されている等で史料が所在・番号ともに特定できる場合は,所蔵図書館にコンタクトをとってコピーサービスを頼んでみる.The National Archives(旧Public Record Office)の手稿史料はマイクロ化されている物が多く,ウェブサイトでその索引(index)を調べることができる.二次文献の注やウェブサイトで史料番号を特定できれば,ウェブサイトから直接コピーを頼むことができる.すでにマイクロ化された史料なら注文から1ヶ月以内に到着する.British Libraryにも手稿史料のオンラインカタログがある(ウェブサイトから直接コピーの注文はできない模様).
  • 史料が特定できない場合:史料が特定できなくても,ある個人・団体についての史料を調べたければNational Register of Archivesで検索してみる.所在が判明したら,後は所蔵図書館にコンタクトをとってコピーを頼んでみる.ODNB onlineが使える場合は直接NRAにリンクが貼ってあるので便利.
  • その他史料・文書館情報で便利なのは,各文書館の基本情報を載せているARCHON Directory,地方文書館のデータをまとめたA2A,各大学図書館の史料データをまとめたArchives Hubなど.
  • 手稿史料は,史料の種類(各種の名簿等)と所蔵図書館によってはタイプ化して冊子になっている場合もあるので,とりあえずコンタクトをとって聞いてみること.

参考文献

  1. 近藤和彦「18世紀マンチェスタ社会史――関係史料をどう探すか――」『史学雑誌』91-2(1982),34-52
  2. 近藤和彦「NRA,ESTCの刊行物と18世紀関連書誌目録」『イギリス史研究』34(1983),35-38
  3. 竹島武郎『イギリス政府・議会文書の調べ方』(丸善,1989)
  4. 高田実『イギリス議会文書の基本的性格と利用方法』(国立民族学博物館地域研究企画交流センター,1999)
  5. ジェンキンズ,A.P.(後藤はる美訳)「イギリスの文書史料探索法」『史学雑誌』110-2(2001),90-107
  6. 坂下史「イギリスの文書館事情――二つの地方文書館を中心に――」『現代史研究』50(2004)97-104


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