になし藩国日常SS バレンタイン編?


セレナちゃん観察日記


0902 朝礼
いつも喋るのはセレナちゃんで、藩王は大体ちよこさまと遊んでる。
藩王の今日の衣装はカーディガンとブラウスにフレアスカートと勿論エプロン。白と赤のイ○オ○カラー。
衣装係がノリノリでセットしたと思われるシニョンがいつものツインテールの代わりに後頭部にくっついてる。
「今日から愛鳴の人達が復興支援ってことで来てるんで、変なところ見せないように。それじゃ解散」
話が長い、というか常に喋り続けているようなセレナちゃんにしては朝礼はいつも短い。
三々五々散っていく人達を尻目に行動開始。

0905 見回り開始
さぼってる人を見つけるための見回りらしいけど、一番さぼってるのはセレナちゃんやと思う。
チョコとか食べてるし。

0924 芒さんから書類渡される
藩王宛らしいファイルをどっさり渡されとった。
主に戦災復興に関する予算とか方針案とかみたい。
……うち、働かなくてええんかなぁ。

0931 藩王に書類渡す
「じゃ、藩王さま。これにサインと判子お願いね」
「……またか。定期的に来る『藩国内で猫を飼ってもいいように法案改正嘆願書』とかのどうでもいい書類ではあるまいな」
「や、知らない。中身見てないし」
「余が猫を飼えばそんな下らない書類に目を通す必要は──いやしかし、余にはちよこが」

0933 見回り再開
自問自答を繰り返す藩王を放置して見回り再開。
今度は中庭の方に行くらしいので、ばれないように二階の渡り廊下から監視続行。
あ、またチョコ食べとる。
「こんちゃー。何してるんですかそんな所に隠れて」
若月さん静かに。ばれたら怒られます。もとい折られます。
実はかくかくしかじかで。
「ははぁ。セレナちゃん観察日記ですか」
でもイベントが起きなくてつまらんのです。チョコ食べてばっかりやし。
「まぁバレンタインではセレナちゃん大人気でしたからねぇ」
うちもチョコあげましたしね。
「ほほう。そうだったんですか」
ええ。嫌がらせになるかと思ったら普通に喜ばれてなんやこっちが微妙な気分になりました。
天然って怖い。
「ははは。まぁそれに関してはノーコメントで。それよりも、イベントが起きなければ起こせばいいのです。丁度ここにゴムボールがあります」
……すごくいやなよかんがします。

結果。
ゴムボールをセレナちゃんに向かって投げつけた若月さんは掌でボールを打ち返されて鼻血ぶーで医務室へ行きました。
ありがとう若月さん。若月さんありがとう。あなたの勇姿は忘れません。

1044 ごみ放置作戦
若月さんの方向性は間違ってなかったと思うのでイベントをこっちから起こす方向で。
とりあえずセレナちゃんの進路を予想し、仕込みに1時間かけて廊下に空き缶とか紙くずを放置しておいた。
1つ目。空き缶。普通に拾った。
2つ目。ミスコピーした書類。普通に拾った。意外と良識派。
しかしこの先にはまだ106のごみが──あ、なんか携帯電話取り出した。
「もしもし、月空くん?王宮の廊下にごみ一杯落ちてるから全部拾っといて」
……月空さんごめんなさい。

1106 愛鳴の人達に挨拶
やっと摂政らしい仕事。I=Dで瓦礫の除去作業してる愛鳴の人達に国を代表して挨拶。
と思ったらお喋りしてるだけやった。
しかも邪魔だからあっちいってみたいな事物凄く遠まわしに言われて追い返されとる。
セレナちゃんこころもちしょんぼり。

1200 お昼ごはん
王宮の食堂でお昼。
なんか大量の女の子に囲まれてちょう困っとる感じ。
成人男子の推定2.4倍分を成人女子の推定1.7倍速で完食。

ちなみに藩王は大量の人間(老若男女問わず)に囲まれるので食堂へは滅多に来ない。

1314 飛行場に移動
FVBの戦術(I=Dの盾の後ろに歩兵くっついて0m戦闘)がうちでも出来ないか試しに来たらしい。
セレナちゃん曰く
「…………なんか光しかない世界でおばあちゃんが手振ってた」
普通の人はやる前に無理って解りそうなもんやけどそれでもやってみるのはセレナちゃんらしいというか。
I=Dパイロットやってもらった琴美さんも呆れとる。
この後1時間近くパイロット衆とお喋りに花を咲かせる。

1429 道場に移動
騎士同士で模擬戦。着くなりイタさんに1戦ふっかける。
「おーっほっほっほ!手も足もでないのかしら!?」
「むむっ、あの技は巣婦辣首布亜安屠!!」
「何っ、知っているのか玲瓏堂!」
「ふっふーんだ。すぐ倒しちゃったら運動にならないから付き合ってあげてるだけだもーん」
それにしてもこの騎士達、ノリノリである。
模擬戦って言っても熊同士がじゃれてるようなもんで事務方からしたら恐ろしい事この上ない。
あ、壁へこんだ。模擬刀折れた。折れた模擬刀で戦ってる……。
あかん。別世界や。

1611 王宮に戻る
模擬戦で汗かいてシャワー浴びてさっぱりしたところでチョコぱくつきながら王宮に戻る。
エントランスで待ち構えてたらしい芒さんに捕まった。
「……はぁ。愛鳴の人達に使ってもらう宿泊施設ですけど。どうしましょう」
多分セレナちゃんの事ずっと探し回ってたんやろなー。基本的に自分で使うとき以外携帯の電源切ってるし。
それでも小言を言わない…というかどうせ言っても聞いてもらえないから溜息が漏れるんやろなー。
「王宮使ってもらえば?部屋一杯あるでしょ」
そしてセレナちゃんはそんな苦労知った事か的お気楽口調ですよ。
「でも、ホテルとか旅館から誘致がやまほど来てるんですが。是非うちを使って欲しいって」
「そっちは家なくなっちゃった人を回して。どうせお金は天領から来てるしね。子供と年寄のいる家族から重点的に」
おお、今日初めて摂政っぽい事しとる。ちょう感動。

「九重?そなた、何をしておる」
げぇっ、藩王。いやこれはほら内偵調査ですよ。
「なになに?セレナちゃん観察日記……。九重、そなたのやっている事は一般的にはストーカーと言うのだぞ」
言い訳通じとらんし。いや、なんかうちも途中からそんな気はしてました……。
ところで藩王お仕事は?
「……ここで会った事は秘密である。よいな?」
おおせのままに。

1618 お茶
ココアにチョコレートとか世の女性が見たら呪い殺されそうな組み合わせやった。
まぁ一日6時間ウォーキングとかしてたらどれだけ食べても太らんよなぁ…。

1700 終業
終業のチャイムに合わせて大きく伸びをする。
「うーーーんっ、今日はよく働いたーっ」
え、あれで?最後30分以上ずっとお茶飲んでたやん。


なんだか毎日行動を見守るのが末恐ろしくなってきたのでこの日記は封印します



おまけ


「ああ、千景ちゃん。チョコおいしかったよー。アレ毎日作ってくれない?」
「────」
「む?フリーズしてる?おーい」
「セレナちゃん、九重さん、今日もおつかれー……って、九重さんどうしたのー?」
「ああ、瑠璃ちゃんおつかれー。なんかチョコ毎日作ってーって言ったら固まっちゃった」
「……いーい?セレナちゃん。男の人に軽々しくそういう事言ったらめーなのよー?」
「なんで?」
「じゃあ説明してあげるから一緒に晩ご飯食べにいこっかー」
「むー、子供扱いしないでよー!あたしせっしょーだよ!!」
「はいはいそうねー摂政ねー」

/完/



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最終更新:2007年05月11日 11:56