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M-Tea*7_15-地球物理学(一)寺田寅彦

2014.11.1 第七巻 第一五号

地球物理学(一)寺田寅彦
 緒言
 緒論
  第一章 地球物理学の範囲と本書の内容
  第二章 地球物理学の沿革
 第一編 地球の形状と大きさ
  第三章 地球円形説
  第四章 地球の楕円説

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税込価格:100円(本体税抜93円) p.221 / *99 出版
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(c) Copyright this work is public domain, 2014.
※ 表紙画像は、Wikipedia「地球」の「NASA Blue Marble of Eastern Hemisphere」(public domain)。

三浦しをんで、はちあわせ*

 粗より精に入るは一般に知識発達の順序である。世俗に丸い球といえば、だいたいに球形に近いというまでのことで、それが精密に幾何学的の球であるという意味ではない。十七世紀の末ごろまではただ伝統的に地球の完全球形説で満足されていたが、時代の進歩につれてそれでは満足できなくなった。従来はただアリストテレス以来の説を墨守して地球は球形であるべきものと考え、その象限〔子午線の四分の一円周〕や半径の大きさを定めるに腐心していたのである。しかるに十七世紀の末葉にいたっては球形説が疑われるようになってきた。その動機はつぎのようなことからである。
 一六七二年にリシエー(Richer)という天文学者が南米仏領ギアナのカエンヌ(Cayenne、北緯五度付近)に出張したとき、仏国から持ってきた下げ振り時計〔振り子時計〕を試験してみると、パリではちょうど合っていたのが一日に二分半ずつ遅れるようになっていることを発見した。それで振り子を短くしてはじめて正しい時を示すようになった。この時計をふたたびパリに持ち帰ってみると、また旧の長さにしなければならなかった。当時あたかもニュートン(Newton)、ハイゲンス(Huygens)の重力に関する研究が世に出で、これによってみても地球は扁平な楕円体で、中心より両極にいたる半径よりは中心より赤道に引いた半径のほうが長いと考えねばならなかった。もとより、赤道に近づくほど地球の回転より起こる遠心力が大きいから、地球が完全な球形であっても赤道における重力は高緯度の地よりも小さいはずであるが、それだけではリシエーの得た結果を説明することができなかった。どうしても赤道地方は高緯度の地に比して地心に遠いと考えなければならなかった。またこれと同時代に、カシーニは木星がやはり楕円形であることを発見したので、旁々〔いずれにしても〕地球の扁平ということに対する疑いは少なくなったわけであるが、ただし、前述のごとく仏国学士院の測量の結果がニュートン、ハイゲンスの理論と矛盾するようであったために、ここに論争がおこったのである。(略)(「第四章 地球の楕円説」より)

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※ お休みしまーす。


寺田寅彦 てらだ とらひこ
1878-1935(明治11.11.28-昭和10.12.31)
物理学者・随筆家。東京生れ。高知県人。東大教授。地球物理学を専攻。夏目漱石の門下、筆名は吉村冬彦。随筆・俳句に巧みで、藪柑子と号した。著「冬彦集」「藪柑子集」など。

◇参照:『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)、Wikipedia 日本語・オフライン版(『iP!』2009.4月号、晋遊舎)。

底本

底本:『地球物理學』文會堂書店
   1915(大正4)年2月15日発行
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person42.html

NDC 分類:450(地球科学.地学)
http://yozora.kazumi386.org/4/5/ndc450.html

難字、求めよ

天地開闢論 てんち かいびゃくろん
地貌学〔ちぼうがく〕
天文暦数
孔子格物
地球の重心
地磁気の分布
地球水準面
地球内部の弾性
スカフェー skaphe
観測台〔かんそくだい〕
太陽南中
地球の周径
周弧〔しゅうこ?〕
トリケトルム triquetrum
天項角〔てんこうかく〕
度盛圏〔どもりけん?〕
秒振子〔びょうふりこ/びょうしんし?〕
地球内部の質量分布
数理物理学 すうり ぶつりがく
等ポテンシャル面 とう ポテンシャル めん
重力分布〔じゅうりょく ぶんぷ〕
微分角〔びぶんかく〕
忌疑 きぎ? 危疑? 忌諱?
山の引力
金属蒸気〔きんぞく じょうき〕
数学物理学〔すうがく ぶつりがく〕
ヘリオトロープ heliotrope
地球の曲率
平角三面法の公式
アスアン Assuan アスワンか。
シエナ Syena ナイル川の東岸、北回帰線に近いところに昔あったとする都市。(本文)
バレアル群島 Baleares → バレアーレス諸島か スペイン。
F. R. Helmert〔ヘルメルト〕 寺田寅彦のドイツ留学中の恩師の一人か。(本文)
S. G〔u:〕nther
M. P. Rudzki ルツキー(本文、p84)
W. Trabert
A. Berget
P. Pizzetti〔ピツェッティ〕
J. B. Messerschmidt〔メッセルシュミット〕
オスモンド・フィッシャー Fisher, Osmond (本文、p109)
J. Todhunter〔トッドハンター〕
J. H. Pratt〔プラット〕
H. Thiene
C. Reinhertz
シュワイダー
ヘイフォード
ヘロドト Herodot → ヘロドトスか
ピテアス Pytheas → ピュテアスか
プリニウス兄弟 Plinius 叔父甥の誤認か。
マグヌス Albertus Magnus
ギルベルト Gilbert
フェルネル Fernel 医師。(本文)
スネリウス Snellius → スネルか
ノルウード Norwood, 1633-35
リッコリ・グリマルジ Riccoli Grimaldi, 1645 → リッチョーリか
仏国学士院 〓
リシエー Richer 天文学者。(本文)
セルジウス Celsius
エクアドルの大統領
シューマッヘル Schuhmacher
ベーアー/ベーヤー Baeyer
万国測地学会 → 国際測地学協会か International Association of Geodesy IGA。
『水と陸』 De Aqua et Terra 伝、ダンテ著。
「地球の形」 クレーローの論文。

むしとりホイホイ

「獨」の時 → 「獨」の字 【字か】
J Joly → J. Joly 【.か】
26 → 27 【27か】
なつ居て → なつて居て 【て?】
地下線 → 地平線 【平か】
尺度を用ひた、 → 尺度を用ひた。 【句点か】
全科 → 金科 【金か】
なかつた、北緯 → なかつた。北緯 【句点か】
思はれる、此を → 思はれる。此を 【句点か】
一七三七 → 一七三七年 【年か】
一七四九年[#この部分、底本のまま]
象限さ → 象限 【さ、不要か】
「十度にはならぬ。三つの角の中何れか二つだけを採用して殘る一つを知らぬ積りで各邊を計算し、それで帳面だけを合せて置けばそれ」 この文、重複。
瞹眛氣 → 曖昧氣 【曖昧?】
Clarkes → Clarke's 【'か】
ベルセル → ベッセル 【ッか】
1837-1841 → 1783-1841 【1783】広辞苑は1784-1846。
Dante Aligieri → Dante Alighieri 【h か】

年表

紀元前六〇〇年 タレース、われらの棲息する地は諸天体と同様なものであろうと考える。
紀元前四百余年、ピタゴラス学派、地球の球形説をはじめて称える。

一六六六 仏国でブルボン王家の名主ルイ十四世が学士院を創立してまもなく、院の事業として地球子午線の長さを測定しようということになり、ピカールがこの任にあたる。
一六七二 天文学者リシエー、南米仏領ギアナのカエンヌに出張。
一六八三 ピカールの仕事を受け継いでカシーニ父子の者が、パリを通過して仏国を南北によこぎる線について測量をはじめ、一七一八年までかかってようやく完成。
一七三五 ブーゲー、ラ・コンダミンの両人、ペルーに向かい一七四三年にわたり、南緯一度半の両側にまたがって三度あまりの弧をはかる。
一七三六 モーペルチュイ、セルジウス、クレーローらラップランドに向かって一七三七年にわたり、北緯六十六度半付近で約五十七分の弧をはかる。
寛政年間〔一七八九~一八〇一〕 伊能忠敬、江戸から出て北海道のはてまで測量して歩き、各地で緯度や方位の測定をおこなう。
一七九〇 仏国で新尺度を法定。ラプラス、ラグランジュ、ボルダ、モンジュらが委員となってメートルの標準を定める。
一八二〇 ドイツにおいてはガウス、ハノーヴァー地方の三角測量をはじめる。

スリーパーズ日記*

書きかえメモ。
楷梯 → 階梯
ゼオイド → ジオイド
近く程 → 近づくほど
価 → 値
佛西 → フランス・スペイン

北米合衆国はそのままにした。

10/28
九月下旬に、植松暁彦「古代東北の火山噴火と遺跡からみた災害規模――青森県十和田a広域火山灰を通して」『山形県埋蔵文化財センター年報 平成24年度』(2013.5)の論文記事を見つける。

それによれば、山形県内の遺跡で十和田火山灰が検出されたのは、一九八九年の遊佐町が最初で、以後これまでに三七件ほど確認されている。

うち、遊佐町(一四件)・酒田市(一件)・鶴岡市(五件)の庄内地方で全体の半数以上にのぼる。

ところが、最上地区で確認された報告例が二件のみで、いまのところ山形市での検出が最南端。

さらに、秋田県内が二例、岩手県内が三例、宮城県内が二例というように、ここから全体像を想像するにはまったくもってこころもとない状況。

出土が鳥海山麓に集中しているのも気になる。

とはいえ、詳細な検出例の一覧を用意してくれてるので、一件ずつ報告書にあたって確認することができる。

さいわい、報告書は市立図書館にほぼ網羅されている。この日から、山形県埋蔵文化財センター発行『遺跡発掘調査報告書』の降灰記事の確認作業を開始。

一日一件の報告書を読めば、およそ一か月から二か月あれば読み通せるだろうとのもくろみ。



10/29 水曜 晴れ
月山、葉山、朝日連峰、蔵王、初冠雪を確認。

11/1
週ジャン、ナルト、ラスト2回。ビリーバット、天の血脈。
23:00、Eテレ。畑田。



2014.11.1 公開
2015.2.20 更新
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2015年02月20日 21:57