M-Tea*6_49-幼年時代(二)堀 辰雄
2014.6.28 第六巻 第四九号
幼年時代(二)
堀 辰雄
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月末最終号:無料 p.120 / *99 出版
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パブリックドメインマガジン 週刊ミルクティー*
そういう夏が終わって、雨の多い季節になった。
毎日が雨の中にはじまり、雨の中に終わっていた。そういう雨の日を、たかちゃんも遊びに来ず、私はよく一人でガラス戸に顔をくっつけて、つまらなそうに雲のたたずまいをながめていた。それをながめているうちに、いつか自分の呼吸で白く曇り出しているガラスに、字とも絵ともつかないような、それでいて充分に描き手を楽しませる模様を描いては、それを拭わずにそのままにして、またほかのガラス戸に行って雨をながめていた。
そんなガラスの模様は、あたかも私自身のいる温かい室内の幸福を証明しているかのように、いつまでも残り、それに反して、それらを透かして見えている雨にびしょ濡れになった無花果の木をば、いっそう冷たく、気持ちわるそうに私に思わせていた。その無花果の木は、ようやっと大きく実らせた果を、私たちに与える前に、すでに腐らせだしていた。……(「洪水」より)
※ #ref(6_49.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。
堀 辰雄 ほり たつお
1904-1953(明治37.12.28-昭和28.5.28)
小説家。東京生れ。東大卒。芥川竜之介・室生犀星に師事、日本的風土に近代フランスの知性を定着させ、独自の作風を造型した。作「聖家族」「風立ちぬ」「幼年時代」「菜穂子」など。
◇参照:『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)、Wikipedia 日本語・オフライン版(『iP!』2009.4月号、晋遊舎)。
底本
難字、求めよ
無髭 ぶし? むし?
其角堂 きかくどう
むしとりホイホイ
追いまわしていた → 追いまわしていた。 【句点か】
いた。……、 → いた。…… 【読点不要か?】
間題 → 問題 【問か】
訊《き》いてみた → 訊《き》いてみた。 【句点か】
以上4件。底本未確認。
スリーパーズ日記*
エントロピー増大の法則にしたがえば、収集した情報の囲い込み・流出の歯止めには相応のエネルギー注入が必要で、それを怠れば原発の放射性物質の拡散と同様の憂き目をみる。
『週刊ミルクティー*』に関しては、購入者情報の通知は不要の設定にしている。購入者情報の収集と管理は、出版をつづけるうえで重荷になることはあっても、相応のサービス提供を思いつかないというのが率直なところ。
購入者であろうとそうでなかろうと書き込みは自由にしてあるから、随時、リクエストに対応できる体制はすでに整っている。購入者と未購入者を差別するほどの意義はないだろう。
購入者情報で知りたい、とするならば「満足度」だろう。
タイトル内容に満足してくれたかどうか。
組み版の品質に満足してくれたかどうか。
ワクワク感・期待感を継続できているかどうか。
サイトの閲覧件数からうかがうかぎり、もっとも問題のあるのはそこだろう。では、振り返って自分自身の「満足度」はどうだろうかと自問すると、残念ながらワールドカップ日本代表レベルがいいところだろう。自分が購入する側だとしたら……むー、おもわずシビアな問題に展開してしまった・・・。
2014.6.28 公開
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2014年07月18日 15:44