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M-Tea*6_38-風土記物語(二)武田祐吉

2014.4.12 第六巻 第三八号

風土記物語(二)
武田祐吉
 三 播磨国風土記
    伊和の大神
    大穴持の命
    葦原の志挙乎の命と天の日槍の命
    阿菩の大神
    丹津日子の神
    天の目一つの命
    花浪の神
    住吉の大神
    荒ぶる神
    景行天皇
    仲哀天皇と神功皇后

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税込価格:100円(本体税抜93円) p.135 / *99 出版
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(c) Copyright this work is public domain, 2014.

パブリックドメインマガジン 週刊ミルクティー*

 美奈志(みなし)川、美奈志川と名づけるわけは、伊和の大神の子の石龍比古の命と、お妃の石龍比売の命とお二方が川の水を争った。夫の神は北の方の越部の村に流そうと思い、お妃の神は南の方の泉の村に流そうと思った。そのときにこの夫の神が、山の峰を越してこれを流した。お妃の神がこれを見て、これは道理ではないとして刺し櫛をもってその流れの水を塞いて、峰のほとりから溝を開いて泉の村に流して競った。しかるに夫の神が、また泉の川下に至って流れをうばって西の方の桑原の村に流そうとした。それでお妃の神がついに承知をしないで暗渠をつくって泉の村の田のほとりに流れ出さした。それからして川の水が絶えて流れない。それで无水(みなし)川と名づける。(「揖保の郡」より)

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※ お休みしまーす。

武田祐吉 たけだ ゆうきち
1886-1958(明治19.5.5-昭和33.3.29)
国文学者。東京都出身。小田原中学の教員を辞し、佐佐木信綱のもとで「校本万葉集」の編纂に参加。1926(昭和元)、国学院大学教授。「万葉集」を中心に上代文学の研究を進め、「万葉集全註釈」(1948-51)に結実させた。著書「上代国文学の研究」「古事記研究―帝紀攷」。「武田祐吉著作集」全8巻。

◇参照:『日本史広辞典』(山川出版社、1997.10)。

底本

底本:『物語日本文學 風土記・靈異記』至文堂
   1954(昭和29)年4月15日発行
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1349.html

NDC 分類:216(日本史 / 近畿地方)
http://yozora.kazumi386.org/2/1/ndc216.html

難字、求めよ

イヒヲスク いいおすく。
八千軍 やちくさ
眼割下 まさき 目(め)をさくとは、眦(めじり)を、刺(とげ)のようなもので割(さ)いて、墨(すみ)を入れて、黥(いれずみ)をすることをいう 。(折口信夫「歌の話」より)
御野立 おのたち
欟弓 つくゆみ 槻弓に同じか。
大法 おおのり
御宅・三宅 みやけ 屯倉に同じか。
吉備の鉄 きびのまがね
佐比の鋤 さひのすき

矢田の村 やたのむら
安師川 あなしがわ
三形 みかた 三方郷(みかたごう)か。
筌戸 うえど
島村の岡 しまむらのおか
泉の村
桑原の村 くわばらのむら
琴の神丘 ことのかむおか
箱の丘 はこのおか
匣の丘 くしけのおか
箕形の丘 みかたのおか
甕の丘 みかのおか
稲牟礼の丘 いなむれのおか
冑の丘 かぶとのおか
沈石の丘 いかりのおか
藤の丘 ふじのおか
鹿の丘 しかのおか
犬の丘 いぬのおか
瞋塩 みかしお
告斉 のりせ
牟礼山 むれやま
川辺の里 かわのべのさと
伊奈加川 いなかがわ
土間の村 ひじまのむら 土方郷(ひじまごう)か。
飯戸の阜 いいべのおか
表戸 うわど
川音の村 かわおとのむら
庭音の村 にわおとのむら
庭酒の村 にわざけのむら
奪谷 うばいだに
稲舂の岑 いなつきのみね
稲舂の前 いなつきのさき
故黒土志爾嵩 [訓不明] しにだけ
夜夫の郡 やぶのこおり 養父郡か。但馬国中南部の郡。
三条 みすじ 三方郷(みかたごう)か。
伊都志 いづし/いずし 出石郡か。
御形 みかた
大内川 おおちがわ
小内川 おうちがわ
金内川 かなちがわ
神酒の村 みわのむら
於和の村 おわのむら
高家の里 たかやのさと
神阜 かむおか
法太の川下 ほうたの かわしも
腹辟沼 はらさきぬま
日の岡 ひのおか
褶の墓 ひれのはか
含芸の里 かむぎのさと
酒山 さかやま
坂本の田 さかもとのた
朕公の済 あぎみのわたり
廝の御井 かしわでのみい
賀古の松原 かこのまつばら
媛のこの小島 ひめのこのおじま
御坏の江 みつきのえ
高宮 たかみや
酒屋の村 さかやのむら
贄田の村 にえだのむら
館の村 やかたのむら 屋形村か。現、神前郡市川市屋形。
城宮田の村 ぎみやたのむら
松原の御井 まつばらのみい
[入波の郡] いりなみのこおり
言挙の阜 ことあげのおか
言挙の前 ことあげのさき
因達の里 いだてのさと 印達郷(いたちごう)か。
宇須伎 うすき
宇伎頭川の泊り うきつがわのとまり
伊都 いつ 伊津村か。現、揖保郡御津町岩見。
萩原の里 はりはらのさと
針間井 はりまい
韓清水 からのしみず
酒田 さかた
傾田 かたむきた
射目の前 いめのさき
檀の丘 まゆみのおか
伊乃島 いのしま
多志野 たしの 佐志野(さしの)。
金箭川 かなやがわ
松尾の阜 まつのおのおか
邑智の駅家 おおちのうまや
大内 おおち
氷山 ひやま
欟折山 つきおれやま
蒲の阜 かまのおか
大見山 おおみやま
御沓 みくつ
御枕のところ みまくらのところ
比也野 ひやの
伊夜の丘 いやのおか
阿富山 あふま
目前田 まさきた
阿多加野 あたかの
鴨の村 かものむら
上鴨の里 かみつかものさと
鴨の里 かものさと
条布の井の樹 すふの いのき
当麻 たぎま
煮坂 にさか
小目野 おめの
佐々の御井 ささのみい
意比川 おいかわ
枚方の里 ひらかたのさと
神尾山 かみおやま
屋形田 やかただ
佐々山 ささやま
櫟山 いちいやま
圧川 おしかわ
意伎田 おきた
出雲田 いずもだ
伯耆田 ほうきだ
因幡田 いなばだ
但馬田 たじまだ
賀和良久の三宅 かわらくのみやけ
見置山 みおきやま
播磨の国の山門 はりまのくにの やまと
高野の宮 たかののみや
少野の宮 おののみや
川村の宮 かわむらのみや
御倉尾 みくらお
高宮 たかみや
玉の丘 たまのおか
馬の墓の池
北山
神尾山 かみおやま
麻打の里 あさうちのさと
麻打山 あさうちやま
都太岐 つたぎ
高島の南の浜 たかしまの みなみのはま
韓浜 からはま
伊勢川 いせがわ
兎寸の村 うきのむら 河内国。
賀美の郡 かみのこおり 摂津国。
大田の村 おおたのむら 摂津国。
摧綿野 くたわたの 来田綿か。現、滋賀県秦荘町蚊野付近。市辺押磐皇子は雄略天皇に狩りに誘われて射殺される(日本史)。
山部三馬 やまべの みま
安師比売の神 あなしひめのかみ
別部犬 わけべのいぬ
弩都比売 のつひめ 大穴持の神のお妃。
三家の人夜代 みやけのひとやしろ
丹津日子 につひこの神 につひこのかみ
道主日女の命 みちぬしひめのみこと 播磨国多可郡の女神。(神名)
花浪の神 はななみのかみ/はなみのかみ (神名)
淡海の神 おうみのかみ 花浪の神の妻。
大部造 おおともの みやつこ
古理売 こりめ
賀毛の郡の山直 やまのあたい
息長の命 おきながのみこと
伊志治 いしじ
小玉 おたま 紀伊の国の人。
順受武良の首 すずむらの おびと
告首 のりのおびと
大中の伊志治 おおなかの いしじ
出雲臣比須良比売 いずものおみ ひすらひめ 別嬢の侍女。
苫編首 とまあみのおびと
大仲子 おおなかつこ 苫編首らが祖先。
少足の命 すくなたりのみこと
豊忍別の命 とよおしわけのみこと
阿胡尼の命 あこねのみこと 但馬の国の長官。
石作連 いしつくりのむらじ
田中 たなか 国守。
当麻の品遅部の君前玉 たぎまの ほむちべの きみさきたま
出雲の御蔭の大神 いずもの おかげの おおかみ?
小保弖 さほで 伯耆の国の人。
布久漏 ふくろ 因幡の人。
都伎也 つきや 出雲の人。
額田部の連久等等 ぬかたべのむらじ くとと
若倭部の連池子 わかやまとべのむらじ いけこ
伯耆の加具漏 ほうきの かぐろ
因幡の邑由胡 いなばの おゆこ
狭井の連佐夜 さいのむらじ さや
服部の弥蘇の連 はとりべの みそのむらじ
因幡の国造の阿良佐加比売 あらさかひめ
宇奈比売 うなひめ
久波比売 くわひめ
日下部の連意美 くさかべのむらじ おみ
伊等尾 いとみ 志深の村の長者。
山部の連少楯 やまべののむらじ おだて 小楯。
山部の小楯 やまべのの おだて
国造許麻 くにのみやつこ こま
根日女の命 ねひめのみこと 国造許麻の女。
長日子 ながひこ 尾治の連らの祖先。
上の生石の大夫 かみのおふしの まえつきみ
道守の臣 みちもりのおみ
丸部の具 わにべの よそう
苫編部の犬猪 とまあみべの いぬい
曽祢連麻呂 そねのむらじ まろ
伊頭志の君麻良比 いづしのきみ まらひ 但馬の国の人。
播磨刀売 はりまとめ (神名)
丹波刀売 たにはとめ (神名)
氷上刀売 ひがみとめ
衣縫の猪手 きぬぬいのいて
漢人刀良 あやびと とら
呉の勝 くれの かち

むしとりホイホイ

鮑《あはび》があり。大《おほ》きさは八|尺《しやく》ばかり……

この部分、底本のまま。一尺=約三〇センチメートルとすると、八尺は二四〇センチの鮑? 寸のまちがいか。

スリーパーズ日記*

書きかえメモ。
河《かわ》 → 川
朝庭 → 朝廷


四月上旬。風の冷たい日曜の夕暮れ。
出かけようとしたところで大家さんと遭遇。
半年後にアパートを取り壊す予定とつげられる。

突然の引っ越しの宣告。

さすがにショックだったが、そういうこともあるんだなあと開きなおることにした。あがいてどうにかなることでもなし。古くて建てつけが悪いながらも、近くにスーパーがあったり、銭湯があったり、大きな書店が出来たりと、思えば二〇年近く住んだ部屋。仕事を得て、失って、ひきこもって、あげくに震災も体験した。

福島の避難者らのことを思えば、まだまだいいほう。まったく準備できずに手荷物ひとつで、その後ながらく帰宅できなかった人たち。

しかも今回、引っ越しといっても現在地から五〇〇メートルほどのところに、代替の部屋を用意してくれている。同じ市内だ。

これは、ためこんだ荷物をかたづけて身軽になるいい機会かもしれない。紹介された部屋はどう見ても日当りが悪いし、風通しもよくなさそうなのだが。

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。

 鴨長明『方丈記』を読む機会が、ようやく訪れたらしい。



4.9 深夜便。鶴岡真弓、うずまき、トリスケル、青海波。
おきなぐさ。

2014.4.12 公開
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2014年06月17日 11:17