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M-Tea*6_22-青空のリスタート(六)富田倫生

2013.12.21 第六巻 第二二号

青空のリスタート(六)
富田倫生

パソコン創世記の終章をかざる アップル=IBMの提携とアスキーのトロイカ体制の崩壊
ノートブックBTRONのデビューに 誰がなんと言おうとオレは力いっぱいの拍手を送る
『ホームコンピューター』の虚妄を現実に変える AMD386互換チップの宣戦布告
二十四時間営業パワーセイブ“ホームコンピューター”に 明日のわが家の電話番はまかせたぜ!

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定価:100円(税込) p.150 / *99 出版
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ PDF 形式、6インチ判。Windows 7 およびソニー Reader にて確認済み。
※ オリジナル作品は青空文庫にて公開中です。同作品は、クリエイティブ・コモンズ「表示 2.1 日本」でライセンスされています。利用条件は、http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ を参照してください。

PDF マガジン 週刊ミルクティー*青空のディストーション

 Windowsの話をすれば、当然、いわゆるグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)に話がおよぶ。どうも最近の雑誌などを読むと、GUIの源流さがしはマッキントッシュ、リサとたどってゼロックス、パロアルト研究所のアルト(例のアラン・ケイ大人の作だ)あたりで止めておくのが流行りのようだ。だが、アルトで煮詰まった話の多くは、スタンフォード研究所(SRI)でダグラス・エンゲルバートたちが進めていた研究の流れを直接くんでいる。(略)さらに思想的な背景までたどれば、エンゲルバートに物作りへのチャレンジ意欲を持たせた、ヴァニーヴァー・ブッシュの歴史的論文「思考のおもむくままに」までさかのぼるのが筋だろう。
 「人類の経験の総体は驚くほどの速さで増加しているにもかかわらず、わたしたちがその結果生じた迷路をたどって、この瞬間に重要なことがらを見つけ出すための手段は、帆船時代に使っていたようなものとなんら違いがないのである」(略)
(略)要するに科学が発達し、技術が増大し、人工的な核分裂が成功するわ、飛行機で世界じゅうかけまわれるわ、あと一歩で宇宙にまで飛び出せるわと、人間の経験が猛烈な勢いで増大しはじめた。このあふれるような情報の波の中で、なんとかその一部なりとわがものにしながら、しかも神経衰弱に至らず身を処したい。となれば、何か考える作業を支援する道具がほしいとの願いは、時代の流れが必然的に押し出していたのだ。

※ #ref(6_22.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。

富田倫生 とみた みちお
1952-2013(昭和27-平成25.8.)

◇参照:Wikipedia 富田倫生、青空文庫「作家別作品リスト:No.55」。

底本

底本:「青空のリスタート」ソフトバンク出版事業部
   1992(平成4)年9月30日初版発行
初出:「パソコン・マガジン」ソフトバンク出版事業部
   1990(平成2)年1月号から1992(平成4)年3月号
http://www.aozora.gr.jp/cards/000055/card698.html

NDC 分類:007(総記 / 情報科学)
http://yozora.kazumi386.org/0/0/ndc007.html
NDC 分類:548(電気工学 / 情報工学)
http://yozora.kazumi386.org/5/4/ndc548.html

難字、求めよ

遺伝子産業革命
網羅主義
思想闘争
分子機械
パーソナルメディア
レッツ アイリス
TRONチップ
教育用パソコン
BTRON1
BTRON2
情報システム研究所 松下電器の所属。
システム・アプリケーション
米国通商代表部
Panacom M530
PanaCAL ET
PRONOTE 松下電器のノートブック・マシン。(本文)
386SX
TACL トロン・アプリケーション・コントロールフロー・ランゲッジ
おまわし
実身/化身モデル
1B/NOTE
TRONキーボード
G MICRO100、200、300 TRONチップ。(本文)
TAD
FACOM100
FACOM128
AMD386互換チップ
エム・ピー・テクノロジー
GEM
GUIDE
フェアチャイルド
Am386DX-40
Am386DXL-40
低消費電力
80287コプロセッサー
チップス&テクノロジーズ
パワーセイブ
サルの二郎君
システム・メーカー
Count on it !
エデン・グループ イギリスに本社を置く。(本文)
VPi386
メモリ・チェック
オンスペック社
PC用ボード
FAX-O-FONE
α-LCR機能
ATアーキテクチャ
ブックマン
マルチメディア・ビュアー
郡司明郎 アスキー。
塚本慶一郎 アスキーで一貫して出版を担当。
井芹昌信 アスキーの出版部門の書籍の親分。
土田米一 アスキーの雑誌の親分。
大石工次 アスキーの営業の親分。
吉本万寿夫 エム・ピー・テクノロジー社長。
浜田俊夫
ゲアリー・キルドール
ウィリアム・イングラム 連邦地方裁判所の判事。(本文)
ニール・フリント エデン・グループの技術部長。
『生物科学』 雑誌。
『I/O』 雑誌。
『ASCII』 一九七七年六月に西、郡司、塚本により創刊。
「ホビーとの訣別」『ASCII』 創刊号巻頭。西和彦の著か。
『The COMPUTER』 雑誌。
『パソコンワールド』
『TRONWARE』
『日経パソコン』
「思考のおもむくままに」『ワークステーション原典』 ヴァニーヴァー・ブッシュ。浜田俊夫訳。
『ワークステーション原典』 鶴岡雄二訳。アスキー出版局。

むしとりホイホイ

カーテンを占めて → カーテンを締めて 【締か】
この対象 → この対照 【照か】
法定闘争 → 法廷闘争 【廷か】

以上3件。底本未確認。

スリーパーズ日記*

書きかえメモ。
暖房器 → 暖房機 【機か】

12/15 大雪
積雪二〇センチぐらい。昨日よりもふりっぷりがいい。
11:00すぎ、村山着。葉山・月山、見える気配なし。楯山かろうじて。駅の食事どころで月見そば三三〇円。村山に古本屋ないらしい。大雪つづく。
11:40、甑葉(しょうよう)プラザ着。年末恒例の県埋蔵文化センター遺跡発掘調査報告会。二〇〇名くらいか。昨年、一昨年よりも少ない。スクリーンのプロジェクター映像ぼやけてる。眼の疲労か、映写のピンぼけか。めまい、気持ちわるい……スタッフへかけあうも、結局最後までそのまま。
悪天候のせいか、ピンぼけ映像のせいか、後半、観客が激減。質問コーナー。活断層、火山噴火、今後の予定。
20:00、八重の桜、最終回。

12/17 快晴
ネットカフェへ。NDL(国会図書館、近代デジタル・ライブラリー)で pdf ダウンロードできることを確認。一回につき二〇ページの制限あり。連続生成可能。画像のみでOCRテキストはなし。解像度も判読に最低限の 150dpi ってところか。

地震学の今村明恒と大森房吉の書籍は、最寄りの県立図書館では入手に限界があったが、これで作業可能なテキストが大幅にアップ。いったん pdf を一ページずつばらし、画像をOCRソフトで処理する。

正直なところ、明治初期から戦前・戦中・戦後までの、いわゆる青空文庫対象のパブリックドメイン作品の底本の多くは、印刷品質も安定せず、紙質も良くない。それに加えて、画数の多い旧字体・正字体の漢字や変体仮名を、OCRであれ目視であれ正確に認識するには、200dpi はほしいというのが実作業している側からの印象。

まあ、これで読みたい本、読める本、デジタル復刻できる本がまたどっと増えてしまった……。うれしいような、悲しいような。前国会図書館館長・長尾さんのやりたかったこと、目標としてたことはまだまだもっともっとあったろうけれども、とてつもなく大きな道を切り開いてくれたよなあ……と感謝。

課題は依然、山積しているにはちがいないが、富田さんや長尾さんが開いた道、まいた種を、時間も能力も資源もちっぽけな「自分ひとり」にできることには限りがある。一年間、五十二週間で復刻できる本には限界がある。

が、宮崎さんがみっともないくらいに「時間がない」を連呼していた精神状態・身体状態にくらべれば、ずいぶん大きな違いがある。

 「時間がない」というならば、二〇年前から闘病生活を続けていた富田さんこそ、つねにその思いがあったろうけれど、「新しいこぎ手を待っている」という言葉を聞くことはあっても、「時間がない」という悲壮ななげきを富田さんの口から聞いたこともないし、書いた文章の中にも読んだ記憶がない。

富田さんと宮崎さんのちがいは何か。
宮崎さんになくて、富田さんにあったものは何か。

たぶん、「八〇〇人」のこぎ手が周辺につどっていることを、富田さんはつねに実感できたんじゃないだろうか。おおげさじゃなく、面識があるにせよないにせよ、富田さんは一人一人とメールをやりとりしていた。それは、プレッシャーでもあり苦労でもある。その反面、義務感が出発点ではない八〇〇人のボランティアとのやりとりは、たぶん、ギトギトにドロドロの粘度の高い二〇年間を送っているという充実すぎる実感を味わっていたんじゃないだろうか。

もちろん宮崎さんの周囲には、鈴木プロデューサーはじめジブリのたくさんのスタッフがいる。直接、面と向かってやりとりできるジブリスタッフにくらべれば、青空のボランティア同士がお互いの顔を見合わせる機会は、絶望的なくらいに少ない。

が、それでもジブリの先鋭スタッフとくらべたとき、青空文庫の烏合の八〇〇人ボランティアのほうが勝るのはなんだろう? バックボーンの豊かさ、バイタリティーの多様性、金銭をともなわない連帯感、か。

もちろん、入れ替わり立ち替わりのはげしいボランティア、決定的な別離・離反やフェードアウト、つきあいの自然消滅を体験した数も多かったには違いない。

それでも、あるいは、それを含めて「八〇〇人のこぎ手」が周囲にいることの実感。それから八〇〇人の背後にいる人たち、それから青空文庫に立ち寄って一作品一作品をさまざまなカタチで読んでくれている人たち。

しめしめ。してやったり。……そんな痛快感を、富田さんは抱き続けることができたんじゃないだろうか。


12/19 小雨 猪瀬都知事、辞任会見。
12/20 大雪。気温高く、ぼた雪。積雪二〇センチ近いか。
暴力団がらみの拳銃殺傷事件が連日つづく。

12/21 雪のちくもり 昨晩、北関東で震度4程度の地震。



Yule(ユール)。
2013.12.21 公開
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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  • 「むしとりホイホイ」のリストを確認しました。「カーテンを占めて」「この対象」「法定闘争」皆、底本ママでした。 -- Juki (2014-03-17 16:38:16)
  • 底本確認ありがとうございまーす。 -- しだ (2014-04-07 12:05:47)
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最終更新:2014年04月07日 12:05