M-Tea*6_02-美しい村(二)堀 辰雄

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M-Tea*6_02-美しい村(二)堀 辰雄

2013.8.3 第六巻 第二号

美しい村(二)
堀 辰雄

  夏 / 暗い道



定価:100円(税込)  p. 93 / *99 出版
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ Unicode・PDF 形式。フォント埋め込み。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。著作権保護期間を経過したパブリック・ドメイン作品につき、転載・印刷・翻訳などの二次利用は自由です。
(c) Copyright this work is public domain, 2013.

PDF マガジン 週刊ミルクティー*

 突然、わたしの窓の面している中庭の、とっくにもう花を失っているツツジの茂みの向こうの、別館の窓ぎわに、一輪のヒマワリが咲きでもしたかのように、なんだか思いがけないようなものが、まぶしいほど、日にキラキラとかがやき出したように思えた。わたしはやっとそこに、黄いろい麦藁《むぎわら》帽子をかぶった、背の高い、やせぎすな、一人の少女が立っているのだということを認めることができた。……だれかを待っているらしいその少女は、さっきから中庭のあちらこちらに注意深そうな視線をさまよわせていたが、最後にその視線を、離れの窓から彼女のほうをぼんやり見つめていたわたしの上に置いた。そんな最初の出会いのときには、たいがいの少女たちは、自分が見つめられていると思う者からわざとそっぽを向いて、自分のほうではその者にまったく無関心であることを示したがるものだが、そんな羞恥《しゅうち》と高慢さとの入り混った視線とは異なって、わたしの上に置かれているその少女の率直な、好奇心でいっぱいなような視線は、わたしにはまぶしくってそれから目をそらさずにはいられないほどに感じられたので、わたしはそのときの彼女――最初にわたしの目の前に現われたときの彼女については、そのやや真深《まぶ》かにかぶった黄いろい帽子と、その鍔《つば》のかげにキラキラと光っていた特徴のある眼《まな》ざしとよりほかには、ほとんど何も見覚えのないくらいであった。

※ #ref(6_2.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。

堀 辰雄 ほり たつお
1904-1953(明治37.12.28-昭和28.5.28)
小説家。東京生れ。東大卒。芥川竜之介・室生犀星に師事、日本的風土に近代フランスの知性を定着させ、独自の作風を造型した。作「聖家族」「風立ちぬ」「幼年時代」「菜穂子」など。

◇参照:Wikipedia 堀辰雄、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)。

底本

底本:「風立ちぬ・美しい村」新潮文庫、新潮社
   1951(昭和26)年1月25日発行
   1987(昭和62)年5月20日89刷改版
   1987(昭和62)年9月10日90刷
初出:「美しい村」は「序曲」「美しい村」「夏」「暗い道」の四篇より成る。
   序曲:「大阪朝日新聞」(「山からの手紙」の表題で。)
   1933(昭和8)年6月25日
   美しい村:「改造」
   1933(昭和8)年10月号
   夏:「文藝春秋」
   1933(昭和8)年10月号
   暗い道:「週刊朝日」第25巻第13号
   1934(昭和9)年3月18日号
初収単行本:「美しい村」野田書房
   1934(昭和9)年4月20日
※初出情報は、「堀辰雄全集第1巻」筑摩書房、1977(昭和52)年5月28日、解題による。
http://www.aozora.gr.jp/cards/001030/card4812.html

NDC 分類:913(日本文学 / 小説.物語)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndc913.html

むしとりホイホイ

満足しようとしていた、 → 満足しようとしていた。 【句点か】

スリーパーズ日記*

書きかえメモ。
ジャケツ → ジャケット
ベレ帽 → ベレー帽

 第六巻のスタートをきっかけに、ちょっと pdf での出版をやってみる。T-Time では、どうも欧文アクセントの表記が Mac では問題ないのに、Windows 側でトラブってる。ボインジャーの指示するマニュアルどおりのはずなんだけれども……。わからん。
 いまやるなら、epub をと思ってたんだけれども、iText を利用した青空文庫形式テキストからの pdf 書き出しが、これがなかなかいい。
 なにがいいって、ファイルをソニーの電子書籍 Reader で直接読むことができる。しかもヒラギノ丸ゴの埋め込みで。確認してないけれど、たぶん、アマゾンの Kindle でも楽天 Kobo でも、iPhone やその他携帯でも読めるはず。

 感動したのは、本文テキストの検索ができることはもちろん、内蔵の辞書で、語句の意味を調べることができること。

 不満な点はもちろんたくさんある。
  • 本文中の拗促音は問題なく表示できるのに、ルビ中の拗促音にかぎって、どうやら横書き用の文字のままになってる。
  • 行間をシングルに指定すると狭すぎる。ダブルにすると広すぎる。その間をとると、一行目のルビが本文とくっついてしまう。
  • 行をまたぐルビのばあい、手作業でいったんルビを削除したあと、改行前後の文字にそれぞれルビを再指定しなければいけない。これがかなりのめんどう。
  • 画面の大きなモニタやタブレットのばあい、見開き表示できるはずだけれども、左右順番の指定方法がわからない。
  • 柱の表示も左右両ページにあるので、見た目が煩雑になる。改丁ごとに柱の表示を変更したくても、1ファイルに1柱しか指定できない。

 こんなところか。あとは、よかれあしかれフォント埋め込み仕様になるので、複数のフォントを使うと、それだけでファイルサイズが跳ね上がる。
 あとはまあ、T-Time 版で愛着のあった背表紙や「難字 / 地名 / 年表 / 人名」のタブ画像が使えなくなったこととか、別冊付録で用意してたウィキペディア版もなごりおしい。

 pdf をとはじめた瞬間に、一週間にわたる断水にみまわれ、なんやかんやで結局、発行が次週にずれこんでる。暑さもピークをむかえたらしく、熱気のこもった室内でPCを使うどころの話でない。エアコンのきいた図書館や本屋やスーパーのラウンジで、ポメラと Reader が力を発揮する日々がしばらくつづいている。



2013.8.3:公開
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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