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M-Tea*3_31-現代語訳『古事記』(二)武田祐吉(訳)

2011.2.26 第三巻 第三一号

現代語訳『古事記』(二) 上巻(後編)
武田祐吉(訳)

 古事記 上の巻
   四、大国主の命
    兎と鰐
    赤貝姫と蛤貝姫
    根の堅州国(かたすくに)
    ヤチホコの神の歌物語
    系譜
    スクナビコナの神
    御諸山の神
    大年の神の系譜
   五、アマテラス大神と大国主の命
    天若日子(あめわかひこ)
    国譲り
   六、ニニギの命
    天降り
    猿女の君
    木の花の咲くや姫
   七、ヒコホホデミの命
    海幸と山幸
    トヨタマ姫

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月末最終号:無料 p.176 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(81項目)p.266
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて校正中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.


ひきこもれ! 週刊ミルクティー*


  スクナビコナの神

 そこで大国主の命が出雲の御大(みほ)の御埼(みさき)においでになった時に、波の上をツルイモのさやを割って船にして、蛾(が)の皮をそっくりはいで着物にして寄ってくる神さまがあります。その名を聞きましたけれども答えません。また、御従者(おとも)の神たちにおたずねになったけれども、みな知りませんでした。ところがヒキガエルが言うことには、「これはクエ彦がきっと知っているでしょう」と申しましたから、そのクエ彦を呼んでおたずねになると、「これはカムムスビの神の御子でスクナビコナの神です」と申しました。よってカムムスビの神に申し上げたところ、「ほんとにわたしの子だ。子どもの中でも、わたしの手の股からこぼれて落ちた子どもです。あなた、アシハラシコオの命と兄弟となってこの国を作り固めなさい」とおおせられました。それで、それから大国主とスクナビコナとお二人が並んでこの国を作り固めたのです。後にはそのスクナビコナの神は、海のあちらへ渡って行ってしまいました。このスクナビコナの神のことを申し上げたクエ彦というのは、今いう山田のカカシのことです。この神は足は歩きませんが、天下のことをすっかり知っている神さまです。

  御諸山の神

 そこで大国主の命が心憂く思っておおせられたことは、「わたしはひとりではどのようにしてこの国を作り得ましょう。どの神さまといっしょにわたしはこの国を作りましょうか?」とおおせられました。この時に、海上を照らして寄ってくる神さまがあります。その神のおおせられることには、「わたしに対してよくおまつりをしたら、わたしがいっしょになって国を作りましょう。そうしなければ国はできにくいでしょう」とおおせられました。そこで大国主の命が申されたことには、「それなら、どのようにしておまつりをいたしましょう?」と申されましたら、「わたしを大和の国の青々と取り囲んでいる東の山の上におまつりなさい」とおおせられました。これは御諸(みもろ)の山においでになる神さまです。

3_31.rm
(朗読:RealMedia 形式 456KB、3'41'')
milk_tea_3_31.html
(html ソーステキスト版 236KB)


武田祐吉 たけだ ゆうきち
1886-1958(明治19.5.5-昭和33.3.29)
国文学者。東京都出身。小田原中学の教員を辞し、佐佐木信綱のもとで「校本万葉集」の編纂に参加。1926(昭和元)、国学院大学教授。「万葉集」を中心に上代文学の研究を進め、「万葉集全註釈」(1948-51)に結実させた。著書「上代国文学の研究」「古事記研究—帝紀攷」。「武田祐吉著作集」全8巻。

◇参照:Wikipedia 武田祐吉、『日本史広辞典』(山川出版社、1997.10)。


底本

底本:「古事記」角川文庫、角川書店
   1956(昭和31)年5月20日初版発行
   1965(昭和40)年9月20日20版発行
底本の親本:「眞福寺本」
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1349.html
NDC 分類:164(宗教/神話.神話学)
http://yozora.kazumi386.org/1/6/ndc164.html


難字、求めよ

手間の山本 てまのやまもと? 伯耆国。手間村は現、鳥取県西伯郡会見町。
大野原
葛野の松の尾 かづのの まつのお?
キジの名鳴女(ななきめ)
伊耶佐の小浜 いざさの おはま 出雲国。
多芸志の小浜 たぎしの おはま 出雲国。
燧臼 ひうちうす
燧杵 ひうちきね)
佐那(さな)の地
笠紗の御前 かささのみさき
乞(こ)い徴(はた)り
剣を破って やぶって? わって?

スリーパーズ日記

咋い → 食い
還る → 帰る
女《むすめ》 → 娘《むすめ》
堅め → 固め
獲る → 得る
往く → 行く
逢い → 会い
鉤 → 針

 底本は左辺のとおり。
 パナソニックのコードレス・ヘアカット購入。四〇〇〇円。予備充電に14時間! ……まあ、それ以外は軽くて使いやすい。寒気の合間をねらって散髪。ひさびさに手にしもやけを作る。右手の薬指をのぞく四本。三週間ぐらいまいった。
 二二日、「マガジン航」あて投稿メール。仲俣さんからすぐに返事あり。



2011.2.27:公開
目くそ鼻くそ。PoorBook G3'99
転載・印刷・翻訳は自由です。
カウンタ: -

  • 1日テキストを仲俣さんあて送る。昨日「マガジン航」掲載予定のむね連絡あり。 -- しだ (2011-03-03 15:11:29)
  • 『記』のなかの「桃」。黄泉国へ行ったイザナギは、イザナミの変わりはてた姿を見て逃げ帰る。イザナミは雷神や黄泉醜女に後を追わせるが、黄泉比良坂の坂本まできた時に、イザナギはそこにあった桃の実(意富加牟豆美命、オオカムヅミノミコト)を三つ投げつけて逃げおおせる。桃が出てくるのは、この一か所のみ。 -- しだ (2011-03-04 01:59:20)
  • ほかに「実」をさがすと、椋の木の実、ソバノキの実、イチサカキの実、時じくの香の木の実(タチバナ)、菱の実の5件がある。 -- しだ (2011-03-04 01:59:48)
  • 「もも」をさがすと、ももゆらに、向股《むかもも》、股長《ももなが》に、百《もも》足らず、百八十神《ももやそがみ》、百取《ももとり》、夜麻登登母母曾毘賣《やまととももそびめ》の命、百千足《ももちだ》る、百師木伊呂辨《ももしきいろべ》、百《もも》の官《つかさ》、百枝槻《ももえつき》、ももしきの、がある。 -- しだ (2011-03-04 02:00:18)
  • 「百」をさがすと、「もも」、五百鉤《いおはり》・八百万・五百原《いおはら》・五百木《いおき》の「お(ほ)」の他に、百濟《くだら》と百姓《おほみたから》がある。以上、武田祐吉の校訂版を検索。ちなみに「胡桃・くるみ・クルミ」「李」をさがしたところヒットなし。 -- しだ (2011-03-04 02:00:44)
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最終更新:2011年03月04日 02:00