EB-AX2 グレイズ・アイン

「見ていてくださいクランク二尉!俺はあなたの意思を継ぐ……!」

【形式番号】 EB-AX2
【機体名】 グレイズアイン
【パイロット】 アイン・ダルトン
【所属陣営】 ギャラルホルン
【動力】 エイハブ・リアクター
【フレーム】 グレイズ・フレーム
【武装】 専用大型アックス
肩部格納式40mm機関銃
パイルバンカー
ドリルキック
スクリューパンチ
【ベース機】 EB-06 グレイズ
【関連MS】 ASW-G-XX ガンダム・ヴィダール

【詳細】

ギャラルホルンの阿頼耶識実験施設で開発されたものの廃棄されていた試作型MSをベースに、アイン・ダルトンをパイロットとして組み込み完成した大型機体。

元々厄祭戦が引き起こされた原因が行き過ぎた機械化思想による戦争の自動化だったため、ギャラルホルンは戦争を終わらせたあと阿頼耶識システムを始めとする義肢等に対する忌避感情を民衆に植えつけた。
だがその一方で、ガンダム・フレームに組み込まれ長期間に及ぶ厄祭戦を終結に導いた阿頼耶識の力は魅力的であり、密かにその研究は現代におけるまで細々と続けられていたのだ。
もちろんギャラルホルンには阿頼耶識の施術を施した正規パイロットなど存在しない
だがあくまでHGの説明書にそう書かれているだけで、非正規の戦闘員による研究は行われていた可能性が高い(そうとも言いきれない情報が出てきたがそれは余談にて)。

最も単に研究用として開発されていたため、あくまで阿頼耶識で動く人形を作った、という感じで放置されており、
あちこちにケーブルがついていたりパーツが無かったりといった状態だったが、鉄華団の地球降下を妨害するための衛星軌道上の戦闘である兵士が瀕死の重傷を負ったことがこのMSの転機となった。

その兵士の名はアイン・ダルトン。
恩師を無残に殺したと思い込み、鉄華団に対する復讐心を抱きつつ上司を見捨てられなかったがゆえに致命のダメージを受けた彼を救いたいと、ガエリオ・ボードウィンは言った。
それに対しマクギリス・ファリドは阿頼耶識システムを組み込むことによる機械化施術により彼を救えばいいと提案。
身を切るような思案の果にそれを承諾したガエリオは、しばらく後、施術が成功したという知らせを受け阿頼耶識実験施設に赴く。

そこには――――アイン・ダルトンの声で喋るこのMSの姿があった。

アインは下半身と内臓に甚大なダメージを受けており、機械化施術をしない限りそのまま死んでしまう重症だった。
だが「本来の阿頼耶識システム」を組み込むにあたり、不必要な下半身、及び両腕は切断した上で脊髄に3つ、さらに首筋から頭部に2つ、正面から胸部に2つケーブルを繋いだ状態で四肢を上半身を固定。
コクピット内部は生身の部分を生きながらえさせるための培養液に満たされており、メインカメラの映像を網膜投影…どころかコクピットにモニターすら無く、
各計器の情報が自動表示、処理される中無表情のアインはただ培養液の中で揺られているという衝撃的な姿となる。

だが、これによりアインは戦うための力と、もう一度戦場に立つ体を手に入れる事ができ、そして、このグレイズ・アインは――――
自らのパイロットを手に入れた

阿頼耶識で拡張した空間認識能力を最大限に活かすため、パイロットがMSを自分の肉体だと認識しやすくする様にベースであるグレイズの四肢を延長。
これにより並のMSが見上げてしまうほどの巨体となったが、高感度の阿頼耶識システムを搭載したことでその機動性、運動性は圧倒的であり、3回施術を受けた三日月・オーガスをもそのままの状態なら圧倒する反応速度を得ている。
欠損した肉体を空間認識能力で補い、MSを肉体と認識しているためか、プログラムに頼らない生物的な動きが可能になり、飛びかかってきたMSを紙一重で避けて膝蹴りを叩き込む、
吹き飛ばした相手よりも速く背後に回り込み追撃を加えようとするなど、本当にモビルスーツなのか疑いたくなる運動性を発揮していた。
相対していたラフタ曰く「三日月より上」。

阿頼耶識の伝達率は驚異的で考えたとおりに体が動く、まさに人機一体となった「阿頼耶識本来の姿」と言われる有様。
ということは厄祭戦のガンダム・フレームパイロットは皆あの姿…?

武装は全てMSを至近距離から破壊するために存在すると言っても過言ではないもので、大型のバトルアックスは一振りでグレイズ・フレームを両断し、
延長された脚部は4本の爪を持ち、これを閉じた上で高速回転させることでナノラミネートアーマーを削り取るドリルクローになる上、マニピュレータもロックした上で高速回転するスクリューパンチとして使用が可能。
腕部には掴んだ相手を装甲ごと一撃でぶちぬくパイルバンカーを備える。
パイルバンカーは一度打ち出したら元に戻せないため、対象に打ち込んだら基部ごとパージする必要がある。
ナノラミネートアーマーは近接武器に弱いという弱点を徹底して突く形の武装を取り揃え、まさに全身が凶器。

両肩は内部に機銃を格納しており、阿頼耶識システムと機体のセンサーを連動させることで恐ろしくスムーズな展開を行い、モビルワーカーのような小さな目標に対しても正確に3発着弾させる命中率を発揮する。
またグレネードやミサイルの迎撃にも使用。
基本的に遠距離射撃は意味を成さない世界観において機銃を搭載している必要性は薄いのだが、対人用であるのかもしれない。

その巨体が生み出すパワー、重量はグレイズに勝る出力を持つバルバトスでさえ押し負け、潰されかかるほど強大。
この出力から繰り出される数々の攻撃はそれ一発が致命の攻撃になりうる。

また機動性どころか巨体でありながらひとっ飛びで郊外から市街地に着弾するという冗談のような跳躍力を持つ。
初めて出現した際も、エイハブウェーブを感知した直後上空から襲撃した来たため、やはり跳躍して飛んできたのだろうか。

その異形はまさに悪魔。
何の因果かパイロットであるアイン・ダルトン、彼のファーストネームである「アイン」、もしくは「アイム」と呼ばれるソロモン72柱の悪魔が存在する。
頭部デザインもグレイズとほぼ同じだがモノアイが禍々しい赤色に染まり、アインの感情によって収縮する様子を見せたりしている。
本来阿頼耶識システムを司るナノマシンは成人には適合しないと言われるが、生体CPU扱いされていることで克服しているらしい。
だが肉体は生きながらえても阿頼耶識を施術したことによる精神の崩壊は凄まじく、加速度的にアインの心は壊れ鉄華団に対する復讐心の権化に成り果てた。

劇中ではギャラルホルンと鉄華団の戦闘に突如乱入し、アジー・グルミンが操縦するSTH-05R 漏影に対し一瞬で背後に回った上で脳天をバトルアックスで粉砕して戦闘不能に。
さらにラフタの操縦する漏影にすでに事切れた味方のグレイズを投げつけて隙を作り、瞬時に接近して脚部ドリルクローで腹部装甲をえぐり、
続けてアルバ・シノの操縦する流星号の左腕をバトルアックスで粉砕した直後、コクピット上部をパイルバンカーでぶち抜き機能を停止させている。

復讐鬼としてMSと一体化したアインはまさに無敵と言っていい絶大な戦闘力を発揮し瞬く間にMS3機を破壊したが、
生体ユニットとして組み込まれたアインの精神状況はすでに末期状態であり、記憶の混濁や感覚の暴走、自制心の欠如が見られる上に、
確定ではないがガエリオ・ボードウィンに対し、普段は「ボードウィン特務三佐」と呼んでいたが阿頼耶識システムの施術後は「ガエリオ特務三佐」と呼んでいて呼び方が変化している他、
呼び方の変化はグレイズ・アインに組み込まれる際に何らかのプログラミングが施されたのではないか?という考察も。

三日月・オーガスのバルバトスとエドモントン市内で激しい攻防を繰り広げたが、右腕と右目を犠牲に阿頼耶識のリミッターを外したバルバトスに圧倒され、
両腕を太刀に切り落とされたがなおも尽きぬ復讐心により突撃を敢行するも、コクピットを太刀で貫かれついに沈黙。
アインは戦死した。

だが機体の運用データはギャラルホルンの技術部に高い評価を受け、その設計と運用データを使ったEB-08jjc レギンレイズ・ジュリアが開発され、
戦死したアインの脳髄と阿頼耶識システムは回収された上で阿頼耶識システム TYPE-Eが開発された。
結果として鉄華団を苦しめる存在を作る礎となったアイン。
このMSの存在はマクギリスがギャラルホルンの不正を暴き、養父であるイズナリオを失脚させるため、そして阿頼耶識に関する研究データを取るための捨て石に過ぎなかった。

…死してなお脳だけ利用されることになっても、彼は尊敬する上司のために戦えてよかったと思うのか。
それはもう、誰にもわからない。
ガエリオがアインのことを未だ大切に思い、単なる装備扱いではなくともに戦う相棒と認識していることがせめてもの救いになるか…

【余談】

このMSは元々ギャラルホルンが開発していた阿頼耶識試験用の試作型がベースになっている。
何らかの理由から格納庫で放置されていたが、マクギリスが案内する形でガエリオも知るところとなった。

このMSと、アインに施した阿頼耶識の施術はマクギリスが自分に施す阿頼耶識システムを安全かつ完璧に行うための試作データに過ぎず、
彼はこのデータを元に大人でも適合するナノマシン定着技術を開発、ASW-G-01 ガンダム・バエルに適合することになる。

表向き阿頼耶識の研究は忌むべきものとされ極秘に進められていたものだが、パイロットは存在しなかったとされる。
だが普通に考えれば何人かはいたと思われる…が、数百年間バエルが安置されたままの状態で誰にも動かせなかったのは、
ギャラルホルンが阿頼耶識システムに纏わる技術を封印したため、誰も阿頼耶識のことなど覚えていなかったから、とされている。

こうなるとグレイズアインの前身となったMSは、マクギリスが自分用の阿頼耶識を施術するための実験目的で開発させていた可能性が浮上してしまう。
阿頼耶識研究施設内部で放棄されていた理由は不明だが、阿頼耶識施術を施した正規パイロットは存在しないというHG説明書の記載が本当であれば、
何かしら非合法な形で調達した人間を使っていたとも受け取れる。

このMSのベースを開発したのがマクギリスの陣営だったのか、それともマクギリスとは別の者達が研究し、
それを彼が掠め取る形でデータを使い研究を完成させたのかは未だわからない。

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最終更新:2017年02月23日 04:22