四国新幹線保有株式会社

四国新幹線保有株式会社

四国新幹線保有株式会社は、手野鉄道、JR西日本、JR四国、岡山県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県の共同出資によって設立された会社である。
四国新幹線の設備を保有し、手野鉄道、JR西日本及びJR四国に貸し出している。
本社が第三種鉄道事業者であり、手野鉄道、JR西日本及びJR四国が第二種鉄道事業者となる。
全線開通には25年前後かかる見通しであり、1996年に着工したため、2021年前後に全線開通する予定である。

目次



概要

四国新幹線は、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画に基づく昭和48年11月15日運輸省告示第466号によって追加された。
実際に計画が動き出したのは、1992年からであり、手野鉄道がその計画に基づく敷設計画を発表したことによる。
計画は別に記すが、それによって運輸省が手野鉄道及び手野グループに対してそのための地盤調査を行わせることを告示。
それに対して、JR四国が対抗することとなり、そこにJR西日本が合わさって対抗する計画を発表した。
これによって四国新幹線はJR連合と手野グループのどちらに行わせるかのための会議が設置され、折衷案として新社を設立させ、そこから施設を借り受ける方式となった。
その新社は1996年に設立され、関連県及び関連会社が出資する形をとる。
1996年時点の出資比率は以下のとおりである。
企業・県名 出資比率
手野鉄道 20%
JR四国 20%
JR西日本 20%
岡山県 8%
徳島県 8%
香川県 8%
愛媛県 8%
高知県 8%
この割合に応じて、株券が発行された。

2001年時点の割合は以下の通りとなる。
企業・県名 出資比率
手野鉄道 15%
JR四国 15%
JR西日本 15%
日本鉄道建設公団 15%
岡山県 8%
徳島県 8%
香川県 8%
愛媛県 8%
高知県 8%

日本鉄道建設公団が解散した結果、鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその割合を承継した。
その結果、2003年10月1日以降は、以下の割合となる。
企業・県名 出資比率
手野鉄道 15%
JR四国 15%
JR西日本 15%
鉄道建設・運輸施設整備支援機構 15%
岡山県 8%
徳島県 8%
香川県 8%
愛媛県 8%
高知県 8%

なお、県が出資しているため、四国新幹線保有は第三セクターとして扱われる。
また、企業である手野鉄道、JR四国、JR西日本及び鉄道建設・運輸施設整備支援機構のいずれも、親会社としての地位を有さない。


本社、支社、営業所

本社は、設置準備の際には岡山県岡山市にあったが、工事が開始された時点で香川県宇多津町に移設された。
現在は、以下のように設置されている。
本支社、営業所名 設置都府県名 設置市町村名
本社 香川県 宇多津町
高知支社 高知県 高知市
岡山営業所 岡山県 岡山市
徳島営業所 徳島県 徳島市
愛媛営業所 愛媛県 松山市
大阪営業所 大阪府 手野市
東京事務所 東京都 千代田区

本社はJR四国が保有するJR四国宇多津ビルディング内にある。
また、大阪営業所は手野鉄道手野駅前ビル内にある。


手野鉄道四国新幹線計画

手野鉄道は、岡山を起点とし、姫路、大阪、京都、高島、富山、新潟へと続く手野高速線を保有している。
新幹線と競合するこの線をもって、手野鉄道は新たな新幹線建設計画を発表する。
これが、手野鉄道四国新幹線計画である。
運輸省告示による四国新幹線計画は、明石海峡大橋に鉄道が付属してないために、大阪から淡路島を経由するルートが使えなくなった。
一方、昭和43年(1973年)に基本決定された四国横断新幹線は、瀬戸大橋経由で行えるようになっていた。
これは、瀬戸大橋線の横に用地がすでにあるためであり、そこに新幹線規格の新線を敷設することによって新幹線の運用が可能となるものである。
手野鉄道は、この路線を使うことにより四国横断新幹線を建設しようとした。
これが1992年のことである。
この計画では、さらに淡路島を経由して通ることとなっていたが、そちらについては、撤回されることとなる。
1985年にすでに明石海峡大橋が道路単独橋となることになっていたためである。
一方で、大鳴門橋は鉄道がとおるようになっているため、将来としては新幹線あるいは在来線として淡路島に鉄道を敷設する方針となっている。
四国新幹線は、四国各県の知事からたびたび要請がありながら、国が動かないために手野グループへと提言がなされたとされる。
この提言により、手野鉄道が主体となって四国新幹線を通す計画が立てられたとされる。
なお、当初の計画であれば、以下のように新線を敷設することとなっていた。
また、手野高速鉄道線で貨物輸送を行っていることから、四国新幹線においても貨物輸送を行う予定にしている。
線名(仮称) 起点 終点 主な経由地
本四連絡線 岡山 宇多津 児島
四国横断腺 宇多津 高知 阿波池田
北四国線 徳島 宇和島 高松、宇多津、観音寺、松山
南四国線 宇和島 徳島 宿毛、窪川、高知
四淡連絡線 徳島 岩屋 福良

1992年の発表直後から、JRグループが反対を行ったため、一部の計画を変更することとなった。
まず、四淡連絡線が計画撤回となった。
また、本四連絡線と四国横断腺、北四国線と南四国線が一緒となる。
そのため、以下のように新線計画がなされた。
線名(仮称) 起点 終点 主な経由地
四国横断腺 岡山 高知 児島、宇多津、阿波池田
四国循環線 徳島 徳島 高松、宇多津、観音寺、松山、宇和島、宿毛、久保川、高知
さらに四国新幹線について貨物新幹線としても用いることが決定された。
これは、手野鉄道からの強い働きかけがあったとされる。

1993年、運輸省告示が行われ、四国新幹線として大阪から岡山を経由し高知へ至るルートが、四国縦断新幹線として徳島から宇和島へ至るルートが2本、合計3本が提示された。
なお、四国縦断新幹線は、徳島から宇多津、観音寺を主要経路地として宇和島へ至る北ルート、徳島から高知、宿毛を主要経由地として宇和島へ至る南ルートの2つがある。
このため、合計3本が提示された。
1993年4月5日、手野鉄道、JR西日本、JR四国による三者協議の初会合が行われた。
この際JR側からの主に以下の提案がなされた。
  1. 山陽新幹線と直通運転を行うこと
  2. 運営主体をJRとすること(なお西日本あるいは四国のいずれかとする)
  3. 営業キロについては、JRの基準に従うこと(実キロと異なることを許容すること)
  4. 運行については手野鉄道との連絡を考慮すること
これに対して、手野鉄道からJR2社への提案はその主なものでは、以下のようなものであった。
  1. 手野鉄道高速線と直通運転をすること
  2. 運営主体を手野鉄道あるいは新たに設立する会社に行わせること
  3. 運行については手野鉄道及び山陽新幹線、並びにJR在来線との連絡を考慮すること
  4. 新幹線を用いて貨物輸送をする際は、旅客運送の邪魔をしない程度の本数とすること
これらを下地として、会合が数十回行われたとされる。
1994年、手野鉄道、JR西日本、JR四国の三者協議の結果、以下のことが合意された。
  1. 施設及び線路その他付属施設は原則として新社が保有すること
  2. 運行は手野鉄道高速線、JR西日本山陽新幹線との連絡を密とできるようにすること
  3. JR四国管内はJR四国の在来線との連絡が可能であること
  4. 岡山駅の始発は山陽新幹線岡山駅とし、例外としてJR西日本が管理すること
  5. 関連自治体の承認、協力及び協議によって線を決定すること
  6. 四国新幹線路線による貨物輸送は、四国新幹線による旅客輸送に障害とならないこと
  7. いずれの会社も親会社とならないこと
  8. 上記の他は運輸省告示に従うこと
  9. 上記の他は三者協議によって決定すること
などである。
この合意をもって、1994年4月1日、合同四国新幹線建設・保有株式会社が設立された。
社名は後に変更され、線が建設終了した時点で、現在の社名となった。
なお、後は変更後の社名である『四国新幹線保有株式会社』と記す。
ちなみに、手野鉄道高速線は、岡山駅と児島駅の間に直通運転が可能なように路線が設置されることとなった。

1995年、手野鉄道、JR西日本、JR四国の3者協議、関連自治体として岡山県及び四国4県の知事会の拡大協議が行われる。
この時点で、大まかな建設計画は決定していた。
なお、1996年、さらに運輸省告示が行われ、大阪から岡山の間の指定は解除された。
以下の表は、1996年運輸省告示によって3者協議によって決定した線である。
線名 起点 終点 主な経由地
四国新幹線 岡山 高知 児島、宇多津、阿波池田
四国縦断新幹線
北ルート
徳島 宇和島 高松、宇多津、観音寺、松山
四国縦断新幹線
南ルート
徳島 宇和島 高知、宿毛
また、所有者が四国新幹線保有株式会社、運営者がJR西日本、JR四国、手野鉄道となることが正式に決定した。
大蔵省が国費投入に否定的であったため、また採算が取れないとして建設を延期してきたこともあり、主要出資者からできるだけ国の関与が除かれることとなった。
この結果、上記のように、四国新幹線保有の出資割合が決定された。
また、上記の運輸省告示に基づく路線名が3者会議及び拡大協議によって決定された。
それが、現在の路線名となる四国新幹線と四国循環新幹線である。
これらの理由から、四国循環新幹線は、正式には四国縦断新幹線の南北ルートと分裂しているが、運営上は循環路線として扱われることとなる。
出資は会社設立時点で3分の1ずつを手野鉄道、JR西日本及びJR四国が、1996年の年末までに、上記の出資比率となるように出資金額が調製された。
なお、全国新幹線鉄道整備法第6条による指名については以下のように行われた。
営業主体
JR西日本株式会社、JR四国株式会社、手野鉄道株式会社
建設主体
四国新幹線保有株式会社

また、同時に同法第7条による整備計画が決定され、上記四国新幹線、四国縦断新幹線南北ルートが一括して整備新幹線として整備計画が決定された。
このことにより、1996年から工事は着工した。
なお、建設はフル規格で行われることとなった。

これらに沿って、1996年4月1日に設立総会を実施し、四国新幹線保有が設立された。
同日、登記が行われ、事業が始まった。
資本金の払い込みは1か月後までにすべて完了した。

2001年、運輸省から国土交通省へと再編された際、四国新幹線保有へと参画することが決定された。
このため、各営業主体から一部の株を購入する形で日本鉄道建設公団が経営に参画することとなった。
日本鉄道建設公団は2003年に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構となったため、この株はそのまま引き継がれた。


路線

四国新幹線の路線は、狭義の四国新幹線と四国循環新幹線の2つに分かれる。
少なくとも四国各県の県庁所在地を経由することとなったため、新幹線の建設は、大きく4つのステージに分かれることとなった。

第1ステージは岡山と宇多津の間の建設である。
瀬戸大橋及びその他の土地がすでに予定地としてあったため、この建設は比較的容易に行われることが想定されていた。
現在ある施設を改修あるいは取り壊し、建設を行うため、7年を見込んだ。
第2ステージは、宇多津から高松及び松山への建設と、それと並行して行われる宇多津から高知へとつながるための建設である。
このステージ以降はほとんど用地がないため、その準備からとなる。
また、宇多津から高知の間は四国山地を通過することとなるので、そのための工事も難航が予想された。
一部の工事が第1ステージと並行して行われるものの、おおよそ10年を見込んだ。
第3ステージは高知から及び高松から徳島へと接続するための路線の着工である。
この時点で、第1ステージである岡山と宇多津間の運転は実施されることとなっており、それと継続して建設が行われることとなっていた。
計画では、先に高松と徳島間が完成し、次いで高知から徳島間が完成するものとされる。
そのため、徳島と海部の間の工事が第3.5ステージとして行われており、高松と徳島間が完成してから着工することとなっている。
第4ステージは松山と宇和島の間の工事である。
第4ステージ完成時点で四国縦断新幹線北ルートは完成する。
第3ステージと第4ステージは合わせて10年を予定している。
また、第4.5ステージとして高知と宇和島の間の工事が行われており、この工事が完了した時点で四国縦断新幹線南ルートが完成する。
そして、全体の完成をみるまでには、おおよそ25年前後かかるという計算であった。

2017年時点で、現在以下の線区が完成している。
大区分 路線名 記号 概要
高速線 四国新幹線 - 岡山-児島-宇多津-阿波池田-高知
四国縦断新幹線
北ルート
- 徳島-高松-宇多津-観音寺-松山
四国縦断新幹線
南ルート
- 窪川-高知-安芸
なお、四国新幹線中、児島駅から宇多津駅の間において、瀬戸大橋を通過する。

また、四国新幹線貨物輸送については、全量手野貨物による輸送となっている。
輸送主体は手野鉄道が行う。


駅一覧

以下の駅一覧は、四国新幹線、四国縦断新幹線の南北ルートに分けて表記する。
なお、駅名が灰色表示になっている駅は現在事業中の駅である。

四国新幹線
駅名 所在県 乗換駅
岡山駅 岡山県 JR岡山駅
手野鉄道岡山駅
山陽新幹線岡山駅
(手野鉄道高速線岡山駅)
児島駅 JR児島駅
宇多津駅 香川県 JR宇多津駅
四国縦断新幹線北ルート宇多津駅
琴平駅 JR琴平駅
阿波池田駅 徳島県 JR阿波池田駅
大歩危駅 JR大歩危駅
土佐山田駅 高知県 JR土佐山田駅
高知駅 JR高知駅
(とさでん交通高知駅前停留場)
四国縦断新幹線南ルート高知駅
四国縦断新幹線北ルート
駅名 所在県 乗換駅
徳島駅 徳島県 JR徳島駅
手野鉄道徳島駅
四国縦断新幹線南ルート徳島駅
板野駅 JR板野駅
三本松駅 香川県 JR三本松駅
志度駅 JR志度駅
高松駅 JR栗林駅
宇多津駅 JR宇多津駅
四国新幹線宇多津駅
観音寺駅 JR観音寺駅
伊予三島駅 愛媛県 JR伊予三島駅
伊予西条駅 JR伊予西条駅
今治駅 JR今治駅
伊予北条駅 JR伊予北条駅
松山駅 JR松山駅
(伊予鉄道JR松山駅前停留場)
伊予大洲駅 JR伊予大洲駅
八幡浜駅 JR八幡浜駅
卯之町駅 JR卯之町駅
宇和島駅 JR宇和島駅
四国縦断新幹線南ルート宇和島駅
四国縦断新幹線南ルート
駅名 所在県 乗換駅
徳島駅 徳島県 JR徳島駅
四国縦断新幹線北ルート徳島駅
阿南駅 JR阿南駅
牟岐駅 JR牟岐駅
甲浦駅 高知県 JR甲浦駅
室戸駅 なし
安芸駅 土佐くろしお鉄道安芸駅
高知駅 JR高知駅
(とさでん交通高知駅前停留場)
四国新幹線高知駅
佐川駅 JR佐川駅
須崎駅 JR須崎駅
窪川駅 JR窪川駅
黒潮駅 土佐くろしお鉄道土佐入野駅
土佐清水駅 なし
宿毛駅 土佐くろしお鉄道宿毛駅
愛南駅 愛媛県 なし
津島駅 なし
宇和島駅 JR宇和島駅
四国縦断新幹線北ルート宇和島駅
四国新幹線貨物路線
駅名 所在県 分岐駅
岡山大型貨物駅 岡山県 岡山駅
宇多津貨物駅 香川県 宇多津駅
高知貨物駅 高知県 高知駅
今治大型貨物駅 愛媛県 今治駅



車種

車種としては、JR西日本及び手野鉄道が開発した車両を使用しているほか、JR四国が独自に開発した車両を使用する。


指令所

四国新幹線では、独自の指令所を設置し、山陽新幹線及び手野新幹線との相互運転を行っている。
指令所は2か所設置されているが、その位置は公表されていない。


社史



組織図


最終更新:2020年12月31日 10:32