Tatecs ISOコンサルティング ISO認証取得・維持支援 タテックス有限会社 舘 喜久男

ISO9001システム改善

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なぜ経営管理のシステムにならないのか           | サイトマップ

 経営者が、経営改善のために苦労しているにもかかわらず、なぜ導入したISOが真に経営のためのシステムとはならないのでしょうか。  その理由として、規格の理解不足や、手法の活用方法の問題もあります。しかしここでは、より根本的な要因として、当事者の意識の問題に着目します。 「ISOを経営に役立てる」と言うと、反対する人はいません。しかし、多くの会社のISO関係者がやっていることを見ると、とても経営を意識しているとは思えない状況を目にします。

 上記のような取り組みを続けた結果、ISOが形骸化して、新たな成果が得られないと悩んでいる企業がたくさんあります。確かに、力のある企業だったら、何年かたてばISOで決めたルールは守れるようになります。しかし、企業の経営上の課題は尽きないはずです。表面的な適合や不適合の改善を乗り越えて、経営的な視点でシステムを改善すれば、本当にやるべきこと、成さねばならないことが見えてきます。  しかし、現状では仕事が増えただけでISOが役に立っていない企業がたくさんあります。このような組織は、経営とISOを分離して考えているはずです。経営上のメリットの視点で見直してみれば、何が必要で何がムダかが見えてきます。  今、ISOの認証に向けて取り組まれている企業は、本当の目的を見失うことなく、ISOによる会社の大改革を成功させてください。そのためには、他社の取り組み事例などから学んで、自社のISO見直しのヒントをつかんでください。  そして、ISOの活動がマンネリ化を招いてしまい、思考停止の状態に陥っている企業は、タテックス有限会社のコンサルティングを受け、システム運用改善に着手しようではありませんか。お気軽にお問合せください。

経営の役に立つISO9001へ

 それでは、実際にISO9001の認証を受けた企業ではどうなっているでしょうか。残念ながら、多くの会社では、全社の経営方針、事業目標とは別に、ISO審査用として品質方針や品質目標があったりします。  そして、会社の他のマネジメントとは別に独立させて、ISO用に品質マニュアルや規定などの文書がつくられていたりします。これでは、とてもISOが経営の管理手段として、効果的に活用されている状況であるとは言えません。 仮に、品質保証、トラブル防止、コミュニケーションなどで役立っているとしても、その扱いはせいぜい現場の業務管理システム止まりです。  「ISOを経営に役に立てる」というのは、このような現状を打破し、システムを改善することで、ISO9001を経営方針の実現の手段あるいは経営リスクの低減の手段として、有効活用することです。

"Output Matters" とパフォーマンス

 ISO9001:2008の追補改正版でキーワードとされていたのが”Output Matters”です。 ”Output Matters”とは「ISO9001が提示する品質マネジメントシステムは、要求事項を満たした製品を一貫して提供し、顧客満足を向上させるためのものであると適用範囲に規定されているにもかかわらず、現実にはISO9001に適合していると判断されていても要求事項を満たす製品を提供できないことがある」という問題提起からきています。  規格の本体への変更も検討されたものの、今回の改正では序文で品質マネジメントシステムの有効性が強調されたに過ぎませんので、ISO9001:2008の勉強した人でないと ”Output Matters”を知らない人も多いことでしょう。

 「パフォーマンス」という言葉には非常に多くの定義があり、その言葉を使う人によって、パフォーマンスの意味する内容が異なる場合があります。マネジメントシステムでは、どのように定義されているのかといいますと、ISO9001:2008解説5.1の文章にある「成果、結果などだけでなくその過程も重要であるとの認識から」という表現です。  ここでは、過程と結果をひとかたまりのものとしてパフォーマンスという概念を捉えています。「組織のマネジメントの測定可能な結果」とは、目標や目的だけではなく、そこへ行き着くまでの過程も含めたものと捉えたほうが、より定義に則した解釈と言えそうです。ISO14001やOHSAS18001の定義にも同様のニュアンスがあります。


クレーム処理、苦情処理はまたとない顧客とのコミュニケーションの機会

 苦情が発生するのは確かに好ましい事態ではありません。しかし、その機会を利用して顧客に深い印象を与え、長期安定的なリレーションの構築に結び付けている事例も多くあります。苦情処理の迅速さ・巧拙が、取引維持・拡大か顧客喪失かの分かれ目となり得るのはまぎれもない事実です。
 苦情を受け付けて適切に対応し、その機会を利用して逆に顧客とのリレーションを深めるためには、経営者が自ら進んで顧客の声を聞き、場合により陣頭指揮で迅速な解決に当たるなど、積極的に動くことが望ましいことは言うまでもありません。
 企業の製品・サービスに対して不満を持っている顧客の数は、経営者が思っているより、はるかに多いと考えてよいでしょう。一説には、不満を持つ顧客のうち苦情を言うのは4%で、あとの96%は、ただ怒って二度と来ないだけであると言われています。 表面に現われる苦情よりも、潜在的な苦情の方がはるかに多いのが現実なのです。
 本来、顧客はわざわざ労力をかけて苦情を申し立てるほど、その企業のことを思ってくれてはいないということです。苦情を言ってくれる顧客は貴重な存在です。企業にとって苦情の情報は、お金を払ってでも入手したい大事な情報であるはずです。
 顧客に苦情を簡単に申し立てることのできる機会を提供すれば、一気に苦情の洪水が流れ込んでくるかもしれません。その上で、苦情を誠実に取り上げ解決するという姿勢を見せて、継続して実績を挙げれば、顧客はその企業を評価しロイヤルティを高めることも可能なわけです。
 優れた企業はこのことに気がついて、日常業務の中で顧客が苦情を言いやすい環境を準備しています。たとえば、簡単なアンケート調査票や「お客様ご要望メモ」のような用紙の配布と回収、フリーダイヤルの苦情処理センターの設置などです。また企業側のアクションによって定期的に実施されるCS調査も、顧客に苦情申し立ての機会を提供する良い手段として、重要な位置を占めています。

顧客満足度把握の方法と顧客満足度データの活用

 顧客満足度を把握する方法と顧客満足度データの活用は、経営システムを改善していくうえで非常に重要です。顧客満足(CS)経営は、何よりも事実を把握することを出発点とする経営なのであり、継続して把握し分析される客観的なCSデータが大きな意味を持っています。また、企業が顧客の声を聞く姿勢を行動で示すこと事態が、顧客志向の経営を実践していることを対外的に示す良い機会になります。
・顧客満足度の把握は、定期的に、できるだけ客観的なデータが得られるよう工夫して実施されなければなりません。客観的なCSデータを把握し分析することは、CS経営の実践において絶対に必要なことです。
・収集するデータの内容についても、本当に意味のある顧客二ーズの切りロや良いアイディアを提供するものなのかどうか、常に検証した方がよいでしょう。
・データの量に関しては、多くのものが収集できればその方がベターです。あまりにも少ないサンプル数に基づいて分析を行い、改善の基礎データとするのは、統計学的にも危険があります。
・顧客満足度を把握する調査方法は、通常のマーケティング等の調査方法と同様であり、色々な種類があり得ます。 基本的には簡単な方法で十分であり、必ずしも大規模な情報システム装備を必要としません。 具体的には、調査票への回答記入を顧客に依頼する方法(調査票の配布・回収について、調査員の直接訪問による方法、留置法、郵送法などがある)、電話インタビューを行い調査員が聞き取った回答内容を調査票に記録する方法、フォーカス・グループ・インタビューによる自由な討議を記録する方法、随時得られた CS情報をデータベースに集積する方法などが利用されます。CSの最大化を目指す以上、何よりも顧客満足度の把握方法が優れていなければなりません。
・CSデータは、適切な方法を用いて客観的に把握され、かつ組織全体を通じて活用されることで、CS経営の実践に貢献します。データを収集しただけでは意味がありません。分析して、活用してこそ意味があるのです。

マネジメントシステムは形骸化避けて通れない、それを乗り越えれられるか否か

 形骸化を招いてしまうのはISOのマネジメントシステムだけではありません。年金制度など社会的な制度、就業規則など社内の制度にも当然あり得ます。 社会や会社の集団を取り仕切っているルール(制度)は、よほどの手入れがないと形骸化が避けられないものと捕えたほうが良さそうです。

 人間は社会や会社の中で集団生活をし、活動しています。そうした鳥合の集団をまとめて秩序を作るのには何らかのルールが必要になります。 このルールのひとつが万人に対して適用される法規法令や規則であり、人間の活動を円滑に営むための決めごとを定型化・定式化したものが制度です。

 その制度の恩恵にあやかりその利点を享受できるのは、その制度の本来の趣旨や意図に沿った人や組織であるはずですが、制度の脆弱性につけ込んで、体裁だけ整え、手っ取り早く、ときには不正に制度に滑り込む人や組織が出てきます。

 内部監査などで、書式やチェックリストを用い、所定の決めごとを満たしているか、形式的、表面的に点検し、そのプロセスが制度の決めごと(要求事項)に則っていれば、誰も結果にノーと言いようがないわけです。その結果が、本来の趣旨や意図に沿っているかどうかを客観的かつ公平に判断するのは極めて難しいのです。

 それから慣れの問題、楽をしたいという制度崩しの傾向も見逃せません。例えば、人間関係においても、同じタイプの人間が集まり群れを作ります。なぜかと言えば、自分が理解しやすい人間と一緒にいることが楽だからです。そうやってあらゆることに、人間は楽な選択をしがちです。  確かに日本の企業では、上司が具体的な指示をしなくても、部下は上司が言わんとすることを察して行動する「あうんの呼吸」もあり、無駄の少ない快適なコミュニケーションが、日本の企業文化にも浸透しています。

 ところが、人間が楽をしようとして作ったはずなのに、そのシステムに縛られて、運用が形骸化・マンネリ化するのは、人間のもうひとつの性質 「慣れ」 によるものです。ISOも本来、仕事の効率を上げて、質を高めるものだと理解していますが、その根底には、システム化することで楽で快適に仕事をしたいという人間の本来の性質が見られると思います。

 マネジメントシステムを確かなものにするために、文書や記録、手順書などが存在するのですが、業務がうまく回っていると、それらは見慣れてきてその意味が希薄化します。  工場やサービス業の現場では、作業も慣れてくると、見間違い、錯覚、見落としなどが生じます。現場レベルからISO事務局、さらには経営層にまでマンネリ化はどこからでも忍び寄ってきます。しかし、これらの行動はISO自体に問題があるのではなく、人間本来の性質なのです。楽な選択はうまくいっているうちはいいのですが、刺激がなくなるばかりか、向上心を奪ってしまう場合もあります。

 しかし、人間には、マンネリ化を乗り越えるさらに上位の精神が存在します。  「心理学者A.H.マズローは、欲求五段階説で、人間の欲求は5段階のピラミッドのようになっていると指摘しています。 即ち、(1)「生理的欲求」、(2)「安全の欲求」、(3)「親和の欲求」、(4)「自我の欲求」、(5)「自己実現の欲求」の5つです。

(4)は他人に認められたいという欲求、最上位の(5)は創造的活動や自己の成長を追求する欲求です。人間は常に向上したいと思っていて、そのための努力も惜しみません。もしマネジメントシステムの運用に形骸化があるなら、人間はそれを克服するためにさまざまな工夫をすることでしょう。

 最近の経営環境は非常にきびしくリーマンショック、高齢化、少子化、新産業育成の遅れなどが重複して発生し、経済は右肩下がりの時代です。  こうした経営環境の変化に対応するため、人員削減による一人あたりの労働力の負担増加のほか、企業の合併や統廃合、再編、アジアへ事業所移転など、さまざまな職場環境の変化に、従業員の心身にかかる負担は大きくなっています。  急速な社会の変化の中で、効率的で、人間にとって快適なマネジメントシステムを作り上げるために各社の取り組みはさまざまです。

 ここで自社のマネジメントシステムが形骸化に襲われていたらどうしたらいいか、ISO事務局やマネジメントシステム管理責任者のレベルでの対処法を考えてみましょう。  ISOマネジメントシステム推進のリーダーには 「ここはもうちょっと改良できるな」という精神を持つことが大事です。今は分業化が進んで、自分個人での業務の改善が難しくなってきています。それをシステムとして業務を怠らないように改善していくことが必要です。  勿論、マネジメントシステムの仕組みを改善するには、経営学など多面的な勉強や経験も必要になってきます。併せて組織の人材のモチベーションを高める工夫も大事になってきます。  これまで見慣れたマニュアル、規定、手順書、様式集を新しい視点で再構築するには、いろいろなケースを知っていることや訓練が必要です。

 そのためにはタテックス有限会社のように、ISOに精通したプロのコンサルタントのアドバイスを得ることも非常に有効です。当社はマネジメントシステムを改善したい組織を応援するため日々、研究を重ねています。是非、お気軽にお問合せください。必ずや御社の事業発展に寄与できると確信しております。

あなたの会社のISOは 経営の役に立っていますか?

 新たに事業を起こして成功する企業はほんの一握りです。そして成功した事業を維持していくのも大変なことです。せっかく、良い製品やサービスやビジネスモデルがあるのに、組織はなかなか経営者の思う通りには動いてくれません。従業員は、やるべきことを分かっていないし、危機感も足りないし、教育訓練も足りないし。経営者の悩みは尽きません。  この時、ふと耳にしたISO。これを導入すれば、方針が徹底され、ルールが守られ、改善が進む……かもしれない。  でも、そうは簡単にうまくはいきません。確かに良くなった部分も多いが、期待したほどではない。表向きには「ISOをやって会社が変わった」と話すものの、本音では「やっぱり、そんな都合の良い話はないよな」というのが、多くの経営者の感想でしょう。  しかし、中にはISOの導入で、真の経営改善に成功した企業もあります。それでは成功した企業と、中途半端で終わった企業とでは、いったいどこがどいう違うのでしょうか。

日本の品質マネジメントは 外的変化に対応し切れているか

日本企業の品質マネジメントに関して品質コストという観点から考えてみましょう。日本企業は収益率が低いことが問題提起として挙げられます。ROAやROEについて、欧米企業と比較してみると、1980年代はとそんなに遜色がなかったそうです。 それが21世紀に入ると大きな差が生じてし まっています。

日本はものづくりの技術力のレベルが高いにもかかわらず、収益率が低いのは、品質コストという観点での経営に問題がある指摘しています。 そこで、品質コストという会計のモノサシを使って、日本企業の、「品質第一主義」「ゼロディフェクト」といった考え方を見直す必要があると指摘している学者もいます。

ここで品質コストとは、

  • 不具合などの問題を発生させないための品質管理活動に伴うコストと、
  • 製品に問題が生じた際の失敗コスト の2種類からなります。
    この 両者を足したコスト、これを総品質コストと呼びます。 実は欧米と日本企業では考え方が異なっていました。ゼロ ディフェクトといえども不具合をゼロにすることはできません。逆にゼロにしようとすると膨大な費用がかかります。

    日本企業において、直視しなければならない問題は、失敗コストが増加傾向にあるということです。 その実例として、ソニーやパナソニックのバッテリの回収や三菱自動車のリコールやなどは莫大のコストが掛かっていますが、まさに品質に関するリスクの典型例だといえます。
    こうしたリスク に関するコストが多大になっているのは、消費者の安全・安心の意識が高くなったこと、製品ライフサイクルが短かくなっていること、技術の高度化していること、グローバリゼーション競争が熾烈なこと、顧客などからの評判等が関係していると言えるでしょう。
    このような状況下で、品質管理コストも上昇しており、総品質コストが上がっている現実があります。

経営においてISOの果たす役割

 ISO9001の目的は、「品質の良い製品やサービスを提供して、顧客の期待に答えること」です。当然、その先にあるのは、顧客の信頼を得て、売上げを伸ばし、事業を発展させることです。  品質マネジメントシステムで管理するのは事業の核となる活動ですから、ISO9001が機能しないことには、会社の経営方針の実現はありえません。 ISO9001で実現しようとする「方針及び目標」とは、会社の「経営方針及び経営計画」そのものであり、その中の製品(サービス)、組織、顧客に関する部分です。  一方、ISO14001(環境)、ISO27001(情報セキュリティ)、ISO22000(食品安全)、OHSAS(労働安全)などのマネジメントシステムは、会社の経営に重大な影響を与えるリスクと社会的責任を取り扱っています。これらへの対応を、経営方針の一部として組み込み、展開することで、会社全体の活動とし、経営リスクの低減と社会的責任の実行を図るものです。

ISO9001:2015、現在の品質マネジメントシステムをどのように見直したらよいか?

認証取得している組織のなかで、① 1994年版、2000(2008)年版の考えをひきずっている組織、② 要求事項のみでシステムを構築している組織、③ラベル・看板のためにのみ取り組んでいる組織、④規格の適用除外、認証範囲の部門除外を必死になって考えている組織、⑤今活動しているマネジメントシステムと、認証のためのマネジメントシステム双方を持つている組織などは、この2015年版を契機に見直しを行い、顧客要求事項及び適用される規制要求事項を満たした製品を一貫して提供する能力をもつことを確実にしていくことが期待されています。品質マネジメントシステムの見直しでは、下記のチェックをしてみましょう。

1.品質マニュアル他を用いて、自社の品質マネジメントシステムを説明できますか?
2.規格要求事項目に抜けはありませんか?
3.認証範囲に対応した組織となっていますか?
4.「製品実現のプロセス」は、提供する製品(サービス)保証に適切なプロセスですか?
5.「製品実現のプロセス」を支援プロセスや活動が明確ですか?
6.特定したそれらの活動が適切に運用されていることの確認は実施されていますか?
7.問題や苦情があったときに、適切な対応がなされていますか?
8.方針、目標を含めて、適切な運営がなされていることを確認していますか?
9.立案した目標を含め、きちっと改善がなされ、企業としての向上が見られますか?
10.マネジメントシステムが、仕組みとして有効に機能していることが確認できますか?
11.顧客満足は実現できていますか?企業としての理念は、実現できそうですか?
12.事業プロセスとISOとの統合が進んでいますか?"
 現在、タテックス社では、ISO9001の品質マニュアルへの書き換えサービスを実施しております。文書のスリム化、実態に合った内容への書き換えなど、他のコンサルタントなどが構築したシステム改善でも請負しております。サービス内容はお客様との相談により対応しております。お気軽にお問合せください。

適切なQMSの設計は、品質目標達成と改善のメカニズムを実現する

「マネジメント力としてISO9001が取り扱うべき事項(品質マネジメントシステム規格とマネジメント力)」について考えてみましょう。
QMSを適切に設計するとはどういうことを指しているのでしょうか。 規格の要求事項に適合する仕組みをつくることがQMSの設計だと捉えているケースが多いことがあげられます。第三者認証取得を第1に考えるとそうなってしまいます。
規格の読み方次第でこうした捉え方がされていると考えられますが、ISO規格にはこのような内容は書かれていないという解釈が正しいでしょう。
では本題に戻り、「QMSが適切に設計されていればどういう結果が期待されるか」について考えててみましょう。
QMSが適切に設計されていれば「QMSに組み込む品質目標達成及び改善のメカニズム」の実現につながるといえるのではないでしょうか。

この品質目標達成及び改善のメカニズムの実現については、次の4つが必要になってきます。

  • 「顧客及びの製品の明確化」
  • 「想定すべきリスクの特定」
  • 「ネットワークとコミュニケーション」
  • 「 PDCAループ(仕組み)」

「顧客及びの製品の明確化」について

品質目標にも関係してきますが、マネジメントシステムが適切に設計されていればQMSのスコープの明確化、いわゆる「顧客及び製品の明確化」にもつながってきます。
さらに適切なQMSの設計については、システムレベルという観点も重要です。その理由は、組織自身、目標とするQMSの到達レベルが決まっていない状態でISO 9001の要求事項だけを見ていても適切な設計はできない、ということが言えるからです。

「想定すべきリスクの特定」について

想定すべきリスクを特定するまでの過程で、取り扱うべきリスクの検討も行います。そこで、「そもそもシステムを設計する」とはどういうことでしょうか。「適切なQMSの設計」に関して検討するにあたって、この意味をしっかりと確認しておく必要があります。
いろいろな意見があるでしょうが、「システムを設計するとは、システムに内在されているある種のリスクについてどういうことをやるか事前に決めておくことである」と結論づけることができます。

「ネットワークとコミュニケーション」について

QMSに組み込む品質目標達成及び改善のメカニズムの実現のための要素のひとつとして「ネットワークとコミュニケーション」の観点も重要です。
品質目標の達成及び有効な改善のメカニズムが実現するには、各システム要素が機能的に連携するためのネットワークや コミュニケーションの構築が不可欠だからです。 また、この両者が機能しない場合、将来に向けてのシステムとしての学習能力が機能不全に陥る、いわばシステムそのものの有効性が高まっていかないことになるからです。

ISO9001 beyond

 企業にとって常に改善していかなければならない3大要素に、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)があります。そしてこの Q、C、Dは、個別に独立したものではなく、相互に関連しています。ISO9001はこの中で、Q(品質)に限定して要求事項を述べています。しかし、経営コンサルティングの場面は、むしろコスト低減が最も多いといえます(つまり、企業が最も強く改善を感じている領域はコストかもしれません)。  この事実に対して、「品質以外は要求事項ではないので、別のシステムにすべきだ」と思っておられる企業が多いのも事実です。 ISO9001は2000年版から、「品質マネジメントシステム」というより「顧客満足のためのシステム」と原則にも書いてあります。この視点から考えるとISO9001の要求事項ではないけれども、重要な関連領域・システムは数多く存在します。  当然ですが企業はQ(品質)、C(コスト)、D(納期)のバランスの取れたマネジメントシステムを持つべきです。  その実現のためには、一つのシステムであっても、複数のシステムであってもよいでしょう。そうすると、選択肢のひとつとして「ISO9001の要求事項のよさをベースにして適用できる領域には横だし、上乗せしてシステムを構築することが浮上します。  ISO9001の要求事項の良さとして、P・D・C・Aサイクル、プロセスアフローチ、目標管理、是正&予防処置など継続的改善を構成するツールが挙げられます。これに付加する対象としては、「.販売、利益、コスト管理」「納期管理(製造業における生産管理)」「新商品/新サービス開発管理」「提案型の営業システム」「社内改革システム」などが考えられます。

 このようにISO9001に横だし、上乗せしてシステムを構築しても、規格要求以上のことを規定していることに対して、審査員は過剰だから、不適合ということはありません。審査員は規格要求事項に適合しているか(網羅しているか)を見て指摘をしますが、過剰なシステムに対して指摘するのはコンサルティングと判断されるので指摘できないはずです。  上記の5つのシステム拡大の例は、規格要求上からは玉虫色ですが、規格要求に含まれていると判断しても不自然ではありません。一方、御社がこれらの拡大システムにするメリットを感じられるなら、経営改善のために「横だし、上乗せ」して、実施をマネジメントし、審査員にも審査してもらってもよいのではないでしょうか。私を含めた多くの審査員は、経営改善を考慮した「横だし、上乗せ」は歓迎致します。しかし、この希望は、ISO9001だけの専門家では審査することが不可能になります。経営コンサルタント(中小企業診断士などの公的な資格と実務経験を持つプロのレベルの人)であり、かつ、ISOの審査員としてもプロとしての力量をもつ人に評価してもらうのがよいでしょう。


ISO9001システム運用改善に関するQ&A

Q1
ISO9001:2015への移行において、現在の品質マネジメントシステムをどのように見直したらよいか?
A1
 認証取得している組織のなかで、① 1994年版、2008年版の考えをひきずっている組織、② 要求事項のみでシステムを構築している組織、③ラベル・看板のためにのみ取り組んでいる組織、④規格の適用除外(1.2)、認証範囲の部門除外を必死になって考えている組織、⑤今活動しているマネジメントシステムと、認証のためのマネジメントシステム双方を持つている組織などは、この2015年改正版を契機に見直しを行い、顧客要求事項及び適用される規制要求事項を満たした製品を一貫して提供する能力をもつことを確実にしていくことが期待されています。品質マネジメントシステムの見直しでは、下記のチェックをしてみましょう。~
~
1.品質マニュアル他を用いて、自社の品質マネジメントシステムを説明できますか?~
2.規格要求事項目に抜けはありませんか?~
3.認証範囲に対応した組織となっていますか?~
4.「製品実現のプロセス」は、提供する製品(サービス)保証に適切なプロセスですか?~
5.「製品実現のプロセス」を支援プロセスや活動が明確ですか?~
6.特定したそれらの活動が適切に運用されていることの確認は実施されていますか?~
7.問題や苦情があったときに、適切な対応がなされていますか?~
8.方針、目標を含めて、適切な運営がなされていることを確認していますか?~
9.立案した目標を含め、きちっと改善がなされ、企業としての向上が見られますか?~
10.マネジメントシステムが、仕組みとして有効に機能していることが確認できますか?~
11.顧客満足は実現できていますか?企業としての理念は、実現できそうですか?~
Q2
品質目標の設定、管理方法の改善を行うにはどうすればいいのか
A2
  QMSを活用して経営改善する上で、最も重要な点は「トップマネジメントのリーダーシップ」「マネジメントレビュー」「経営資源の準備」「人の育成」「継続的改善」「内部監査」「業務改善」などいろいろ答えが考えられます。QMSを経営改善に生かすには、「適切な品質目標を設定し、確実に達成すること」です。「適切な」とは、
・企業の当面の課題に対する的を射た品質目標
・経営成果(利益、コスト、業務改善、顧客満足、信用)につながっている
・努力しなければできない達成レベル(値)
・確実に達成するために、達成のための手段を明確にし、実施計画(達成スケジュール)を立て、実施の管理を確実にすることです。
 ここでISO9001の要求事項を確認してみましょう。
1. 規格要求「5.3品質方針」では、c)項で「品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える」とあります。トップマネジメントは、自社の経営改善につながる品質目標を立てて、改善活動をするための枠組み(方向性、領域)を明示する必要があります。この枠組みは抽象的過ぎず、具体的過ぎないのが望ましいでしょう。品質方針と整合の取れた品質目標を設定するために重要であるともいえます。
2. 規格要求「5.4.1品質目標」には、「品質目標は、その達成度が判定可能で、品質方針との整合がとれていなければならない」とあります。トップマネジメントが、品質方針の中で明確にした「品質目標設定の枠組み」に従って、各部門などで品質目標を設定することを要求しています。
3.規格要求「5.4.2品質マネジメントシステムの計画」では「品質目標満たすために、品質マネジメントシステムの計画を策定する」とあります。
 ISO9001の要求事項に含まれていない項目であっても、企業の経営改善につながるのなら、必要なことは採用するべきでしょう。
品質目標は「品質目標項目を決める」「機会損失から目標値を決める」という考え方があります。「品質目標項目」とは、何を対象に改善活動をするかです。言い換えれば、どこに改善余地があるか、何が問題かということになります。ここでの「目標値」はどの程度かを決めることを指します。その目標を決める時の一つの発想方法が「機会損失」です。機会損失とは、機会があるのに、実施していないことによる損失という意味で、ここではやればできるのに現在実施していないことを発想することです。
 次に重要なことは、品質目標達成のための「手段」です。これは「具体的には何をして、目標を達成するのか」ということです。実は先の「機会損失」との関連が深いのです。手段を達成したときに得られる成果の合計が目標値になりますが、この段階では、品質目標値を上回る手段を発想しておくのが望ましいでしよう。
 なぜなら、手段はすべてが思惑通りに実施できるとは限らないからです。実施計画は目標達成のためのスケジュールですが、具体的には、設定した手段ごとにスケジュールを明確にすることになります。
 立てた計画通りにはなかなか進まない、これが現実でしょう。実施の管理では「手段」の項目ごとにPDCAを回すことになります。PDCAを回すことで目標を達成していくことこそがマネジメントシステムであると考えてください。 この機会に経営成果を得るためには、御社にとって何が重要かを考えて下さい。その一つの解が、品質目標を有効に機能させること、それによって成果を出すことが運用の改善そのものなのです。
Q3
従業員の力量を高めるにはどうすればよいか
A3
力量とは、業務を行なう上で必要な知識・技能・経験のことである。ISO9001では、製品サービスを提供するのに関わる人の必要な力量を明確にすることを求めている。力量を満たすように教育・訓練を実施することが求められている。
 「力量」は英語で"competence"つまり、能力とされている。よく「企業は人なり」と言われる。企業経営は、”人”と”システム”である。なぜなら企業が成長するためには、「人の成長」と「システムの成長」が必要だからである。また、システムを成長させるには、人の力量が必要である。したがって、システムの継続的改善のためには、人の力量の継続的レベルアップが必要となる。
 人の力量について規格6.2.2の力量、教育・訓練及び認識では、「製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量」を求めている。人は設備と異なり、新人が入り、年配の人は退職し、または途中退職もあるので、継続的レベルアップが自然には保証されていないからである。
 人材の育成項目(力量のニーズ)を、適切にリストアップし、マネジメントの仕組みを活用して経営成果につなげることが極めて重要である。それに対応するために、ISO9001の6.2.2をうまく活用されることが、「QMSを経営改善に生かす」ためのポイントになる。
 しかしながら、力量のところで、企業の対応として望ましくないパターンとして、次のようなことが指摘できる。
1. 社内の資格制度を作成し、「Aさんは○○の力量があるから□□の仕事に従事させている」ことを審査員に見せるためのリストとして管理されているが、そこには、力量を向上するという概念が希薄である。
2. 社内資格を明確にして、管理をしているが、力量のニーズ(育成項目)に向上が見られない。
3. 力量のニーズが作業者中心であり、管理者の力量のニーズ項目がリストアップされていない。
4. 個人別の力量マトリックスを作成しているが、そのマトリックスの整備が目的になり、新たなニーズが見出せていない。
5. 公的資格に終始している。
企業によっては、教育後にテストをしたり、レポートを書かせたり、評価点をつけたりしている、大切なことは「次につなげるための今回の教育の評価」である。
 私は内部監査員を中心にした力量の向上のための研修を実施している。つくづく思うのは、内部監査員、社員の力量の向上は企業にとっては永遠の課題であり、一朝一夕にはいかないということである。その意味から「力量の向上は一日にしてならず」なのである。
そのためには的確なマネジメントサイクル(PDCA)を維持することが重要である。P・D・C・Aサイクルを回すにはQMSが最も適切なツールである。したがって御社でも社員の育成のためにぜひともISOを上手に活用下さい。
Q4
審査機関を変更できますか?
A4
審査機関の変更は可能です。それまでのサーベイランスの実施サイクルの時期もそのままに移行できます。審査機関の営業や担当コンサルタントに相談してみましょう。
 ところで御社は期待される審査員像をお持ちでしょうか。それは御社のマネジメントシステムの経営上の位置づけ、マネジメントシステムの目的、期待値によって異なることでしょう。しかし、この読者はマネジメントシステムで経営改善を考えておられるでしょう。その場合の審査員は経営改善につながる審査をしてくれる人でなければなりません。
 御社に来る審査員はいかがですか。規格要求の言葉にとらわれた、経営とは関係が薄い指摘ばかりしていませんか。審査員を変えて欲しい場合は、審査機関に変更依頼ができますし、極端な例としては忌避が可能なのです。
 最近では、アウトプットの成果を重視する有効性審査が少しずつ展開されています。組織としては、有効性審査を期待されているのですが、
 ① 審査員個人の能力不足でできない
 ② 審査機関の審査ルールの縛りが多くて出来ないようになっている
の2つの要因で、結果として実現しない場合が多いようです。①の場合は少し時間が掛かるが、審査に来た人の中から探すか、他社の情報の活用により適した審査員を探して審査機関に希望してみることでしょう。
 一方、②は審査機関の審査のシステムによります。審査システムの悪さを審査員でカバーできるところもありますが、それができるのは審査員の能力がかなり高い場合でしょう。いずれにしても、審査員や審査機関はその気になれば、変更できるのです。
 ところが審査員が変わるというと多くの企業は「いままで指摘されていなかったことを不適合といわれるのではなかろうか」と心配されます。私は「いままでの審査員には発見されなかった御社の改善点が見つかるかもしれませんよ」と推奨しています。一つの選択肢として、検討すべきでしょう。
 審査機関は、その審査機関の審査員から学ぶことが多くありそうな場合は、引き続きの審査を依頼し、学ぶべきことが少なくなったら審査機関を変更するというスタンスでよいです。御社は高い審査料を払っているのですから選ぶ権利があります。
Q5
審査で指摘されたことを役立てるにはどうすればよいか?
A5
審査で指摘された不適合や推奨や改善の機会の提供を経営の改善に活かすためのポイントを以下に述べてみます。
 まず挙げられるのが、マネジメントシステムの改善点を探してもらうことです。審査員はコンサルティングが禁止されているし、規格要求事項以外では指摘できないけれども、改善点に気づくことは多々あります。
 しかし、審査員として良かれと思い指摘をしても、受審企業の中にはまったく聞く耳を持たないで自社の妥当性を強調される場合があります。看板目的の登録であれば、それでよいでしょうが、推奨されるスタンスとしては、審査員に「経営改善につながる審査のアウトプット」を求めることでしょう。
 例えば、初回会議で、「経営改善につながる審査のアウトプット」を期待していることを伝えることです。実際、私はこれを経験して、かなりプレッシャーを感じて審査をした経験があります。高い審査料に見合ように審査員の持てる力を最大限に発揮してもらうことを希望するのです。
 例えば、管理責任者が、審査員に対し「3件以上の不適合(システムの改善点)を見つけてくれ」と依頼したとします。そうすると審査員は必死になって指摘を探してくれます。社外の審査員を外力としてのうまく活用するのです。
 また単に文書化された指摘事項にのみ対応するのでなく、いかに審査員から多くのものを吸収するかというスタンスが非常に重要です。
 ISO規格では、マネジメントレビューのインプットとして「監査の結果」を要求しています。おそらく多くの企業のマネジメントレビューでは、審査結果報告書が提示されたり、そのポイントが報告されたりしているのでしょう。
 要はその中身が大切で、有効なアウトプットにつながっているかどうかです。審査結果の中で、当社のシステムの改善のネタになりそうなこと、当社製品、サービスの改善のネタになりそうなことを、単に審査報告書からだけでなく、審査員の話、審査を受けたときの審査員とのやり取りの中での気づき事項などを御社のマネジメントシステムの改善のネタとして、マネジメントレビューでインプットしているかということです。

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