キャノンボール(Cannonball) / サミュエル(サム)・ガスリー (Samuel Zachary Guthrie)


初出:Marvel Graphic Novel #4: The New Mutants (1982年)
種族:ミュータント、地球人、アメリカ人、男性

能力

体から高熱のエネルギーを発し、ロケットのように高速で飛行できる。
この状態ではほぼ不死身で、あらゆる攻撃を受付けない。
これはブラストフィールドと呼ばれる一種のバリアによるもので、集中力を要するものの推進力を発生させずにバリアのみの展開も可能である。
最初は脚からエネルギーを放出するだけだったが、その後全身のどこからでも出せるようになった。
手から発することで、近距離用のエネルギー攻撃を行うこともできる。
(US-Avengers誌ではスクィレルガールのアイデア。ただし後ろに吹っ飛ばないように、スクィレルガールが押していた。他にもX-Force vol.1 #41やX-Men Vol.2 #203等でも使用している)

一時期、敵の打撃攻撃を吸収・無効化しつつ自分の(ブラストフィールドによる)打撃力への変換もやっていたが、最近はとんとご無沙汰である。

概要

ニューミュータンツの創設メンバーの一人*1。後にダニエル・ムーンスターと共に共同でリーダーを務めたこともある。
当初は他に飛行能力を持つ者がいなかったため他のメンバーを抱えて移動したり、高い突進力・防御力を生かした切り込み役を任せられることが多かった。
初期は性格のせいなのか、飛行中によそ見をして周辺の木などに激突することもあった*2

エクスターナルという、不死のミュータントの一人である。
ソウロンによって胸を刺し貫かれて死亡した時も数分後には復活した。
だが後々、実際にエクスターナルの一人であるセレーネはこれを否定。
師匠にあたるケーブルも噂に過ぎないと断じた。
と思っていたら、ウィリアム・ストライカーによって
胸に三発の銃弾を撃ち込まれても無事生還(病室送りになったが)。
冗談めかしくビーストは『彼は不死身だよ』と言ったらしいが真相はいまだ不明である。

経歴

オリジン

ケンタッキー州、カンバーランド*3生まれ。
多くのミュータントが生まれたガスリー家の一人で、他界した父の後を継ぎ、16歳で炭坑夫となった。
炭坑で事故に巻き込まれ、父の友人と自分の命を救うため能力を発現。
ヘルファイア・クラブの一員、ドナルド・ピアースにスカウトされ、ニューミュータンツを攻撃するための刺客にされるが、最終的には人殺しの命令に従わなかった。
X-MENの指導者プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアに良い資質を見いだされ、ニューミュータンツの一員となった。

ニューミュータンツ

学園では早々にサンスポットウルフスベーンと仲良くなり、ダニエル・ムーンスターとも切磋琢磨しあう関係になった。
もともと離陸以降は運任せだった飛行(何かにぶつかるまで止まることができなかった)に関しても訓練を通して軟着陸や、複雑に木々が入り乱れたジャングル内でも飛行可能な技術も習得。

プロフェッサーXに取りついたブルードとの激突を皮切りにヘリオンズセレーネシャドウ・キングに操られたカルマビヨンダーウォーロックの父メイガス、テレポート事故でたどり着いた異次元の未来でのサンスポットとマグマとの対決など多くの戦いを経験。
ある事件で出会ったライラ・チェニーとの交際もスタートし、またマジックサイファーウォーロックら新メンバーやスパイダーマンアスガルドで出会い、後にサムを「心の息子」としたドワーフの王エイトリとその娘キンドラ*4との交流、新たに学園の校長となったマグニートーの指導、ミュータントになることを恐れていた弟の一人ジョシュア(当時はまだ能力に目覚めていなかった)との対話を通して徐々に成長していった。

マグニートーとの決別

その後キャメロン・ホッジが率いる「ライト」の科学者「アニメーター」との戦闘中のサイファーの死、同時期に発生したダラスでのX-MEN壊滅(直後に復活)などが原因でマグニートーニューミュータンツの間に亀裂が発生。
サムも凶悪な宇宙人スパイダーとの戦いの中でライラを失ってしまう(後に実は生きていたことが判明。復縁するが……)。
ニューヨークがリンボー界と化すインフェルノ事件でのマジック離脱の後、マグニートーはヘルファイアクラブとの合流、ニューミュータンツを来るべき人類との戦争における「軍隊」にする意思を示し、それに反発したサムとダニによってチームは学園を離れることになった。

X-ターミネーターズ合流

X-Factorの提案でラスティ・コリンズスキッズブンブンリクターX-ターミネーターズと合流したニューミュータンツだったが、死の女神ヘラに操られたダニが仲間に襲い掛かる。彼女を救うためチームはドクター・ストレンジによってアスガルドにテレポートされ、ヘラの軍勢と対決した。
操られたダニがオーディン(当時は休眠状態にあった)に迫るも、エイトリの援護を受けたサムがダニの剣を破壊。オーディンを殺すために込められていたヘラの魔力が剣から解き放たれたことによって、ダニも含む操られていた者達は解放され、ヘラは撤退していった。

ケーブルとの出会い

ダニは元に戻り、重傷を負ったサムもウォリアーズ・スリーホーガンの持ってきた秘薬「エリクサー・オブ・ライフ」で回復。ニューミュータンツは地球へと帰還しようとするが、ダニは自ら起こした災禍の責任を取るべくアスガルドに残ることを選び、チームを離れてしまった。

地球に帰還したニューミュータンツはほどなくして、チームとサム自身に大きな影響を与えることになるケーブルに出会うことになった。
新指導者となったケーブルの下、かつてのエグゼビア学園の地下を本拠地にサム達は活動を再開。しかし、洗脳されたハボックを含むキャメロン・ホッジの配下達によって仲間の多くがジェノーシャに拉致されてしまう。
X-MenX-factorと共に救出に向かうもウルフスベーンは洗脳された上に人工的に変異させられ、ウォーロックはパワーを吸い取られ死亡。ブンブンリクターは復帰したものの、洗脳の解けたウルフスベーンはジェノーシャ復興のためにチームを離れてしまった。

減り続けるチームの穴を埋めるべく厳しい訓練を積むサム達だったが、今度はリクターがレインを求めて離脱。父を亡くしたサンスポットも父の旧友ギデオンと共に事業を継ぐために離脱してしまう*5

X-Force

チームの存続自体が危ぶまれたものの、ケーブルの要請に応えたドミノ*6ウォーパス、さらに異次元の未来でモジョー5世への反乱を起こすためにX-menに協力を求めて現れたシャタースター、元モーロックスマスクから逃れて基地に忍び込んだフェラルも加わり、ニューミュータンツケーブルの「Get them before they get you(やられる前にやれ)」の信条のもと、積極的な対ミュータントテロ部隊「X-Force」として生まれ変わった。

サブリーダーとなったサムはデッドプールブラック・トム・キャシディジャガーノートとの戦闘を経験していった。ブンブンとも付き合いはじめ、新たな仲間サイリーンもチームに加わるが、アディロンダック山の新たな基地を襲撃してきたトード率いるブラザーフッド・オブ・イビル・ミュータンツとの戦闘中にファンタジアによって能力を一時的に無効化された上、ソウロンに胸を貫かれて死亡してしまう。が、サムはまもなく謎の復活を遂げた。動転するサムに、ケーブルは驚くべき話を語る。

サムが不死身のミュータント「エクスターナル」である可能性、サムが未来において大きな役割を果たすこと、サムを鍛え導くためにケーブルが未来から現れ、ニューミュータンツX-Forceに再編成したこと。

衝撃を隠せないサムだったが間もなく、カナダの超人部隊「ウェポン・プライム*7等との激しい戦いの日々に忙殺されていく。

エクスキューショナーズ・ソング&フェイタル・アトラクション

本物のドミノ救出のためのケーブルの一時離脱、リクターのチーム復帰、サムによる命がけのサンスポット救出劇も終わった頃、プロフェッサーX暗殺未遂事件が発生。嫌疑をかけられたケーブルを信じるX-ForceX-MEN本隊やハボック率いるX-Factorと対立し一時は捕縛されるが、後に黒幕はケーブルのクローン「ストライフ」だと判明。
ケーブルの捨て身の作戦でストライフは倒されたが、ケーブル自身も行方不明になってしまう。指導者を失ったX-Forceだったが、ケーブルの志を継ぐべくプロフェッサーXの元を離れ、サムをリーダーとして独自に活動することを選んだ。

その後、ケーブルが残した衛星基地グレイマルキンを巡ってのS.H.I.E.L.D.との戦いやギデオン達に囚われたサイリーンウォーパスブーマー救出、反ミュータント団体フレンズ・オブ・ヒューマニティに囚われたスキッズラスティ・コリンズ救出などを終えたサム達の元にようやくケーブルが帰還し、無事にチームに復帰した。
しかし喜びもつかの間、かつての師マグニートーグレイマルキンを改修した「アヴァロン」を本拠地に、ミュータント組織アコライツを再編成。レガシーウィルスによって命を落としたイリアナの葬儀に乱入し、宣戦布告する。
プロフェッサーXウルヴァリンジーン・グレイ達を自ら率いてマグニートーとの対決に向かい、サム達X-Forceヘンリー・ピーター・ガイリッチを拉致したレインファイア率いるテロリスト集団「ミュータント解放戦線 (MLF)」との戦いに赴く。しかし相対したMLFの中には仲間だったはずのダニエル・ムーンスターの姿があった。

X-Force卒業

ガイリッチの奪還には成功したものの、彼をかばった際にサンスポットMLFのテレポーターローカスの攻撃で行方不明になり(すぐ後に復帰)、フェラルはMLFの思想に共感しチームから離れる。ダニとはその後のゲームマスターの元でのアップスターツとの戦いで一時共闘することもあったが、結局真意を語らずに去ってしまった。
機械生命体ファランクスによって誕生したダグロックとの遭遇やフェラルの姉ソーンと協力しての暴走するフェラル逮捕などの事件が続いた後、実は潜入捜査のためにMLFに参加していたダニを救出する途中、世界はエイジ・オブ・アポカリプスの世界へと変化してしまう。
一連の事件を終えて世界が元に戻った後、X-MENX-Forceはチームの再編成をすることになり、サムはX-MEN本隊の一員になった。

X-MEN

ウルヴァリンとコンビを組んでの任務を皮切りにX-MENとして活動し始めたサムは、セイバートゥースの息子で反ミュータント主義者のグレイドン・クリードの大統領選挙運動への潜入などにも加わった後、クリスマスを迎えたニューヨークに突如現れ大混乱を起こしたシーアーグラディエーターと遭遇。人々を守りつつ、たった一人で彼と戦うことになってしまう。圧倒されるサムだったが、それまでに得ていた知識と新たに会得した「敵の攻撃から運動エネルギーを吸収し、自分のブラストフィールドのパワーに変換する」能力で撃退。

本当は(機械生命体ファランクスの侵攻があったため)X-MENに助力を求めて来たグラディエーターによって、その場に集まった仲間達*8が宇宙へ旅立つと、(若すぎるとしてグラディエーターから選ばれなかった)サムはサイクロップスジーン・グレイたちと共に地球に残ることになった。

X-Force復帰

しばらくX-MENとしての活動を続けていたサムだったが、後にケーブルから独立しサンフランシスコに拠点を移していたX-Forceに再び加入。サイリーンが負傷によりチームを離れるとリーダーに就任した。

その後、指導者としてピート・ウィズダムが加わりX-Forceは先鋭・過激化するが、サムはメンバーの死を偽装してチームが解散するまで所属し続けることになった。


チーム変遷

その後、X-Corporationなどに参加。マーベル・ナウ!のイベントで、アベンジャーズの一員となった。
その後、サンスポットをリーダーとしたチームが分離しA.I.M.を買収するなどするが、サンスポットの右腕として活躍する。

恋愛

本人はさほどプレイボーイキャラでもないのだが、恋愛エピソードには事欠かない*9
ファイアスターとお互い初キス。
一時、ライラ・チェニーに惚れて、同じ部屋で暮らすようになる。しかし都会育ちで世界的なロックスター(そのうえ泥棒)のライラと、ケンタッキーの田舎育ちのサムの折は悪く、結局分かれる*10
また一時期ウルフスベーンに片思いされていた。
Xターミネーターがニューミュータンツに統合されると、ブンブンと恋仲になる。
また長い付き合いのあったダニエル・ムーンスターともいい関係になるが、ダニがX-Manことネイト・グレイと付き合い始めると、サムが身を引いた。
"Infinity"の死闘の中でスマッシャーのイザベル・ケーンと恋愛関係に発展。
戦後、子どもが誕生する。ついにサム・ガスリーが父となった。
なお、レズビアンカルマはサムについて、「あーいうの絶対あたしのタイプじゃない!」と言っている(サム、かわいそう)。

家族

ガスリー家を参照
炭坑の仕事で、これだけの子供がいて、どうやって生活しているのかは不明である。

トリビア

ケンタッキー州生まれで、ローグ(ミシシッピー州生まれ)と同じく南部出身なので、言葉が南部なまりになる時がある。


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最終更新:2022年06月08日 16:50

*1 厳密には初の追加メンバーだが、創設メンバー扱いされることが多い。

*2 当初は能力を制御できず、自在に旋回・停止・着陸できなかったせいでもある。

*3 実在の地名。自然豊かな……ようはなかなかの田舎である。

*4 異次元ではサムはアスガルドに残留し、彼女と結婚している。

*5 実はエクスターナルの可能性があったサンスポットを利用するためのギデオンの陰謀だった。

*6 当時はコピーキャットの化けた偽物。

*7 ケーブルをストライフと同一視し、X-Force諸共逮捕しようとしていた。父の仇ケーブル(本当はストライフの仕業)を狙うリクターも一時参加。

*8 ビーストビショップガンビットジョセフローグ、ビーストの当時の恋人トリッシュ・ティルビー

*9 むしろ親友・相棒のサンスポットの方がよほどプレイボーイキャラなのだが……。

*10 なおUS-Avengers登場時には、未練があるのか、ライラのTシャツを着ていた。