スカーレット・スパイダー(Scarlet Spider) / ベンジャミン・”ベン”・ライリー(Benjamin "Ben" Reilly)

(キャラクター名、マーベル)

初出:
スパイダーマンのクローンとして: Amazing Spider-Man #149(1975年7月)
スカーレット・スパイダーとして:Spider-Man #52(1994年9月)
種族:事故で変異した人間のクローン、男性、地球人

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概要

ジャッカルによって作られた、スパイダーマンことピーター・パーカーのクローン
初代スカーレット・スパイダーとして有名だが、二代目のスパイダーマンでもあった。
スパイダーマンの歴史上でも悪名高いクローン・サーガの悲劇の主人公。
ピーターに比べて、幾分好戦的な性格として描かれる。

経歴

オリジン

ジャッカルによってスパイダーマンのクローンとして誕生。
ピーターの記憶を植え付けられ、ピーターと全く同じデザインのコスチュームを着て、敵として現れた。
お互いが本物のスパイダーマンだとして譲らない二人だったが、戦闘中にジャッカルの仕掛けた爆弾に吹き飛ばされ、片方のスパイダーマンは倒れてしまった。
死亡したとみなされた「クローン」は「本物」のスパイダーマンによって「死体」を工場の煙突の中に葬られることになった。
が、実は死んでいなかった。なんとか蘇生した彼はピーターとメリー・ジェーン・ワトソンが抱き合っているのを目撃。自分がMJに対する感情を理解できるほど発達していないと気づいた彼は、自身がクローンであると結論付けた。

ベン・ライリーとして

「クローン」はベンおじさんの名とメイおばさんの旧姓をとってベン・ライリーと名乗って生きていた。
自分が価値のないクローンだと思っていたベンだったが、あてのない放浪生活の中で出会った遺伝学者、スワード・トレーナーとの交流の中、新たな自分自身になるべく奮起。一時期は彼の研究室の助手として働き、その後の旅の途中での宿敵ケインとの出会いや、虐待に抵抗した結果父を殺してしまった女性ジャニーン・ゴッドビー*1との交際、自身の罪に耐えかねた彼女の自殺などを経験し、ピーターとは違った人格を形成していった。

ニューヨークを離れて5年後、メイおばさんが脳卒中を患っていることを知ったベンはニューヨークへ戻ってきた。
当時ピーターは度重なる戦いで精神を摩耗し攻撃的になっており、ベンとぶつかり合うことになってしまうが、次第に落ち着きを取り戻し、ベンもニューヨークにとどまることにした。

スカーレット・スパイダー誕生

ある日、街でヴェノムが暴れていることを知ったベンは、博物館で購入した水色のパーカー(袖は自分で破った)と真っ赤なコスチューム、さらに自ら開発していた新型ウェブシューターを装備して出動。
ヴェノムを撃退し、デイリー・ビューグルの記者ケン・エリスによって「スカーレット・スパイダー」と名付けられた。
ベンは次第にピーターとも打ち解け、仲間として、友人として接してもらえるようになっていったが、スワード・トレーナーの元で受けた検査が二人の間に再び波紋を呼んだ。

本物のスパイダーマン

検査の結果は、ベンが「本物」でピーターが「クローン」であることを示していた。5年前、「クローン」と「本物」のスパイダーマンが戦った際、お互いが入れ替わってしまっていたのだ*2
事実を受け入れられないピーターは、ジャッカルのカリオンウイルスによる人類淘汰とクローンへのすり替え計画に協力する道を選んでしまうが、MJやベンの説得もありなんとか自分を取り戻し、最終的にはベンに協力してジャッカルを打倒。

その後ベンはニューウォリアーズに参加するなど、着実にヒーローとして成長。
ピーターもスパイダーマンとして復帰していたが、MJの妊娠の発覚や自身の能力の衰えを感じたこともあり、引退を決意。ベンにコスチュームとスパイダーマンの名を譲ることにしたのだった。

二代目スパイダーマン

当初はスパイダーマンになることを拒否していたベンだったが、スカーレットの姿をホログラムとしてヴィランに悪用されたこともあり、ニューウォリアーズも脱退し、スパイダーマンになることを承諾。髪を金髪に染めて、表向きはカフェ「デイリーグラインド」で働きながらスパイダーマンとして活動をしていくことになった。

ベンおじさんを殺害した泥棒の娘ジェシカとの出会いと別れ、ホブゴブリンミステリオとの戦い、カーネイジシンビオートとの一時的な結合など降りかかる事件をなんとか解決していったが、元恋人であるジャニーンが生きていることが明らかになった。
ベンを苦しめるための手段として、ケインによって自殺を偽装させられ、そのままベンと別れるよう仕向けられていたのだ。
激しい戦いの後ケインは自らの過ちを認めて当局に身を任せ、それを見届けたジャニーンもまた、自分の父親殺しの罪を認め警察に自首し、逮捕された。*3

オンスロートとの戦いで多くのヒーローが亡くなったため、ベンは今では兄弟同然のピーターと共に、彼の復帰について話し合っていた。
一方その頃、かつて協力関係にあったメンデル・ストローム(後のヴィラン、ガント)が実は当時死亡していたはずのノーマン・オズボーンの配下であることを知ったトレーナーは「あの検査」もふくめ、自分が知らないうちにオズボーンに利用されていたことをベンに伝えようとするが、殺害されてしまう。

その後姿を現したオズボーンによって捕らえられたピーターは真実を明かされる。トレーナーによる検査の結果はピーターを苦しませ、狂気に駆り立てるためにオズボーンにより改竄されたものだったのだ。しかしピーターが狂気に耐え抜いたため、オズボーンがついに直接的な行動を決意したと判明。すでにベンも捕まり意識を失っていたため、ピーターとオズボーンによる決戦が始まった。

オズボーンとの激しい戦いをなんとか制したピーターの前に、ベンが現れた。ピーター達が戦っている間に意識を回復したベンは、オズボーンがハロウィンパーティ中のデイリー・ビューグル社内に仕掛けた、カボチャ型の爆弾をかき集めていたのだ。
しかしベンから受け取った爆弾を処理すべくピーターが背を向けた瞬間、意識を失ったと思われていたオズボーンがグライダーを遠隔操作。
グライダーはピーターを狙っていたが、ベンがとっさに間に飛び込み、串刺しになってビルから落下してしまう。

オズボーンを爆弾で吹き飛ばしたピーターはベンの元に向かうが、すでにベンは虫の息だった。
自分を病院に連れて行こうとするピーターに、ベンはスパイダーマンへの復帰を頼み、これから生まれてくるピーターとMJの子*4に「自分」=「ベンおじさん」のことを伝えてほしいと言い残し死亡。
ピーターの腕の中で灰になってしまった。

復活と暴走

密かに生きていたジャッカルによって灰と化した肉体の一部を回収されていたベンは数年後、新たなクローン技術によって記憶を保持したまま復活を遂げた。
しかし肉体は不安定で細胞の分解が発生しており、その治療法を探るジャッカルの手により、感電死、溺死、焼死などあらゆる手段による死と、そこからの再生を繰り返すことになってしまった。
肉体が安定したのは27回目の復活をとげた時だった。しかし、それまでの26回の死の記憶によって精神にダメージを負ったベンは狂気に蝕まれ、暴走。
ジャッカルを死の寸前まで追い詰めたベンは彼をだまし、彼自身が本物のマイルズ・ウォーレンのクローンの一体だと信じ込ませ、配下として使役し始める。
生命と死を司る神「アヌビス」の仮面を被ったベンは新たな「ジャッカル」を名乗り、そのクローン技術を応用した医療関連企業ニューUテクノロジーズを設立。
マイルズ・ウォーレンのクローン達を率いてピーターの救えなかった人々を復活させ、すべての人類を改良されたクローンに置き換える「誰も死なない世界」を作るために暗躍し始めるのだった。

スカーレット・スパイダー再び

一連のニューUテクノロジーズを巡る事件後行方をくらませていたベンはヒーロー、ヴィランの二つの人格の板挟みになりながらラスベガスに移り住んでいた。
「ピーター」を名乗り、コスプレイヤーから奪ったコスチュームで以前よりも暴力的な自警行為をしていたベンだったが、ニューUテクノロジーズの顧客であった実業家カサンドラ・マーキュリーの娘、アビゲイルの病を治すためにしぶしぶながら働くことになる。
しかし、ジャッカルとしてのベンを危険視する二代目スカーレット・スパイダーことケインもラスベガスに現れた。不安定な精神をかかえたまま、ベンは再びスカーレット・スパイダーとして活動し始めるが……。

能力

ピーター・パーカーのクローンであるため、身体能力等は彼と同じ。
ただし、独自に開発したウェブシューターは「スティンガー」と呼ばれる敵を麻痺させるダーツの発射機能や
「インパクトウェブ」という拘束能力の高いウェブ弾発射機能を持っている。

トリビア

  • DCとマーベルのインターカンパニー・クロスオーバー"Marvel/DC"において、両方の混ざり合った世界(アマルガム)に行ったのは、ベン・ライリーの方で、「仕事ではピーター・パーカーって呼んでください」と言っている(つまり本物のピーター・パーカーにはアマルガムの記憶がないはず)。
  • "Marvel/DC"ではスーパーボーイ(スーパーマンのクローン)と戦うが、相手がクローンと知ると驚いている。
  • クローン・サーガはライターにとっても苦労したようで、どう終わらせるかの裏話風の作品"101 Ways to End The Clone Saga"(クローン・サーガを終わらせるたくさんの方法)というものがワンショットで出されている。ライターがブレーンストーミングをして、遂には「スパイダーマンを殺して、死んだスパイダーマンの101通りの使い方を描いたらどうだ」というヤケクソ気味の方向になるが、編集長のジョー・カサーダに相談にいくと、「私は古いやり方が好きだ。ベンが溶ける」と決められ、「そういえばカサーダはまるでグリーンゴブリンみたいな怖い顔してたよな」...ということでそういう結末になった。
  • 二代目スパイダーマンとして活動していた時期はほとんどピーターと同じコスチュームだが、よく見るとブーツ側面の外側のみ赤で、胸のクモマークが大きく足を伸ばし、ウェブシューターがスカーレット時代と同じ、グローブの外に装着するものになっている。


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最終更新:2023年02月10日 10:51

*1 本名エリザベス・タイン

*2 実は入れ替わっていなかった。

*3 ベンが異世界でスーパーボーイと戦ったり、融合したりしたのはこの時期のことだと考えられている

*4 この直後死産だったと明かされる。が、実は生きていてオズボーンの策謀によって誘拐されていた。その後死亡したとされているがその場面は明確には描かれていないので、もしかしたら……?