インクレディブル・ハルク(実写映画)

(映画、マーベル)

公開:(米)2008年6月13日 / (日)2008年8月1日
監督:ルイ・レテリエ

概要

『インクレディブル・ハルク』(原題:"The Incredible Hulk")は2008年のアメリカ映画。マーベルコミックのスーパーヒーロー、ハルクが主人公。マーベル・シネマティック・ユニバースに属する。
2003年に公開されたアン・リー監督、エリック・バナ主演の『ハルク』とはつながりはなく、最初からストーリーを設定しなおす「リブート」された作品。

ストーリー

2005年、ブルース・バナー博士は超人兵士計画の復活に従事していたが、カルバー大学で自らの肉体で人体実験を行った結果、失敗して大量のガンマ線に汚染され緑色の巨人へと変貌。この事故で恋人のベティ・ロスとその父でもあり計画の指揮者で陸軍中将のサンダーボルト・ロスに重症を負わせてしまう。
追われる身となったバナーはブラジルのホッシーニャに逃亡。飲料工場で働きながら柔術道場に通い格闘技と怒りを抑えるための呼吸法を学んでいた。一方でミスター・ブルーを名乗る謎の人物とインターネットでコンタクトを取りながらガンマ線汚染の治療法を探していた。
しかしサンダーボルト・ロスに居場所を知られ、歴戦の兵士エミル・ブロンスキーを含む精鋭部隊が隠れ家を襲撃。工場に逃げ込んだバナーは緑色の巨人と化し、部隊を撃退して逃亡。元の姿に戻ったバナーはグアテマラで意識を取り戻し、メキシコを経由してアメリカのカルバー大学に戻った。

そこでベティに新しい恋人がいると知ったバナーは一度は身を引こうとするが、事件を起こした実験のデータを探している際に偶然ベティと再開。ベティの家で実験データが入ったUSBメモリーを受け取る。一方、バナーの力を知ったエミル・ブロンスキーはサンダーボルト・ロス将軍の指示のもとスーパーソルジャー血清の投与を受け、肉体を強化していた。

バナーが大学でデータを確認しようとしたところでまたもサンダーボルト・ロス率いる部隊の襲撃を受け、バナーはベティが見守る前で変身。軍隊と1人で戦い、強化されたブロンスキーに重症を負わせた。
この出来事を目撃した学生が後でテレビニュースに取材され、「ハルク(廃船)みたいに巨大だった」と答えたことから緑色の怪物は「ハルク」と呼ばれるようになった。

バナーはニューヨークを訪れミスター・ブルーことサミュエル・スターンズ博士に会いハルク化の治療を受けるが、これは一時的に変化を抑えられただけにすぎず、さらに肉体強化を受けて追ってきたブロンスキーに捕まってしまう。
しかしハルクの力に魅入られ、勝利することに執着するようになったブロンスキーはスターンズを脅迫し、バナーの血液サンプルを投与させる。
血清と血液の混合による副作用でブロンスキーはハルク同様怪力を持つ巨大な怪物「アボミネーション」と化し、ニューヨークで大暴れ。
ハルクは大乱闘の末にブロンスキーを捕獲。ベティと別れて逃亡し、カナダのブリティッシュ・コロンビアの森林で隠遁生活を送ることを選んだ。
最終的にはハルク化をコントロールできるようになった描写で物語の幕は閉じる。

登場人物

登場人物

ブルース・バナー / ハルク エドワード・ノートン 天才科学者。実験に失敗し、緑色の怪物ハルクに変身する。
ベティ・ロス リヴ・タイラー ブルースの元恋人。
エミル・ブロンスキー / アボミネーション ティム・ロス 歴戦の傭兵。輸血によりハルクと同等の力を持つアボミネーションへと変身する。
サンダーボルト・ロス将軍 ウィリアム・ハート ベティの父で頑固な軍人。

原作コミックでの各キャラクターの詳細はそれぞれハルクベティ・ロスアボミネーションサンダーボルト・ロスを参照。

結末とその後への影響

ハルクは逃亡し、怒りのコントロールを修行しながら隠遁生活を選ぶ
アボミネーションは厳重な刑務所に投獄される
トニー・スタークがサンダーボルト・ロスを訪ね、「我々はチームを編成中だ」と告げる。

イースターエッグなど

オープニング映像には"Strategic Homeland Intervention Enforcement Logistics Division"とshieldのニック・フューリー名義でバナーの調査報告がある。
同じくオープニング映像にはサンダーボルト・ロスがハルクを捕らえるためスターク・インダストリーに開発させた新兵器のデータがある。
また関係者として"Betty Ross"の他、"SAMSON,DR.L"や学生の"Rich Jones"の名前がある。
リック・ジョーンズは原作コミックでブルース・バナーの友人だった学生。
サムソン博士は原作でドク・サムソンとしてハルクの影響を受け変身能力を得るキャラクターでその正体は精神科医のレオナルド・サムソン。本作ではベティの新たな恋人として「レオナルド」が登場する。ただしその出演シーンは大幅にカットされているとのことで、エンドロールにも"Leonard"としかクレジットされていない。ただしこのオープニングにはベティの関係者として"SAMSON,DR.L""Psychiatrist"という文書が表示されており、レオナルド・サムソンであることが分かるのだが公式にはドク・サムソンと同一人物ではないと発表されている。

本作に登場するカルバー大学は架空の大学だが、マイティ・ソーに登場するジェーン・フォスターイワン・セルヴィクエージェント・オブ・シールドに登場するアンドリュー・ガーナーメリンダ・メイの元夫)など数多くのキャラクターが関連している。
ちなみにバナーがこの大学のコンピューター室に潜入したときピザを食べていた学生は、後にスパイダーマン:ファー・フロム・ホームで教師となっていた人物である。

劇中でエミル・ブロンスキーが使用する血清のラベルには"STARK INDUSTRIES""WEAPONS PLUS""DR.REINSTEIN"の表記がある。スターク・インダストリーとはトニー・スターク(アイアンマン)が経営する兵器会社。ウェポン・プラスとは原作コミックにおいてキャプテン・アメリカ(ウェポンI)から始まり後にウルヴァリン(ウェポンX)を生み出した一連のスーパー・ソルジャー開発計画である。また"DR.REINSTEIN"とはキャプテン・アメリカのスーパーソルジャー血清を開発したアブラハム・アースキン博士のコードネームである。

バナーの通信からミスターブルーの居場所を割り出したのもSHELDの調査網。

ベティ・ロスがバナーに紫色で伸びる素材のパンツを渡し、バナーが苦笑いしながら返すシーンがあるが、この紫色のパンツはコミック版ハルクの定番コスチュームである。

ミスター・ブルーの正体はサミュエル・スターンズという科学者。頭の傷にバナーの血液サンプルがかかり、頭が変異し始めニヤリとするところで登場シーンが終わる。原作ではリーダーというヴィランになるが、現状この伏線は回収されていない。

バナーが最終決戦の前にヘリコプターから落下して変身しようとするが、この落下と変身というプロットは後のシリーズで何度かオマージュ的に使用されている。

バナーがハルクに変身した時の声は1977年のドラマ「超人ハルク」で変身したハルクを演じたルー・フェリグノが担当している。

その他

本作はマーベル・シネマティック・ユニバースに属し、他作品と連動しながら2012年の『アベンジャーズ』へとつながっていくが、ブルース・バナー役のエドワード・ノートンは本作で降板。『アベンジャーズ』ではマーク・ラファロが演じている。

マーベル・シネマティック・ユニバースの中で唯一ユニバーサル・スタジオから配給されている。当時はハルクの映画配給権をユニバーサルが持っており、そのためハルクに関わるキャラクターを主体とする映画をウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズから配給することができなかった。

マーベル・シネマティック・ユニバースでは『アイアンマン>アイアンマン(実写映画)』に次ぐ2作目にあたるが、日本ではアイアンマンより先に公開された。

尚、このトニー・スタークがカメオ出演するのはエンドクレジットの前であり、この作品にはミッドクレジットやエンドクレジットのスペシャルシーンはない。



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最終更新:2022年08月31日 02:36