Civil War: Front Line

(シリーズタイトル・マーベル)

出版:2006年6月〜2007年2月

(Civil War: Front Line#1,2006年6月)

概要

マーベルコミックスの巨大クロスオーバー"CIvil War"のタイ・イン
ヒーロー同士の戦いに終始したメイン誌"CIvil War"を補足し、超人登録法がアメリカにもたらした影響を特殊能力を持たない一般人の視点で描く。
さらには二人の新聞記者、サリー・フロイドとベン・ユーリックが超人登録法を巡る陰謀に迫る。
毎号複数のストーリーが同時進行し、互いに関連し合いながら一つの真実に辿り着く。
複数のストーリーが同時進行するためボリュームが増し、メイン誌"CIvil War"よりもロングランの#11までとなった。
さらに最終回の#11を除いて毎号30ページ以上の増大版になっている。
また、#8までは巻末に実際の歴史の中で戦争の悲哀を綴った詩や物語の引用が掲載され、ストーリー上の出来事とリンクさせるという試みがなされている。


ストーリー

"EMBEDDED"

本誌のメインストーリー。オルタナティブ社の女性記者サリー・フロイドとデイリービューグル社の古参記者ベン・ユーリックの二人の目線でシビルウォーを描く。
登録法反対派の目線で取材を進め、地下に潜るヒーローたちにインタビューを敢行するサリー。
客観的目線での取材を訴えながら、トニー・スタークはじめ賛成派を中心に取材を進めるベン。
二人は超人登録法に関わるヒーローたちを取材する内に、その裏で何者かが糸を引くある陰謀に迫って行く。
サリー・フロイドが登場するという意味では、"M-Day"後のミュータント社会を描いた"Generation M"の続編とも言えるストーリーで、テイストも似ている。

"THE ACCUSED"

スタンフォードの戦いで600人以上の死者を出し、超人登録法制定のきっかけを作ったヒーロー、スピードボール。
彼が逮捕されてから辿る苦難の運命を描く。

"SLEEPER CELL"

とある水棲生物専門店で爆破事件が起き、店主が失踪。
刑事たちがこの事件を調査するが、次第に超人登録法を巡る陰謀へと近づいていく。

登場人物

サリー・フロイド:オルタナティブ社の女性新聞記者。歯に衣着せぬ言動で深く取材対象に切り込む。
ベン・ユーリックデイリー・ビューグル社の古参で敏腕記者。

スピードボール:ティーン・ヒーローチーム「ニューウォリアーズ」のメンバー。スタンフォードでのミッションでヴィランの暴走を抑えられず、600人以上の死者を出してしまう。この事件をきっかけに超人登録法が制定され、ヒーローたちは内戦へとなだれ込んでいく。
シーハルク:怪力を持つ女性でハルクの従姉妹。普段は弁護士として活動し、スピードボールの弁護を受け持つ。

ドナ・アルティエリ:NYPDの女性捜査員。水棲生物専門店の爆破事件を捜査する。
キース・ディクソン:NYPDの男性捜査員。水棲生物専門店の爆破事件を捜査する。
ジョー:水棲生物専門店の店主。爆破事件と共に失踪する。



【これ以降の記述にはネタバレが含まれます。ご注意ください】


各号のあらすじ


#1
スタンフォードの爆発で、一人のカメラマンが死亡した。
彼の名はジョン・フェルナンデス。
ニューウォリアーズの活躍をリアリティテレビのカメラに納めるのが仕事だった。
その葬式のため、ジャーナリストたちが集まった。
その一人はサリー・フロイド。オルタナティブ社の女性記者だ。
もう一人はベン・ユーリック。デイリー・ビューグル者の敏腕記者である。

時勢は超人登録法の制定に向けて動いていた。
葬式の後、サリーの自宅になんとスパイダーマンが現れる。
彼は「ヒーローにも家族がいて、家族を守るためには正体を隠さなければならない」。
そういった葛藤を記事にして欲しいというのだ。

翌日、記者会見が開かれ、アイアンマンが自らの正体を明かした。
一方、ニューヨーク郊外のとある畑に、スピードボールが倒れていた。
彼はニトロの爆発を吸収し、能力を使い果たしていたのだ。
スピードボールはS.H.I.E.L.D.で治療を受けた後、逮捕されてしまう。

引用:第二次世界大戦中、アメリカの施設に収容された日系アメリカ人の詩

#2
スパイダーマンが正体を明かし、デイリー・ビューグル社は大騒ぎになった。
ベン・ユーリックも今や取材対象となり、会社を出ればリポーター達に追われる立場だ。
そんな中、彼の元にピーター・パーカーが姿を現した。

サリー・フロイドはファイアスターに取材していた。
ファイアスターは登録法は家族を危険にさらし、日常生活を危うくすると言う。
去り際に、彼女は引退を宣言してマスクを投げ捨てた。

超人登録法の期日、その夜。
サリーは夜の街でプロジディーと遭遇する。彼は何かを証明するためにマスクを脱がないと宣言していた。
するとアイアンマンが説得に現れ、乱闘の末にプロジディーは逮捕された。

拘置所ではスピードボールが尋問を受けていた。
超人登録を受け入れるならば政府の保護下におかれ、拒否すれば刑務所に送られるという。
しかし何も悪いことはしていないと主張するスピードボールは登録を拒否。
刑務所に送られ、苦難の日々が始まろうとしていた。

記者会見ではスパイダーマンが正体を明かし、ピーター・パーカーは記者からの質問攻めに合っていた。

引用:ジュリアス・シーザーのローマ内戦(civil war)と有名なセリフ「賽は投げられた」。

#3
とある隠れ家で、サリーは地下に潜った登録法反対派のヒーローたちにインタビューしていた。

一方、ベン・ユーリックはバクスタービルでミスター・ファンタスティックにインタビューしていた。
ミスター・ファンタスティックはこれから5年間、コスチュームを着た犯罪者が増加する傾向を予測していた。

フロイドは二人のコスチュームヒーローがケンカしているのを目撃する。
超人登録法反対派のサンダークラップと賛成派のバンタムだ。
戦闘の末、サンダークラップがつい能力を使い、バンタムを丸焼けにしてしまう。
サンダークラップは後悔の念に苛まれながら現場を去った。

刑務所のスピードボールは、他の受刑者から罵倒され続けていた。
シーハルクが弁護士として調停に現れ、法律に則って登録するように勧める。
しかしスピードボールはそれではスタンフォードの爆発をチームの罪と認めることになると言って撥ね付けるのだった。

とある水棲生物専門店では店が破壊され、店主夫婦が失踪していた。
ニューヨーク市警の二人の刑事、アルティエリとディクソンが調査を開始するが、その裏には意外な真実が隠されていた。

引用:第一次大戦の詩人ウィルフレッド・オーウェンの経歴と彼の有名な詩"Futility"

#4
サリーはカフェでベン・ユーリックと議論していた。
ベンの考えでは、サリーが主観的に記事を書きすぎるというのだ。
ジャーナリストは物事を客観的に見なければならない、と。
議論を終えてベンが車に乗ろうとすると、脅迫めいた無記名のメモがあった。

サリーは再び超人登録法反対派の集会を取材していた。
彼らが今後の方針について議論している最中に、アイアンマン率いるS.H.I.E.L.D.の部隊が急襲する。
一方、人目を避けるように家路を急ぐベンの前に現れたのは、刑務所に服役しているはずのグリーンゴブリンだった。
一体、グリーンゴブリンは何の目的で現れたのだろうか?そしてどうやって刑務所を出たのだろうか?

刑務所のスピードボールは受刑者と賭けボクシングの試合をしていた。
だがその試合中、思わぬ出来事がおきる。

水棲生物専門店の爆破事件は調査が進む。
彼らは失踪した店主が外国のスパイだったのではないかと推測するが、要領を得ない。
店主は一体どこにいるのか?そして何者だったのか?

引用:ベトナムに従軍した兵士の想いを歌ったビリー・ジョエルの"Goodnight Sigon"

#5
ベン・ユーリックはデイリー・ビューグル社でグリーンゴブリンについて語り始める。
しかし、編集長のJ・ジョナ・ジェイムソンはグリーンゴブリンが現れることなど有り得ないと否定。
二人は口論になり、ベンは首を言い渡される。

一方、サリーは路上で顔を隠した人物に話しかけられ、「お前は間違った記事を書いている」と指摘される。
短い議論の末に振り向くと、男は消えていた。
オルタナティブ社に戻った彼女の元に、国家安全保障局のエリック・マーシャルと名乗る人物が訪ねてくる。
彼はサリーに路上で話しかけた者は誰か問いただすが、元より真実を知らないサリーは答えない。
ついにエリック・マーシャルはサリーと編集長のニールを逮捕すると宣言した。

スピードボールはデモ隊の罵倒の中、移送される。
彼が送られたのは、異次元の世界ネガティブゾーンに作られた収容施設だった。
彼はそこで、他の超人登録法反対派の面々と合流する。

ワンダーマンの元に、S.H.I.E.L.D.のエージェントが訪れる。
エージェントは失踪したスパイと思しき人物、すなわち水棲生物専門店の店主を調査するように依頼する。
ワンダーマンは断ろうとしたが、半ば脅迫され調査に協力することになった。

引用:血を分けた兄弟でありながら南北戦争で相争った、アレクサンダー・キャンベルとジェームズ・キャンベルの手紙

#6
逮捕され、尋問を受けるサリー。あくまで陳述を拒否する彼女の元へ意外な人物が現れ、ある取引を持ちかける。

ベン・ユーリックはデイリー・ビューグル社を去ろうとしていたがロビーの説得により思いとどまる。
ベンは化学工場での超人登録法反対派と賛成派の闘いを取材していた。
ソーがゴライアスを殺害した後、アイアンマンにインタビューを試みる。

スピードボールはリード・リチャーズの勧めにより、テレビの前で公開討論をすることになった。
シーハルクは思いとどまらせようとするが、聞き入れない。

水棲生物店の店主だった男を追跡するワンダーマン。店主が入った廃屋で、彼は驚くべきものを目にする。

引用:カナダ出身のパイロットで、第二次世界大戦の詩を読んだジョン・G・マギーの詩"High flight"

#7
スピードボールの公開討論を待っていた取材陣。
その中にいたベン・ユーリックは、姿を現したスピードボールが公衆の面前で撃たれるのを目撃する。

拘留中のサリーの許を、かつて彼女が公衆の面前で罵倒したサイクス上院議員が訪ねた。
彼はもしサリーが意見を変えるなら、ここから出すと持ちかける。

ある人物がオズボーン・インダストリーを訪れていた。
彼はグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンに取引を持ちかけ、血液の中に仕込まれたナノマシンを抑圧する薬を与えた。
そのナノテマシンは、当局が常にノーマンの位置や感情を知ることができるというものだ。
オズボーンは取引を承諾し、薬を飲んだ。

拳銃で撃たれたスピードボールは救急車で搬送される。
薄れて行く意識の中、スピードボールは伝えたかった自らの想いを回想する。
その最中、理由不明の放電現象が起き、救急車は事故を起こしてしまう。

水棲生物店店主失踪事件を追う刑事達は、ある廃屋で大量のアトランティス人が爆死しているのを発見する。
そこには、負傷したワンダーマンも倒れていた。
ワンダーマンの供述では襲撃したのがグリーンゴブリンだと言う。

引用:第一次世界大戦で最大の死者を出した”ソンムの戦い”を描いたA・E・ホースマンの詩"Here Dead We Lie"


#8
アトランティス人の大量殺害を取材するベン・ユーリック。
彼は刑事からの情報で、意外な推理を耳にする。
超人登録法賛成派の戦力として雇われたヴィランたちの血液に仕組まれたナノロボットは、スターク・インダストリー製で、スタークが金儲けのために一連の行動を起こしているというのだ。

一方、サリー・フロイドはホームレス風の男からある情報を手に入れた。
男がさらに見せたい物が有るというのでついていくと、サリーはそこで思いがけない人物に出会う。

スピードボールはS.H.I.L.E.D.に搬送され、ミスター・ファンタスティックの検査を受けていた。
銃弾の破片が脊椎を刺激し、その結果スピードボールは新たな能力を引き出される可能性があるという。

アメリカ人に紛れていたアトランティス人が大量に発見され、殺された事件について公開討論の場で説明するため、
アトランティスの使節がアメリカを訪れる。
しかし、公開討論は思わぬ形で決裂した。

引用:イングランド最初の内戦「エッジヒルの戦い」を描いたジュリアン・グレンフィルの詩"Into Battle"

#9
キャプテン・アメリカその人にインタビューする機会を得たサリー・フロイド。
しかし、彼女はキャップの頑迷さに落胆しながらインタビューを終えただけだった。

ベン・ユーリックはトニー・スタークにまつわる噂について、ピーター・パーカーと共に調査していた。
スターク社のコンピューターに侵入すると、確かに歳入が不審な動きをしている。
トニーへの不信を募らせる二人。

リード・リチャーズとトニー・スタークは、アベンジャーズマンションでノーマン・オズボーンの犯行について調べていた。
オズボーンの血液に仕込んだナノマシンが再プログラムされたのは何故か?
トニーは、裏切り者が誰か知っていると宣言する。

ついに超人刑務所ラフトに移送されたスピードボール。
収監者たちは彼を人質にして脱走を企てる。
しかし、スピードボールの新たな能力が発動し、収監者たちは一網打尽にされた。
そして、スピードボールはある決断を口にするのだった。

NYPDの刑事、アルティエリとディクソンは、ノーマン・オズボーンの尋問を続けていた。
しかし、何を聞いてもノーマンは犯行を否定する。
そして何者かが政府の令状を持って現れ、ノーマンをいずこかへ移送してしまった。

この回は実在の文献からの引用はなく、ニック・フューリーが曾祖父を回想する。

#10
サリー・フロイドはミス・マーベルからの情報で、一連の事件の裏にトニー・スタークが関連しているという結論に達する。
同じ結論に達したベン・ユーリックは、自由な発言の場を求め、デイリー・ビューグル社を離脱することを決意した。

スピードボールは、全ての罪をあがなうため、ある悲痛な決断をする。
この回には詩などの引用はない。

#11
ヒーローたちの内戦は、多くの犠牲を出して集結した。
サリー・フロイドとベン・ユーリックは、超人登録法反対派と賛成派、両方のリーダーにインタビューを行う。
まずは投降して収監されているキャプテン・アメリカに。
そして二人は新たな新聞社”フロント・ライン"社を立ち上げる。
最後に、彼らはトニー・スタークをインタビューのため訪ねる。
二人の記者がトニーに叩き付けた真実とは?






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最終更新:2012年11月08日 02:59
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