になし藩国 @ ウィキ
http://w.atwiki.jp/ninashihankoku/
になし藩国 @ ウィキ
ja
2014-07-03T16:12:52+09:00
1404371572
-
になし藩 藝能ショウケース(&仮出張所)/コメント/1
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/105.html
- えーテステス、テスト入力です。 -- (iTA(元になし藩国)) &size(80%){2014-07-03 16:12:52}
2014-07-03T16:12:52+09:00
1404371572
-
になし藩 藝能ショウケース(&仮出張所)
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/1.html
#size(9){アート(笑い)の殿堂}&color(pink){&size(39){になし藩國藝能ショウケース}}
&random_img(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/potitendaisek.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/potitendaiser.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/ajabnr.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/hanobnr.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/himabnr.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/koubnr.jpg,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/RND/yukibnr.jpg)
**ごきげんよう、
ようこそいらっしゃいました
ここはになし藩の文族、技族の作品を放置、、、いえ収録しているページです
ごゆるりと御覧くださいませ。
#size(11){{{掲載作品は、基本的には「アイドレス」「になし藩国」「無名世界観(でアイドレスに絡むもの)」
から題材/テーマを取ったもの、を主に収録しております
(お知らせ:(財務表等は左メニューの下にメニューリストが有ります)}}}
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**巻頭特集&最新の更新
20080616
&color(#FF9930){&size(40){「ミニミニI=D猛レース(仮)」}}
&size(14){になし藩王自らによるミニゲーム企画開発はじまりました。(←メニュー欄、工作室内にリンク設置)}
>完成の暁にはプリンセスぽちに手渡したりしたりすると、喜ぶと思いますよ、はんおー!(たぶん)
>藩民の皆さんも力を貸して下さいね。
&blanklink(「「ミニミニI=D猛レース(仮)」){http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/94.html}
20080616
>**EV115用提出作品仮置頁を作りました
になし藩の華族、文族、技族の方々、是非御自由にお使い下さい [[こちら>http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/95.html]]
(〆切り18日24時)
20080602
&color(pink){&size(35){「プリぽちミュウジアムβ)」}}
&size(17){スタートしました。(←記念館内にリンク設置)}
&blanklink(「プリぽちミュウジアムβ版弌頁」){http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/92.html}
&size(20){「技族さん達の作品3」}&size(17){更新しました。}
&blanklink(「技族さん達の作品3」){http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/91.html}
20080601
&size(20){「文族さん達の作品3」}&size(17){更新しました。}
&blanklink(「文族さん達の作品3」){http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/87.html}
アイドレス2開始以降の作品たちを新規更新いたしました。
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おことわり
もうしわけありませんが、 ページを編集するのは「になし藩」藩民
に限らせていただきます。
作品の投稿は[[こちらの「なんでも掲示板」>http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/cbbs.cgi?no=2]]
にお願いいたします。
になし藩の人も、いきなりこちらに作品を置かず、藩内掲示版で告知、披露のうえ編集ねがいます。
藩の内外を問わず、作品お待ちしております。
よろしければ、コメントいただければ幸いです。
#comment_num
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LINK
[[になし藩国>http://www.emerald.rm.st/ninashi/index.html]]
[[になし藩技族画報(0705以前の絵はここに)>http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/muse/MUSE.html]]
(各リンクから戻る際はブラウザの戻るをお使い下さい>すいません)
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編集人:イタ@になし藩国
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today
&counter(today)
yesterday
&counter(yesterday)
2014-07-03T16:11:02+09:00
1404371462
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イタ+玲音の場合
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/103.html
**蘇るになし藩国
*「イタ+玲音の場合 」
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#image(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/0815fav3.jpg,width=750,title=ファーヴニルと,http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/080809fav2.jpg,blank)
瑠璃や九重がいる区画とは反対側、発掘兵器の置かれている区画で蠢く影が二つ。
人型形体を取っている発掘兵器の肩に乗り、首周りの装甲をいじっているイタと玲音だ。
「ここがこうなって……そうするとこっちが動くようになって……こうか。あれ?」
「そっちじゃなくて、そこの窪みに上の板がずらせる気が。……まるでパズルですわね」
「おお、確かに。これで装甲板が外れました。一枚だけですけど」
余りにも暇なので内部構造の調査と、出来る事なら調整をしよう、という事になったのだった。
なにせこの発掘兵器、未知の──否、遺失技術の塊である。
まだ知られていないのではなく、かつてあって、もう失われた技術。
装甲一つとってもどこがどうなっているのかよく解らない複合装甲で、
何かで打ち付けてあるとか溶接してあるとかではなく、一枚外すだけで何時間もかかっている。
(……おりがみとかが概念的には近いか。正しい手順で開かないと破れる。それをもっと大規模に、硬い素材でやってるわけだ)
おりがみってよりは知恵の輪かな。と玲音は自分の中で近そうなものに当てはめて考える。
結局は正しい手順を踏みさえすれば外れる、ということで──
「ふう、一ヶ所外れればあとは結構簡単ですわね」
玲音が考え込んでいた間にイタががんがん装甲を外していた。
むきだしになった骨格部分がようやく見え始めるが、やっぱり何がどういう構造なのかはさっぱり解らない。
「これがどうやって変形するんでしょうね……」
私服の猫耳メイド服のエプロンで手を拭いながらひとりごちる玲音。
「さぁ。とりあえず動かす分には念じればいいだけですから構造を理解する必要はありませんけれども」
「念じるだけで動くというのはつまり思念を読み取って何らかの形で機動データに変換しているんですよね」
「そうとも限らないのでは?」
例えば──例えば。と二度も念入りに前置きしてイタが続ける。
「この子には意思があって。ついでにテレパシー的な超能力があって。
それで私達が思ったように動いてくれているんだと──
そういう考え方も出来なくはないですわ」
「……まぁ否定はできませんね。なにしろ勝手に増えるようなシロモノですし。
そう考えるとこいつもうちの国民なわけですか」
玲音、肩に座りながらその肩をぽんぽん叩く。
「そうだとしたら迂闊に廃棄できませんね」
その仕草は既に同胞に対するそれであった。
/*/
発掘兵器の調査は進んでいく。
イタと玲音だけでなく、時折瑠璃や月空が混ざる事もあった。
調査が進むとそれなりに手を加える事が出来そうな箇所も見つかり、
いくつか性能的に足を引っ張っていると思われる問題を解消できたりもした。
全ては来るべき時のために。
青森で成し得なかったぽちのための戦い、その時に向かって発掘兵器の調整は進められていた。
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テキスト執筆 九重 千景@になし藩国
(イラスト イタ@になし藩国)
#back(text=戻る,left)
2008-08-15T22:07:50+09:00
1218805670
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月空の場合
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/104.html
**蘇るになし藩国
*「月空の場合 」
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????8002
その日も彼は部屋でゲームをしていた。
他にしたい事はないのかと問われれば、ない。と応えただろう。
彼はゲームが好きだった。恐らく、他の何よりも。
どんなゲームで遊んでいても、ふとした時に思い出す事がある。
彼が昔遊んでいた…と、今としては言うしかないゲームでの出来事だった。
一つの部隊を率いた事。その為に沢山の人と時間を使って準備をした事。
様々な事があって勝てた事。そしてその時に付いてきていた一人のキャラクターの事。
そして彼の居た国の事。
ログを見れば、その時の感情を昨日の事の様に思い出す。良かった事も嫌だった事も。
よせばいいのに、その日彼は今まで自分のした事に関する全てのログを見てしまった。
52308002
ネットの世界を巡るリンクゲートを伝って、月空は旅をしていた。
昔と言うほど前でないある時、彼はになし藩国で執政をしていた。
それなのになんで旅なんかしてるか。
何と言う事はない。戦うのが辛くて逃げ出したのだった。
自分が戦争…と言うか、勝負の類に向いてないことは重々承知していた。
が、それでも何か出来るだろうと、昔摂政のArebに拾われた時から考えていた。
考えては居たのだが…。
その日、彼は久々にその国をこっそりと訪れた。
今更何かするつもりはなかった。…はずだった。
72308002
紆余曲折があったにも拘らず、相変わらずな王女の姿を見た。
るしにゃん王国の空を飛んでた。やっぱすげー。と思った。
13308002
埃を被っていた自分の机を片付けて、よし、と一つ息を吐く。
月空は情報収集を始めた。直接戦闘が苦手なのは変わっていない。
それでも何か出来るだろうと、初めから考えていた事を再び思い出した。
「…よし、一通りオッケー。行こうか。また何かしに」
月空は藩王達の居る執務室に向かった。
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テキスト執筆 月空@になし藩国
#back(text=戻る,left)
2008-08-15T18:25:39+09:00
1218792339
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九重+瑠璃の場合
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/102.html
**蘇るになし藩国
*「九重+瑠璃の場合」
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九重、常日頃からぼんやりしているとか注意力散漫とか言われる人間だが
近頃は輪をかけてぼんやりしていた。
シーズンオフ中でになし藩国には人がほとんどいない。
ただでさえ空虚な空間の、I=D工場の格納庫のすみっこ、
かつてトモエリバーの武器を保管する為に用意されたウエポンラックの横に座椅子を持ち込んで九重はぼんやり座り込んでいる。
──視線を上げれば「がんばって」とマーカーで落書きされた何本ものソードが写りこむ。
トモエリバー用に開発されたこのソード、
大半の武器は機体の廃棄と同時に鉄屑になっていたが
これだけは例外として保管されていたのだった。
主力機がダンボールになってソードが使われなくなっても、
発掘兵器が使用出来るようになってプラズマソードとか振り回すようになっても、
ただ一振りも失われる事なく格納庫のすみっこで鈍い光を放っていた。
九重、これまた私物で持ち込んでいた携帯ゲーム機を脇に置いて、
改めて剣に刻まれた落書きを見た。
それは何の力も無いただの落書きである。
──が、この国の一部の人間はそうは思っていない。
一部の人間は自分が今この国にいるのは運命で、それを導いたのは一筆の落書きである、
と信じ込んでいて、九重もまたそんな人間だった。
剣の群は変わらず鈍い光を放っている。
その鈍い光は加護にも似て、今もこの国を護り続けているように九重には思えた。
「うーんうーん」
剣を見上げる九重の右後方、何が詰まっているのかよくわからないコンテナに腰掛けて唸っているのは瑠璃である。
調べ物でもしているらしく、膝上のノートパソコンをもにょもにょいじっている。
シーズンオフ中はとりあえず格納庫で待機するのが通例になっていた。
唸っている理由もまたいつもどおり。
「……ひめさまの情報ないなー。迷宮の奥の方で見かけたらしい、って聞いてそれきりですよ」
迷宮に行けるくらいには元気になったのかなー、でも何しに潜ってるんだろう。
とか九重に言うわけでもなく呟いている。
同じ場所にいるだけで別々の事をして過ごしている二人ではあったが、根底の目的は全くもって同じであった。
すなわちぽちに何かあった場合に即駆けつけられるように、情報収集しながら待機しているのである。
わざわざ格納庫で待機しているのも機体のそばにいた方が何かと都合が良いだろうという目論見だった。
とは言え肝心の何かがそうそうあるわけもなく、趣味で時間を潰しながら待機しているのに変わりはない。
「うーん、第二王女ですってよ九重さん」
「へー、そんなんいるんですか」
「……姫様にも姉妹とかいるんですね。そういえば、私たちってあのひとのこと、全然知らないですよね……」
九重に負けず劣らずマイペースなこの人物には珍しく物憂げな表情である。
あー、とかえーと、とか前置きして何か言おうとしていた九重も結局うまいこと言えそうにないので言うのをやめた。
九重自身はぽちが戻ってこないかも、とかいう心配は微塵もしていなかったので
「戻ってきたら仲良くなって色々聞けばいいじゃないですか」とか言おうと思ったのだが
それでも心配なものは心配だろうし如何ともしがたいなぁ。と思った故の空回りであった。
気が付けばまた剣を──そこに書かれた落書きを見上げていた。
それは何の力も無いただの落書きだが、ただそれこそが自分と王女を繋ぐものであると信じて、九重は王女の無事を祈った。
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テキスト執筆 九重 千景@になし藩国
#back(text=戻る,left)
2008-08-15T18:07:03+09:00
1218791223
-
「蘇るになし藩国」九重案
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/99.html
*「蘇るになし藩国」
L:蘇るになし藩国 = {
t:名称 = 蘇るになし藩国(イベント))
t:要点 = ぽち,再会を喜ぶ,集まる人
t:周辺環境 =になし藩
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**物語背景
になし藩国という国がある。
この国、ターン8の終盤から首脳陣不在でまともに活動出来ていない。
対緑オーマ戦用に新規アイドレスを提出したはいいものの指揮官不在で戦闘に出る事はなかったり、
ぽちがピンチと聞いて青森まで行った挙句指揮官不在で何も出来ず何も出来なかったりした。
そしてターン9が終わり、それぞれがシーズンオフを過ごす中、「次シーズンの予定があるらしい」という情報が入り──。
----
**それぞれのシーズンオフ
[[・になし+Arebの場合>http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/101.html]]
[[・九重+瑠璃の場合>http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/102.html]]
[[・イタ+玲音の場合>http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/103.html]]
[[・月空の場合>http://www33.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/104.html]]
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**──そして、王の帰還
#div(color=#FF6347){
どんな国にでも大抵は輝かしい時代というものがある。
国に住む者があの頃はよかった と思うような時代。
}
#div(color=#708090){
それはかつてあった日々を偲ぶ憧憬のような。
現状に満足していない不満のような。
これからはこう在りたいと思う希望のような。
そんな複雑な思いが描く幻想である。
幻想であるから、実際は過去を美化しているだけだったり、
そもそも人によって思い描く時代が食い違ったりする。
人には人の歴史があり、国には国の歴史があるので食い違うのは当然の事ではあるが、
になし藩国では概ね全ての住人が同じ時代を思い浮かべる。
#image(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/08081543274A2.jpg,width=760,title=握手っ,http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/08081543274A2.jpg,blank)
&size(11){イラスト イタ@になし藩国}
二人の摂政が藩王を支え、藩王が王女を支え、一丸となって帝国を脅かすものと戦った時代。
藩王の下、王女と共に戦場を駆けた日々こそがになし藩国民の誇り。
例に漏れず大規模に過去を美化しているだけの可能性もあるが、
戦いが終わった平和な時代ではなく、戦い続けたあの頃こそが輝かしい時代であると、
大半の国民がそんな幻想を抱いているのだった。
──はてない国では、幻想は時として現実のものとなる。
/*/
PPGの初陣があると告げられて間もない頃──
長い休暇を終えたになしは執務室に居た。以前と同じように。
シーズンオフで過疎になっていた最中、出迎えたのは一人の摂政と一人の秘書官だけで、それも
「おかえり、藩王さま」
「うむ、留守の間よくやってくれた」
という実に素っ気無いやりとりがあっただけである。
秘書官に至っては頭を下げただけで何も言っていない。が、その瞳には全幅の信頼があった。
「では行くか」
どこへとも言わず歩き出すになしと付き従う二人。
執務室から出てすぐ、廊下の窓から覗く事が出来る中庭には見た事もないI=Dが立っていて、
それだけで三人の意思は一つになった。
すまんが状況がさっぱりなので説明してくれ。と歩きながら言い出したのはになしである。
とりあえずぽちが立つと聞いて戻ってきただけで詳しい事は良く解っていないらしかった。
「敵は評価30のなりそこないが一万、
勝利条件はかのものの討伐を担当するトップエースを守って敵中を突破することである。……だって」
応じた摂政も半分ぐらいしか解っていなさそうな声色であった。
「なりそこないとはなんだ」
「え・・・なんだろう」
「そういえば良く解りませんねぇ」
三人揃って首をひねる。
と、そこに摂政月空登場。
「あ、おひさしぶりですー」
「おー、月空くんひさしぶりー」
「うむ、健勝なようでなにより」
再開の挨拶もそこそこに歩き出す一行。どこに行くのか聞きもせずに月空も加わって四人になった。
「ところで月空くん、なりそこないって何か知ってる?」
「任せてくださいよっ。こんな事もあろうかと色々調べておきました」
元々事務仕事やら裏方の担当が多かった月空が、調査した内容らしい書類を手に説明を始める。
「なりそこないとは、かのものの尖兵のことで、ぶっちゃけどういうものなのかよく解ってないようです。
死に瀕してオーマに覚醒しようとすると汚染されてなりそこないになったり、
絶技使おうとするのも駄目みたいです
AR10以下にならない特殊があるようなのでARの高いI=D群での先制攻撃が有効なはずです」
「待て。かのものとはなんだ」
「え・・・なんでしょう?ラスボス的存在?」
再度四人揃って首をひねる。とことん世事に疎いのがになし藩国の特徴であった。
シーズンオフ中に全く生活ゲームなどに出ていなかったせいでなりそこない騒動から逃れていたが、
おかげでどう対策していいか良く解らないという弊害もあった。
それでもになしは微笑った。戦う前に敵の情報が解っていた事など少なかったなと言い捨てて。
「これまでと同じように、出来る事をやろう。・・・発掘兵器は動かせるか?」
「その辺はイタさんと玲音さんが──」
「勿論問題ありませんわ!」
柱の陰からまるでタイミングを見計らったかのようにイタと玲音が現れた。
「お休み中にフレーム周りの点検とブラッシュアップをしまして、以前よりも調子が良くなってるはずですわ」
「すいません正直出番待ちしてました。
あ、白兵と防御に関しては前より無茶が効くようになってると思います。
具体的には体格評価+2(当社比)くらいで」
「当社比というのが良く解らんがとにかくご苦労だった・・・お前らも変わらんなぁ」
「キャラが薄くなったら負けですわ!」
「自分はイタさんと一緒に出ると影が薄くなるんで御免被りたいんですが」
「お前は十分濃いから安心しろ」
私服のネコミミメイド服である玲音(♂)と、ですわ口調でくるくる縦ロールのイタ(♂)、
ある意味良いコンビではあった。
#ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/0808154327B2.jpg,title=騎士団「おもしろ」組(仮))
&size(11){イラスト イタ@になし藩国}
イロモノ二名を加え、になし一行は再び歩き出す。
進むたびに瑠璃やらコーラルやら下丁やらアイビスやらその他諸々と出くわし、
一言二言会話を交わして合流するうちに藩国の主要人員が全員揃っていた。
真っ直ぐに歩くその眼差しは揺ぎ無く、炎の様に燃える髪をなびかせて進んでいく。彼らの王女の元へ。
----
同日同時、になし藩国内某所──
そんな一行をモニター越しに見る太い影──オタポンである。
『ヘッドライン』にデカデカと踊る見出しに思わず苦笑した。
「・・・再びここにか、フン、あいつらギリギリすぎだな、毎度の事」
#ref(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722otapon.jpg,title=「電子の妖怪」と「電気侍女」)
&size(11){イラスト イタ@になし藩国}
と、グチりながらも、彼の口元は緩んでいた。その自分の表情が旧式介入装置に映っているのを見て、
メガネのレンズを回す、俺とした事が。
「でもまぁ、また連中を弄って楽しめそうだ、ここはまたひとつ協力する(フリ)とするか、くくく」
彼らの近くにいれば「王女萌へー」な彼にとっても美味しいのだった。
そして、自分から見ると「だいぶバカ」で始終「ぐるぐる」している彼らを見ているのは実に楽しい。
「冬」の間、ずっと寝ていたクセに、王女が動き出した途端コレだからな、傑作だよ。
画面に映っているエイジャ兄弟と王女のショットを、王女だけカットペーストしながら彼はニヤリとした。
「さて、こんどはどうやって俺を楽しませてくれるのかな」
『電子の妖怪』はひどく上機嫌なのだった。
----
誰も行き先を聞かないまま、それでも一切の迷いなくになし軍団は中庭に辿り着いた。
王女ががるるるした相手こそがになし藩国の敵である。
になしが戻ってきたように、ぽちも戻ってくるはずだ、という先入観があり、
ということは見たことも無いI=Dは王女の物だろう、と誰一人の例外もなく確信していたのだった。
戦う前には故郷に一度戻ってくるんじゃないか、というたいした根拠もない思い込みである。
──しかしそれは間違っていなかった。
}
#div(color=#708090){
王女の帰還を祝福するかのように吹き荒れる風の中。
えらいことになっているふわふわの金髪を手で抑えて不機嫌そうにしている王女と、
彼女を守護するかのように立つエイジャ兄弟がいた。
#ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/pochiageabros.jpg,title=王女の帰還)
&size(11){イラスト 瑠璃@になし藩国}
「出迎えが遅いっ。しかも風が強いっ」
いきなりやつあたり気味であったがになしはさらっと受け流して笑った。
ああ、これでこそ我らが王女である、と。
「おかえりなさい、お姉さま。冒険はいかがでしたか?」
「あ、うん、た、ただいま・・・まぁ色々あったのよ」
ぽち、何故か顔を赤くして俯いた。珍しくはっきりしない口調でなにやらもごもご呟いている。
聞きようによっては感謝にも謝罪にも聞こえるような単語を途中まで言おうとしては気恥ずかしくてやめる、
といったような事を数度繰り返した頃、になしが見かねたように口を挟んだ。
「お話は今度ゆっくり聞かせてください。・・・ところで、体調が優れないと聞きましたが」
「戦場に立てば、そのようなことは些事に過ぎません」
「話に聞いていたよりはお元気そうで安心しました」
一転して凛とした表情で返事をするぽちに頷き、になしはその背後に立つエイジャ兄弟に視線を向けた。
刹那。兄弟の胸に熱いものが溢れる。
になしの眼を見て、かつてアーカウ要塞でまみえた少年を思い出したのだった。
それは大切なものを護るために一心不乱に突き進む眼差し。
己の信ずるもののために全ての世界の不条理と理不尽に挑み続ける燦然とした輝きである。
「御兄弟、良くお姉さまを守って下さいました。改めて感謝を」
「ハッハッハ、礼には及ばぬ。また世話になるぞ」
セイ、ポージング。
「己の我を通したまでよ。我らも良い経験をさせてもらった」
ファイ、やっぱりポージング。
ぽちを中心にシンメトリーにポーズを決めた兄弟の図は見るものが見れば雄々しく見えただろう。
ごく一部の層にはトラウマ物だが。
「我らになし藩国、改めて王女に忠誠を誓います。戦う事も、それ以外も、
全ては貴女と貴女の意思を体現する為に在らん事を」
「帝国は忠誠を求めません。・・・が、忠誠を拒む事も致しません。貴殿らの忠節を嬉しく思います」
ここでぽちはよそ行きの仮面を脱ぎ捨て、王女ですらなく、ただひとりの人としてあどけなく笑った。
それを見てその場にいた全員に大なり小なり笑みがこぼれる。
かつてあった輝かしい時代、素晴らしい日々が帰ってきたのだと。
「さあ、今一度、全ての悲しみを捻じ伏せて絶望を蹴飛ばしに行きましょう──!!」
*goto 「アイドレス2」
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「蘇るになし藩国」製作スタッフ
テキスト執筆 イタ@になし藩国 九重@になし藩国 月空@になし藩国(五十音順)
挿絵 瑠璃@になし藩国 イタ@になし藩国
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2008-08-15T18:03:25+09:00
1218791005
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になし+Arebの場合
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/101.html
**蘇るになし藩国
*になし+Arebの場合
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「唐突だが余は忙しい」
「あたしも割といそがしいんだけど」
約半年ぶりに顔を合わせたになしとArebの会話である。
しかし会話の内容に反して刺々しいところは二人とも微塵もなく、ただの近況報告のようでもあった。
久しぶりだな、の一言もなく、離れていた時間を感じさせないようなやりとり。
「忙しいんだが、ここで降りたくはない。余の国だ、と胸を張って言えるほど何かを出来たとは思わないが国に愛着もある」
否定すべきか肯定すべきか悩んで、Arebは結局 うん、と頷くだけに留めた。
「だが、今の状況で続けるとなれば前以上に国民に迷惑をかける事になるだろう・・・」
この王の優先順位は1にぽち、次に国と国民で自分の事は4か5かあるいはもっと下である。
自分の意思を通すために国民に無理をさせるのをなにより嫌う王であった。
それが存分に解っていたので摂政は、半ば呆れながら、それでも表情には全く出さずにこう言った。
「じゃあみんなに聞いてみればいいと思うよ」
「そう言うと思って瑠璃に頼んでおいた。皆の意思を確かめてくれ、と」
「・・・皆って割にはあたしなんにも聞いてないけど」
「今聞いてるではないか。それで結果がここにまとめてある」
瑠璃:になし藩で継続希望 まだ色々心残りもありますし。
玲音:なにかと思い入れの深いになし藩国で頑張りたいです。
イタ:になし藩国が在るのなら参加したいと思います。
九重:になし藩で続けたいですが藩王とか摂政が忙しいなら無理にとは。
若月:そんなに参加できないと思いますが幽霊国民でいいなら続けさせてください。
アイビス:になし藩国が続投するなら、になし藩国民で最後まで物語を見届けたいです。
月空:この国が好きなので続けたいです。
「だそうだ。其方はどうする」
「なんか外堀埋められたような・・・まぁ元々やる気だったけどね」
これだけみんなが続けたい、と言ってくれているのに摂政が降りるわけにもいくまい。
そもそも話が来た時点で十分予想できる結果ではあった。
その程度には国も藩王も好かれているはずだし、何より王女をなんとか幸せにしてあげたい、という目標で繋がっているのだから。
「で、藩王さまこそ覚悟は決まった?」
その問いかけに対して、になしは不敵に微笑むだけだった。
それを見て似たような笑みを浮かべたAreb。しかしその顔が即曇る。
「こう、話が早いのはいいけどまだ問題があると思うんだ」
「うむ。指揮官がいない」
「いないねぇ」
以心伝心、というわけではなくものすごい切実な課題なだけである。
になしが最後に指揮を執ったルージュの戦い以降、全てのイベントで
部隊を出しただけとか強制リクエスト受けただけとか非常に芳しくない結果に終わっている。
指揮官が居ても大して変わらなかった可能性もあるのだが、
国の指揮を執る人物がいないせいでスタート地点にすら立っていないという感覚は強く、その辺りの対策は必須と言えた。
「悪いけどあたしはもう懲りたわ・・・暗殺防げなかったのが悔しくてどうにも」
かつてぽち暗殺作戦で総指揮を執ったArebではあったが・・・本人はその事を今でも悔やんでいた。
そもそも人の上に立つ、人に指示を出す事を自分には向かないと思っている少女であり、
かつ自分以外の生き死にがかかる戦争で指揮を執るという事を恐れている節がある。
人の上に立つのが苦手な人間が摂政をやっているのはどうかという意見もあるだろうがそこはそれ、
彼女の人徳の賜物とも言える。普段は暴力振るうイメージばかりだが国民からの信頼は篤いのだった。
「九重さんも前指揮の話振ったとき『自分ボンクラですから・・・』って言っていきなり壁に向かって体育座りしだしたし」
「秘書官偵察作戦とマジックアイテム探しで首吊りたくなったらしいな」
ちなみに九重の実績。
秘書官偵察作戦→僚友二人見捨てて1人だけ脱出。
マジックアイテム探し→無理なリクエスト狙ってあやうく全滅という所でダイスに救われて中間判定。
以上。確かにボンクラを自認してもおかしくはない戦績。
はぁ。と同時に溜息を吐く二人。
「まぁ、いざとなれば余が出る」
「え、ほんと?」
「たぶん出れると思う・・・出れるんじゃないかな。ま、ちょっと覚悟はしておけ」
「藩王宣言きた」
余が出る、と聞いて反射的に笑顔になった直後、急に半眼になって疑わしげな視線を向けるArebであった。
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(テキスト執筆 九重 千景@になし藩国)
#back(text=戻る,left)
2008-08-15T18:00:24+09:00
1218790824
-
になし国国民(仮)
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/100.html
L:になし国国民 = {
t:名称 = になし国国民(職業)
t:要点 = ぽちのプロマイド,赤毛,強そうな瞳
t:周辺環境 = になし藩国
----
----
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
----
****承前
**「になし藩国戦史より、序文」
#div(color=#CD5C5C){
母親が自分の子を愛するようにその体を心配し、父親が自分の子を誇るようにその行いを語る。
になし藩国国民とはそういう民である。
ほかの誰があの人を気にかけるより早く、思う気持ちは誰に関わらず消して負けない。相手が皇帝だろうと、
それが子供でも老人でも確実に口にして憚らない。
になし藩国国民とはそういう民である。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080725granma.jpg,width=600,title=ご先祖様万々歳,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080725granma.jpg,blank)
何のことはない
ただ彼らはあのおてんばな人が好きなだけである。
あの人が国を駆け回ったその日を忘れることなく、ただ笑った思い出をしり、語るのであった。
になし藩国。ぽちによって立つ赤く燃える髪の国。
その根本はただ、好きだと言う原始的な思いであった。
になし藩国という国がある。ただぽちが好きだという国是によりなる国である。
もっとも、そうなったのはごく最近の事ではあるが、今は於く。
かつてはただ領土があるのみの、なんら変哲のない国であった。
その運命が変わったのはすなわち、あのになし藩国炎上である。
運命示すイクドラシルが伸びて定めるのはやはり運命であったといえよう。
この時よりになし藩国はただのぽち姫ファンをやめた。
全て民はその瞳に赤熱するが如き意志を宿し、その髪は燃え上がるような赤を宿すようになったと、
当時の学者は記している。
(テキスト執筆:Areb@になし藩国)
----
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
&size(50){&color(#cccccc,#ff3300){&bold(){になし国国民}}}
&size(30){&color(#ff6633){|緋色の燃ゆる髪と瞳の民}}
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
----
2008-07-31T21:59:56+09:00
1217509196
-
「蘇るになし藩国」イタ案B
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/98.html
*「蘇るになし藩国」
L:蘇るになし藩国 = {
t:名称 = 蘇るになし藩国(イベント))
t:要点 = ぽち,再会を喜ぶ,集まる人
t:周辺環境 =になし藩
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
----
****承前
**「になし藩国戦史より、序文」
#div(color=#CD5C5C){
母親が自分の子を愛するようにその体を心配し、父親が自分の子を誇るようにその行いを語る。
になし藩国国民とはそういう民である。
ほかの誰があの人を気にかけるより早く、思う気持ちは誰に関わらず消して負けない。相手が皇帝だろうと、
それが子供でも老人でも確実に口にして憚らない。
になし藩国国民とはそういう民である。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080725granma.jpg,width=600,title=ご先祖様万々歳,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080725granma.jpg,blank)
何のことはない
ただ彼らはあのおてんばな人が好きなだけである。
あの人が国を駆け回ったその日を忘れることなく、ただ笑った思い出をしり、語るのであった。
になし藩国。ぽちによって立つ赤く燃える髪の国。
その根本はただ、好きだと言う原始的な思いであった。
になし藩国という国がある。ただぽちが好きだという国是によりなる国である。
もっとも、そうなったのはごく最近の事ではあるが、今は於く。
かつてはただ領土があるのみの、なんら変哲のない国であった。
その運命が変わったのはすなわち、あのになし藩国炎上である。
運命示すイクドラシルが伸びて定めるのはやはり運命であったといえよう。
この時よりになし藩国はただのぽち姫ファンをやめた。
全て民はその瞳に赤熱するが如き意志を宿し、その髪は燃え上がるような赤を宿すようになったと、
当時の学者は記している。
(テキスト執筆:Areb@になし藩国)
}
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*A long time ago
**それは今から一万年?、いやもっと前のこと
「姫様は?」
彼が、短く問う、彼と言うにはあまりに可憐な容貌をした王、「になし」だ。
「はい、脱出艇は、他の王国宇宙船とともに安全圏へと離脱、確認しました、、ずいぶん怒ってらしたようですけど」
「ハハハ、そうか、まいったなァ」
頭を掻く「になし」、真っ赤な顔をして「もう『げーむ』してあげない」と怒っている姫様、
「おねえさま」である彼女の顔が浮かび、思わず笑った、、こんな時に。
「『漆黒の金剛石』の準備はどうか?」 と言いながら、天蓋を出る、そこには
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01m.jpg,width=800,title=ファーヴニル(カラー),http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01m.jpg,blank)
「ほーほっほっほっ、準備万端、クロちゃんはいつでもオッケえ、イチコロでしてよ?王様」
「はははは、いつも愉快なネコミミメイドに御任せあれれれれれれー」
声のほうを見やる、そこに居る『漆黒の金剛石』の剣の峰から飛び上がる2人組
「とう!」「とおっ!」
「あの数奇者どもオオオオオ」 と、頭をかかえている、摂政「Areb」
「あいつら、こんな時にまでーー、帰ったら絶対オシオキしてやる」
「ハハハ、それは良いなセレナ、、帰ってきたらか、、うん、そうしよう絶対ここに帰ってこよう」
西のほうから雲霞のごとく敵が迫り、次第に空を黒く染めつつ在った
「になし」は今から纏うことになるドラゴンメイルに向かい手を上げる
「『漆黒の金剛色(くろのこんごう)』よ、今迄「王国」(誤植にあらず)を護ってきてくれて
ありがとう、そして、これからも「になし」を宜しく頼んだぞ」
「『こんごう』さん、今日も頑張っていきましょー」
「になし」の纏う機体のナビゲーターを勤める「月空」も声をかける、いつものように。
「になし」は殿を任され、今自分とともに在る者達を一人一人を見つめ、目を閉じる
そして「姫」と国民を護るため護衛につけた「城付き騎士」たちの顔を脳裏に浮かべた、、、
また会えたらいいな、、いや絶対会える日が来るだろう
*「往くぞ、諸君」
*「はいっ!、藩王さまっ」
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
*His Story
----
&color(#ff9900,#666666){&size(25){月空は語る。}}
#div(color=#556B2F){
????8002
その日も彼は部屋でゲームをしていた。
他にしたい事はないのかと問われれば、ない。と応えただろう。
彼はゲームが好きだった。恐らく、他の何よりも。
どんなゲームで遊んでいても、ふとした時に思い出す事がある。
彼が昔遊んでいた…と、今としては言うしかないゲームでの出来事だった。
一つの部隊を率いた事。その為に沢山の人と時間を使って準備をした事。
様々な事があって勝てた事。そしてその時に付いてきていた一人のキャラクターの事。
そして彼の居た国の事。
ログを見れば、その時の感情を昨日の事の様に思い出す。良かった事も嫌だった事も。
よせばいいのに、その日彼は今まで自分のした事に関する全てのログを見てしまった。
52308002
ネットの世界を巡るリンクゲートを伝って、月空は旅をしていた。
昔と言うほど前でないある時、彼はになし藩国で執政をしていた。
それなのになんで旅なんかしてるか。
何と言う事はない。戦うのが辛くて逃げ出したのだった。
自分が戦争…と言うか、勝負の類に向いてないことは重々承知していた。
が、それでも何か出来るだろうと、昔摂政のArebに拾われた時から考えていた。
考えては居たのだが…。
その日、彼は久々にその国をこっそりと訪れた。
今更何かするつもりはなかった。…はずだった。
72308002
紆余曲折があったにも拘らず、相変わらずな王女の姿を見た。
るしにゃん王国の空を飛んでた。やっぱすげー。と思った。
13308002
埃を被っていた自分の机を片付けて、よし、と一つ息を吐く。
月空は情報収集を始めた。直接戦闘が苦手なのは変わっていない。
それでも何か出来るだろうと、初めから考えていた事を再び思い出した。
「…よし、一通りオッケー。行こうか。また何かしに」
月空は藩王達の居る執務室に向かった。
(テキスト執筆:月空@になし藩国)
}
----
&color(#ff9900,#666666){&size(22){留守を守り、あるじの帰りを待つ騎士、九重、そして瑠璃}}
#div(color=#00008B){
/*/
九重、常日頃からぼんやりしているとか注意力散漫とか言われる人間だが
近頃は輪をかけてぼんやりしていた。
シーズンオフ中でになし藩国には人がほとんどいない。
ただでさえ空虚な空間の、I=D工場の格納庫のすみっこ、
かつてトモエリバーの武器を保管する為に用意されたウエポンラックの横に座椅子を持ち込んで
九重はぼんやり座り込んでいる。
──視線を上げれば「がんばって」とマーカーで落書きされた何本ものソードが写りこむ。
トモエリバー用に開発されたこのソード、
大半の武器は機体の廃棄と同時に鉄屑になっていたが
これだけは例外として保管されていたのだった。
主力機がダンボールになってソードが使われなくなっても、
発掘兵器が使用出来るようになってプラズマソードとか振り回すようになっても、
ただ一振りも失われる事なく格納庫のすみっこで鈍い光を放っていた。
九重、これまた私物で持ち込んでいた携帯ゲーム機を脇に置いて、
改めて剣に刻まれた落書きを見た。
それは何の力も無いただの落書きである。
──が、この国の一部の人間はそうは思っていない。
一部の人間は自分が今この国にいるのは運命で、それを導いたのは一筆の落書きである、
と信じ込んでいて、九重もまたそんな人間だった。
剣の群は変わらず鈍い光を放っている。
その鈍い光は加護にも似て、今もこの国を護り続けているように九重には思えた。
「うーんうーん」
剣を見上げる九重の右後方、
何が詰まっているのかよくわからないコンテナに腰掛けて唸っているのは瑠璃である。
調べ物でもしているらしく、膝上のノートパソコンをもにょもにょいじっている。
オフシーズン中にも関わらず顔を出すのはこの二人と摂政のArebくらいで、
とりあえず格納庫で待機するのが通例になっていた。
唸っている理由もまたいつもどおり。
「……ひめさまの情報ないなー。迷宮の奥の方で見かけたらしい、って聞いてそれきりですよ」
迷宮に行けるくらいには元気になったのかなー、でも何しに潜ってるんだろう。
とか九重に言うわけでもなく呟いている。
同じ場所にいるだけで別々の事をして過ごしている二人ではあったが、根底の目的は全くもって同じであった。
すなわちぽちに何かあった場合に即駆けつけられるように、情報収集しながら待機しているのである。
わざわざ格納庫で待機しているのも機体のそばにいた方が何かと都合が良いだろうという目論見だった。
とは言え肝心の何かがそうそうあるわけもなく、趣味で時間を潰しながら待機しているのに変わりはない。
「うーん、第二王女ですってよ九重さん」
「へー、そんなんいるんですか」
「……姫様にも姉妹とかいるんですね。そういえば、私たちってあのひとのこと、全然知らないですよね……」
九重に負けず劣らずマイペースなこの人物には珍しく物憂げな表情である。
あー、とかえーと、とか前置きして何か言おうとしていた九重も
結局うまいこと言えそうにないので言うのをやめた。
九重自身はぽちが戻ってこないかも、とかいう心配は微塵もしていなかったので
「戻ってきたら仲良くなって色々聞けばいいじゃないですか」とか言おうと思ったのだが
それでも心配なものは心配だろうし如何ともしがたいなぁ。と思った故の空回りであった。
気が付けばまた剣を──そこに書かれた落書きを見上げていた。
それは何の力も無いただの落書きだが、ただそれこそが自分と王女を繋ぐものであると信じて、
九重は王女の無事を祈った。
(テキスト執筆:九重@になし藩国)
}
----
&color(#ff9900,#666666){&size(22){啓蟄 玲音とイタの場合}}
(啓蟄 - 二十四節気の一つ。 大地が暖まって、冬の間地中にいた虫が這い出てくる頃。)
#div(color=#996633){
瑠璃や九重がいる区画とは反対側、発掘兵器の置かれている区画で蠢く影が二つ。
人型形体を取っている発掘兵器の肩に乗り、首周りの装甲をいじっているイタと玲音だ。
「ここがこうなって……そうするとこっちが動くようになって……こうか。あれ?」
「そっちじゃなくて、そこの窪みに上の板がずらせる気が。……まるでパズルですわね」
「おお、確かに。これで装甲板が外れました。一枚だけですけど」
余りにも暇なので内部構造の調査と、出来る事なら調整をしよう、という事になったのだった。
なにせこの発掘兵器、未知の──否、遺失技術の塊である。
まだ知られていないのではなく、かつてあって、もう失われた技術。
装甲一つとってもどこがどうなっているのかよく解らない複合装甲で、
何かで打ち付けてあるとか溶接してあるとかではなく、一枚外すだけで何時間もかかっている。
(……おりがみとかが概念的には近いか。正しい手順で開かないと破れる。それをもっと大規模に、
硬い素材でやってるわけだ)
おりがみってよりは知恵の輪かな。と玲音は自分の中で近そうなものに当てはめて考える。
結局は正しい手順を踏みさえすれば外れる、ということで──
「ふう、一ヶ所外れればあとは結構簡単ですわね」
玲音が考え込んでいた間にイタががんがん装甲を外していた。
むきだしになった骨格部分がようやく見え始めるが、やっぱり何がどういう構造なのかはさっぱり解らない。
「これがどうやって変形するんでしょうね……」
私服の猫耳メイド服のエプロンで手を拭いながらひとりごちる玲音。
「さぁ。とりあえず動かす分には念じればいいだけですから構造を理解する必要はありませんけれども」
「念じるだけで動くというのはつまり思念を読み取って何らかの形で機動データに変換しているんですよね」
「そうとも限らないのでは?」
例えば──例えば。と二度も念入りに前置きしてイタが続ける。
「この子には意思があって。ついでにテレパシー的な超能力があって。
それで私達が思ったように動いてくれているんだと──
そういう考え方も出来なくはないですわ」
「……まぁ否定はできませんね。なにしろ勝手に増えるようなシロモノですし。
そう考えるとこいつもうちの国民なわけですか」
玲音、肩に座りながらその肩をぽんぽん叩く。
「そうだとしたら迂闊に廃棄できませんね」
その仕草は既に同胞に対するそれであった。
/*/
発掘兵器の調査は進んでいく。
イタと玲音だけでなく、時折瑠璃や月空が混ざる事もあった。
調査が進むとそれなりに手を加える事が出来そうな箇所も見つかり、
いくつか性能的に足を引っ張っていると思われる問題を解消できたりもした。
全ては来るべき時のために。
青森で成し得なかったぽちのための戦い、その時に向かって発掘兵器の調整は進められていた。
(テキスト執筆:九重@になし藩国)
}
----
#div(color=#FF6347){
**どんな国にでも大抵は輝かしい時代というものがある。
**国に住む者があの頃はよかった と思うような時代。
}
#div(color=#708090){
それはかつてあった日々を偲ぶ憧憬のような。
現状に満足していない不満のような。
これからはこう在りたいと思う希望のような。
そんな複雑な思いが描く幻想である。
幻想であるから、実際は過去を美化しているだけだったり、
そもそも人によって思い描く時代が食い違ったりする。
人には人の歴史があり、国には国の歴史があるので食い違うのは当然の事ではあるが、
になし藩国では概ね全ての住人が同じ時代を思い浮かべる。
二人の摂政が藩王を支え、藩王が王女を支え、一丸となって帝国を脅かすものと戦った時代。
藩王の下、王女と共に戦場を駆けた日々こそがになし藩国民の誇り。
例に漏れず大規模に過去を美化しているだけの可能性もあるが、
戦いが終わった平和な時代ではなく、戦い続けたあの頃こそが輝かしい時代であると、
大半の国民がそんな幻想を抱いているのだった。
──はてない国では、幻想は時として現実のものとなる。
/*/
PPGの初陣があると告げられて間もない頃──
長い休暇を終えたになしは執務室に居た。以前と同じように。
シーズンオフで過疎になっていた最中、出迎えたのは一人の摂政と一人の秘書官だけで、それも
「おかえり、藩王さま」
「うむ、留守の間よくやってくれた」
という実に素っ気無いやりとりがあっただけである。
秘書官に至っては頭を下げただけで何も言っていない。が、その瞳には全幅の信頼があった。
「では行くか」
どこへとも言わず歩き出すになしと付き従う二人。
執務室から出てすぐ、廊下の窓から覗く事が出来る中庭には見た事もないI=Dが立っていて、
それだけで三人の意思は一つになった。
すまんが状況がさっぱりなので説明してくれ。と歩きながら言い出したのはになしである。
とりあえずぽちが立つと聞いて戻ってきただけで詳しい事は良く解っていないらしかった。
「敵は評価30のなりそこないが一万、
勝利条件はかのものの討伐を担当するトップエースを守って敵中を突破することである。……だって」
応じた摂政も半分ぐらいしか解っていなさそうな声色であった。
「なりそこないとはなんだ」
「え……なんだろう」
「そういえば良く解りませんねぇ」
三人揃って首をひねる。
と、そこに摂政月空登場。
「あ、おひさしぶりですー」
「おー、月空くんひさしぶりー」
「うむ、健勝なようでなにより」
再開の挨拶もそこそこに歩き出す一行。どこに行くのか聞きもせずに月空も加わって四人になった。
「ところで月空くん、なりそこないって何か知ってる?」
「任せてくださいよっ。こんな事もあろうかと色々調べておきました」
元々事務仕事やら裏方の担当が多かった月空が、調査した内容らしい書類を手に説明を始める。
「なりそこないとは、かのものの尖兵のことで、ぶっちゃけどういうものなのかよく解ってないようです。
死に瀕してオーマに覚醒しようとすると汚染されてなりそこないになったり、
絶技使おうとするのも駄目みたいです
AR10以下にならない特殊があるようなのでARの高いI=D群での先制攻撃が有効なはずです」
「待て。かのものとはなんだ」
「え……なんでしょう?ラスボス的存在?」
再度四人揃って首をひねる。とことん世事に疎いのがになし藩国の特徴であった。
シーズンオフ中に全く生活ゲームなどに出ていなかったせいでなりそこない騒動から逃れていたが、
おかげでどう対策していいか良く解らないという弊害もあった。
それでもになしは微笑った。戦う前に敵の情報が解っていた事など少なかったなと言い捨てて。
「これまでと同じように、出来る事をやろう。……発掘兵器は動かせるか?」
「その辺はイタさんと玲音さんが──」
「勿論問題ありませんわ!」
柱の陰からまるでタイミングを見計らったかのようにイタと玲音が現れた。
「お休み中にフレーム周りの点検とブラッシュアップをしまして、以前よりも調子が良くなってるはずですわ」
「すいません正直出番待ちしてました。
あ、白兵と防御に関しては前より無茶が効くようになってると思います。
具体的には体格評価+2(当社比)くらいで」
「当社比というのが良く解らんがとにかくご苦労だった。……お前らも変わらんなぁ」
「キャラが薄くなったら負けですわ!」
「自分はイタさんと一緒に出ると影が薄くなるんで御免被りたいんですが」
「お前は十分濃いから安心しろ」
私服のネコミミメイド服である玲音(♂)と、ですわ口調でくるくる縦ロールのイタ(♂)、
ある意味良いコンビではあった。
イロモノ二名を加え、になし一行は再び歩き出す。
進むたびに瑠璃やらコーラルやら下丁やらアイビスやらその他諸々と出くわし、
一言二言会話を交わして合流するうちに藩国の主要人員が全員揃っていた。
真っ直ぐに歩き行くその眼差しは揺ぎ無く、炎の様に燃える髪をなびかせて進んでいく。彼らの王女の元へ。
誰も行き先を聞かないまま、それでも一切の迷いなくになし軍団は中庭に辿り着いた。
王女ががるるるした相手こそがになし藩国の敵である。
になしが戻ってきたように、ぽちも戻ってくるはずだ、という先入観があり、
ということは見たことも無いI=Dは王女の物だろう、と誰一人の例外もなく確信していたのだった。
戦う前には故郷に一度戻ってくるんじゃないか、というたいした根拠もない思い込みである。
──しかしそれは間違っていなかった。
}
(ここに瑠璃さん作画中のポチ&エイジャ兄弟のイラストを置きたいです)
#div(color=#708090){
王女の帰還を祝福するかのように吹き荒れる風の中。
えらいことになっているふわふわの金髪を手で抑えて不機嫌そうにしている王女と、
彼女を守護するかのように立つエイジャ兄弟がいた。
「出迎えが遅いっ。しかも風が強いっ」
いきなりやつあたり気味であったがになしはさらっと受け流して笑った。
ああ、これでこそ我らが王女である、と。
「おかえりなさい、お姉さま。冒険はいかがでしたか?」
「あ、うん、た、ただいま……まぁ色々あったのよ」
ぽち、何故か顔を赤くして俯いた。珍しくはっきりしない口調でなにやらもごもご呟いている。
聞きようによっては感謝にも謝罪にも聞こえるような単語を途中まで言おうとしては気恥ずかしくてやめる、
といったような事を数度繰り返した頃、になしが見かねたように口を挟んだ。
「お話は今度ゆっくり聞かせてください。……ところで、体調が優れないと聞きましたが」
「戦場に立てば、そのようなことは些事に過ぎません」
「話に聞いていたよりはお元気そうで安心しました」
一転して凛とした表情で返事をするぽちに頷き、になしはその背後に立つエイジャ兄弟に視線を向けた。
刹那。兄弟の胸に熱いものが溢れる。
になしの眼を見て、かつてアーカウ要塞でまみえた少年を思い出したのだった。
それは大切なものを護るために一心不乱に突き進む眼差し。
己の信ずるもののために全ての世界の不条理と理不尽に挑み続ける燦然とした輝きである。
「御兄弟、良くお姉さまを守って下さいました。改めて感謝を」
「ハッハッハ、礼には及ばぬ。また世話になるぞ」
セイ、ポージング。
「己の我を通したまでよ。我らも良い経験をさせてもらった」
ファイ、やっぱりポージング。
ぽちを中心にシンメトリーにポーズを決めた兄弟の図は見るものが見れば雄々しく見えただろう。
ごく一部の層にはトラウマ物だが。
「我らになし藩国、改めて王女に忠誠を誓います。戦う事も、それ以外も、
全ては貴女と貴女の意思を体現する為に在らん事を」
「帝国は忠誠を求めません。……が、忠誠を拒む事も致しません。貴殿らの忠節を嬉しく思います」
ここでぽちはよそ行きの仮面を脱ぎ捨て、王女ですらなく、ただひとりの人としてあどけなく笑った。
それを見てその場にいた全員に大なり小なり笑みがこぼれる。
かつてあった輝かしい時代、素晴らしい日々が帰ってきたのだと。
「さあ、今一度、全ての悲しみを捻じ伏せて絶望を蹴飛ばしに行きましょう──!!」
(テキスト執筆:九重@になし藩国)
}
----
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
&size(50){&color(#cccccc,#ff3300){&bold(){蘇るになし藩国}}}
&size(30){&color(#ff6633){|緋色の燃ゆる髪の民、再びここに集まる}}
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
----
**「" 冬"のあいだ よく国を守ってくれた。礼を」
「になし」は資源採掘所の監督に礼を言い、握手する、藩王とともに付いて行った報道員たちの
写真機のフラッシュが一斉に焚かれた、下の写真はその時撮られ、とある新聞に掲載されたものである。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722nina2.jpg,width=640,title=ぎゅー。,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722nina2.jpg,blank)
***「アーッ」
思わぬ「ダブルシェイク」に、緊張で固まる監督。
「タイチロー、であったな? これからも宜しくたのむ」
「オオオ、オレの、、いやワタクシの名前を?」
驚きの表情、たぶんこれは感激しているのかしら?と「になし」は思った。
「オレ、24時間掘り続けますっ」「いや休んでくれ、適度に」
何度も何度も顔を下げ、ぎごちなくバネ人形のような動きで鉱区に戻って行く作業監督を見、
になしは、まだまだ「壁」があるなあ、と反省した。
城の皆と一通りの挨拶をしたのち、いま、「になし」は藩国内の各施設を訪問しているのだった。
傍らには「発掘所にあるファーヴニルとやらを見てみたいのですが」と言う「月空」と、摂政のAreb、
そして鉱山大臣に近い役割となった「下丁」である。エイジャ兄弟の薫陶を受け、見事な肉体だ。
もう一人の鉱山担当のイタと、、ファーヴニルの研究主任の玲音は、、、いないな、、まあいいか。
「しかし、じかに見るとやはり大きなものですね」
自らも「お手製」の新聞記事を録るために抱えていた「メモリレコーダー」を降ろし、月空が言った。
「え、ああ、そうだな、余もじかに見るのは初めてなんだ」
「ほほほほほっ、大きいだけではなくてよ藩王さま、あーんど月空さんっ」
「そう、我々が手を掛け、品を掛け、芸を込めっ」
そこでファーヴニルの剣が峰から飛び上がる2人組。
「とうっ」「たあうっ」
残念ながら言葉を繋ぐ前に2人は摂政Arebの「真空蹴り」で轟沈した。
「・・・・・変わりませんねえ」
「・・・そうだな」
「になし」と月空が溜息をつく
「しかし、余は嬉しいよ、みんな変わらずにいてくれて、こうしてまた集ってくれた」
「はい」
ヴヴヴヴヴヴ、と「ファーヴニル」が唸り音を上げる。
発掘時はドラゴン形態であったので、空港や宇宙港に駐機できていた「ファーヴニル」だったが、
今では、「問いかけ」をしない限りは「人型」で居ることが多いので
資源採掘があらかた終わり出来上がった窪地を寝床にさせているのだった。
先日のこと、
「モロ見えですね」との問いに
「いいさ、そうしてうちに真っ先に来てくれれば、よその国の盾になれる、「ねえさま」も守れる」
そう言い「になし」は朗らかに笑ったものだ。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01c.jpg,width=800,title=ファーヴニル(カラー),http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01c.jpg,blank)
「ファーヴニルか・・・・」
「になし」は、実物を見るのは初めてとなるファーヴニルと呼ばれる機体を見上げた。
同じく初見となる「月空」も「それ」を見上げている、腕は立つが戦争ギライである彼にしては珍しく
ファーブニルを見る目はひどく優しかった。
「どうしました?」藩王の視線に気付き
「いや、随分と気に入ってるようなんでな」
「はは、そうですか、、そうなんですよ自分でも驚きです、なんというか初めて会ったって気がしないのです、
昔からの友人に久々に再会したような、、そんな感じなんです」
なるほど、と「になし」
「ふ、奇遇だな、今それを「余」も思っていたところだ」
そして、ファーヴニルに向かい手を挙げた、ファーヴニルも藩王に視線を合わせる
ヴヴヴヴヴヴヴ、、とうなり音、これは「彼ら」の声なのだろう、と「になし」は思った
「ただいま、久しぶりだな、ファーヴニル」
ヴォンヴォンヴォンヴォンヴォン、まるで戦艦のエンジンのような音を上げ、応えるファーヴニル
&size(20){「そうだ、余は再び帰ってきた」}
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エピローグ
**処、になし藩国サーバー領域内
『ヘッドライン』にデカデカと踊る見出しに思わず苦笑した。
「……再びここにか、フン、あいつらギリギリすぎだな、毎度の事」
#ref(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722otapon.jpg,title=「電子の妖怪」と「電気侍女」)
と、グチりながらも、彼の口元は緩んでいた、その自分の表情が旧式介入装置に映っているのを見て、
メガネのレンズを回す、俺とした事が。
「でもまぁ、また連中を弄って楽しめそうだ、ここはまたひとつ協力する(フリ)とするか、くくく」
彼らの近くにいれば「王女萌へー」な彼にとっても美味しいのだった。
そして、自分から見ると「だいぶバカ」で始終「ぐるぐる」している彼らを見ているのは実に楽しい。
「冬」の間、ずっと寝ていたクセに、王女が動き出した途端コレだからな、傑作だよ。
画面に映っているエイジャ兄弟と王女のショットを、王女だけカットペーストしながら彼はニヤリとした。
「さて、こんどはどうやって俺を楽しませてくれるのかな」
『電子の妖怪』はひどく上機嫌なのだった。
*goto 「アイドレス2」
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「蘇るになし藩国」製作スタッフ
テキスト執筆 Areb@になし藩国 イタ@になし藩国 九重@になし藩国 月空@になし藩国(五十音順)
挿絵 イタ@になし藩国
構成 イタ@になし藩国
(20080726現在)
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2008-07-28T13:18:28+09:00
1217218708
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「蘇るになし藩国」イタ案
https://w.atwiki.jp/ninashihankoku/pages/97.html
「蘇るになし藩国」(イタ案)
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*承前
*A long time ago
**それは今から一万年?、いやもっと前のこと
「姫様は?」
彼が、短く問う、彼と言うにはあまりに可憐な容貌をした王、「になし」だ。
「はい、脱出艇は、他の王国宇宙船とともに安全圏へと離脱、確認しました、、ずいぶん怒ってらしたようですけど」
「ハハハ、そうか、まいったなァ」
頭を掻く「になし」、真っ赤な顔をして「もう『げーむ』してあげない」と怒っている姫様、
「おねえさま」である彼女の顔が浮かび、思わず笑った、、こんな時に。
「『漆黒の金剛石』の準備はどうか?」 と言いながら、天蓋を出る、そこには
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01m.jpg,width=800,title=ファーヴニル(カラー),http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01m.jpg,blank)
「ほーほっほっほっ、準備万端、クロちゃんはいつでもオッケえ、イチコロでしてよ?王様」
「はははは、いつも愉快なネコミミメイドに御任せあれれれれれれー」
声のほうを見やる、そこに居る『漆黒の金剛石』の剣の峰から飛び上がる2人組
「とう!」「とおっ!」
「あの数奇者どもオオオオオ」 と、頭をかかえている、摂政「Areb」
「あいつら、こんな時にまでーー、帰ったら絶対オシオキしてやる」
「ハハハ、それは良いなセレナ、、帰ってきたらか、、うん、そうしよう絶対ここに帰ってこよう」
西のほうから雲霞のごとく敵が迫り、次第に空を黒く染めつつ在った
「になし」は今から纏うことになるドラゴンメイルに向かい手を上げる
「『漆黒の金剛色(くろのこんごう)』よ、今迄「王国」(誤植にあらず)を護ってきてくれて
ありがとう、そして、これからも「になし」を宜しく頼んだぞ」
「『こんごう』さん、今日も頑張っていきましょー」
「になし」の纏う機体のナビゲーターを勤める「月空」も声をかける、いつものように。
「になし」は殿を任され、今自分とともに在る者達を一人一人を見つめ、目を閉じる
そして「姫」と国民を護るため護衛につけた「城付き騎士」たちの顔を脳裏に浮かべた、、、
また会えたらいいな、、いや絶対会える日が来るだろう
*「往くぞ、諸君」
*「はいっ!、藩王さまっ」
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
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案:ここの間に文族さん達の「◯◯の場合」のSSを入れると面白いんじゃないかなと。
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そして・・・・・・・・。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722nina2.jpg,width=640,title=ぎゅー。,http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722nina2.jpg,blank)
「" 冬"のあいだ よく国を守ってくれた。礼を」
「になし」は資源採掘所の監督に礼を言い、握手した。
思わぬ「ダブルシェイク」に、緊張で固まる監督。
「タイチロー、であったな? これからも宜しくたのむ」
「オオオ、オレの、、いやワタクシの名前を?」
驚きの表情、たぶんこれは感激しているのかしら?と「になし」は思った。
「オレ、24時間掘り続けますっ」「いや休んでくれ、適度に」
何度も何度も顔を下げ、ぎごちなくバネ人形のような動きで鉱区に戻って行く作業監督を見、
になしは、まだまだ「壁」があるなあ、と反省した。
「しかし、じかに見るとやはり大きなものですね」
新聞記事を録るために抱えていた「メモリレコーダー」を降ろし、月空が言った
「え、ああ、そうだな、余もじかに見るのは初めてなんだ」
「ほほほほほっ、大きいだけではなくてよ藩王さま、あーんど月空さんっ」
「そう、我々が手を掛け、品を掛け、芸を込めっ」
そこでファーヴニルの剣が峰から飛び上がる2人組。
「とうっ」「たあうっ」
残念ながら言葉を繋ぐ前に2人は摂政Arebの「真空蹴り」で轟沈した。
「・・・・・変わりませんねえ」
「・・・そうだな」
「になし」と月空が溜息をつく
「しかし、余は嬉しいよ、みんな変わらずにいてくれて、こうしてまた集ってくれた」
「はい」
ヴヴヴヴヴヴ、と「ファーヴニル」が唸り音を上げる。
発掘時はドラゴン形態であったので、空港や宇宙港に駐機できていた「ファーヴニル」だったが、
今では、「問いかけ」をしない限りは「人型」で居ることが多いので
資源採掘があらかた終わり出来上がった窪地を寝床にさせているのだった。
先日のこと、
「モロ見えですね」との問いに
「いいさ、そうしてうちに真っ先に来てくれれば、よその国の盾になれる、「ねえさま」も守れる」
そう言い「になし」は朗らかに笑ったものだ。
#image(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01c.jpg,width=800,title=ファーヴニル(カラー),http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/43gaL01c.jpg,blank)
「ファーヴニルか・・・・」
「になし」は、実物を見るのは初めてとなるファーヴニルと呼ばれる機体を見上げた。
同じく初見となる「月空」も「それ」を見上げている、腕は立つが戦争ギライである彼にしては珍しく
ファーブニルを見る目はひどく優しかった。
「どうしました?」藩王の視線に気付き
「いや、随分と気に入ってるようなんでな」
「はは、そうですか、、そうなんですよ自分でも驚きです、なんというか初めて会ったって気がしないのです、
昔からの友人に久々に再会したような、、そんな感じなんです」
なるほど、と「になし」
「ふ、奇遇だな、今それを「余」も思っていたところだ」
そして、ファーヴニルに向かい手を挙げた、ファーヴニルも藩王に視線を合わせる
ヴヴヴヴヴヴヴ、、とうなり音、これは「彼ら」の声なのだろう、と「になし」は思った
「ただいま、久しぶりだな、ファーヴニル」
ヴォンヴォンヴォンヴォンヴォン、まるで戦艦のエンジンのような音を上げ、応えるファーヴニル
&size(20){「そうだ、余は再び帰ってきた」}
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&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
&size(50){&color(#cccccc,red){&bold(){蘇るになし藩国}}}
&size(30){&color(red){緋色の燃ゆる髪の民、再びここに集まる}}
&underdot(red,5px){------------------------------------------------------------------------}
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**処、になし藩国サーバー領域内
『ヘッドライン』にデカデカと踊る見出しに思わず苦笑した。
「……再びここにか、フン、あいつらギリギリすぎだな、毎度の事」
#ref(http://members2.jcom.home.ne.jp/newmewhp/GMP/ninashi/080722otapon.jpg,title=「電子の妖怪」と「電気侍女」)
と、グチりながらも、彼の口元は緩んでいた、その自分の表情が旧式介入装置に映っているのを見て、
メガネのレンズを回す、俺とした事が。
「でもまぁ、また連中を弄って楽しめそうだ、ここはまたひとつ協力する(フリ)とするか、くくく」
彼らの近くにいれば「王女萌へー」な彼にとっても美味しいのだった。
そして、自分から見ると「だいぶバカ」で始終「ぐるぐる」している彼らを見ているのは実に楽しい。
「冬」の間、ずっと寝ていたクセに、王女が動き出した途端コレだからな、傑作だよ。
画面に映っているエイジャ兄弟と王女のショットを、王女だけカットペーストしながら彼はニヤリとした。
「さて、こんどはどうやって俺を楽しませてくれるのかな」
『電子の妖怪』はひどく上機嫌なのだった。
goto 「アイドレス2」
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2008-07-23T05:16:23+09:00
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