蘇るになし藩国

「月空の場合 」



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その日も彼は部屋でゲームをしていた。
他にしたい事はないのかと問われれば、ない。と応えただろう。
彼はゲームが好きだった。恐らく、他の何よりも。

どんなゲームで遊んでいても、ふとした時に思い出す事がある。
彼が昔遊んでいた…と、今としては言うしかないゲームでの出来事だった。
一つの部隊を率いた事。その為に沢山の人と時間を使って準備をした事。
様々な事があって勝てた事。そしてその時に付いてきていた一人のキャラクターの事。
そして彼の居た国の事。

ログを見れば、その時の感情を昨日の事の様に思い出す。良かった事も嫌だった事も。
よせばいいのに、その日彼は今まで自分のした事に関する全てのログを見てしまった。

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ネットの世界を巡るリンクゲートを伝って、月空は旅をしていた。
昔と言うほど前でないある時、彼はになし藩国で執政をしていた。
それなのになんで旅なんかしてるか。
何と言う事はない。戦うのが辛くて逃げ出したのだった。
自分が戦争…と言うか、勝負の類に向いてないことは重々承知していた。
が、それでも何か出来るだろうと、昔摂政のArebに拾われた時から考えていた。
考えては居たのだが…。

その日、彼は久々にその国をこっそりと訪れた。
今更何かするつもりはなかった。…はずだった。

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紆余曲折があったにも拘らず、相変わらずな王女の姿を見た。
るしにゃん王国の空を飛んでた。やっぱすげー。と思った。

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埃を被っていた自分の机を片付けて、よし、と一つ息を吐く。
月空は情報収集を始めた。直接戦闘が苦手なのは変わっていない。
それでも何か出来るだろうと、初めから考えていた事を再び思い出した。

「…よし、一通りオッケー。行こうか。また何かしに」

月空は藩王達の居る執務室に向かった。



テキスト執筆 月空@になし藩国

最終更新:2008年08月15日 18:25