亀 回 路

問題

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kaerujicho

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亀回路で例として挙げた問題をここにまとめています。(推敲の過程で例から外れたものも混じっています)
基本的には下にゆくほどトリック色が薄れ、ベールの厚い探索型になるように並べています。ただし、2重線から下は失敗例なのでこのルールに従いません。






【問題】90杯目51
私はちょっとした偶然から未来のコンピュータおよびそれと一体化した一連のデバイス群というべきものに触れたことがある。それは日常生活を便利にしたり娯楽となったりするさまざまな機能を提供するものであった。ほとんどのコマンドを音声認識で受け付けるという点も驚くべき、すばらしい技術であったが、思い返してみるに、あのシステムの真に画期的な点は処理事項の優先度を柔軟に変えられるということではなかったかと思う。私は自分のコマンドがはねつけられたり後回しにされることを経験するうちに、自分のコマンドを最優先事項にさせるあるキーワードに気がついたのである。
そのキーワードとは?

【解説】
「私」はのびた。キーワードは「どらえも~ん!!(泣」です。この「(泣」が
優先度を上げてくれる。




【問題】197杯目577
さっきから嵐が激しく、僕の部屋はぎしぎしと揺れ続けている。
しかし長年海のそばに住んでいると荒れ狂う波も風もそれほど怖いとは感じない。
何せ海に臨む崖の上に建てられた我が家は風が吹けば家ごと崖下に投げ込まれるんじゃないかというくらい揺れるのだ。
唯一気になるのはさっきから続く雨漏りだ。忌々しい気持ちで見ていたら、轟音とともに突然窓やドアから大量の水が流れ込んできて、なすすべもなく僕は死んだ。
僕の遺体は翌日の朝、実に800キロも我が家から離れたところで見つかったんだが・・・・
僕がどんな風に死んだか、あててくれないか?


【解説】
僕は船旅に出ていた。その日は嵐で僕は自分の船室
でおとなしくしながら我が家のことを考えていたのだが、
ぼろの木造船は嵐に耐えられなかったらしく、沈没した。
僕の遺体は沈没地点にほどちかい海岸に流れ着いた。





【問題】124杯目436
私は骨董屋で偶然有名な画家の絵がほこりをかぶっているのを見つけた。
物によってはその画家の絵は数千万で売買されることもある。
しかし値札を見ると1万円あまり。私は喜んで買った。
なぜ1万円なんだと思う?もちろん、偽物なんかじゃない。


【解説】
その絵は、有名な贋作家滝川太郎のオリジナルの作品だった。
大家の贋作では時として数千万になるその腕も、オリジナルを
描けば値段はその程度なのだ。
私はこれは珍しいものを手に入れられる、と喜んで買ったのである。





【問題】96杯目314
すばらしい絵が並ぶ展覧会場。しかし絵画を尻目に黒山の人だかりを築いているのは、小さなケースに収められた干からびた小さな牛肉の塊だ。人々はわれ先にそれを見たがり、そして感心して見入っている。
何が起きているのか、考えて欲しい。


【解説】
ヨーロッパで名を成したゴッホの初の展覧会がニューヨークで行われようとしていた。ヒュー・トロイという人物はこれを快く思っていなかった。「ゴッホの絵に興味を持っている奴などいない。単に自分の耳を切り落としたというショッキングなエピソードが注目を集めているだけさ」彼はそれを証明しようと、牛肉で人の耳のような形を作り、ケースに収め、「ゴッホの耳」とプレートをつけてこっそり会場に持ち込んだ。果たして、展覧会の客は絵を尻目に耳の展示に群がったのである。





【問題】27杯目555
となりの山田さんちがやられてしまって、とうとう俺がこの日本で、
いやおそらく世界でただ一人の人間になってしまった。あとは全員吸血鬼だ。
夜が来るたび今夜こそ誰かが俺を襲いに来るとおびえているんだが、
いつまでたっても誰も襲いに来ない…なぜだ?

【解説】
大皿に盛られた料理をみんなで食べていて、最後のひとつになった時、みんなの目の前で箸を伸ばすのを躊躇したことはありませんか?この男は周りの吸血鬼からみてちょうどそういう状態、つまり「ご馳走
の最後の一切れ」になってしまったのです。
みんな食べたくてしょうがないのですが、周りの目が気になって手を出せない…





【問題】104杯目742
田舎の教会に集まった人々に遠くの町からやってきた説教師が言った。
「皆さん、私どもの教会再建のための喜捨(募金)に協力してください・・・」
今後一度も行くこともないであろう教会のために、人々は競って募金箱に押しかけた。
なぜ人々がこのような行動をとったか当ててほしい。


【解説】
説教師は最後にこう付け加えたのである。
「ただし、このお金は浄財でなくてはならないのです。これまで姦淫や盗み
を働いた事がある人は、喜捨をしないでください。そのような人はそのまま
座っていてください」
村の人々はお互いの様子を盗み見ながら競って募金をしようとした。





【問題】137杯目328
女に敷物を渡されて恐怖と後悔の念で泣き出す男。
状況を説明して。

【解説】
姥捨て山に母親を捨てに来た男。ござを敷いてそこに母親を座らせて立ち去
ろうとしたところ、母親に「このござはお前が(捨てられるときに)使いな
さい」と言われござを渡されます。男は改めて自分もいずれこうして捨てら
れるのだということを強く意識し、恐怖と後悔の念に駆られます。
男が自分の仕打ちの残酷さに気がつき母親を連れ帰ったか、子供たちの食い
扶持を確保するためにやはり母親を捨て帰ったか・・・このお話の結末は明らか
ではありません。





【問題】94杯目614
ニューヨーク。男がリボンのついた箱を抱えて必死で走っている。
箱の中身は猫の死体である。

何が起きたのか説明して欲しい。


【解説】
ある女性が飼っていた猫が死んでしまう。適当なところに埋めるわけにも行かず、
死体の処理に困った女性は市の保健局に相談に行けばいいという友人の勧めに従い、猫を空き箱にいれせめてもの弔いにその箱にリボンをつけ、歩いて出かける。
男が見かけたのは真剣な顔でリボンのついた箱を運ぶ女性である。あの箱の中は結構な値打ち物に違いないと考えた男は、女性から箱を奪い取って逃走してしまう。





【問題】244杯目402
二人の女がひとりの赤ん坊を「この子は私の子よ」「いいえ私のよ」と争っている。一人の男が仲裁役を買って出ている。結果、男以外は死ぬ。
何が起きたのだろう?

【解説】
大型客船が沈没の危機に瀕している。
デッキへ向かう途中で男は二人の女が赤ん坊を奪い合っているのを見かける。
男は状況を察し、二人に話しかける。
「私は医者です。私がどちらのお子さんか判断しましょう。」
赤ん坊を受け取った男はすばやく二人の女を蹴り倒し、甲板に駆け上がる。
甲板は人と怒号に埋め尽くされている。
男は赤ん坊を高く掲げ、叫ぶ。「子供が、赤ん坊がいるんだ!」
たくましく、職業意識の高い甲板員たちが赤ん坊に目を留め、
周りの群衆を押しのけて男を優先して救命ボートへ乗せる。
間一髪。船は転覆する。
ボートの数が十分にあっても全員乗るまでに転覆してしまえばなすすべがない。
搭乗が間に合わなかった多くの人々が冷たい海の中で死んでいった。
男はもちろん医者でもなんでもない。争っていた女の一方、
あるいは両方と同じく、赤ん坊をだしに早くボートに乗ろうとしたのだ。
命綱の赤ん坊も無事に救助されて陸に上がれば用がない。
男は赤ん坊を目立たないところに置いて立ち去った。
冬の夜、人気のない港の隅に・・・。





【問題】235杯目355
「はい、あのね」
「おじさん誰?」
「えとね、神様なのね。ま、神様といってもSのつくほうなんだけどね」
「そうか、そうなんだね。私やっぱり死んじゃうんだ。」
「えーとね、申し訳ないんだけどね、そういうことになってるのね。」
「しょうがないよね。赤ん坊のときから私、ずっとこのガラスのチューブから出たこと無いんだよ。パパが言ってた。恐ろしい病気なんだって。だから外の空気に触れちゃだめだって。」
「まあ、どういう事情で死ぬかに関しては実は私には関係が無いのね。あなたの運命の持ち時間の問題なのね。」
「おじさん私を連れに来たの?」
「うんとね、ま、それもあるんだけどね、私はもうすぐ死ぬ人に一つだけ願いをかなえるの。死に方を選べるわけ。」
「そうなんだ。じゃあ、お願い。死ぬ瞬間はパパに一緒にいてほしい。手を握ってて欲しい。海運業の仕事が忙しいとかでほとんど会えないし、病気のせいでほら、そこのマジックハンドあるでしょ。赤ん坊のころからあれで世話をされてきたの。直に抱っこしてもらったことも無いんだよ。」
「それがあなたの願いなら、喜んでかなえるのね。それと、申し訳ないんだけど、あなたが死ぬ瞬間というのは、今なのね。で、この横じまのハンカチをこうするとね、横じまのままなんだけどね、はい連れてきました。あなたのパパ。さ、手を握って握って」
少女が死んでチューブの中の機材が片付けられた後も、パパさんはずっと少女のそばにいたのね。
そしてこの少女の願いは、図らずもパパさんの友達たちにものすごい感銘を与えてしまったのね。
死んでしまったパパさんも、きっとそのことにはとっても満足していると思うのね。
何がおきたのか、当ててほしいのね。


【解説】1/2
海運王の男は若いころからの趣味、ボトルシップをゆがんだ方向に嵩じさせ、美少女の瓶詰めを作る事を思い立つ。かろうじて赤ん坊が入る程度の口の大きさの大きな瓶を作り、ベッドやトイレ、換気、水の配管は分解して中で精巧なマジックハンドで組み立て、裏社会を通じて手にいれた赤ん坊をいれ、ビンの口からマジックハンドで世話をさせた。赤ん坊が成長すると瓶の口からの出入りは不可能になり、不思議な人間ボトルシップになるというわけだ。これらは莫大な金額を投じ、秘密裏に男が持つグループ企業の小会社の一つの裏業務として行われた。赤ん坊が長じて物心がつくと、男はその子の前では父親として振る舞い、病気だから出てはいけないのだと言い聞かせた。男は時々下世話な趣味の世界の親友に瓶をこっそり見せては悦に入り、そしてこうもらしていた。「15歳になったら、完成させて私のコレクションに加えるよ。」
その日が来た。あらかじめセットされた時間に少女のビン内に致死性のガスが流し込まれる。その瞬間、Sの神様の計らいによって男もビン内に現れ、そしてわけも分からないまま瞬間的に死ぬ。

【解説】2/2
業務を行っていた従業員たちは驚き動揺するが、どうしようもない。このプロジェクトは男によって直接指揮されており、瓶の破壊は男自身によって絶対に禁止されていた。間違ってでも割ってしまったら、成功報酬として親会社からもらえるはずの莫大な支払いは消えてしまう。鳩首会議をしているところに様子を見に現れたのが悪趣味仲間の親友。彼は自分が責任を持つから、と予定通りに事を進めることを指示する。従業員たちは親会社との契約書どおり、瓶内のものはすべて分解して片付け、薬品を注入してボトルシップを完成させ、輸送の手配を整えた。そして猟奇趣味の金持ちたちの待つ秘密のお披露目会場に運び込まれた瓶は、梱包を解かれると同時に激しい絶賛を受けた。
「ばかな。どうやって作ったんだ?」
「本人が一緒に入っているなんて!ありえない!」
「うわさは聞いていたが、本人入りなどというサプライズは思いもよらなかった!」
「すごいな。命を張ったコレクションとは!」
「彼に乾杯だ!」
どこにも継ぎ目が無いことを誇らしげに示すように金属製のラックに高く掲げられた瓶。その薬液の中には少女と男が寄り添うように浮かんでいる…。それを取り囲む友人達の宴は遅くまで続いた。

これが今日のお話なのね。
自分の期待を何倍も何倍も上回る賞賛を受けた彼もきっと満足したと思うのね。うん。







【問題】300杯目910
18歳の僕たちは白い息を吐きながら神社への長い階段を一気に駆け上がる。
切りつけるように冷たい風も今はほほに心地よい。
受験ももう近い。こんなときに何をやっているのかと人は言うかもしれない。
でもこんなときだからこそやらなきゃいけないことがある。
交し合う目と目。深い連帯感。
さあ、やるぞ。
何を?

【解説】
僕たちは受験生。勉強もおのずと深夜に及ぶ。
むしろ深夜こそもっともはかどるときなのだ。
しかし・・・
カーン、カーン、カーン
まただ。山手の神社は丑の刻参りのメッカらしい。
夜の静寂を破って五寸釘を打ち込む音が寝静まった町に響く。
とたんに僕の頭は沸騰する。
深夜がもたらす静寂。この時間に覚えた単語や公式はあらゆるノイズから免れて、記憶の野に美しく着地するのだ。
その、大事な時間帯を・・・!
僕はバットを手に神社に走る。仲間はすでに階段の下に集まっている。
ここからはスピードが命だ。

白装束の男や女をよってたかって殴り潰したのはこれで6人目ということになるだろうか。
2人目の女のとき、ぼこにした翌日も来て驚いた。
やり遂げないと自分に降りかかるとかいう考えがあるらしい。
それ以来少なくとも腕を折るのが基本だ。
警察が動いたと言う話は聞かない。さすがに丑の刻参りの途中に襲われたとは言えないのだろう。

僕はすがすがしい気持ちでうちに戻る。
もうすぐ受験が終わり、僕は東京で大学生になる。こんな辺鄙な町からも、呪われた神社からも、
そして常識をわきまえないくそったれのサイコどもに心の平和をかき乱される生活からもおさらばだ。

でもすこし寂しい気がするのはなぜだろう?





【問題】110杯目812
少年が原稿の入った封筒を拾う。中を見てみて、
「これは小説家の○○先生の原稿だ!やべえ!」と叫ぶ。
数日後小説家はびっくりすることになるのだが、
何が起きたか当ててほしい。

【解説】
小説家が書きあがった原稿を家の近くで落としてしまう。
それを拾ったのはいつもその小説家のところに来ている印刷業者の
集配の少年。自分が受け取っておきながら落としてしまった原稿だと
思い込み、あわてて印刷所に持ってゆく。
小説家の方は落とした原稿を探すが見つからない。
しかししばらくすると原稿が校正刷りになって戻ってきたので
不思議でしょうがなかった。
イギリスかどこかの実話だそうです。




【問題】127杯目26
作家内田百聞は尊敬する夏目漱石からもらった草稿から何かを作り、
しばしば人にそれを見せては自慢していたという。それとは?

【解説】
夏目漱石は執筆中鼻毛を抜いては原稿に植えつけるという癖がありました。
内田百聞はそれを集めて夏目漱石鼻毛コレクションを作り、機会があれば
人にそれを見せて自慢していたそうです。
変な趣味ですが、あの時代の作家は奇癖が勲章のようなところがあったようです。





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