42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:29:48.89 ID:37OU16gw0
トリステイン軍は窮地に陥っていた。
退こうにもラ・ロシェールの街は今まさに謎の飛行物体からの攻撃にさらされているし、進もう
にも前方には同じく潰走しつつあるアルビオン軍がいる。

進退窮まったアンリエッタは、助言を請おうとマザリーニを仰ぎ見た。
だがしかし、既に状況は彼らの手に負える範囲を超えていた。

気丈なメイジたちが上空の敵に向かって呪文を唱えたが、それはもはや抵抗と呼べるもので
はなかった。
高速で自在に空を飛ぶ敵にほとんどの呪文はかすりもせず、代わりにその何倍もの威力の
光条が降り注いだ。
そのたびに、人も馬も地面も、みなもろともに吹き飛び、焼き尽くされる。

顔を蒼白にしたアンリエッタの目の前に、ずんぐりした大型の飛行物体が雲を突き抜けて数機
降下してきた。
その内の一機の側面に具えられた砲門が、アンリエッタのいる辺りに狙いをつけるのがわかった。

マザリーニが慌てて彼女の前に立ちふさがる。
アンリエッタはぎゅっと目をつむった。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:32:40.97 ID:37OU16gw0
だが、予期された衝撃はいつまで経っても訪れず、代わりに前方から爆発音が響いた。
恐る恐る目を開ければ、大型機が炎上し墜落し、その向こうから一機の小型機が飛んでくる
のが見えた。

「同士討ち……?」
アンリエッタの困惑をよそに、小型機が次なる照準を定める。
完全に虚を疲れた数機の大型機が、続けざまに撃墜された。

アンリエッタと同じく呆然とした面持ちで、マザリーニも炎に包まれて落下する飛行物体を見
上げていた。
「畏れながら殿下……、殿下は状況を把握しておいででしょうか? 率直に申し上げれば、この
年寄りめの頭はいささか混乱しております……」

「それは、わたくしも同じですわ……」
アンリエッタは正直にそう答えた。


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:37:45.23 ID:37OU16gw0
残るガンシップはあと二機というところで、帝国軍のクローン兵たちも事態を飲み込み始めた
ようだった。
五機のファイターが編隊を整え、ベイダー卿の機に向かってくる。

(混乱を利用できるのはここまでか)
ベイダー卿は操縦桿を握る手に力を込めた。
先ほどまでのような、一方的な空戦とは違う。
機体性能は互角。数の上では五対一である。
だが、ベイダー卿にはクローン兵を遥かに凌ぐ操縦技術と、何よりフォースの助けがある。

ベイダー卿は敵の編隊を迎え撃つルートを取りながら、さらに速度を上げた。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:42:14.08 ID:37OU16gw0
「コマンダー?」
ガンシップを操縦するクローン兵が、後ろに控える上官に指示を求めた。
呼びかけられた指揮官は、炎を吹き上げて墜落していく僚機から無理やり視線をもぎ離すと、
思考をクリアにするべく頭を振った。
「ジェダイだと?」
「通信記録にはたしかにそのように。それ以後、そのファイターとは通信不能です」


オーダー66はまだ生きている。
彼らにとって、ジェダイの騎士は見つけ次第抹殺すべき相手である。
だが、あのVウィングがジェダイに奪われたのだとすれば、容易ならざる事態だ。

そもそもVウィングは、フォースの導きによって常識を越えた操縦をするジェダイに追従する
ために設計された、超高性能機なのだ。
五対一とは言え、おおよその結果は予測できる。

すれ違いざまに一機が叩き落されるのを目の当たりにして、コマンダーは確信した。
桁外れの速度で飛ぶファイターを正面から撃墜するなど、人間のなせる業ではない。
化物め……、そう口の中で呟いてから、コマンダーは通信士と操縦士に指示を出した。

「母艦に連絡だ。この星にはジェダイの騎士がいる。援軍を要請しろ。……それから、僚機と
共に着陸するぞ。白兵戦用意!」
Vウィングが敵となる以上、これ以上滞空しているのは危険と判断された。
二機のガンシップが、トリステインとアルビオンの両軍の間にしずしずと降下していった。


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:47:20.23 ID:37OU16gw0
「失望させるなよ、クローンども」
遥か視線の先でVウィングが爆散するのを確認してから、ベイダー卿はレーザーキャノンの
トリガーにかかった指を離した。

今ので三機目だ。残りの二機は既に戦意を喪失したようで、戦場から離脱しようとしている。
束の間、残忍な衝動が沸き起こるが、今のベイダー卿にはその二機を深追いするという選択
は許されない。
レーダーで確認すれば、スター・デストロイヤーからさらに数機のガンシップと、何十機もの
ファイターが降下してくるのがわかった。

また、先ほど討ち漏らしたガンシップも高度を落としている。
その内部には、それぞれ一個小隊ほどの完全武装したクローン兵が乗り込んでいるはずだ。

「キリがないな」
そうぼやきながらも、ベイダー卿は操縦桿を倒し、機首を再びタルブの草原へと向けた。


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:53:22.59 ID:37OU16gw0
ルイズはコクピットの縁にへばりつきながら、ベイダーが謎の機体に飛び移るまでの一部始終
を見守っていた。
彼が無事に機体にへばりつくのを見届け、へなへなと座席に座り込む。

「もう……、なんだってあんな無茶なマネするのよ……。いっつも勝手なことばかり……」
ベイダーの突拍子もない行動には、これまで何度となく驚かされてきたが、ルイズの目には
今の行為は極めつけの無茶と映った。
きつい物言いとは裏腹に、ボロボロと涙がこぼれてくる。

「泣くのは後回しだ、娘っ子! 早く前に移って操縦桿を握れ! 戦場に飛び込んじまうぞ!」
ゴシゴシと瞼を擦るルイズに、デルフリンガーが怒鳴った。
ルイズはハッとして目尻を拭い、ごうごうと唸る風に髪とマントをはためかせながらどうにか
操縦席に滑り込むと、キャノピーを閉じた。
だが、小柄なルイズでは操縦桿に手が届かない。


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:57:53.60 ID:37OU16gw0
見かねて、デルフリンガーが口を開いた。
「椅子の下に取っ手がある。そいつで調整しな」
ルイズは言われたとおりにしながら、涙の乾ききらぬ目でデルフリンガーを睨んだ。
「どうしてあんたがそんなこと知ってるのよ?」

「忘れたのか? 俺は六千年前に『ガンダールヴ』に握られていた伝説の剣だぜ? こうやって
引っついてりゃ武器のことなら大概はわからぁ。だから相棒も、俺に操縦の仕方を聞けって
言ったんだよ」
その言葉に納得したのか、ルイズは座席を一番前まで出し終え、操縦桿を握った。

が、元々ベイダーが操縦することを前提に組み立て直された操縦席である。
ルイズにとっては、伸ばした片手が辛うじて操縦桿に届く距離だった。

フットペダルに至っては、ギリギリまで浅く腰掛けて片方がようやく踏み込めるといった風情だ。
ルイズは半ばずり落ちそうになりながら座席の右端に辛うじてお尻をひっかけ、右手で操縦桿
を握り、一杯に伸ばした右足をフットペダルにかけた。
不安定極まりない姿勢だ。


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:02:08.32 ID:37OU16gw0
「この際だ、贅沢言っても始まらねえ! 娘っ子、とりあえず自動操縦を切るぜ。……そう、
そのスイッチだ。次に操縦桿を右に倒して右のペダルを踏み込みな!」
ルイズはその指示に従って自動操縦を切り、操縦桿とペダルを操作した。
フラフラと頼りなく両翼を振りながら、ハリアーはどうにかこうにか戦場に背を向けることに
成功した。

「機首が下がりっぱなしだ! そんなに地面に口付けしたいか! 操縦桿を引くんだよ!」
やたらと偉そうなデルフリンガーだが、今のルイズにそれをとがめる余裕がない。
プルプル震える手で操縦桿を引き、失速しそうになりつつもやっとのことで機首を引き起こした。


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:10:34.86 ID:37OU16gw0
「つ、次は?」
「……………」
だが、それに答えることなく、デルフリンガーは押し黙っていた。
「どうしたのよ、デルフ!?」
ルイズは不安になった。

「燃料が、足りねえ……」
「え? どういうこと?」
「そのまんまの意味さ。さっきの空中戦で燃料を使いすぎた。垂直着陸できるかどうかもわか
らねえ」
「んなっ……?」
ルイズは呻いた。
ラ・ロシェールは山地にある港町だ。ルイズの技量で着陸できる場所など、どこにもない。
ならば、一番近い開けた場所は……。
「タルブの草原に下りるしかないな」
デルフリンガーが、事もなげに言う。

「せ、せせ、戦場に戻れっての?」
ルイズは背もたれ越しに後ろを振り返ろうとしたが、不自然な姿勢ではうまく視界が確保でき
なかった。
だがそれでも、先ほどから断続的に響いてくる爆発音は、嫌でも耳朶を打った。
戦闘は確かに行われている。

「他に方法はねえぞ。あっちに戻れば、相棒がうまくやってくれるかもしれねえ」
「……わかったわよ」
渋々デルフリンガーの言葉に従い、ルイズは先ほどと同じ操作をもう一度繰り返した。
ハリアーが再度弧を描いて、針路を反転させる。
「ご主人様をこんな目に遭わせて……。今度会ったらぜえぇったいにとっちめてやるんだから」


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:15:16.44 ID:37OU16gw0
「ねえタバサ、やっぱり戻らない? なんだかすっごく悪い予感がするんだけど」
キュルケは口を尖らせた。前方から、お腹に突き刺さる衝撃と共に爆発音が伝わってきていた。
しかし、タバサはシルフィードの速度を緩めようとしない。
やれやれ、とため息を吐くキュルケ。一緒に来たのは早計だったかもしれない。

ふと視線を落とすと、雲の合間を縫うようにしてよたよたとこちらに飛んでくるライトグレーの
機体が目に入った。早朝に聞いたばかりの爆音を伴っている。

「タバサ!」
タバサもそれに気づき、コクリと頷いた。

『竜の羽衣』だ。


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:23:02.42 ID:37OU16gw0
羽衣はいったんシルフィードの下を通過してから、やはり頼りない動きで弧を描き、百八十度
針路を変えた。ちょうど、タバサたちが向かうのと同じ方角だった。

だが、今の速度はこちらが上だ。
タバサはシルフィードを一気に降下させ、竜の羽衣の左側面に並ばせる。
そして、透明な風防越しに中を覗きこむと……、顔を真っ赤にしたルイズが、妙な姿勢で悪戦
苦闘しているのが見えた。

「ヴァリエール? 何やってるのかしら……?」
キュルケがもっともな疑問の声を漏らす。
タバサも小さく首を傾げた。

椅子の右よりにギリギリまで浅く腰掛けながら、体をこちら側に開き、右手と右足を一杯に
伸ばしてどうにか機体を制御しようとするルイズの様子は、その表情が真剣そのものである
分、傍から見れば滑稽極まりない。


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:26:10.04 ID:37OU16gw0
操縦に必死になるあまり、ルイズはタバサたちが目に入らない様子だった。
タバサはシルフィードをさらに寄せると、愛用の長い杖の先でキャノピーをコツコツと叩いた。
ルイズがハッとして顔を上げた。ハリアーに並行して飛ぶ風竜に気づいたようだ。
そして、自動操縦のスイッチを入れてから弾かれるように座席から立ち、キャノピーを開く。

「どうしてあんたたちがここに!」
気流が会話を妨げる。ルイズは声を張り上げた。
「どうしてって……あなたたちが飛んでくのが見えたから追ってきたんじゃない! それよりも、
あの使い魔は!? 一緒じゃなかったの!?」
同じく大声で、キュルケは一息に言った。

ルイズは息を切らしながらこれまでの経緯を説明した。
戦争のこと、突如現れた超巨大戦艦のこと、そしてベイダーのこと……。
戦争が勃発したことさえ知らなかったキュルケは、さすがに驚いた様子だった。
一方のタバサは、ベイダー卿のことを聞くとあからさまに顔を曇らせた。


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:31:41.89 ID:37OU16gw0
「わかったわ! じゃああなただけ『レビテーション』でこっちに飛び移らせればいいんじゃない!」
そのキュルケの申し出に、しかしながらルイズは首を縦に振らなかった。
「ダメよ! もうすぐラ・ロシェールの街だし、下にはトリステインの軍隊がいるのよ! これを
墜落させたら、どれだけ被害が出るかわからないわ!」

(それに……)
ルイズは、毎日朝から晩までこの機体につきっきりだったギーシュやコルベール先生、ついで
にマリコルヌ、そしてベイダーの姿を思い起こした。

墜落させるわけにはいかない――そう思った。


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:35:41.15 ID:37OU16gw0
「じゃあどうするのよ! あなた、まともに操縦もできないじゃない!」
キュルケは怒鳴った。機体ごと『レビテーション』で軟着陸させるのは、到底不可能だ。
しかしそんな風に言われると、さっきまで一生懸命操縦していたルイズも黙ってはいられない。

「うるさいわね! ちょっと椅子の調子が悪いだけよ! 本当ならこんなの、玩具同然に操れる
んだから!」
「どうだか! ……あらぁ? なんかこれの後ろに『ゼロ』って書いてるわよ? アハハ! やっ
ぱりあなたにお似合いの玩具だわ!」
初耳だ。ルイズの頬がぴくぴくと引き攣る。
なんだか急に、このまま墜落させてもいいような気がしてきた。

「非常時だってのに、お前さん方はほんとに飽きないね……」
デルフリンガーが呆れた口調でこぼした


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:40:43.21 ID:37OU16gw0
ルイズがどうにかやり返そうと言葉を探していると、それまで二人のやり取りをぼーっと眺めて
いるかに見えたタバサが、吹きすさぶ風に抗してすっくと立ち上がるのが目に入った。
「ちょっと、タバサ!?」
キュルケがびっくりしてタバサの顔を見上げた。

「シルフィードを、お願い」
背後のキュルケにそうとだけ言い置くと、タバサは短く『フライ』の呪文を唱え、開きっぱなしの
ハリアーのキャノピーの隙間へと飛び込んだ。


138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:45:32.11 ID:37OU16gw0
「きゃう!」
不意打ちで体当たりを食らう形になったルイズが、押し殺したような悲鳴を上げた。
タバサと絡まり合ったまま、コクピットの反対側に背を叩きつけられ、痛みに声を失う。
一方のタバサは、ルイズの体がクッションとなり無事だった。

「ど、どうしたのよ、タバサ!」
振り返れば、キュルケが唖然とした表情を浮かべていた。
「シルフィードを、お願い」
タバサは繰り返した。
シルフィードはハリアーに顔を近づけ、いやいやするように身をよじっていたが、やがて主人
の眼差しに浮ぶ決意が揺らがないのを見てとると、首をすくめるような動作をした。
つぶらな瞳が、最後まで抗議の色を残していた。

「まったく、お姉さまったら、一度言い出したら聞かないのね! きゅいきゅい!」
「え? 今喋ったの、だ――うわわ!」
一瞬きょろきょろと辺りを見回したキュルケだが、その身を預けるシルフィードが体を傾けて
急降下したため、慌てて背中の突起にしがみついた。
キュルケを乗せたシルフィードが視界から消える頃、ようやくルイズは痛みから立ち直った。


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 02:49:09.29 ID:37OU16gw0
「ちょ、ちょっとちょっとちょっとタバサ! 一体どういうつもり!?」
そう言って詰め寄るルイズの剣幕を意に介した風もなく、タバサはおもむろに操縦席に腰を
下した。あたかも、ここが自分の指定席であるとでもいうかのように。

「聞、い、て、る、の!?」
しばし呆気に取られていたルイズだったが、すぐさま調子を取り戻し、タバサの両肩を掴んで
その小さな体を揺さぶった。
タバサは全く抵抗せず、それに合わせて頭をかくんかくんと揺らした。

やがて、飽きたのかルイズが手を放すと、タバサはポツリと言葉を紡いだ。
「わたしが操縦する。手伝って」


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 03:01:37.20 ID:37OU16gw0
「ジェダイがいるなどと、皇帝もモフ・ターキンも一言も仰らなかったではないか!」
増援の出撃を急がせながらそうわめき散らす艦長を、近くのクローン兵がなだめた。
「艦長、落ち着いてください。相手は未開の蛮族の軍隊と、たった一人のジェダイです。すぐに
でも殲滅してご覧にいれます」
「当たり前だ!」
艦長はそう言い捨て、どかっと座席に腰を下した。

通信士が振り向き、彼の顔を仰いだ。
「艦長、ロイヤル・ガードの連中が、状況の報告を求めています」
「大気の組成を調査中とでも報告しておけ」
完全に独断での攻撃なのだ。皇帝と直接繋がる近衛兵たちに言えるわけがない。


166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 03:06:53.35 ID:37OU16gw0
ベイダー卿の駆るVウィングは、戦場の空を単機で縦横無尽に駆け巡り、増援のファイターと
ガンシップを次々に落とした。
スカイウォーカーの名に恥じない、目覚しい戦果である。
しかし、早くもその機体各部からは悲鳴が上がっていた。

トリステイン軍を守りながらの戦闘では、やはり限界がある。
直撃こそ避けているものの、幾発ものレーザーに削られたシールドは、既に消失寸前だ。

また、偏向しそこなったブラスターの弾で被害を受けたのは通信機器だけではないようで、
ふとした弾みにレーダーの画像がブレる。

そうやって多勢に無勢を実感していると、遥か眼下の地面に、白い装甲服に身を固めたクロー
ン兵の部隊が展開を開始するのが見えた。


169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 03:10:20.34 ID:37OU16gw0
両軍のちょうど中間に着陸した二機のガンシップから、兵士たちが強力なヘヴィ・ブラスター・
ライフルを手に次々と草地に降り立った。
どうやら二正面作戦を取り、両軍を一気に薙ぎ払うつもりのようだ。

ベイダー卿の心に一瞬の焦りが芽生え、その焦りが隙を生み、背後から飛来するレーザー・
ビームへの反応がわずかに遅れた。
弱まったシールドを貫通した光弾が機体後部に突き刺さり、ベイダー卿のVウィングは煙の尾
を引きながら落下していった。

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最終更新:2007年07月03日 18:28