675 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 01:47:47.73 ID:I5YOCpZe0
遠い昔、遥か彼方の銀河で……



土くれのフーケ騒動からおよそ一月後。ハルケギニアに暗雲が立ち込めていた。始祖ブリミ

ルから連綿と続く三王家の一つ、アルビオン王室に貴族たちが反旗を翻したのだ。数と資金

力に勝る貴族派は自らハルケギニアの統一とエルフに奪われた聖地の奪還を目指す革命

組織『レコン・キスタ』を名乗り、着々と王党派を追い詰めていた。


682 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 01:53:21.04 ID:I5YOCpZe0
 大国ガリアはこの事態に臨んで早々と中立を宣言し、アルビオンに最も近いトリステイン

王国には、もう一方の大国帝政ゲルマニアと同盟を結ぶ他に選択肢は残されていなかった。

この緊迫した情勢下、チェルノボーグの監獄に収監されていたフーケが、謎のメイジの手引

きで脱獄したというニュースは、あまり世間の関心を引いてはいなかった。



689 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 01:57:31.50 ID:I5YOCpZe0
 トリステインの王女アンリエッタは、軍事同盟締結のためにゲルマニアを訪問し、その帰途、

ルイズたちが学ぶ魔法学院に立ち寄ることになっていた……




(以上オープニング)


698 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:02:33.76 ID:I5YOCpZe0
魔法学院の正門をくぐって、王女の一行が現れると、整列した生徒たちは一斉に杖を掲げた。
しゃん! と小気味よく杖の音が重なった。

正門をくぐった先に、本塔の玄関があった。
そこに立ち、王女の一行を迎えるのは、学院長のオスマン氏であった。

護衛の魔法衛士隊に囲まれた瀟洒な馬車が、オスマン氏の前で止まった。


708 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:10:31.97 ID:I5YOCpZe0
王女を迎えるために学院の生徒総出で織り成すセレモニーの陰で、メイドのシエスタは
あわただしく働いていた。

王女の訪問が知らされたのはその日の朝のことであり、日没後に行われる盛大な晩餐に
間に合わされるべく、学院に奉公している平民はまさにフル稼働の状態だった。

今シエスタは、晩餐の食卓を覆うべき大量の白布を籠に積み上げ、食堂の裏口へと
向かっていた。

何しろ普段は数百人が一斉に食事をとる巨大な食卓を覆う布だ。いくら薄地の最高級品と
いえど、折り重ねて積めば相当にかさばる。

籠をやや体の片側に寄せ、辛うじて視界を確保しながらでなければ、とても歩けたものでは
ない。


710 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:13:48.96 ID:I5YOCpZe0
だがそれでもなお、籠を支える腕に遮られた下方の視野は狭く、その足取りは慎重ながらも
おぼつかないものだった。

そしてようやく食堂の裏口が見えたところで、シエスタは一株の雑草につまずいてしまった。

「あっ!」
とっさにもう片方の足を前に出して踏みとどまり、転倒は免れたものの、籠に載せたテーブル掛けは
勢いに任せて宙に舞い、そのまま土がむき出しになった地面に落ち……なかった。


712 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:16:00.58 ID:I5YOCpZe0
驚愕に見開かれたシエスタの黒い瞳の前で、大量の白布は空中に留まっていた。

そして、純白一色に染め上げられた視界の向こうに見え隠れする、黒ずくめの人影。

「コーホー」


718 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:19:54.71 ID:I5YOCpZe0
「ベイダーさん」
宙に漂うテーブル掛けを籠に取り込んでから、シエスタは嬉しそうにベイダー卿に駆け寄った。

土くれのフーケの捕り物騒ぎからの一ヶ月で、ギーシュとの決闘の結果も、フーケ捕縛の真の
功労者が誰であったかも、学院の平民たちの語り草になっていた。
貴族嫌いのコック長マルトー親父などは、貴族を差し置いて活躍したというベイダー卿を『我らの
剣』と呼び、半ば崇め奉るような始末であった。
ただ、そんなマルトー親父にとって残念なのは、ベイダーが彼の料理を口にすることができない、
ということであった。

シエスタもこの『平民の使い魔』に親しみを覚え始めた一人だった。


724 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:25:44.71 ID:I5YOCpZe0
「気をつけろ」

とてとてと傍らに寄ってきたシエスタの方を見ようともせず、ベイダー卿はぶっきらぼうに言った

「ありがとうございます。わたしったら本当にドジで……。今から洗ったんじゃ晩餐に間に合わない
ところでした」
自分の頭を軽く小突いてから、ぺこり、と可愛らしいお辞儀。

「ベイダーさんはお姫様を見に行かないんですか?」

シエスタの視線の先で、生徒たちが一斉に歓声を上げていた。
ユニコーンに引かせた馬車から、アンリエッタが姿を見せたのだろうと推測された。


727 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:31:18.89 ID:I5YOCpZe0
「興味がない。フォースが導くなら、その内会うことになるだろう」

ベイダー卿が騎士として相手にしてきた要人は、そのほとんどが一つの星系を束ねる
代表者だった。

こんな名も知らぬ星の一大陸、さらにその片隅の小国の王族など、それほど重要視すべき
存在ではない。

だが、さすがのベイダー卿も、その機会がこれ程早く訪れようとは思っていなかった。


729 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:39:11.72 ID:I5YOCpZe0
その夜。

妙に様子のおかしいルイズをとりあえず無視し、ベイダー卿は腕組み仁王立ちの姿勢で
瞑想にふけっていた。

フォースの流れがおかしい。
何か良からぬことが起こる、と彼に伝えていた。


ベイダー卿が召喚されてから一ヶ月が経過していたが、その間起居を共にしてなお、未だに
ルイズとベイダーは親しく口を聞く仲ではない。
時おりベイダーが魔法の理論やハルケギニアの情勢について質問し、ルイズがそれに応答する
程度だ。

しかしそれでいて決してよそよそしいものにはならない、そんな不思議な関係だった。


730 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:41:30.18 ID:I5YOCpZe0
だから今宵も、魔法学院寄宿舎内のルイズの部屋はいつもどおりの平静を保っていた。


そんな静けさを破ったのは、樫づくりのドアをノックする音だった。
ノックは規則正しく叩かれた。初めに長く二回、それから短く三回……。


それまで下着姿でベッドに座り、魂が抜けたかのように呆けていたルイズが、はっとした表情を
浮かべた。
慌ててブラウスを身に着け、ドアに駆け寄ってノブを回す。

そこに立っていたのは、真っ黒な頭巾をすっぽりとかぶった少女だった。
辺りをうかがうように首を回すと、そそくさと部屋に入ってきて、後ろでに扉を閉めた。

「あなたは……」
ルイズは驚いたような声をあげた。


732 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:45:34.85 ID:I5YOCpZe0
頭巾をかぶった少女は、唇に指を当てて口を閉ざすよう促しながら、小さく杖を振った。
その杖から飛び出した光の粉が、部屋に舞う。

「『探知』の魔法?」
ルイズが尋ねた。頭巾の少女は頷いた。

「どこに耳が、どこに目が光っているかわかりませんからね」
魔法の痕跡を探す、ディテクトマジックの効果を確認してから、少女はおもむろに頭巾を
取った。


734 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 02:47:49.22 ID:I5YOCpZe0
「姫殿下!」
その下から現れた少女の顔を確認したルイズが、慌てて膝を突く。
現れたのは、なんとアンリエッタ王女であった。
当年とって十七歳。すらりとした気品ある顔立ちに、薄いブルーの瞳、高い鼻が目を引く、
瑞々しい美少女である。

アンリエッタは涼しげな、心地よい声で言った。
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」


「コーホー」

王族特有の鷹揚さで、アンリエッタは未だ、微動だにせずに部屋の片隅に立つ人影に
気づいていなかった。


252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/03(木) 23:57:22.68 ID:I5YOCpZe0
ルイズとアンリエッタは幼馴染だった。

幼少のみぎり、アンリエッタの唯一無二の遊び友達がルイズだったのである。
短い間にも百出する思い出話に大笑いした後、アンリエッタは急に憂いをたたえた瞳でルイズを見た。

「あなたが羨ましいわ。自由って素敵ね。ルイズ・フランソワーズ」
「なにをおしゃいます。あなたはお姫様じゃない」

アンリエッタは小さくかぶりを振って、言った。
「結婚するのよ。わたくし」
「……おめでとうございます」
その声の調子に悲しげなものを感じたルイズは、沈んだ声で言った。

望まぬ結婚なのだろうということが察せられた。


260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:00:06.85 ID:U1shy0aw0
「ご無礼を承知でお尋ねします。姫さまが嫁がれる幸運なお相手とは?」

アンリエッタは小さなため息と共に答えた。
「ゲルマニアの皇帝です」
「ゲルマニアですって!」
ゲルマニアが嫌いなルイズは、驚いた声を上げた。
どこかの赤毛の巨乳女が頭の片隅をちらちら横切る。

「あんな野蛮な成り上がりどもの国に!」
「そうよ。でもしかたがないの。同盟を結ぶためなのですから」

アンリエッタは、アルビオンの内乱に端を発する今のハルケギニアののっぴきならぬ政治情勢を
ルイズに説明した。

そして最後にこう付け加えた。
「王室に生まれた時から、好きな相手と結婚するなんて、諦めていますわ」

「姫さま……」

言葉とは裏腹に、アンリエッタが浮かべたのはやはり寂しげな笑顔だった。


272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:04:11.09 ID:U1shy0aw0
「礼儀知らずのアルビオンの貴族たちは、トリステインとゲルマニアの同盟を望んでいません。
二本の矢も、束ねずに一本ずつなら楽に折れますからね」
アンリエッタは、呟いた。
「……したがって、わたくしの婚姻を妨げるための材料を、血眼になって探しています」
「もし、そのようなものが見つかったら……」

ルイズはハッとして言葉を切った。
アンリエッタが青ざめた顔をしているのに気づいたからだ。

「まさか……」
アンリエッタは悲しそうに頷いた。
「おお、始祖ブリミルよ……、この不幸な姫をお救いください……」
アンリエッタは、顔を両手で覆うと、床に崩れ落ちた。


「コーホー」
瞑想にふけるベイダー卿をよそに、事態は急速に展開していくのだった。


278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:09:28.38 ID:U1shy0aw0
アンリエッタの言う『材料』とは、彼女のしたためた一通の手紙であった。

今はアルビオンのウェールズ皇太子が所有しているというそれがアルビオンの貴族の手に渡り、
さらにゲルマニアに届けられでもしたら、アンリエッタの婚姻も同盟も反故にされかねない内容
らしい。

「ああ、破滅です! ウェールズ皇太子は、遅かれ早かれ、反乱勢に囚われてしまうわ!
そうしたら、あの手紙も明るみに出てしまう! そうなったら破滅です! 同盟ならずして、
トリステインは一国でアルビオンと対峙せねばならなくなります!」

ルイズは息をのんだ。
「では、姫さま、わたしに頼みたいことというのは……」
「わたくしったら、なんてことでしょう! 混乱しているんだわ! 戦乱の地にあなたを行かせる
なんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」

が、ルイズはすっかりその気だ。既に密命が下ったものと思い込んでいる。
「『土くれ』のフーケを捕まえたこのわたくしめに、その一件、是非ともお任せくださいますよう」

「コーホー」
捕まえたのはベイダー卿なのだが。


282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:12:58.80 ID:U1shy0aw0
「このわたくしの力になってくれるというの? ルイズ・フランソワーズ! 懐かしいおともだち!」
「もちろんですわ、姫さま! アルビオンに赴きウェールズ皇太子を捜して、手紙を取り戻して
くればよろしいのですね?」

「ええ、そのとおりです。『土くれ』のフーケを捕まえたあなたなら、この困難な任務を必ずややり遂げてくれると思います」
「一命に掛けても。さっそく明日の朝にでもここを出発します」

アンリエッタは、落涙せんばかりの感動した面持ちでルイズに抱きついた。


285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:17:16.16 ID:U1shy0aw0
「ところで……」
ようやく安心したのだろう。そこでアンリエッタは部屋の隅に目を向けた。
「この耳障りな音は何なのです? それに、あの気味の悪い甲冑は? ルイズ、しばらく
見ない内に趣味が変わったようですが……」

ルイズは慌てた。
「え、ええと。姫さま、あれは甲冑とかじゃなくて、わたしの使い魔……」

「ダース・ベイダーだ」
今まで身動き一つしなかったベイダー卿が、そこで腕組みを解き、アンリエッタの方に歩み寄った。

アンリエッタの目が驚愕に見開かれ、次いで眼球がくるりと裏返る。
その体から力が抜け、そのままベッドに崩れ落ちた。


301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:22:43.73 ID:U1shy0aw0
「姫さま? 姫さま!」
ルイズが驚いてそばに駆け寄る。

「ベイダー! あんたってば、どうして人を怖がらせるようなことしかできないのよ!」

アンリエッタが頭を振りながらベッドから起き上がった。
「いいのです、ルイズ。ちょっと驚いただけですわ」

そのとき、ドアが勢いよく開いて、誰かが飛び込んできた。
「貴様ーッ! 姫殿下にーッ! なにをしてるかーッ!」
飛び込んできたのは、以前ベイダー卿に半殺しにされたギーシュ・ド・グラモンであった。

相変わらず薔薇の造花を手に持っている。


317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:26:31.34 ID:U1shy0aw0
「ギーシュ! あんた今の話を立ち聞きしてたの?」
ルイズの詰問。

しかしギーシュは夢中になってまくし立てる。
「薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてきてみればこんな所へ……、それでドアの
鍵穴からまるで盗賊のように様子をうかがえば……平民が姫さまになんたる狼藉……」

ギーシュは薔薇の造花を振り回して叫んだ。
「決闘だ! このバカチンが――ぐえッ!」

ベイダー卿が軽く手首を上下に動かすと、びたん、びたん、とギーシュが床と天井を往復した。
二往復でギーシュは静かになった。

その有様を見て、せっかく我に返ったアンリエッタがまた昏倒した。

「ベイダー! あんたてば、どうして――」

「コーホー」


332 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:29:52.87 ID:U1shy0aw0
結局、話を盗み聞きしていたギーシュが志願したため、彼も仲間に加えることになった。

自分の熱意が姫に通じたとばかりに有頂天になるギーシュに、ルイズはそっと耳打ちした。
「いいの、あんた? 当然ベイダーと一緒なわけだけど」
その名前にギクっとなったギーシュだが、ベイダー卿とアンリエッタに交互に視線を注いでから、
高らかに宣言した。
「なあに、姫さまのお役に立てるなら暗黒卿の一人や二人!」

それから額に手を当て、あっはっはっは、と大笑い。

こいつは実はかなりの大物なのかもしれない、とルイズは思った。


338 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:32:33.72 ID:U1shy0aw0
気を取り直したアンリエッタは、そんな三人を尻目に、手紙をしたためていた。
ルイズの使い魔の呼吸音が耳朶に響くたびに、動揺が筆跡に表れてしまう。

それでもどうにか書き終え、杖を振ると、どこから現れたものか封蝋がなされ、花押が捺される。

アンリエッタはその密書に加え、右手の薬指から引き抜いた指輪をルイズに手渡した。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が心配なら、売り払って旅の
資金に当ててください」

ルイズは受け取り、深々と頭を下げた。

アンリエッタはそんなルイズの手を両手で握った。
「この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、
あなたがたを守りますように」


339 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/04(金) 00:34:26.27 ID:U1shy0aw0
だが……。

「違うな」

ルイズが止める間もなく、ベイダー卿がずいっと前に出た。
アンリエッタがルイズの手を離し、びくっと一歩下がった。

「僕らはこうした場合には互いにこう言って別れる。『メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー』」

「メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー」
ルイズと、それからなぜかギーシュまでもが、後に続いて復唱した。

その顔に微笑を張りつかせたまま、ちょっと困った人たちに頼んでしまったのかもしれない――
アンリエッタは胸中そう思っていた。

346 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/04(金) 00:39:53.78 ID:U1shy0aw0
翌朝の出発の段になって、小さな騒動が起こった。

ギーシュが溺愛する使い魔のジャイアントモール、ヴェルダンデを連れて行きたいと
言い出したのだが、ルイズに却下されたのである。

「お別れなんてつらい、つらすぎるよ……ヴェルダンデ」
モグモグと鼻をひくつかせる巨大モグラ。その大きさは熊ほどもある。
そのモグラが、突如ルイズを組み伏せた。
悲鳴を上げるルイズ。
どうやらモグラの狙いは右手の指輪らしい。

「なるほど、指輪か。ヴェルダンデは宝石が大好きだからね」
「納得してないでなんとかしなさいよ!」

そんな騒動からは少し離れて、ベイダー卿は馬のチェックに余念がない。
どこか気が進まなさそうにも見える。

「ちょっとベイダー!」
ルイズがそう叫んだとき、一陣の風が舞い上がり、ルイズに抱きつくモグラを吹き飛ばした。

「誰だッ!」
ギーシュが激昂してわめいた。

朝もやの中から、一人の長身の貴族が現れた。羽帽子をかぶっている。
ルイズは息をのんだ。

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最終更新:2007年05月05日 01:24