E81 偵察機迎撃戦 没SS

【たけきの藩国 偽装施設建設】


NWを目指して飛んで来るという偵察機の襲来に備え、たけきの藩国では国民の総力を結集し、急ピッチに偽装施設の建設が進められていた。
大がかりでいかにも重要そうな偽装施設を出来うる限り低コストでできるだけ早急に作り上げる。そのために選ばれた建設資材は、たけきの藩国に多く自生している竹であった。
竹には弾力性があり、強靱で、中空構造になっているためにとても軽く、なおかつ加工も容易である。その竹の特性を建設資材として生かすことにしたのだ。
たけきの藩国内にはたけきの神社の周りに広い竹林があるため、コスト面から見ても非常に優良で、調達も実に容易であった。
そのため、たけきの藩国にとって、竹は偽装のための施設の資材としては最適なものなのだった。

残念ながら……いや、この場合は幸運にもと言うべきであろうか……たけきの藩国の国内には重点的に守るべき重要施設はない。
豊かな恵みをもたらす食糧生産地や、その収穫を保管する食糧倉庫がたけきの藩国の国力の礎だった。
もちろん、腹が減っては戦はできないのだから食糧は重要ではあるが、わんわん帝国では現在食糧過剰な傾向にある。
だから、守るべきは施設ではなく、国民であるというのが、藩王の考えだった。

その考えに基づいて、偽装施設は市街地から離れた場所に建設されている。
偵察機から偽装施設が何らかの攻撃を受けたとしても、国民へ影響を及ぼさない場所が建設用地として選定された。
その用地に、切り出した大量の竹を組み上げ、まるで重要な施設であるような建物を作り上げていく。竹の張りぼてだと見破られないように組み上げた偽装施設には、メタリックカラーのペンキを塗っておく。
「この中になんか適当に電波を流す装置をぶち込んでおきましょう。重要な交信施設とでも思われるように」
「熱探知対策も忘れるなよ」
「おっと。そうだな。熱源は……湯たんぽでも適当に仕掛けておくか」
スクラップに近い材料で交信施設を装う偽装も作り上げる。重要施設を守る訳ではないのだから、必要以上のコストをかけるのは馬鹿げている。とにかく工夫に工夫を重ね、たけきの藩国の国民は力を合わせ、偽装施設を仕上げていく。
「はっはっは。上出来上出来。まさか敵さんもこいつが竹で出来てるなんて思いもしないだろうよ」
出来上がった偽装施設を前にした国民は非常に満足そうであった。
かくして、たけきの藩国では驚くくらいに低コストだが、外見はとても立派な偽装施設を突貫工事で作り上げたのである。

没の理由

作中でも書いているように、たけきの藩国には重要施設がなかったため、偽装施設自体が建設されなかったため、没になりました。
最終更新:2007年07月26日 21:58