前回は基本的なディフェンスやペース配分についてお話しましたが、ただ守っているだけではスパ天で勝つことはできません。パンチを打たなければ結局は勝てないわけです。そのため、相手のディフェンスを崩しながらパンチを打つ方法がいろいろと開発され、実際に使われているわけですが、そのための考え方は大きく分けて2つあります。まず1つ目は「顔面を中心に攻めるか、ボディを中心に攻めるか」、そして、2つ目は「カウンターで崩すか、自分からの攻撃で崩すか」になります。そして、この2つの考え方を使って、スパ天で使われている戦術を分類すると、3通りに分けられると思います。(「2×2で4通りじゃないの?」という人もいるかもしれませんが、ボディアタックはカウンターと自分からの攻撃の両方の考え方が必要になるので、1つにまとめてあります。)というわけで、その3つのスタイルの傾向と対策についてお話します。自分に合ったスタイルを見つけるための参考にしていただければ幸いです。

 

1.顔面カウンター型

[傾向]

適度にジャブを刺しながら相手が強打を打ってくるのを待ち、相手が実際に打ってきたらカウンターで決定打を奪いに行く戦術です。このスタイルを採用している代表的なプレーヤーとしては、オリンピックさんなどが挙げられます。(あと僕も、この戦術を使っています。)ちなみに、ガチガチに引いて守った状態でカウンターを狙うか、積極的に手数を出しながらカウンターを狙うかでスタイルはだいぶ変わってくるのですが、この辺のことについては省略します。(興味のある方は、以前書いた「アグレッシブカウンターのすすめ」というコラムを読むと面白いかもしれません。ちなみにオリンピックさんは前者、僕は後者のやり方でカウンターを狙っています。)ただ、相手の動きをよく観察して強打を打ってくる状況を把握することや、顔面・ボディゲージに応じた読み(例えば、あと少しで顔面・ボディダメージという場面でのフックやBフックなど)が必要であることは、どちらでも変わらないと思います。(相手の強打への予測がないと、スパ天でカウンターを打つのは結構難しいです。)

ちなみにスパ天で最も安全に強打を打てる状況はカウンターなので、使いこなせれば相手の攻撃を完封した上で勝利することも可能な戦術だと思います。しかし、ほとんど強打を打ってこない相手に対しては攻め手が激減する、引いて守るタイプのカウンターではボディアタックに弱い、などといった欠点もあるので注意が必要です。

[対策]

カウンターパンチャーを相手にする場合は、むやみに強打を打つのは危険です。(特にストレート以外)削りフックを打ち過ぎるとカウンターを食らいやすいですし、アッパーやBフックを打った時の危険性は言うまでもないかと思います。「それじゃあ攻める手がないじゃないか!」という声も出てくるかと思いますが、こういう相手にはフェイントでの釣り出しが有効です。例えば、フックフェイントを1回入れてダッキングをすると、相手が釣り出されてストレートカウンターを打ってくることがあるので、そこにダッキングアッパーを合わせるのはかなり効果的です。また、前回紹介したダブルアクションも、相手のガードが空き、2回目の強打が直撃することがあるのでオススメです。あと、カウンターに自信のある人は、ジャッジA(Rごとの最大ダメージ重視の審判)・B(R終了時点での残り顔面ゲージ重視の審判)に注意しながら引いて守り、相手がイライラして強打を打ってきたところにカウンターを合わせる、といった戦術をとっても面白いと思います。

 

2.顔面ポゼッション型

[傾向]

フェイントで崩したり、相手のディフェンスが甘くなったところを突いたりすることで自分から強打を当てる事を狙いとする戦術です。カウンターを苦手とするプレイヤーが使うことが多く、次に紹介するボディアタックと組み合わせて使われることもあります。また、この戦術でも、相手の動きや癖を観察してフェイントに反応するタイプかどうかを確認したり、狙いどころを探ったりすることが重要になってきます。この戦術の代表的な使い手としては、サンドバッグさん(以下、会長)、ゾロリさんなどが挙げられます。(あと、フェイント使いとしては、はまこ~さん、ゼファーさんなども素晴らしいプレイヤーです。)利点としては、さっきも書きましたが、カウンターが苦手でも強打を当てられるチャンスを作れることがあります。ただし、カウンター戦術に比べると強打を当てる確実性は落ちるので、このスタイル単体で戦うプレイヤーはあまり多くないのが現状ではあります。(守備を重視したスタイルにしたり、ボディアタックと組み合わせたりすることでこの難点を補うケースが多いですね。)また、フェイント時は防御がガラ空きになるため、連発していると暴発した強打を浴びることがあるので注意が必要です。(そのため、フェイントをする時は1・2回程度に留めるのが基本です。)

[対策]

「フェイントに釣り出されるのもイヤだし、かといって引っかからないように足を止めても、どうしてもガードが開いて…。」という方も結構多いと思いますが、比較的簡単に出来るフェイント対策を1つ紹介します。やり方は簡単で、「相手がフェイントをしてきたらジャブを打つこと」です。相手がダブルアクションを狙っていればジャブで実弾の方を潰せますし、万が一フェイントが単体でも余程のことがない限りジャブに割り込まれて強打を浴びることはありません。(ただし、青・白はジャブが伸びきった時に割り込まれるケースがあるので、過信は禁物。)そして、実弾の方をうまくガードできたら、カウンターで潰すなり、ジャブで返すなりすれば問題ありません。あとは、出会い頭のストレートや離れ際のフック・アッパー等に気をつけて、集中して守れば問題ないと思います。

 

3.ボディ型

[傾向]

文字通りボディを中心に攻める戦術で、現在のスパ天で最も多用されているものだと思います。ボディそのものにダメージを与えて相手の回復力やスピードを奪うことはもちろん、ボディへの過剰警戒を誘って顔面のガードを空け、そこから顔面への強打を当てたりする展開にも持ち込めます。また、グラブカラーによるバリエーションも豊富で、青の性質(スピードアップ、Bジャブの威力アップ、踏み込みジャブ命中で相手ののけぞりが大きくなるなど)を活かしたスピーディーな攻撃や、白の火力を活かした少ない手数によるシンプルな崩しなどなど、各プレイヤーの個性が強烈に現れるスタイルだと思います。代表的な使い手としては、ほづみさん、UMEさん、ahaさん、はまこ~さん、ゼファーさんなどが挙げられます。

ハマれば恐ろしい効力を発揮するボディアタックですが、高いレベルで使いこなすのはかなり難しい戦術です。まず、ボディ攻撃というのはスキが大きい攻撃なので、好き勝手に打つと強打で潰されやすくなります。(そのため、相手の動きを予測して打つ必要があります。)また、ボディへのパンチは普通に打ってもダメージが小さいので、コーナーに追い詰めて当てるカウンター気味に当てる呼吸ゲージが上の方にある時に当てるなどといった工夫をしないと、ボディへのダメージにつながりません。(あと、Bフックの使い方も結構大事で、もう少しでダメージになるという場面では確実に当てられないと厳しいと思います。)この戦術をメインにするつもりの人は、ハイリスクハイリターンの戦術であること、そして、高度なテクニックを要求される戦術であることを頭に入れた上で挑戦する必要があると思います。

[対策]

ボディディフェンスは結構難しく、自分でいろいろ試して呼吸をつかむ必要があるのですが、僕が今やっているやり方をお話します。まず、ボディディフェンスの軸になるのは、腹筋によるケアです。腹筋は↓キーを押すことで出来るディフェンスで、ボディダメージを最大で12軽減出来るスグレモノです。(ただし、顔面へのダメージは最大で36増えるので注意!)相手のボディ攻撃を食らって、5分の1程度のダメージ(蓄積ダメージではない!)を受けたらすぐ腹筋を固め、ボディへのダメージを最小限に留めるよう努めます。(特に1発1発の威力が高い青・白を相手にする場合は、早めのケアが大事)そしてこの状態になって相手がボディを狙わなくなったらすぐガード体勢に戻し、ダッシュで自陣方向にラインを下げます。このディフェンスを繰り返すことで最終的にはコーナー付近までラインを下げて、インターバルの間に、食らったダメージを大きく回復させられれば理想形です。ただ、腹筋とガードの切り替えのタイミングは慣れが必要で、呼吸がつかめていないと、腹筋体勢が長すぎて顔面にパンチをもらったり、ガードに戻した所で相手のBジャブが直撃したりします。(あと、下がり過ぎでコーナーに詰められてBフック直撃というパターンも要注意ですね。)そのため、慣れていないうちは戻すタイミングをいろいろ変えて試してみると良いと思います。あと、「ボディにダメージ食らうぐらいなら顔面に1発もらったほうがマシ」ぐらいに割り切ってディフェンスをするのがコツです。(ボディが無事なら顔面は自然回復である程度立て直せますが、ボディに蓄積ダメージが入ると立て直しはかなり難しくなります。)

上手い人になると、こういったディフェンスに加えてBジャブへのジャブ返しやカウンターを入れたり、クリンチで逃げて時間稼ぎをしたり、Bフック狙い(あと少しでボディダメージが入る場面や、ラウンド終了間際など)を察知してのカウンターを入れたりと様々なテクニックを駆使してボディアタッカーを撃退しますが、始めのうちはディフェンスに専念するだけでもかなり大変だと思うので、「同時作業はできねーよ!!」という人は無理をしなくても大丈夫です。あと、最後に注意点を1つ言っておきますが、コーナーに詰められるとBフックが直撃しやすくなる上に、食らうダメージが2倍になるので、コーナーに詰められる状況は絶対に避けてください。(終了時のポジションは、あくまでもコーナー「付近」です。)

 

どのスタイルも一長一短があるので、メインの戦術が機能しなかった時に備えてもう1個使える戦術を用意しておくと良いと思います。そのためには、負けることを恐れずいろいろ試してみることが大事です。ただそうは言っても、「新しい戦術を考えたけど、いきなり対人で使うのは自信がない」という人もいると思うのですが、そういう時はbotで実験してから対人でやってみると良いと思います。始めたばかりの人がbotとばかりやって対人でやらないというのは感心しませんし、実際「bot専は上達しない」とも書きましたが、botとスパーするのがダメというわけではなくて、それなりに技術を身につけた人が、対人戦に備えて、いわば「実験台」としてbotを使うのはどんどんやるべきというのが僕の考えですね。(まぁ実際、僕もbotとスパーしまくってるうちにボディアタックのコツが分かってきましたし)さて次回は、守備意識とダメージコントロールについてお話したいと思います。

第2回「スタートラインに立つ」へ TOPへ 第4回「1歩先を行くディフェンス」へ

+ タグ編集
  • タグ:
  • 新人
  • 初心者
  • ビョーク

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年09月02日 21:51