※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

[729:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:48:15 ID:UInjv0IP) AA]
「ううー、この枕はやっぱいいわ~」
ゆかりは、家に来るなりベッドに倒れこむと、足をばたばたさせて幸せそうにもだえた。

窓の外では、梅雨とは思えない日射しがアスファルトに降り注いでいる。
そろそろ長袖の服は片付けてもいいかな…と感じるある日。
今日一日のなかで一番気温が上がっていると思われる昼過ぎに、彼女は来た。
この暑い中よく来る気になったな…とは思うが、でもやっぱり
「あんたに会いたくなった」
なんて言ってくれるんじゃないかと期待するのは、惚れた弱みなんだろうか。

「ねぇ、クーラーつけようよ」
「だめ。まだ6月よ?」
「いーじゃん、暑いよー」
長いこと友人をしてきた私達にとって…
その場の“雰囲気”はすごく大事なものだった。
だいたい恋人が家にきたら、することなんか決まってるもんでしょ?
玄関閉めたらすぐにでも抱きつきたいし、にゃあにゃあ言いながら何時間でもくっついていたい。
でも私達の場合、なんだか変に慣れちゃって…。
どちらかがそういう雰囲気をつくろうとしなければ、なんとなく時間が過ぎていくというのも珍しくなかった。




[730:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:48:58 ID:UInjv0IP) AA]
「なんだよー、せっかく来たのにぃ」
そんなとき…、
雰囲気をつくってくれるのは、いつも彼女のほうだった。
「…うりゃ!」
「うわ!何よ!?」
窓を開けようとした私の背中に飛び付いて、笑っている。
「暑いだろ!ほらほら」
私をどさっとベッドに倒すと、思いきりくっついて唇を奪う。
少し動いたせいか、鼻孔から漏れる息がくすぐったかった。
「暑いので、続きはクーラーつけてからじゃないと嫌です」
離れる体を抱き戻そうとする私に、彼女はにやっと笑って変な口調で言い放った。
「…もう」
明るく…、しかしふざけている風でもなく。
彼女は私の思いを見透かして、甘い気持ちにさせてくれる。

今年初めてのエアコンのスイッチを入れると、お決まりの電子音が響いた。
ゆかりは私の手元にあるリモコンで温度だけ確認すると、
涼風が吹き注ぐのを待たずに私をベッドへ押し倒した。




[731:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:50:27 ID:UInjv0IP) AA]
覆い被さったゆかりの髪からは、よく知ったシャンプーの香りがする。
「重くない?」
「ううん、体重かけちゃっていいよ」
耳元で囁くと、彼女は立てていた肘を首にまわして、頬を擦り寄せてくる。
私はこんな風に、べっとりと彼女の体重を感じているのが好きだった。
なんとなく支配されている感覚…。
好きなように唇を奪われて、体を撫でられて、
私の出来る抵抗といえば、口の中で自由に動く舌を柔らかく噛むくらい。
そんな主導権のない状況に幸せを覚えるのは、
彼女の愛情のお陰か、それともただ自分の性癖なのか…。
前者だと信じたいが、この恍惚とした気持ちを説明するにはそれだけでは足りそうにない。
「にゃもはMだね」
ゆかりとこういう関係になるずっと前…、学生の頃に言われた言葉が、ふと頭に浮かんだ。




[732:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:51:47 ID:UInjv0IP) AA]
涼しくなり始めたベッドの上で、私は今日も腕だけを軽く彼女の背中にまわして身を委ねる。
既に下着姿のゆかりは、強く抱き締めれば痕がつきそうなほど華奢で真っ白だった。
そのくせ、いつもの悪戯な笑顔は崩さないまま相変わらず主導権を譲らず、
重なった唇からは粘度の高い水音を漏らしている。
「ん…」
ゆかりは腕を立てて私の唇を解放すると、とろんとした瞳をこちらに向けたまま、にやっと笑った。
「あのさ、この前本で読んだんだけど…」
少しずつ顔の距離を縮めながら甘い声で囁く。
濡れた唇が美しい。
「耳塞いでキスすると」
そこから先、彼女は何と言ったのだろうか。
私の耳は温かい手の平で塞がれてしまい、続きを話しているであろう唇の動きだけが瞼に映った。

[733:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:54:11 ID:UInjv0IP) AA]
彼女はそのまま、食い付くように唇を重ねて舌を動かし始めた。
さっきよりはゆっくりと、口の中を確かめるように動き…。
「!!」
私は思わず目を開いてしまった。
外からの音を遮断されたことによって、口内で響く音が行き場を失って、耳の中で反響し始めたのだ。
生々しい音が、鼓膜ではなく骨を通って内側から聞こえる。
私はまるで脳を直接犯されているような感覚に、目を閉じるのも忘れて悶えた。

舌…柔らかい。
ゆかりの腕が二本で良かった。
この状態で体を撫でられたら…、多分それだけで意識が飛んでしまう。
…、あ
うあ、ヤバい。
今ちょっと飛んだかも。
ゆかり、どこも触ってないよね?
耳…塞いでるから…、えと…
…塞いだままじゃ触れないはずで、…あれ、




[734:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:55:03 ID:UInjv0IP) AA]
耳を塞いでいたはずの手は既に頭の横にはなく、私の胸を覆う白い下着に伸びていた。
ペンやチョークを握ることにしか使わないはずの指が肌の上で滑るように動き、
私の意思とは別に小さな布きれがはぎ取られる。
慣れた手付きで進む一連の動作の間も、彼女の舌は止まらなかった。

手ぇ冷たいじゃん…、あんなに暑いって言ってたのに。
舌、んと、耳は塞がれてなくて…、もう音は大丈夫…
あ、目開けてるのは反則かな?
うあ、胸触って…冷た、

私は彼女の舌を咥えたまま声にならない悲鳴をあげていた。
さっきまで音に集中していた神経が、体を撫でられたことで全身に広がる。
ゆかりは左手を私の胸に添えたまま、体の中心に沿って右手を下げていった。
胸から腹、腹から腰に冷たい感触が伝わる。
私は、彼女がこれからとるであろう行動を想像するだけで、頭の中が真っ白になりそうだった。




[735:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:56:23 ID:UInjv0IP) AA]
「すげー。耳塞いだのは効果絶大かにゃ」
満足そうに下着を脱がせながらゆかりがつぶやく。
腰を浮かすのさえままならなかった私は、
彼女に剥がれた下着をふともものあたりに引っ掛けたまま離れた唇の余韻に浸っていた。

もう、だめだ…
ゆかり…かわいい…
あ、うあ…指、
ぎゅって…、ぎゅってして
ゆかり、くっついて。
ぎゅってしとかないと…私…

彼女はもう一度唇を重ねると、期待の溢れる私の秘部へと指を伸ばした。
もう、耐えられそうに無い
ぼんやりした意識の中でそれだけは悟った私は、
これからくる恍惚の瞬間にできるだけ彼女と体を触れていようと、何とか体を抱き寄せた。

こんな欲望に埋もれた状況でも、少しでもゆかりを感じたいと思える自分は…、
いや、違うな。
ゆかりだからこそ感じていたい…というか、なんと言うか。
もうわかんない。
わかんないけど愛してるわ。大好きよ。ゆかり。




[736:カーテン閉めて≪sage≫ (2007/06/19(火) 23:57:16 ID:UInjv0IP) AA]
私の意識は意味不明な思考の途中で切れ、耳の中には彼女の舌が動いた音とともに
「愛してる」
の声が聞こえたような気がした。


「ん…」
「お、やっと起きたか」
どれくらいの間寝てたんだろう。
声のするほうに向くと、いつもの笑顔のゆかりが腕枕をしてくれていた。
「う、寒ぃ」
いつのまにか冷房が効きすぎたのか、部屋は涼しいと言うよりも、寒い。
「消そっか。まだ6月だし」
「あんたがつけようって言ったんでしょ?」
まだぼんやりとした意識のまま、体を転がしてゆかりの上にのしかかる。
「もう、用も無いのに人ん家来て。好き勝手言って」
抱きしめた頭がぴくっと動き、笑いが漏れた。
「用も無い、はないだろ?」
「何でよ」

答えはわかっている。
でも、言って欲しかった。聞きたかった。

「会いたくなったから来た」

理想の答えのご褒美に、キスでもしてやろうかな。
たまには、上から体重をかけてやるのも悪くないかもしれない。

《おわり》