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だれでも歓迎! 編集
269名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:00:12ID:+tx7KP/B


「かおりん?」
私は今天文部の部室に呼び出されている。
というか、天文部にも部室があるんだな。 知らなかった。
「今日はね、お願いしたいことがあるの。神楽さん」
「神楽さん、なんて、馴れ馴れしく呼ばないでくれよ」
「いいえ、これでも尊敬してるのよ」
尊敬、か。 かおりんっていえば榊をずっと追っかけてる気がするけど、
あ、確かにいつも「榊さん」って呼んでるか、どうして私を?
「頼みも頼みだしね」
「なんだ、早く言えよ」
そう急かしたのに、かおりんは動かないで私をじっと見ている。
私の胸を……胸、だって?
「おい、そんなに見つめてるんじゃねえ!」
まだ止まってる。 目が同じ方向に向いてる。
超恥ずかしい、もっと、なんていうかさ、すっげー恥ずかしい。
「やっぱり、似てるわね」
「似て、」
「完全にあの人と同じじゃないけど」
出た、「あの人」。 かおりんの言葉にこの単語が出てきたら、
それは100%榊のことだ。 そんなに似てるか?
でもなあ、似てるって言われたらちょっとあいつの事が気になるなあ。
また勝負でも仕掛けてみるか。 今度は負けないぞ。
「これは榊さんの胸。 これは榊さんの足。 これは榊さんのウエスト」
意味不明な言葉がお経みたいに聞こえてくる。
だから、そんなにジロジロ人の体を見るなって……。
「初めての榊さんの触り心地」
気づいたら、制服の下に両手が入ってる。 マジでヤバイって。
まず顔が半端じゃない。半笑いで目線を全然動かさない。



270名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:01:08ID:+tx7KP/B


「ちょ、やめろよかおりん」
「何ですか? 私の榊さん」
「さっきからサカキサカキって、何のために呼んできたんだ」
あれ、目が動いた。 不機嫌そうな表情をしてる。
「うるさいわね、練習よ。 イメージトレーニング」
「私でやるな」
「実践は大事なのよ? 分かったら黙ってて、想像に集中できないわ」
かおりんも結構ひどいなあ、一人でやってりゃいいのに。
「初めての相手は誰ですか」
もう知らない。 答えてやんねえよ。 勿論いないし必要ないけど。
「そうですか、私が初めてですか。 うれしいです」
あーあ、完全に自分の世界に行っちゃったよ。
って、何背中のホックに手えつけてんだ。 どう考えたってやりすぎだよ。
「私も榊さんが初めてです。 あなたのために貞操を守り抜いてきました」
テイソウ……? なんだっけ、手をつけられていない、ってちよちゃんから聞いたな。
「あなたに私のすべてを捧げますから、」
他人を使っておいて何を言う。
「私にも、あなたのすべてを味わわせてください」
いやっ、何してんだよぉ、手で直接揉むなよ。
胸が一番苦手なんだって、いくら友達でも、それはだめだってば。
「全部かっこいいのに、胸は豊かで女性的ですね」



271名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:01:59ID:+tx7KP/B


触られるのも嫌だけど、大きさを言われるのはもっと嫌だ。
いいかげんにしてくれよ。 水泳の時なんて特に役に立たないんだから。
おい、待て、乳首を指で
「いい顔してますね」
「や、やめぇ、ろっ」
「息も声も熱いですよ。 もっと良くしてあげます」
だめ、つよすぎる、はやくとめて。
「榊さん」
わたしはさかきじゃない! かぐらだ!
「いいんですね、榊さん」
「ひゃ、はう、だまれ」
「そんな事言っちゃって、気持ちいいんでしょ?」
ひどいよ、ひどいよかおりん。
おまえが、さかきとつきあったら、あいつにもこんなことするのか?
ひどいよ。 わたしのさかきを……

「あなたを神楽さんみたいな人には渡せません」


……わたしの、さかき?




272名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:02:52ID:+tx7KP/B


「あんな大雑把で頭の悪い人より、私のほうがいいですよね」
「くそっ、わたしにむかって、あ、んやあっ」
「榊さんは私のものです」
わたしの、さかき。
「この胸とか目つきとか運動能力とかは似てますけど、神楽さんが勝てるわけがありません」
どうして? こんなにひどいことをいわれているのに、くるしくなくなってきた。
「万能でかっこよくて、頭も切れて、私を守ってくれる」
「わたしを、まもって、さかき」
「榊さんは私の一番です!」
「いちばん、すきな、さかき」

「神楽さんもそう思うわよね?」
「え」
待て。 いきなり普通に話しかけてきた、しかも私自身に。
こんなに榊ばっかりのかおりんが、そんなにすぐ正気に戻れるか?
「やっぱり、そう思うのね」
「いや、そんなこと、榊の事なんて」
ヤバい。できるだけ勝負以外考えないようにしてたのに、こんな所で気づかれるなんて。
しかも、中途半端に動きをやめられた胸が感じすぎて熱い。
「まんまと引っかかったわね」
「違う」
「本当にいい表情しちゃって」
「違う! わざとだよ、ついだよ!」
かおりんには知られたくなかった。
別に他の人に知らせるつもりはなかったけど、かおりんとライバルにはなりたくない。
この年中榊のことを考えてばっかりいるやつと競ってたら、私もだめになる。



273名前:「あいつ」がどちらなのかは読者の方にお任せします[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:05:14ID:+tx7KP/B
「まあ仕方ないわ。 あなたと違って、私と榊さんの間に共通点はないもの」
「だから、私はっ」
「隠してても、そのつもりがないと思ってても無駄よ。 態度でわかるわ。
 榊さんを一番愛してる私に、あなたのような人のことが何もわからないって言うの?」
私は何も言い返せなかった。
勝負でも最近の会話でも、何もない時でもいつも榊の事を意識してた。
あいつが猫ばっかり追っかけてて私の話を聞いてくれない時も、必死で話しかけてた。
「正直、神楽さんには勝てないかもね。 でも少しだけ分け前をちょうだい。
 何か私を満足させるもの、写真とか口のついたコップとかでもいいから」
かおりんが嫌いなわけじゃない。
でも、私が榊に対して正直になっちゃったらこうなるんだ、って考えると怖くて怖くて。
水泳にも勉強にも集中できなくなりそうなんだ。

「下校時間ね。 帰りましょう」
え、もうそんな時間か。 そういえば部活から着替えて教室に戻ってきたんだっけ。
「私の部は夜空の観察で延長していいことになってるけど、やめておくわ」
このまま続けていたところで何になったんだ?
「自分が空しくなってきちゃうからね。 さよなら」
「じゃ、じゃあな」
今日のかおりんを榊が知ったらどう思うだろう、いや、正直引くだろうな。
いつも見てて思うけど、あいつはあまり積極的じゃない。
私みたいなのと一緒にいられるのはどうしてだろう。
いや、自分から近寄っていったんだ。 やっぱり、あいつのことが気になってるんだな、私。
それにしても胸の変な感じが治まらない。誰か助けてくれ。
できれば榊に……って、かおりんの思考が写ってる、まずい。
考えれば考えるほどやつの策略にはまっていく。 私をどうするつもりなんだ、かおりん?

ああ、だめだ、今日は眠れない、榊のことを想ってしないと止められないよ。
本当に助けて、あいつのせいでおかしくなった私を。


(おわり)

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