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205名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 00:05:51ID:aXuV/CXU
泥酔したみなもはゆかりの肩に担がれながら階段を上がっていた。
いつもゆかりを介抱する側にいるみなもは、自分のアルコールの許容量を見誤っていた。
気付いたら生徒たちはどこかへ行き、何を話したかも覚えていない。
ゆかりが何か言いながら自分を揺り起こしたところからしか記憶が無いのだ。
それにしてもいい気分だ、とみなもは思った。
酔っている自覚はないようである。
ゆかりに支えてもらわないと歩けないのだから酔っていないわけないのだが、それすらも曖昧になってしまっている。
「は~、普段飲まないのに無茶するから・・・」
ゆかりが何か言っている。
言っているのはわかるが内容は頭に入っていない。
ただ声に反応してみなもはゆかりの方を見ていた。
――ゆかり・・・私を心配してくれるのね。
やはり内容は理解していないようである。
「ほらもう!ちゃんと歩きなさいよ」
みなもはじっとゆかりの顔を見ている。
――可愛いなぁ。ゆかり。私がいないと本当にだめなんだから。
  いっつも私の部屋に来てわがまま言って。でも追い出さないのは何でだと思う?
  朝毎日あんたを迎えに行くのは何でだと思う?
  私のベッドであんたが寝ちゃったとき、私が何考えてたかわかる?
  もう気付いてるんでしょ?ねぇ。
みなもは自分の体が熱くなってくるのを感じた。
それがアルコールによるものか、また何か別のものかはわからなかったが。
ゆかりはみなもを自分たちの部屋のベッドに放り込むと大きくため息をついた。
「?何じっと見てんのよ。吐かないうちにとっとと寝な」
ゆかりを見るみなもの目がしだいにとろんとしてくる。
「ゆかり、こっちきて」
みなもは起き上がってベッドに座った。
ちょこんと崩れた正座で自分の右側を指差しゆかりをうながす。
「何よ」
怪訝そうにはしているが、ゆかりは素直にそれに従った。
みなもの言うままにベッドに腰掛けたゆかりは、彼女の目が尋常ではないことに気付いた。
気付いた・・・が、そのときにはもう彼女の下敷きになっていた。

206名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 00:07:27ID:aXuV/CXU
天井の電気がまぶしい。
逆光の中にみなもの顔があらわれる。
いつもの穏やかな笑顔は、目だけをうっとりと潤ませゆかりを見下ろしていた。
その手は怖いほど力が入って、振りほどけそうも無い。
「何すんのよ!にゃも!」
みなもは荒げた声を上げるゆかりの口に蓋でもするかのように、唇を奪った。
開いていた口を塞ぐように覆う。
キスというよりは噛み付いているかのような。
「んふふ」
嬉しそうな笑いを漏らし、ゆかりの唇に吸い付く。
ゆかりも体をねじり腕を振り、なんとか抜け出そうとするが、二人の唇はいっこうに離れない。
その目には次第に涙と諦めの色が浮かんできた。
ゆかりが抵抗しなくなると、みなもはその唇を解放した。
体を起こし馬乗りになる。
「にゃも・・・何なのよぅ・・・」
今にも泣き出しそうなゆかりを恍惚とした視線が見下ろしていた。
――ああ、なんて可愛いの!いつもはあんなにわがままなのに。
  キスされたくらいでこんな顔して・・・。
  ああ、ゆかり・・・ゆかり・・・。
  何で、何で。
「何で気付いてくれないのよ」
それだけ言ってみなもはまたゆかりの唇に食いついた。

207名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 00:09:36ID:aXuV/CXU
舌で唇を犯しながら、両手で衣服を剥ぎ取る。
ゆかりは力なく腕を横たえ、目を閉じている。
脱がされた服は体に絡み、白い肌が露出する。
それはいつもの彼女からは想像も付かないような光景だった。
諦めているようにも見えるし、受け入れているようにも・・・放心しているようにも思える。
抵抗しなくなった彼女を思い通りにするのは簡単だった。
簡単だった・・・が、横たわる彼女を見ていると頭の中の何かがすっと溶けていく。
みなもは手を止め唇を離した。
ゆっくり顔を上げるが、ゆかりの顔が見えない。
彼女は自分が泣いていることに気づいた。
「ごめん、ごめんねゆかり・・・」
体はのしかかってはいるが、先ほどまでの力は無い。
「ゆかり・・・私、ゆかり、好きで・・・好きで、ごめん、ごめん」
涙と嗚咽で言葉にならない言葉が出る。
みなもの頭の中は罪悪感とゆかりへの想いでいっぱいだった。
自分のゆかりへの思いは本当だ。
本当だが、この手段は許されない。
何て事をしてしまったんだ。
みなもは強烈な吐き気と頭痛を感じた。

208名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 00:14:43ID:aXuV/CXU
その時、絶望と自己嫌悪がうずまく彼女の頭を何かが包んだような気がした。
「にゃも、キスと告白の順序が逆だろーが」
白い、細い、柔らかいゆかりの手。
「驚かすなよ。強引過ぎるぞ」
ゆかりの口調から怒りは感じられない。
穏やかで、冗談でも言っているようだった。
みなもはさっきよりも大声で泣いている。
安心したのか、嬉しかったのか、それとも罪悪感が増したのか。
恐らく全てだろう。
「ごめん、ごめん・・・」
止まらない嗚咽の中、みなもはなんとか言葉を搾り出す。
「酒の力借りといてちゅーしかできないなんて情けないなぁ」
ゆかりの表情はいつもの得意げな笑顔に戻っていた。
胸で泣くみなもの頭を優しくなでている。
「あんたは私がいないと本当にだめなんだから・・・」
泣きじゃくるみなもを抱きながら、ゆかりは優しい笑顔を見せた。
それは普段みなもがゆかりに見せるような、優しい、温かい笑顔だった。

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