「608」(2007/05/29 (火) 23:48:54) の最新版変更点
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<p><dt><a href="menu:608" target="_top" name="608"><font color="#0000ff">608</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:57:15 ID:prxIJW2v </dt><dd>「なぁ、榊はなんで部活しないの?」 <br />
神楽はベッドに転がって本を読んでいる。 <br />
「えと…体育会系は苦手で…」 <br />
「あぁ、前に聞いたな」 <br />
彼女のぼやっとした質問は、いつもならここで終わるのだが…。 <br />
「あのさ、体育会系がダメっていうのは…人間関係とか?」 <br />
興味のある顔がこちらを向いている。 <br />
…宿題、させてもらえそうにないな。 <br />
「人間関係…それもあるけど、いろんな意味で」 <br />
うまく説明できないのはいつものことだ。 <br />
「ふうん…」 <br />
「…でも、先輩後輩みたいなのは少し憧れるかもしれない」 <br />
「え?そうなんだ!?」 <br />
意外だったのか、興味を煽ったのか…彼女の目が一段と輝く。 <br />
「私、兄弟いないから」 <br />
「あ~、妹欲しいのか?…それか可愛い後輩」 <br />
…そうだな…可愛い後輩か…。 <br />
「おい榊、何ぼーっとしてんだ?」 <br />
可愛い後輩…。 <br />
「榊!」 <br />
「えっ?あぁ…」 <br />
体育会系じゃなくてもいいから部活すればよかったかなぁ…。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:609" target="_top" name="609"><font color="#0000ff">609</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:58:13 ID:prxIJW2v </dt><dd>「どうしたんだよ榊ぃー。…あ」 <br />
やっと意識を戻した私をよそに、彼女は何かを思い付いたようだ。 <br />
可愛らしい笑顔に悪戯っぽさが加わり、こちらを見つめている。 <br />
「とりゃ!」 <br />
威勢のいい声とともにベッドから立ち上がると、そのままの勢いで私の胸に飛込んできた。 <br />
「榊せんぱぁい!」 <br />
驚く私を尻目に、彼女は小さく叫んだ。 <br />
背中に手を回して、胸に頬をすり寄せてくる。 <br />
「いつもかっこいい先輩、大好きですよ!」 <br />
「…」 <br />
「…どう?」 <br />
…宿題は明日にしよう。 <br />
「えへへ…やっとこっち向いてくれた」 <br />
見上げる笑顔は、私だけのものだ。 <br />
…もっと早く独り占めすればよかった。 <br />
「榊…?」 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:610" target="_top" name="610"><font color="#0000ff">610</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:59:26 ID:prxIJW2v </dt><dd>「何?」 <br />
彼女は私の胸に顔を埋め、できるだけ体をくっつけようと身をよじらせる。 <br />
「私ね、背の高い榊が羨ましかったんだ。…泳ぐのも有利だし」 <br />
私たちがこういう関係になる前から、ずっと言っていたこと。 <br />
「でも、最近ちょっとだけ…ちっちゃくて良かったと思うことがあるんだ」 <br />
「…?」 <br />
<br />
「榊に抱き締めてもらえる」 <br />
<br />
胸に埋まった頭からは、真っ赤に染まった耳だけが覗いていた。 <br />
<br />
「こうやって甘えてるときが一番幸せだよ」 <br />
いつもは恥ずかしがって黙りこむ彼女が、今日は珍しく饒舌だ。 <br />
「暖かくてさ…」 <br />
髪を撫でてやると、神楽は猫のように首を動かす。 <br />
私はこの仕草が大好きだった。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:611" target="_top" name="611"><font color="#0000ff">611</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 01:00:25 ID:prxIJW2v </dt><dd>「…そうだ」 <br />
うっとりする私をよそに、彼女はまた何か思い付いたようだ。 <br />
ずるずると体を離すと、満足そうに笑いかけ… <br />
「ほら…どう?」 <br />
私の頭をふわりと抱きかかえた。 <br />
「暖かいだろ…?」 <br />
「…うん」 <br />
愛らしい笑顔とは裏腹な、発育のいい胸の感触が伝わってくる。 <br />
暖かくて・・・安心できるような、そんな気分。 <br />
神楽の言う暖かさっていうのは…こういうことか…。 <br />
「よしよし。…こうしてると、榊も結構可愛いな」 <br />
撫でられた私は、猫みたいに頭を動かして神楽に抱きついていた。 <br />
「神楽は…部活ではいい先輩なんだろうな」 <br />
「え?」 <br />
「だってこんなに暖かい」 <br />
自分でも良くわからない理論に、神楽からも苦笑が漏れる。 <br />
ただ、上に立つものに求められるは安心や信頼や包容力を…今、彼女に感じた。 <br />
<br />
…でも、 <br />
「でも、私といるときは…」 <br />
そう。 <br />
私といるときくらいは。 <br />
「甘えればいい」 <br />
可愛い神楽でいてくれればいい。 <br />
<br />
立ち上がって抱きしめると、彼女は素直に私に体を預けてくれた。 <br />
<br />
彼女が首筋に腕を回して、めいっぱい背伸びをしたら…。 <br />
それは、キスの合図。 <br />
逆らうことのできない、甘い合図。 <br />
《おわり》 <br />
</dd></p>
<dl><dt><a href="menu:608" target="_top" name="608"><font color= "#0000FF">608</font></a>名前:<font color= "#228B22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:57:15 ID:prxIJW2v</dt><dd>「なぁ、榊はなんで部活しないの?」<br>神楽はベッドに転がって本を読んでいる。<br>「えと…体育会系は苦手で…」<br>「あぁ、前に聞いたな」<br>彼女のぼやっとした質問は、いつもならここで終わるのだが…。<br>「あのさ、体育会系がダメっていうのは…人間関係とか?」<br>興味のある顔がこちらを向いている。<br>…宿題、させてもらえそうにないな。<br>「人間関係…それもあるけど、いろんな意味で」<br>うまく説明できないのはいつものことだ。<br>「ふうん…」<br>「…でも、先輩後輩みたいなのは少し憧れるかもしれない」<br>「え?そうなんだ!?」<br>意外だったのか、興味を煽ったのか…彼女の目が一段と輝く。<br>「私、兄弟いないから」<br>「あ~、妹欲しいのか?…それか可愛い後輩」<br>…そうだな…可愛い後輩か…。<br>「おい榊、何ぼーっとしてんだ?」<br>可愛い後輩…。<br>「榊!」<br>「えっ?あぁ…」<br>体育会系じゃなくてもいいから部活すればよかったかなぁ…。<br><br></dd><dt><a href="menu:609" target="_top" name="609"><font color= "#0000FF">609</font></a>名前:<font color= "#228B22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:58:13 ID:prxIJW2v</dt><dd>「どうしたんだよ榊ぃー。…あ」<br>やっと意識を戻した私をよそに、彼女は何かを思い付いたようだ。<br>可愛らしい笑顔に悪戯っぽさが加わり、こちらを見つめている。<br>「とりゃ!」<br>威勢のいい声とともにベッドから立ち上がると、そのままの勢いで私の胸に飛込んできた。<br>「榊せんぱぁい!」<br>驚く私を尻目に、彼女は小さく叫んだ。<br>背中に手を回して、胸に頬をすり寄せてくる。<br>「いつもかっこいい先輩、大好きですよ!」<br>「…」<br>「…どう?」<br>…宿題は明日にしよう。<br>「えへへ…やっとこっち向いてくれた」<br>見上げる笑顔は、私だけのものだ。<br>…もっと早く独り占めすればよかった。<br>「榊…?」<br><br></dd><dt><a href="menu:610" target="_top" name="610"><font color= "#0000FF">610</font></a>名前:<font color= "#228B22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 00:59:26 ID:prxIJW2v</dt><dd>「何?」<br>彼女は私の胸に顔を埋め、できるだけ体をくっつけようと身をよじらせる。<br>「私ね、背の高い榊が羨ましかったんだ。…泳ぐのも有利だし」<br>私たちがこういう関係になる前から、ずっと言っていたこと。<br>「でも、最近ちょっとだけ…ちっちゃくて良かったと思うことがあるんだ」<br>「…?」<br><br>「榊に抱き締めてもらえる」<br><br>胸に埋まった頭からは、真っ赤に染まった耳だけが覗いていた。<br><br>「こうやって甘えてるときが一番幸せだよ」<br>いつもは恥ずかしがって黙りこむ彼女が、今日は珍しく饒舌だ。<br>「暖かくてさ…」<br>髪を撫でてやると、神楽は猫のように首を動かす。<br>私はこの仕草が大好きだった。<br><br></dd><dt><a href="menu:611" target="_top" name="611"><font color= "#0000FF">611</font></a>名前:<font color= "#228B22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 01:00:25 ID:prxIJW2v</dt><dd>「…そうだ」<br>うっとりする私をよそに、彼女はまた何か思い付いたようだ。<br>ずるずると体を離すと、満足そうに笑いかけ…<br>「ほら…どう?」<br>私の頭をふわりと抱きかかえた。<br>「暖かいだろ…?」<br>「…うん」<br>愛らしい笑顔とは裏腹な、発育のいい胸の感触が伝わってくる。<br>暖かくて・・・安心できるような、そんな気分。<br>神楽の言う暖かさっていうのは…こういうことか…。<br>「よしよし。…こうしてると、榊も結構可愛いな」<br>撫でられた私は、猫みたいに頭を動かして神楽に抱きついていた。<br>「神楽は…部活ではいい先輩なんだろうな」<br>「え?」<br>「だってこんなに暖かい」<br>自分でも良くわからない理論に、神楽からも苦笑が漏れる。<br>ただ、上に立つものに求められるは安心や信頼や包容力を…今、彼女に感じた。<br><br>…でも、<br>「でも、私といるときは…」<br>そう。<br>私といるときくらいは。<br>「甘えればいい」<br>可愛い神楽でいてくれればいい。<br><br>立ち上がって抱きしめると、彼女は素直に私に体を預けてくれた。<br><br>彼女が首筋に腕を回して、めいっぱい背伸びをしたら…。<br>それは、キスの合図。<br>逆らうことのできない、甘い合図。<br>《おわり》<br></dd></dl>
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