「567」(2007/05/29 (火) 23:46:06) の最新版変更点
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<p><dt><a href="menu:567" target="_top" name="567"><font color="#0000ff">567</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:04:00 ID:DHw7Cdez </dt><dd><br />
ありがとうございました。 <br />
<br />
神楽単体 based on さかぐら。 <br />
ひさびさにえろえろで。 前回に比べてだいぶ文体変わってます。 <br />
============================================================ <br />
<br />
高校生活を謳歌している神楽は、仮にもうら若い少女なのであるが…… <br />
彼女の部屋は、どう考えても年頃の女性にふさわしいとは思えないものであった。 <br />
床にばらばらと放り出されたスポーツや自転車の書籍、 <br />
片隅に積まれて使った跡がなく、中身だけは新品さながらの参考書、 <br />
しっかりとハンガーに掛けられていてもいない普段着や水着の数々。 <br />
<br />
神楽は最近、この有り様を三日に一回ほど観察しては、その度に反省を試みていた。 <br />
「さてと、片付けよっかな」 <br />
……試みはするが、まともに達成したことは一度たりともなかった。 <br />
今日も今日とて、神楽は彼女の好む競技の記事を読みあさったり、 <br />
「片付けの準備運動」と称して単に体を温めるだけだったり、という程度の事しかしないだろう。 <br />
<br />
おや、どうやらこの時の彼女は違うようだ。 <br />
一連の動きを見るに、片付けに取り掛からないことはまた同じであるようだが、 <br />
彼女は、平常の時よりも長く視線を汚れた床に固定した後、部屋の中で何をするということもなく、 <br />
ただただそそくさと別の場所に足を運んでいった。 <br />
<br />
―― 片付けなんて、やっぱりどうでもいいや。 <br />
それよりも、何日かしてないせいかな、下のほうが変な感じになってきやがった。 <br />
ここじゃゴチャゴチャしてるし、どうしよう、トイレにでも行って済ませてくるか ―― <br />
<br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:568" target="_top" name="568"><font color="#0000ff">568</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:05:02 ID:DHw7Cdez </dt><dd>現在、夜の二時。 <br />
ふくよかな胸としなやかな筋肉を持ちあわせた健康的な体育少女にとっては、未知の領域である。 <br />
未知の領域である、はずだ。 <br />
<br />
現在、家のとある場所。 <br />
健康的な体育少女にとっても、彼女の家族にとっても、周知の領域である。 <br />
なぜなら、男女問わず、ここは体の不要物を排出するのに毎日必要となる一室だから。 <br />
<br />
この時間に限っては、羞恥の領域ともなる。 <br />
<br />
神楽は自室と比べて数分の一しかない空間の扉をそっと開け閉めすると、 <br />
鍵を慎重にかけ、明かりを付けて、そこに鎮座した陶器のふたを開ける。 <br />
彼女の手には、つまめるほどに薄い一冊の本がある。 <br />
穴の開いた座席に神楽が静かに座り込むと、紙のまとまりが順々に指でめくられ、 <br />
しばらくしてあるページで動きが止まった。 <br />
<br />
この一室に神楽が足を運んだのは、本来の目的によるものではない。 <br />
芳香剤によって人工的に付けられた香りが漂う部屋の中で、 <br />
彼女は、たった今覗き込んでいる……アルバムの、ページに入った写真を利用するのだ。 <br />
もっと分かりやすく言えば、写真に描かれた一人の人間を利用する、ということだ。 <br />
神楽は、自分自身の声が漏れないよう、唇と歯に力を掛けはじめた。 <br />
他の誰にも、これから行うことを気づかれてはならないようだ。 <br />
<br />
神楽は、整っていない寝巻きの下半分を一気に取り去って、はいていた下着も太ももを通して外した。 <br />
腰より下の若々しい肌がむきだしになると、両足が開かれ、その間に片手が向かう。 <br />
一方の手はアルバム、もう一方は神楽自身の中心にある。 <br />
<br />
―― やっぱり今日も、なんだか眠れないんだ。 <br />
これでお前に会うの、何回目かな。 <br />
もちろんさ、昼は平日ならいつもいられるけど、 <br />
夜も一緒にいてくれ、なんて言っても無理だよな。 <br />
なあ、榊 ―― <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:569" target="_top" name="569"><font color="#0000ff">569</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:07:02 ID:DHw7Cdez </dt><dd><br />
目の前にある写真に、応答があるはずもない無意味な語りかけをして、 <br />
神楽はためらいつつも、中心に触れた指を、軽く引っかくように動かす。 <br />
「ん、ふ……むぅ……」 <br />
声を出さないという制限を掛けているがゆえに、物を飲み込むような発音しかできない彼女。 <br />
<br />
神楽にとって、榊という少女はかつてライバルだった。 <br />
運動能力において男子の上位層をも凌駕する二人は、共に学校中で注目されてきた。 <br />
校内で催される様々な大会においては、特に競走で、一位と二位を分け合う存在であった。 <br />
神楽に直接問えば、今でもライバルである、と答えられるかもしれない。 <br />
しかし彼女の心中で、榊は……それより一つも二つも上の、憧れの人間、さらには恋愛対象、 <br />
果てには、性的欲求の相手として……働きはじめていた。 <br />
<br />
薄いページに挟まれた一枚の紙に写る少女がひとり。 <br />
それに対峙して、あられもない姿を見せ付けている少女もひとり。 <br />
神楽は、自分の気持ちいいところは自分が一番知っているんだ、と言わんばかりに、 <br />
ひたすら神経が集中している核を上下に擦りつづけた。 <br />
「く、はっ、さ……かき」 <br />
体育会系だからちょっとした忍耐も付いているはずだ、そう信じ込んでいても、 <br />
彼女の口からはふとした拍子に声が漏れ出てしまう。 <br />
<br />
心と肉体の底から望んでいる相手の、名前と共に。 <br />
<br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:570" target="_top" name="570"><font color="#0000ff">570</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:09:15 ID:DHw7Cdez </dt><dd><br />
―― そこがいい、榊、そこを、もっと。 <br />
いつ見てもお前はカッコいいな、私なんかと比べらんないぜ。 <br />
今すぐに写真じゃない榊を見たい。 <br />
早く朝になって、一緒に勝負して楽しみたい。 <br />
朝よ来い、夜よ消えろ。 <br />
一人でしてるのは寂しいんだ、榊、お前に会いたい。 <br />
ついでに、いつか私の気持ちを分かってくれたら、いきなりでいい、思いっきり押し倒してくれ。 <br />
もっと、指でこするだけじゃなくて、中に入れて、口も使って、いろいろとやれよ。 <br />
このどうしようもない体の熱さを、お前の体でなんとかしてくれ。 <br />
榊がしてくれるんなら、全部気持ちいいんだよ ―― <br />
<br />
「さかき、が……シテ、ぜんぶ、んあ、キモチ……い、い」 <br />
とめどなく溢れる思いは、意図せず外部に、壁の向こうからは聞こえない音量で流れ出ていた。 <br />
脳の機能をすべて欲求に向けたことにより、自分で設けていた規制は本能に消し去られた。 <br />
「ひゃ、さかきぃ、そこ、そこだよ、そこ、だ!」 <br />
理性から遠くに行ってしまった彼女が声を抑えつづけることなど、不可能だった。 <br />
神楽の全身に薄い汗が這い、上半身は上着にまで水分が染み出しはじめていた。 <br />
指でかき回されている中心は、粘り気のある液体で刻々と満たされてゆき、 <br />
彼女が座っている便座の穴を通って、細い糸が伸び、その先から滴が垂れ続けている。 <br />
「あ、うぅ……いい、ずっと、いじって」 <br />
生ぬるい吐息の混じった声は、平常の、少年的だと言われる活発なそれに比べて、 <br />
格段に艶かしく、女性らしさを感じさせるものとなっていた。 <br />
<br />
どんなに行動や趣味が他の女子と変わっていても、神楽は誰よりも女らしい一面を持っていた。 <br />
たわわに実るぶどうの房から滴り落ちる果汁と言うべきか、 <br />
並外れて活発であり、男性的な趣向を持ったがゆえに育てられた女性的な肉体の豊かさ。 <br />
榊にも共通する部分は多々ある……もっとも、彼女の場合、精神に少年の要素はないが。 <br />
少女神楽は少年榊を求め、少年神楽は少女榊を求める。 <br />
神楽が同性の壁を越えて強い感情を持った理由は、恐らくそういう所にあるのだと思う。 <br />
<br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:571" target="_top" name="571"><font color="#0000ff">571</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:10:46 ID:DHw7Cdez </dt><dd><br />
「いいよ、さか……き、おまっ、え、ひゃ、さい、こう」 <br />
音量は小さいまま、情欲の塊から出たつぶやきと、熱を持った吐息を混ぜた声が発せられる。 <br />
手の動きは一定ではなく、神楽が期待しつづける相手である榊のことを妄想して変化が加わっている。 <br />
「ああ、もう……だめ、さか、きぃ……だめ、だ、はぁ、う」 <br />
アルバムの写真に向かって見開いていた目が急にまぶたをだらりと下げ、 <br />
両手両足の筋肉からは力が抜けたのか、明確な動きが見られなくなった。 <br />
顔面は汗に覆われ、頬が紅に染まりきったまま、眠る時の表情を見せた。 <br />
しばらくすると、床にことりと音を立てて、一冊の本が落下した。 <br />
<br />
どうやら、彼女は静かに絶頂を迎えることができたようだ。 <br />
理性も本能も完全に飛び、神楽は便座に座ったまま夢の世界へ向かった。 <br />
<br />
―― なんか音がするな。 <br />
こっちに近づいてくる。 <br />
母さんは全然夜に起きないみたいだから、この時間帯にトイレに来るのは親父か。 <br />
あれ、そうだ。 <br />
ここって、私の部屋じゃなくて、トイレなんだよな。 <br />
今まで何をしてたんだっけ、そういや、榊を見ながら、なんだ。 <br />
<br />
……待てよ、ヤバいぞ、こりゃ! <br />
早く、親父が来る前に出ねえと! <br />
間に合うか、私? 大丈夫か、私 ―― <br />
<br />
神楽は持ち前の身体能力で下半身に服を戻し、かろうじて残っていた判断力と経験の応用で <br />
水を流してごまかし、焦らずに、通常目的での使用を装って扉を開けた。 <br />
<br />
父親が向かう小さな空間に残ったのは、榊が写された一冊のアルバム。 <br />
自室に戻った神楽に残ったのは、溢れる液体が染み出した下着だった。 <br />
<br />
<br />
(おやすみなさい) <br />
</dd></p>
<dl><dt><a target="_top" href="menu:567" name="567"><font color="#0000ff">567</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:04:00 ID:DHw7Cdez</dt><dd><br />
ありがとうございました。<br />
<br />
神楽単体 based on さかぐら。<br />
ひさびさにえろえろで。 前回に比べてだいぶ文体変わってます。<br />
============================================================<br />
<br />
高校生活を謳歌している神楽は、仮にもうら若い少女なのであるが……<br />
彼女の部屋は、どう考えても年頃の女性にふさわしいとは思えないものであった。<br />
床にばらばらと放り出されたスポーツや自転車の書籍、<br />
片隅に積まれて使った跡がなく、中身だけは新品さながらの参考書、<br />
しっかりとハンガーに掛けられていてもいない普段着や水着の数々。<br />
<br />
神楽は最近、この有り様を三日に一回ほど観察しては、その度に反省を試みていた。<br />
「さてと、片付けよっかな」<br />
……試みはするが、まともに達成したことは一度たりともなかった。<br />
今日も今日とて、神楽は彼女の好む競技の記事を読みあさったり、<br />
「片付けの準備運動」と称して単に体を温めるだけだったり、という程度の事しかしないだろう。<br />
<br />
おや、どうやらこの時の彼女は違うようだ。<br />
一連の動きを見るに、片付けに取り掛からないことはまた同じであるようだが、<br />
彼女は、平常の時よりも長く視線を汚れた床に固定した後、部屋の中で何をするということもなく、<br />
ただただそそくさと別の場所に足を運んでいった。<br />
<br />
―― 片付けなんて、やっぱりどうでもいいや。<br />
それよりも、何日かしてないせいかな、下のほうが変な感じになってきやがった。<br />
ここじゃゴチャゴチャしてるし、どうしよう、トイレにでも行って済ませてくるか ――<br />
<br />
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</dd><dt><a target="_top" href="menu:568" name="568"><font color="#0000ff">568</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:05:02 ID:DHw7Cdez</dt><dd>現在、夜の二時。<br />
ふくよかな胸としなやかな筋肉を持ちあわせた健康的な体育少女にとっては、未知の領域である。<br />
未知の領域である、はずだ。<br />
<br />
現在、家のとある場所。<br />
健康的な体育少女にとっても、彼女の家族にとっても、周知の領域である。<br />
なぜなら、男女問わず、ここは体の不要物を排出するのに毎日必要となる一室だから。<br />
<br />
この時間に限っては、羞恥の領域ともなる。<br />
<br />
神楽は自室と比べて数分の一しかない空間の扉をそっと開け閉めすると、<br />
鍵を慎重にかけ、明かりを付けて、そこに鎮座した陶器のふたを開ける。<br />
彼女の手には、つまめるほどに薄い一冊の本がある。<br />
穴の開いた座席に神楽が静かに座り込むと、紙のまとまりが順々に指でめくられ、<br />
しばらくしてあるページで動きが止まった。<br />
<br />
この一室に神楽が足を運んだのは、本来の目的によるものではない。<br />
芳香剤によって人工的に付けられた香りが漂う部屋の中で、<br />
彼女は、たった今覗き込んでいる……アルバムの、ページに入った写真を利用するのだ。<br />
もっと分かりやすく言えば、写真に描かれた一人の人間を利用する、ということだ。<br />
神楽は、自分自身の声が漏れないよう、唇と歯に力を掛けはじめた。<br />
他の誰にも、これから行うことを気づかれてはならないようだ。<br />
<br />
神楽は、整っていない寝巻きの下半分を一気に取り去って、はいていた下着も太ももを通して外した。<br />
腰より下の若々しい肌がむきだしになると、両足が開かれ、その間に片手が向かう。<br />
一方の手はアルバム、もう一方は神楽自身の中心にある。<br />
<br />
―― やっぱり今日も、なんだか眠れないんだ。<br />
これでお前に会うの、何回目かな。<br />
もちろんさ、昼は平日ならいつもいられるけど、<br />
夜も一緒にいてくれ、なんて言っても無理だよな。<br />
なあ、榊 ――<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:569" name="569"><font color="#0000ff">569</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:07:02 ID:DHw7Cdez</dt><dd><br />
目の前にある写真に、応答があるはずもない無意味な語りかけをして、<br />
神楽はためらいつつも、中心に触れた指を、軽く引っかくように動かす。<br />
「ん、ふ……むぅ……」<br />
声を出さないという制限を掛けているがゆえに、物を飲み込むような発音しかできない彼女。<br />
<br />
神楽にとって、榊という少女はかつてライバルだった。<br />
運動能力において男子の上位層をも凌駕する二人は、共に学校中で注目されてきた。<br />
校内で催される様々な大会においては、特に競走で、一位と二位を分け合う存在であった。<br />
神楽に直接問えば、今でもライバルである、と答えられるかもしれない。<br />
しかし彼女の心中で、榊は……それより一つも二つも上の、憧れの人間、さらには恋愛対象、<br />
果てには、性的欲求の相手として……働きはじめていた。<br />
<br />
薄いページに挟まれた一枚の紙に写る少女がひとり。<br />
それに対峙して、あられもない姿を見せ付けている少女もひとり。<br />
神楽は、自分の気持ちいいところは自分が一番知っているんだ、と言わんばかりに、<br />
ひたすら神経が集中している核を上下に擦りつづけた。<br />
「く、はっ、さ……かき」<br />
体育会系だからちょっとした忍耐も付いているはずだ、そう信じ込んでいても、<br />
彼女の口からはふとした拍子に声が漏れ出てしまう。<br />
<br />
心と肉体の底から望んでいる相手の、名前と共に。<br />
<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:570" name="570"><font color="#0000ff">570</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:09:15 ID:DHw7Cdez</dt><dd><br />
―― そこがいい、榊、そこを、もっと。<br />
いつ見てもお前はカッコいいな、私なんかと比べらんないぜ。<br />
今すぐに写真じゃない榊を見たい。<br />
早く朝になって、一緒に勝負して楽しみたい。<br />
朝よ来い、夜よ消えろ。<br />
一人でしてるのは寂しいんだ、榊、お前に会いたい。<br />
ついでに、いつか私の気持ちを分かってくれたら、いきなりでいい、思いっきり押し倒してくれ。<br />
もっと、指でこするだけじゃなくて、中に入れて、口も使って、いろいろとやれよ。<br />
このどうしようもない体の熱さを、お前の体でなんとかしてくれ。<br />
榊がしてくれるんなら、全部気持ちいいんだよ ――<br />
<br />
「さかき、が……シテ、ぜんぶ、んあ、キモチ……い、い」<br />
とめどなく溢れる思いは、意図せず外部に、壁の向こうからは聞こえない音量で流れ出ていた。<br />
脳の機能をすべて欲求に向けたことにより、自分で設けていた規制は本能に消し去られた。<br />
「ひゃ、さかきぃ、そこ、そこだよ、そこ、だ!」<br />
理性から遠くに行ってしまった彼女が声を抑えつづけることなど、不可能だった。<br />
神楽の全身に薄い汗が這い、上半身は上着にまで水分が染み出しはじめていた。<br />
指でかき回されている中心は、粘り気のある液体で刻々と満たされてゆき、<br />
彼女が座っている便座の穴を通って、細い糸が伸び、その先から滴が垂れ続けている。<br />
「あ、うぅ……いい、ずっと、いじって」<br />
生ぬるい吐息の混じった声は、平常の、少年的だと言われる活発なそれに比べて、<br />
格段に艶かしく、女性らしさを感じさせるものとなっていた。<br />
<br />
どんなに行動や趣味が他の女子と変わっていても、神楽は誰よりも女らしい一面を持っていた。<br />
たわわに実るぶどうの房から滴り落ちる果汁と言うべきか、<br />
並外れて活発であり、男性的な趣向を持ったがゆえに育てられた女性的な肉体の豊かさ。<br />
榊にも共通する部分は多々ある……もっとも、彼女の場合、精神に少年の要素はないが。<br />
少女神楽は少年榊を求め、少年神楽は少女榊を求める。<br />
神楽が同性の壁を越えて強い感情を持った理由は、恐らくそういう所にあるのだと思う。<br />
<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:571" name="571"><font color="#0000ff">571</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/05/22(火) 02:10:46 ID:DHw7Cdez</dt><dd><br />
「いいよ、さか……き、おまっ、え、ひゃ、さい、こう」<br />
音量は小さいまま、情欲の塊から出たつぶやきと、熱を持った吐息を混ぜた声が発せられる。<br />
手の動きは一定ではなく、神楽が期待しつづける相手である榊のことを妄想して変化が加わっている。<br />
「ああ、もう……だめ、さか、きぃ……だめ、だ、はぁ、う」<br />
アルバムの写真に向かって見開いていた目が急にまぶたをだらりと下げ、<br />
両手両足の筋肉からは力が抜けたのか、明確な動きが見られなくなった。<br />
顔面は汗に覆われ、頬が紅に染まりきったまま、眠る時の表情を見せた。<br />
しばらくすると、床にことりと音を立てて、一冊の本が落下した。<br />
<br />
どうやら、彼女は静かに絶頂を迎えることができたようだ。<br />
理性も本能も完全に飛び、神楽は便座に座ったまま夢の世界へ向かった。<br />
<br />
―― なんか音がするな。<br />
こっちに近づいてくる。<br />
母さんは全然夜に起きないみたいだから、この時間帯にトイレに来るのは親父か。<br />
あれ、そうだ。<br />
ここって、私の部屋じゃなくて、トイレなんだよな。<br />
今まで何をしてたんだっけ、そういや、榊を見ながら、なんだ。<br />
<br />
……待てよ、ヤバいぞ、こりゃ!<br />
早く、親父が来る前に出ねえと!<br />
間に合うか、私? 大丈夫か、私 ――<br />
<br />
神楽は持ち前の身体能力で下半身に服を戻し、かろうじて残っていた判断力と経験の応用で<br />
水を流してごまかし、焦らずに、通常目的での使用を装って扉を開けた。<br />
<br />
父親が向かう小さな空間に残ったのは、榊が写された一冊のアルバム。<br />
自室に戻った神楽に残ったのは、溢れる液体が染み出した下着だった。<br />
<br />
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(おやすみなさい)<br />
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