「414」(2007/05/06 (日) 12:29:54) の最新版変更点
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<p><dt><a href="menu:414" target="_top" name="414"><font color="#0000ff">414</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:02:45 <a href="id:414" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd><a href="about:blank#227" target="_top"><font color="#800080">>>227</font></a>さん <br />
GJ <br />
いつも完成度高いです <br />
次に投下するのためらっちゃいます(´・ω・`) <br />
<br />
<br />
<a href="about:blank#169" target="_top"><font color="#800080">>>169</font></a>→<a href="about:blank#195" target="_top"><font color="#800080">>>195</font></a>→<a href="about:blank#259" target="_top"><font color="#800080">>>259</font></a> <br />
と続けてるつもりです <br />
―― <br />
今日は私があの子を迎えに行く日。 <br />
デートの理由はたいしたことじゃない。 <br />
アルバイトのお給料も入ったし、おいしいものでも食べに行こう。 <br />
そんな軽い気持ち。 <br />
当たり前のデート。 <br />
<br />
でも彼女は、神楽は少し違ったようだった。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:415" target="_top" name="415"><font color="#0000ff">415</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:03:32 <a href="id:415" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>よく晴れた、絶好のお出かけ日和。 <br />
インターホンを押すと、少し間をおいてなぜか恥ずかしそうな神楽が顔を覗かせた。 <br />
「やあ」 <br />
「・・・おっす」 <br />
可愛らしい笑顔だが、いつもと何かが違う。 <br />
「・・・髪。何かつけてる?」 <br />
「あ、やっぱわかる?へへ・・・」 <br />
整えられた前髪を引っ張りながら、彼女は照れた。 <br />
覗いた腕は、健康的にこんがりと日焼けしている。 <br />
<br />
ただ、違和感はそれだけではない気がする。 <br />
「今日は何か違う・・・?」 <br />
問いかけに、観念したような顔を浮かべ、 <br />
「・・・榊、笑うなよ」 <br />
彼女は少しずつ玄関の扉を開いた。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:416" target="_top" name="416"><font color="#0000ff">416</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:04:12 <a href="id:416" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>古びたアパートの、埃っぽい緑の扉が、そのときだけは花束を包む高級な木箱のように。 <br />
現れた彼女はピンクのワンピースに身を包み、頬を紅く染めていた。 <br />
「神楽・・・」 <br />
着慣れない感じで立っていても・・・きっとどんな花にも見劣りしない華やかさ。 <br />
恋心に染められた色眼鏡で見なくとも、彼女の美しさは私を虜にしただろう。 <br />
<br />
「・・・やっぱ似合わない?」 <br />
「そ・・・そんなことない!」 <br />
自分でも驚くほどの大声をあげて、私は彼女に飛びついていた。 <br />
真っ赤な顔がさらに赤く染まる。 <br />
「ちょ・・・っと榊、効果ありすぎ・・・」 <br />
きゅっと彼女を抱きしめていると、胸には嬉しさと下心の両方が湧き上がってくる。 <br />
・・・今日は部屋でいちゃいちゃするのも悪くないかもしれない。 <br />
「榊・・・」 <br />
あ、でも、こんな可愛い子を連れて街を歩けたらどんなに幸せだろうか。 <br />
<br />
「おい、榊!苦しいって」 <br />
「あ・・・ごめん」 <br />
彼女の声にはっとして腕を解く。 <br />
「いや、でも嬉しいよ。そんな喜んでくれて」 <br />
<br />
改めて見る彼女の姿は形容しようのない美しさを保っていた。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:417" target="_top" name="417"><font color="#0000ff">417</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:04:53 <a href="id:417" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>この服は春日さんに借りたものらしい。 <br />
髪もお化粧も昨日おしえてもらったそうだ。 <br />
<br />
「でさ、榊・・・それはいいんだけど」 <br />
彼女は舌を出して笑っている。 <br />
「靴、スニーカーしかねぇのに気付いた」 <br />
おどけて言う神楽の足元には、確かに2、3足の動きやすそうな靴が散らばっている。 <br />
「せっかくいいの貸してもらったのに」 <br />
<br />
「買いに行こう」 <br />
「え?」 <br />
「今から買いに行こう!とりあえずこれ履いて」 <br />
私は、白いコンバースを彼女に履かせて手を引っ張った。 <br />
「え?いいよ!待てって榊!」 <br />
神楽は鍵をかけながら狼狽している。 <br />
<br />
「榊!いいって!悪いよ」 <br />
私が靴を買おうと言ったのは、昨日から私のために準備してくれた神楽に・・・何かしてあげなきゃと感じたからだ。 <br />
それに・・・かっこいいところも見せたかった。 <br />
「こういう時は黙って恋人の好意に甘えるほうが可愛いぞ」 <br />
「な・・・っ」 <br />
「そのかわり、レストランはとりやめ。今日はうちに帰って夕飯は手作りだ」 <br />
これが、私に言えるかっこいい台詞の限界だったが・・・。 <br />
「榊・・・ありがと」 <br />
彼女の心は、そんなチープな甘言にも簡単につられてしまうほど純粋だった。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:418" target="_top" name="418"><font color="#0000ff">418</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:05:30 <a href="id:418" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>色とりどりのお洒落な靴が並ぶ、ありきたりだけど清潔なお店。 <br />
少し値段が張るかもしれないけど、神楽のためなら投資なんか惜しくない。 <br />
<br />
「サンダル・・・あ、ミュールっていうのか。こんなのの方がいいかな」 <br />
新しい靴を買う、というのは何故かわくわくするものだ。 <br />
神楽も嬉しそうに見上げている。 <br />
「夏だし・・・せっかくだから可愛いのにすれば?」 <br />
目を輝かせて浮かれる神楽を見守っていると、なんとも言えない幸せを感じた。 <br />
今までならこんなとこに連れてきても困った顔をするだけだっただろう。 <br />
それが私のために可愛い服を選んでくれて・・・靴も欲しがってる。 <br />
「これなんかこの服にあうと思わねーか?」 <br />
振り向いて首をかしげる姿はまるでお人形だ。 <br />
「服は返すんだろ?色あわせちゃっていいのか?」 <br />
私、にやにやしてるんだろうな・・・。 <br />
いや、こんな彼女を前にして顔がほころばないほうがおかしいのか。 <br />
「うん。でも、おんなじ様なやつ、買おうかと思ってるんだ」 <br />
<br />
おお・・・私もおしゃれ、しないとな。 <br />
「榊も喜んでくれたし・・・。たまには可愛いって言われるのも悪くねぇ」 <br />
笑顔はとても満足げだ。 <br />
「・・・いつだって可愛い。でも、今日は特に可愛い」 <br />
彼女を形容するにはいくら言葉を使っても足りないようにも思える。 <br />
ただ、こんなことしか言えないのが悔しい。 <br />
<br />
神楽は、へたくそな私の褒め言葉に「恥ずかしいよ」とだけ言って、靴に目を戻した。 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:419" target="_top" name="419"><font color="#0000ff">419</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:06:01 <a href="id:419" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>「よし、これにする!」 <br />
彼女は、こざっぱりした白のミュールを差し出した。 <br />
「ヒールなんて初めてだから、うまく履けるかわかんないけど」 <br />
ちらちら見える値札に書かれた数字は、思っていたよりずっと安い。 <br />
「すぐ慣れるさ」 <br />
ただ、見渡すと、周りの商品も同じような値段だ。 <br />
そもそも、ミュールそのものがそんなに高くないのかもしれない。 <br />
「神楽、サイズは?」 <br />
「あ、そっか」 <br />
彼女は立ったまま靴を脱ごうとする。 <br />
「待って」 <br />
私がいた椅子に反転する形で彼女を座らせて、その横に跪く。 <br />
「足、上げて」 <br />
<br />
「じ・・・自分でできるって」 <br />
「・・・いいから」 <br />
強引な私に観念したのか、彼女は右足を上げた。 <br />
それを膝に乗せて、持っていたミュールを履かせてみる。 <br />
恥ずかしそうにしていた彼女も、サイズがぴったりだとわかると笑みがこぼれた。 <br />
「シンデレラ・・・」 <br />
<br />
</dd><dt><a href="menu:420" target="_top" name="420"><font color="#0000ff">420</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:06:33 <a href="id:420" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi </dt><dd>「え?」 <br />
そう。彼女はシンデレラ。 <br />
普段着ないドレスを着て、私を虜にする。 <br />
靴を選んで、サイズもぴったり。 <br />
魔法使いはいないけど、彼女はシンデレラ。 <br />
<br />
じゃあ、私が王子様か・・・。 <br />
<br />
「・・・幸せにしてあげないとな」 <br />
<br />
<br />
店を出て早速買った靴を履く彼女は、やっぱりバランスがとりにくそうだった。 <br />
「大丈夫か?」 <br />
「おとと・・・」 <br />
ぎゅっと私の腕にしがみついて歩く。 <br />
「やっぱ慣れるまでは難しいかも」 <br />
歩くたびにカツカツ聞こえる音が心地よかった。 <br />
<br />
「かぼちゃの馬車を用意してくれよ。王子様」 <br />
<br />
「聞こえてたのか」 <br />
見下ろすと、ヒールで少し高くなった彼女の唇が触れた。 <br />
「えへへ・・・幸せにしろよ」 <br />
私の腕はさっきよりぎゅっと握られている。 <br />
<br />
まだ太陽は高い位置にあるようだ。 <br />
余ったお金でドレスを買ってあげようかな。 <br />
十二時になっても消えないドレスを。</dd></p>
<dl><dt><a target="_top" href="menu:414" name="414"><font color="#0000ff">414</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:02:45<a target="_top" href="id:414"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>今日は私があの子を迎えに行く日。<br />
デートの理由はたいしたことじゃない。<br />
アルバイトのお給料も入ったし、おいしいものでも食べに行こう。<br />
そんな軽い気持ち。<br />
当たり前のデート。<br />
<br />
でも彼女は、神楽は少し違ったようだった。<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:415" name="415"><font color="#0000ff">415</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:03:32<a target="_top" href="id:415"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>よく晴れた、絶好のお出かけ日和。<br />
インターホンを押すと、少し間をおいてなぜか恥ずかしそうな神楽が顔を覗かせた。<br />
「やあ」<br />
「・・・おっす」<br />
可愛らしい笑顔だが、いつもと何かが違う。<br />
「・・・髪。何かつけてる?」<br />
「あ、やっぱわかる?へへ・・・」<br />
整えられた前髪を引っ張りながら、彼女は照れた。<br />
覗いた腕は、健康的にこんがりと日焼けしている。<br />
<br />
ただ、違和感はそれだけではない気がする。<br />
「今日は何か違う・・・?」<br />
問いかけに、観念したような顔を浮かべ、<br />
「・・・榊、笑うなよ」<br />
彼女は少しずつ玄関の扉を開いた。<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:416" name="416"><font color="#0000ff">416</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:04:12<a target="_top" href="id:416"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>古びたアパートの、埃っぽい緑の扉が、そのときだけは花束を包む高級な木箱のように。<br />
現れた彼女はピンクのワンピースに身を包み、頬を紅く染めていた。<br />
「神楽・・・」<br />
着慣れない感じで立っていても・・・きっとどんな花にも見劣りしない華やかさ。<br />
恋心に染められた色眼鏡で見なくとも、彼女の美しさは私を虜にしただろう。<br />
<br />
「・・・やっぱ似合わない?」<br />
「そ・・・そんなことない!」<br />
自分でも驚くほどの大声をあげて、私は彼女に飛びついていた。<br />
真っ赤な顔がさらに赤く染まる。<br />
「ちょ・・・っと榊、効果ありすぎ・・・」<br />
きゅっと彼女を抱きしめていると、胸には嬉しさと下心の両方が湧き上がってくる。<br />
・・・今日は部屋でいちゃいちゃするのも悪くないかもしれない。<br />
「榊・・・」<br />
あ、でも、こんな可愛い子を連れて街を歩けたらどんなに幸せだろうか。<br />
<br />
「おい、榊!苦しいって」<br />
「あ・・・ごめん」<br />
彼女の声にはっとして腕を解く。<br />
「いや、でも嬉しいよ。そんな喜んでくれて」<br />
<br />
改めて見る彼女の姿は形容しようのない美しさを保っていた。<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:417" name="417"><font color="#0000ff">417</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:04:53<a target="_top" href="id:417"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>この服は春日さんに借りたものらしい。<br />
髪もお化粧も昨日おしえてもらったそうだ。<br />
<br />
「でさ、榊・・・それはいいんだけど」<br />
彼女は舌を出して笑っている。<br />
「靴、スニーカーしかねぇのに気付いた」<br />
おどけて言う神楽の足元には、確かに2、3足の動きやすそうな靴が散らばっている。<br />
「せっかくいいの貸してもらったのに」<br />
<br />
「買いに行こう」<br />
「え?」<br />
「今から買いに行こう!とりあえずこれ履いて」<br />
私は、白いコンバースを彼女に履かせて手を引っ張った。<br />
「え?いいよ!待てって榊!」<br />
神楽は鍵をかけながら狼狽している。<br />
<br />
「榊!いいって!悪いよ」<br />
私が靴を買おうと言ったのは、昨日から私のために準備してくれた神楽に・・・何かしてあげなきゃと感じたからだ。<br />
それに・・・かっこいいところも見せたかった。<br />
「こういう時は黙って恋人の好意に甘えるほうが可愛いぞ」<br />
「な・・・っ」<br />
「そのかわり、レストランはとりやめ。今日はうちに帰って夕飯は手作りだ」<br />
これが、私に言えるかっこいい台詞の限界だったが・・・。<br />
「榊・・・ありがと」<br />
彼女の心は、そんなチープな甘言にも簡単につられてしまうほど純粋だった。<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:418" name="418"><font color="#0000ff">418</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:05:30<a target="_top" href="id:418"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>色とりどりのお洒落な靴が並ぶ、ありきたりだけど清潔なお店。<br />
少し値段が張るかもしれないけど、神楽のためなら投資なんか惜しくない。<br />
<br />
「サンダル・・・あ、ミュールっていうのか。こんなのの方がいいかな」<br />
新しい靴を買う、というのは何故かわくわくするものだ。<br />
神楽も嬉しそうに見上げている。<br />
「夏だし・・・せっかくだから可愛いのにすれば?」<br />
目を輝かせて浮かれる神楽を見守っていると、なんとも言えない幸せを感じた。<br />
今までならこんなとこに連れてきても困った顔をするだけだっただろう。<br />
それが私のために可愛い服を選んでくれて・・・靴も欲しがってる。<br />
「これなんかこの服にあうと思わねーか?」<br />
振り向いて首をかしげる姿はまるでお人形だ。<br />
「服は返すんだろ?色あわせちゃっていいのか?」<br />
私、にやにやしてるんだろうな・・・。<br />
いや、こんな彼女を前にして顔がほころばないほうがおかしいのか。<br />
「うん。でも、おんなじ様なやつ、買おうかと思ってるんだ」<br />
<br />
おお・・・私もおしゃれ、しないとな。<br />
「榊も喜んでくれたし・・・。たまには可愛いって言われるのも悪くねぇ」<br />
笑顔はとても満足げだ。<br />
「・・・いつだって可愛い。でも、今日は特に可愛い」<br />
彼女を形容するにはいくら言葉を使っても足りないようにも思える。<br />
ただ、こんなことしか言えないのが悔しい。<br />
<br />
神楽は、へたくそな私の褒め言葉に「恥ずかしいよ」とだけ言って、靴に目を戻した。<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:419" name="419"><font color="#0000ff">419</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:06:01<a target="_top" href="id:419"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>「よし、これにする!」<br />
彼女は、こざっぱりした白のミュールを差し出した。<br />
「ヒールなんて初めてだから、うまく履けるかわかんないけど」<br />
ちらちら見える値札に書かれた数字は、思っていたよりずっと安い。<br />
「すぐ慣れるさ」<br />
ただ、見渡すと、周りの商品も同じような値段だ。<br />
そもそも、ミュールそのものがそんなに高くないのかもしれない。<br />
「神楽、サイズは?」<br />
「あ、そっか」<br />
彼女は立ったまま靴を脱ごうとする。<br />
「待って」<br />
私がいた椅子に反転する形で彼女を座らせて、その横に跪く。<br />
「足、上げて」<br />
<br />
「じ・・・自分でできるって」<br />
「・・・いいから」<br />
強引な私に観念したのか、彼女は右足を上げた。<br />
それを膝に乗せて、持っていたミュールを履かせてみる。<br />
恥ずかしそうにしていた彼女も、サイズがぴったりだとわかると笑みがこぼれた。<br />
「シンデレラ・・・」<br />
<br />
</dd><dt><a target="_top" href="menu:420" name="420"><font color="#0000ff">420</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:06:33<a target="_top" href="id:420"><font color="#0000ff">ID:</font></a>WGDvweAi</dt><dd>「え?」<br />
そう。彼女はシンデレラ。<br />
普段着ないドレスを着て、私を虜にする。<br />
靴を選んで、サイズもぴったり。<br />
魔法使いはいないけど、彼女はシンデレラ。<br />
<br />
じゃあ、私が王子様か・・・。<br />
<br />
「・・・幸せにしてあげないとな」<br />
<br />
<br />
店を出て早速買った靴を履く彼女は、やっぱりバランスがとりにくそうだった。<br />
「大丈夫か?」<br />
「おとと・・・」<br />
ぎゅっと私の腕にしがみついて歩く。<br />
「やっぱ慣れるまでは難しいかも」<br />
歩くたびにカツカツ聞こえる音が心地よかった。<br />
<br />
「かぼちゃの馬車を用意してくれよ。王子様」<br />
<br />
「聞こえてたのか」<br />
見下ろすと、ヒールで少し高くなった彼女の唇が触れた。<br />
「えへへ・・・幸せにしろよ」<br />
私の腕はさっきよりぎゅっと握られている。<br />
<br />
まだ太陽は高い位置にあるようだ。<br />
余ったお金でドレスを買ってあげようかな。<br />
十二時になっても消えないドレスを。</dd></dl>
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