「394」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

394」(2007/05/06 (日) 12:27:32) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p><dt><a href="menu:394" target="_top" name="394"><font color="#0000ff">394</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:18:00 <a href="id:394" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB </dt><dd><br /> かおりんの想いはまだ実らない <br /> 今回はモノローグ <br /> <br /> ================================================================================ <br /> <br /> <br /> 私が三年間あの高校にいて、あの方と共に過ごしたことで、学んだことはたくさんありますが、 <br /> 今日はこの掲示板にいるお姉さま方にとって役に立つお話をひとつしましょう。 <br /> <br /> 北風と太陽、ご存知ですか? イソップ童話、子供の時に私も聞かされましたが。 <br /> 話のあらすじ、ここのお姉さま方は覚えてますよね? <br /> <br /> 冬を迎えようとする日、ある所に上着を羽織った旅人がいました。 <br /> 北風と太陽は力比べをするために、どちらが先にその上着を脱がせられるか競い合いました。 <br /> 北風は旅人に向かって強く息を吹きかけますが、どんなに力を込めても上着を手放そうとしません。 <br /> それどころか、寒がって余計に上着を被りこんでしまいました。 <br /> 一方、太陽は暖かい光で旅人を包み込みました。 <br /> すると彼は気温が緩やかになったのを感じ、すぐに服を脱ぎはじめました。 <br /> 北風は、何もかも力ずくで解決しようとしていた自分を反省しました。 <br /> <br /> 確か、こんな話だったはずです。 <br /> 何を言いたいか、ですって? あらお姉さま方、よく経験してるんじゃないですか? <br /> そう、恋する人に向かって、ただ直接的に、強引に攻めても実りはない、ということです。 <br /> <br /> 私はずっとあの方のことを想ってきました。 <br /> 自分を頭一つ以上出し抜く背の高さ、きりっとした目元に他人を威圧する視線、 <br /> 体育祭での勇姿、ええ、あの方はどの男子よりも徒競走では速かったものです、 <br /> 常に黙っていて真剣に何かを考えていそうな様子。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:395" target="_top" name="395"><font color="#0000ff">395</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:18:41 <a href="id:395" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB </dt><dd><br /> 私はずっと、あの方に気持ちが伝わるように接してきました。 <br /> でも、願いは叶わなかったのです。 <br /> 二人でいる時間、一時の満足感を得られたことは沢山ありますが、 <br /> ほのかに甘い関係を長く続けることはできませんでした。 <br /> <br /> 卒業の日、二人だけの写真を撮ってもらって、それでも不安な気持ちでいっぱいで。 <br /> このままだとずっと会えなくなる、その事が心に詰まって、意を決して告白したんです。 <br /> ここまで書いたんですから、結果は…… 分かりますよね? あはは。 <br /> 嫌われたわけじゃないです。ただ、深いつながりにはなれませんでしたよ。 <br /> <br /> あの方はもう、愛し合う相手を私以外に見つけていたんです。 <br /> <br /> その人も私と同じようにあの方を狙っていたようです。 <br /> でも、最初の条件と経過は大きく違いました。 <br /> 彼女は、あの方の次に速く走れて、運動能力も全体的に高いものでした。 <br /> 筋肉質で強そうな、それでいて豊かな肉体と男勝りの性格も持ち合わせ、 <br /> 愛しのあの方と学校での人気を分かち合っていました。 <br /> 誰にも恋する心は負けないと気張っていた私でも、彼女の性質を越せはしませんでした。 <br /> 彼女はあの人や私と、もともと別のクラスで、入学したての頃、 <br /> 体育祭の学級対抗リレーや100m走の時は一番で名高いあの方にいつも敵対心を持っていたようです。 <br /> 競い合いを傍で見ていた私も、二人はただのライバル同士でそれ以上にはならないと思っていました。 <br /> <br /> それなのに、二年生になってその人が一緒の組になってからというもの。 <br /> 二人が仲良さそうに帰路を共にしているのを見るようになりました。 <br /> 大丈夫、女同士で深くはならない、そう自分を信じ込ませながらも、気になって仕方がありませんでした。 <br /> 私自身が女性に恋をしているのに、なんとも滑稽な話です。 <br /> 来る日も来る日も私はあの方を、あの方のために、間違えました……私のために、追いかけていました。 <br /> それは同時に、私の想いを打ち破ろうとする彼女を尾行することにもなりました。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:396" target="_top" name="396"><font color="#0000ff">396</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:19:29 <a href="id:396" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB </dt><dd><br /> 二人から特別な話を聞くことはありませんでした。 <br /> ごくごく日常的な会話、友人らしいおしゃべりがされているだけで、 <br /> あとは、「その人」が私の最愛の方に他愛もない勝負を仕掛けているだけでした。 <br /> <br /> 私は彼女を見くびっていました。 <br /> なんだ、この程度ならあの方を力ずくで得ることもできる、と。 <br /> <br /> ここで話は卒業式の日に戻ります。 <br /> あの方は私が決死で想いを伝えた後、冷徹でりりしい顔を変えずに言ったのです。 <br /> <br /> 「かわいい人がそばにいるんだ」と。 <br /> <br /> あの方が教室に首を向けると、そこには泣いている彼女の姿が。 <br /> 黒板の前で、先生が彼女に面と向かって「大事な思い出をあなたは持ち帰っている」と言った後のことです。 <br /> 二人の蜜月を知ったばかりで放心状態になった私は、彼女に対してこう思うほかありませんでした。 <br /> <br /> 良かったですね、うれし泣きできるほどの思い出があって。 <br /> 私には、この人の存在以外に素晴らしい記憶はありません。 <br /> 「私の愛するこの人」が消え去ってしまった瞬間、この学校に関する記憶はすべて無意味になってしまいます。 <br /> この人を求めているのはあなたではなく、私なんです。 早く返してください、と。 <br /> あの方の声が私をあしらうものではなく、終始優しかったことが唯一の救いでした。 <br /> <br /> 要約すれば、いえ、要約なんてする必要もないのですが、私は青春を失いました。 <br /> 私を奪った彼女は二年生からあの方と級を共にしていました。 <br /> 一方、私自身は三年目で級を分かち合ってしまいました。 <br /> それでも二年間という期間は変わらないのに、あまつさえ心に秘めた思いは私のほうが上なのに、 <br /> どうして彼女が最後には勝ったのでしょうか。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:397" target="_top" name="397"><font color="#0000ff">397</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:23:53 <a href="id:397" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB </dt><dd><br /> そう、その理由を説明するために、私は初めに「北風と太陽」を例に出したんです。 <br /> 他の生徒から、私も含めてですが、いつも異常なほど注目されていたあの方は、 <br /> 何の変哲もない日常を語り合える人が欲しかったのでしょう。 <br /> 私は自分の思いを強引に、しかも直接的にしか伝えられなかった北風。 <br /> 一方その人は、とりとめもない、何の特別な意図もない会話であの方を引きとめ、 <br /> ゆっくりと孤高で守りの固い心を太陽のように溶かして、解かしていったんですね、きっと。 <br /> 最近、精神の安定が戻ってきてからやっとそう思えるようになりました。 <br /> <br /> 実際に私の憶測が当たっているかはわかりません。 <br /> でも、反省はできました。 <br /> 恋人になる前に友達になること、人を想う時にはそれが一番大事だって。 <br /> 猛烈な北風は心に暗い空を呼び、緩やかな太陽はまぶしい愛の光をもたらします。 <br /> 私は太陽になれるよう、ゆっくりとゆっくりと、好きな人と親しくなれるように心がけたいです。 <br /> <br /> お姉さま方、私の下らない話を聞いてくださってありがとうございました。 <br /> 実は明日、またあの方に告白するつもりなんです。 <br /> あの方はある大学の獣医学科に通っています。 <br /> 二週間かけて後を追い、あの方の家と帰り道を知ることができました。 <br /> <br /> 一生懸命道の途中で待って、時が来たら言うつもりです。 <br /> <br /> 「私と、友達になりませんか」と。 <br /> <br /> (おしまい) <br /> </dd></p>
<dl><dt><a target="_top" href="menu:394" name="394"><font color="#0000ff">394</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:18:00<a target="_top" href="id:394"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB</dt><dd><br /> かおりんの想いはまだ実らない<br /> 今回はモノローグ<br /> <br /> ================================================================================<br /> <br /> <br /> 私が三年間あの高校にいて、あの方と共に過ごしたことで、学んだことはたくさんありますが、<br /> 今日はこの掲示板にいるお姉さま方にとって役に立つお話をひとつしましょう。<br /> <br /> 北風と太陽、ご存知ですか? イソップ童話、子供の時に私も聞かされましたが。<br /> 話のあらすじ、ここのお姉さま方は覚えてますよね?<br /> <br /> 冬を迎えようとする日、ある所に上着を羽織った旅人がいました。<br /> 北風と太陽は力比べをするために、どちらが先にその上着を脱がせられるか競い合いました。<br /> 北風は旅人に向かって強く息を吹きかけますが、どんなに力を込めても上着を手放そうとしません。<br /> それどころか、寒がって余計に上着を被りこんでしまいました。<br /> 一方、太陽は暖かい光で旅人を包み込みました。<br /> すると彼は気温が緩やかになったのを感じ、すぐに服を脱ぎはじめました。<br /> 北風は、何もかも力ずくで解決しようとしていた自分を反省しました。<br /> <br /> 確か、こんな話だったはずです。<br /> 何を言いたいか、ですって? あらお姉さま方、よく経験してるんじゃないですか?<br /> そう、恋する人に向かって、ただ直接的に、強引に攻めても実りはない、ということです。<br /> <br /> 私はずっとあの方のことを想ってきました。<br /> 自分を頭一つ以上出し抜く背の高さ、きりっとした目元に他人を威圧する視線、<br /> 体育祭での勇姿、ええ、あの方はどの男子よりも徒競走では速かったものです、<br /> 常に黙っていて真剣に何かを考えていそうな様子。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:395" name="395"><font color="#0000ff">395</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:18:41<a target="_top" href="id:395"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB</dt><dd><br /> 私はずっと、あの方に気持ちが伝わるように接してきました。<br /> でも、願いは叶わなかったのです。<br /> 二人でいる時間、一時の満足感を得られたことは沢山ありますが、<br /> ほのかに甘い関係を長く続けることはできませんでした。<br /> <br /> 卒業の日、二人だけの写真を撮ってもらって、それでも不安な気持ちでいっぱいで。<br /> このままだとずっと会えなくなる、その事が心に詰まって、意を決して告白したんです。<br /> ここまで書いたんですから、結果は…… 分かりますよね? あはは。<br /> 嫌われたわけじゃないです。ただ、深いつながりにはなれませんでしたよ。<br /> <br /> あの方はもう、愛し合う相手を私以外に見つけていたんです。<br /> <br /> その人も私と同じようにあの方を狙っていたようです。<br /> でも、最初の条件と経過は大きく違いました。<br /> 彼女は、あの方の次に速く走れて、運動能力も全体的に高いものでした。<br /> 筋肉質で強そうな、それでいて豊かな肉体と男勝りの性格も持ち合わせ、<br /> 愛しのあの方と学校での人気を分かち合っていました。<br /> 誰にも恋する心は負けないと気張っていた私でも、彼女の性質を越せはしませんでした。<br /> 彼女はあの人や私と、もともと別のクラスで、入学したての頃、<br /> 体育祭の学級対抗リレーや100m走の時は一番で名高いあの方にいつも敵対心を持っていたようです。<br /> 競い合いを傍で見ていた私も、二人はただのライバル同士でそれ以上にはならないと思っていました。<br /> <br /> それなのに、二年生になってその人が一緒の組になってからというもの。<br /> 二人が仲良さそうに帰路を共にしているのを見るようになりました。<br /> 大丈夫、女同士で深くはならない、そう自分を信じ込ませながらも、気になって仕方がありませんでした。<br /> 私自身が女性に恋をしているのに、なんとも滑稽な話です。<br /> 来る日も来る日も私はあの方を、あの方のために、間違えました……私のために、追いかけていました。<br /> それは同時に、私の想いを打ち破ろうとする彼女を尾行することにもなりました。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:396" name="396"><font color="#0000ff">396</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:19:29<a target="_top" href="id:396"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB</dt><dd><br /> 二人から特別な話を聞くことはありませんでした。<br /> ごくごく日常的な会話、友人らしいおしゃべりがされているだけで、<br /> あとは、「その人」が私の最愛の方に他愛もない勝負を仕掛けているだけでした。<br /> <br /> 私は彼女を見くびっていました。<br /> なんだ、この程度ならあの方を力ずくで得ることもできる、と。<br /> <br /> ここで話は卒業式の日に戻ります。<br /> あの方は私が決死で想いを伝えた後、冷徹でりりしい顔を変えずに言ったのです。<br /> <br /> 「かわいい人がそばにいるんだ」と。<br /> <br /> あの方が教室に首を向けると、そこには泣いている彼女の姿が。<br /> 黒板の前で、先生が彼女に面と向かって「大事な思い出をあなたは持ち帰っている」と言った後のことです。<br /> 二人の蜜月を知ったばかりで放心状態になった私は、彼女に対してこう思うほかありませんでした。<br /> <br /> 良かったですね、うれし泣きできるほどの思い出があって。<br /> 私には、この人の存在以外に素晴らしい記憶はありません。<br /> 「私の愛するこの人」が消え去ってしまった瞬間、この学校に関する記憶はすべて無意味になってしまいます。<br /> この人を求めているのはあなたではなく、私なんです。 早く返してください、と。<br /> あの方の声が私をあしらうものではなく、終始優しかったことが唯一の救いでした。<br /> <br /> 要約すれば、いえ、要約なんてする必要もないのですが、私は青春を失いました。<br /> 私を奪った彼女は二年生からあの方と級を共にしていました。<br /> 一方、私自身は三年目で級を分かち合ってしまいました。<br /> それでも二年間という期間は変わらないのに、あまつさえ心に秘めた思いは私のほうが上なのに、<br /> どうして彼女が最後には勝ったのでしょうか。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:397" name="397"><font color="#0000ff">397</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>名無しさん@秘密の花園</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 23:23:53<a target="_top" href="id:397"><font color="#0000ff">ID:</font></a>X1vpuqLB</dt><dd><br /> そう、その理由を説明するために、私は初めに「北風と太陽」を例に出したんです。<br /> 他の生徒から、私も含めてですが、いつも異常なほど注目されていたあの方は、<br /> 何の変哲もない日常を語り合える人が欲しかったのでしょう。<br /> 私は自分の思いを強引に、しかも直接的にしか伝えられなかった北風。<br /> 一方その人は、とりとめもない、何の特別な意図もない会話であの方を引きとめ、<br /> ゆっくりと孤高で守りの固い心を太陽のように溶かして、解かしていったんですね、きっと。<br /> 最近、精神の安定が戻ってきてからやっとそう思えるようになりました。<br /> <br /> 実際に私の憶測が当たっているかはわかりません。<br /> でも、反省はできました。<br /> 恋人になる前に友達になること、人を想う時にはそれが一番大事だって。<br /> 猛烈な北風は心に暗い空を呼び、緩やかな太陽はまぶしい愛の光をもたらします。<br /> 私は太陽になれるよう、ゆっくりとゆっくりと、好きな人と親しくなれるように心がけたいです。<br /> <br /> お姉さま方、私の下らない話を聞いてくださってありがとうございました。<br /> 実は明日、またあの方に告白するつもりなんです。<br /> あの方はある大学の獣医学科に通っています。<br /> 二週間かけて後を追い、あの方の家と帰り道を知ることができました。<br /> <br /> 一生懸命道の途中で待って、時が来たら言うつもりです。<br /> <br /> 「私と、友達になりませんか」と。<br /> <br /> (おしまい)<br /> </dd></dl>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー