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<p><dt><a href="menu:327" target="_top" name="327"><font color="#0000ff">327</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 1</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:50:08 <a href="id:327" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><a href="about:blank#315-323" target="_top"><font color="#800080">&gt;&gt;315-323</font></a> <br /> これはいい <br /> 大阪の攻めかつ受けっぷりも、にゃもの色っぽさも好きになってしまいます。 <br /> <br /> このスレにもまた新しい書き手さんがいらっしゃいましたね。 <br /> エロ素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。 <br /> <br /> <br /> <br /> やっぱりベーシックな組み合わせ、そう、さかぐら直球も書きたくなりました。 <br /> ちょっとマニアック、後半エロです+一つ妄想設定を追加してます。そしてかなり長いです <br /> <br /> ======================================================= <br /> 「そろそろ慣れたけど、本当に猫とか多いよな」 <br /> <br /> 部屋に入り、招かれた少女が一言。 <br /> <br /> 「私と猫、どっちが好きかな、なんて」 <br /> <br /> 余りにも陳腐と言えば陳腐な台詞回し。 <br /> <br /> 「比べることに……意味を、見出しては、いけない」 <br /> <br /> 無難な答えでやり過ごす空間の主。 <br /> <br /> 「でもよ、たまに気になっちまうんだ。 <br />  私を置いて野良ばっかり追ってるときにさ」 <br /> 「ごめん」 <br /> 「お前が何を考えてるかわかんねえけど、とりあえず私は悔しいし、 <br />  馬鹿だからさ、あいつらとも勝負したくなっちまうんだ。 <br />  猫は猫だし、私は私だって分かってるんだけど、わざと、や、つい」 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:328" target="_top" name="328"><font color="#0000ff">328</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 2</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:51:26 <a href="id:328" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 語る彼女を上から静かに見つめる少女は、在りし日を想起する。 <br /> 今は別としても、道端に現れる小動物を追い払っていた行動に <br /> それほどの目的があったかどうかを知ることはできない。 <br /> もしあの時、彼女の深層に既にその類の感情があったのだとしたら。 <br /> 少しでも意を汲み取って早く応じるべきだっただろうか、と榊は憂えた。 <br /> だが、幸いにも憂慮は次の声により打ち消された。 <br /> <br /> 「まあ、こうやって呼んでくれただけでも嬉しいけど」 <br /> <br /> 事実、現在二人は意志を通わせ、内密に結ばれた存在となっている。 <br /> 他愛無い嫉妬のふとした表出により、思いがけず <br /> 彼女の好意、否、より強く、愛慕の情を改めて伺い知ることができた。 <br /> <br /> 「そういやあ、おととい噛まれた手は大丈夫か?」 <br /> <br /> 高木から端麗に伸張した腕を掬い上げて神楽は問うた。 <br /> 一つ前に彼女が目にした時、鮮やかな生気の液体を滲ませていた皮膚は、 <br /> 不必要な痕跡を一切残さず回復を遂げようとしていた。 <br /> <br /> 「まだちょっと切れてるけど、きれいだよなあ」 <br /> 「そんなこと、ない」 <br /> 「いや、きれいって言ったらきれいなんだからいいだろ」 <br /> 「君の方が」 <br /> <br /> 緩やかに掌が翻り、会話の対象が移る。 <br /> 榊のしなやかに曲折する指が他方の手先に絡みつく。 <br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:329" target="_top" name="329"><font color="#0000ff">329</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 3</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:52:30 <a href="id:329" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「あんまり見るなよ? ほら、カサカサだろ、塩素って結構肌に悪いらしいぜ」 <br /> <br /> 謙遜を耳にしながらも、ただただ視点を下ろして爪の先端まで探る少女。 <br /> <br /> 「見過ぎだって、恥ずかしいだろ、胸ほどじゃないけど」 <br /> 「神楽の手」 <br /> 「そんなに私の手が好きか」 <br /> 「君がかわいいから、君の手も同じようにかわいい」 <br /> <br /> ささやきを受けた神楽の両頬に、かすかながらも血潮が集まる。 <br /> <br /> 「榊、お前も結構変なこと言うなぁ」 <br /> <br /> 落ち着いた面構えで手のひらを眺め続ける少女に、恥じらいの返答。 <br /> <br /> 「……握って、いいか」 <br /> <br /> より強い結束を目論んでか否か、はにかむ少女に新たな提案がなされる。 <br /> <br /> 「握る? 握力勝負か! それならやってやるぜ」 <br /> 「君こそ、妙な考えを、口に出す」 <br /> <br /> 特殊な雰囲気に耐え切れなかったのだろう、神楽は再び主導権を奪い <br /> 大雑把に傷ついた手を包んで力を掛けようとする。 <br /> <br /> 「いいんだよ! とにかくやろうぜ、せーの」 <br /> <br /> 些細な提案は結局競い合いに変わり、勝手な号令がかけられた。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:330" target="_top" name="330"><font color="#0000ff">330</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 4</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:53:29 <a href="id:330" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 彼女が一所懸命に力を集中させるが、榊は受け流すようにして応じない。 <br /> <br /> 「おい、本気でやれよぉ、なんか手加減されてるみたいじゃねえか」 <br /> 「力は適切な所で使うものだ」 <br /> 「お前がちゃんとやってくれないと、私が満足できないんだよ」 <br /> <br /> 挑まれた一方は、しかし、きょとんとした表情を未だに変えなかった。 <br /> <br /> 「とにかく、何でもいいから力を入れてくれ。 頼むぞ、せーの!」 <br /> <br /> 再び開始された小さな争い。 <br /> 双方が顔を見合わせ、視線を揺らさずに筋肉に荷重を加える。 <br /> 今度は榊もある程度挑戦者の要求に反応しているようだ。 <br /> <br /> 「そこまで君が言うなら、私は止めない」 <br /> 「いいぞー、もっとやれ、マジでやってくれ」 <br /> 「いいのか」 <br /> 「遠慮すんなよ! 私も思いっきりやってやるぜ」 <br /> 「そうか」 <br /> 「負けないぞ、わたし、は、い、いてててて、負けない、いた」 <br /> <br /> 調子付いた口調が突然うめきに変わり、反射的に勝者の力が解かれた。 <br /> 対して取り乱した榊の声は、常時の落ち着きからは考えられないほどに震えたものであった。 <br /> また、もろくも崩れた神楽の嘆きも、負けず嫌いの彼女らしからず正直であった。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:331" target="_top" name="331"><font color="#0000ff">331</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 5</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:54:20 <a href="id:331" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「いや、これって、私も45キロ位行ってんのに、異常だろ」 <br /> 「すまない、神楽が喜ぶなら答えなければ、と」 <br /> 「いいんだけど、いいんだけどさ、これは予想外だよ、これで帰宅部なのか」 <br /> 「ああ、申し訳ない、君を痛めつけようとは思わなかった」 <br /> 「こんなに握力使うのって、剣道か何かくらいじゃないかよ」 <br /> <br /> 問いかけられた少女は一瞬はっと目を見開き、その直後、きまり悪そうに俯いた。 <br /> その態度が、発言の内容が正しいということを明らかに証明していた。 <br /> しばらくして榊は赤らみつつも首を縦に下げた。 <br /> <br /> 「あれ? 適当に言ったんだけど、もしかして当たってる?」 <br /> 「……どうして」 <br /> 「お前って着物合わせてくれるし、髪も和風に結えるじゃん」 <br /> <br /> いい加減な推量だが、確かに今時の女子高生ではそこまで多くないのかもしれない。 <br /> <br /> 「なんで私にまで秘密にしてるんだよ、 お前との仲だろ」 <br /> 「知らなくて、いいよ」 <br /> <br /> 垂れたままの頭を上げようとせず、榊はか細い声で返す。 <br /> 神楽は相手の心情を考えずに質問を浴びせる。 <br /> <br /> 「何級とか?」 <br /> <br /> 問われた相手は微動だにせず口も開かない。 <br /> <br /> 「お? 榊なら何段とかかもしれないな、どっちだ」 <br /> <br /> だんまりを決め込む大きな恋人の前で、いかにも興味津々な少女がいた。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:332" target="_top" name="332"><font color="#0000ff">332</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 6</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:55:20 <a href="id:332" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「おーい、聞いてんのか、早く教えろよ」 <br /> <br /> だがそれでもよほど恥ずかしいのか、自発的に行っているのではないのだろうか、 <br /> 期待された答えはひとつも発されることはなかった。 <br /> <br /> 「くそ、私でもダメか。 まあ、さすが榊だな、一本取られた。でも今度は負けないぜ」 <br /> <br /> そう言いつつ、一向に詳細を語らない少女に対し不服そうに面を作りながらも、 <br /> 彼女の運動能力、素養の飛びぬけた高さを知ったことで、すぐ喜びの顔をあらわにした。 <br /> 一方で、真の姿をひとつ明かされてしまった寡黙で剛健な少女は未だに内気のまま、 <br /> <br /> 「勝負が、そんなに、楽しいか」 <br /> <br /> と、他方の核心を突くような疑問を呈する。 <br /> それでも神楽は臆することなく、ただ一言で、それ以上必要のない説明を済ませた。 <br /> <br /> 「お前となら」 <br /> <br /> 普段はこの時点で微笑む榊だが、今回は納得することなく反論に打って出る。 <br /> <br /> 「そうか。 私は、こんな事するよりも……かわいいものを、守っていたい」 <br /> 「ふーん、じゃあ私は?」 <br /> 「君も」 <br /> 「かわいいだけは嫌いだ」 <br /> <br /> 神楽の瞳はまっすぐ、黒髪の麗しい少女の目を凝視していた。 <br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:333" target="_top" name="333"><font color="#0000ff">333</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 7</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:57:30 <a href="id:333" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd>「かわいいだけじゃ嫌だ。 好きだ、って」 <br /> 「好きだよ」 <br /> 「まだまだ、もっと言ってくれ。 好きでも足りねえみたいだ」 <br /> 「愛している。 私は神楽をこの上なく愛している」 <br /> 「猫より?」 <br /> 「ああ」 <br /> <br /> 二人が親密を超えた交際を始めてから幾度ともなく交わされた告白の嵐。 <br /> 神楽が主導する場合、必ず猫や何やらとの比較になるのもお決まりであった。 <br /> それでも飽きずに榊が二つ返事をするのは、要領を得ない比較の底に健気さと独占欲を感じ取るから。 <br /> <br /> 「剣道かあ。 お前が一本取るのも見たいぜ」 <br /> 「それは、多分、駄目だ」 <br /> 「どうしてだよ、やっぱり私じゃ無理なわけがあるのか? ガサツだから?」 <br /> 「家が、まだ、許してくれないと、思う」 <br /> 「い、いえか。 榊んとこって本当に凄そうだな。 わかった、良くなったら見せろよ」 <br /> <br /> 要求された少女は、淡々としたうなずきで従った。 <br /> <br /> 「いいな、約束だぞ。 お前のビシッと決まった姿を、な」 <br /> <br /> 強い願いに、ようやく榊の笑顔が戻ってきた。 <br /> <br /> 「そう、榊、それでいいんだ。 もう一回、手貸せよ」 <br /> <br /> 神楽も陽気な表情を見せ、一度は自分を打ち負かした掌を求めて一握りさせる。 <br /> <br /> 「あ、本当にここまで筋肉ついてるな」 <br /> 「そんな」 <br /> 「私も勝てないな、こんなに堅いんじゃ。 だから榊は強いんだな」 <br /> 「強いより、かわいい方が、好き」 <br /> 「いいんだよ、私はかっこいいお前が好きなんだから。 こっちも、また触ってみるか?」 <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:334" target="_top" name="334"><font color="#0000ff">334</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 8</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:58:51 <a href="id:334" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd>恥らう中にも自分の主張を曲げない少女に手を差し出す神楽。 <br /> すると少女は甲を凝視して、親指を中に入れて拳を作るように言った。 <br /> 神楽が同意し行動に移るのを見て取ると、 <br /> 彼女は固められた手にできた隆起を撫で回したり軽く押したりして遊びだした。 <br /> <br /> 「肉球」 <br /> 「にくきゅー?」 <br /> <br /> 急な発語に戸惑い、軽い疑問文が投げ返される。 <br /> <br /> 「そう、肉球」 <br /> 「へえ、やっぱり猫好きだよなあお前」 <br /> 「ああ、神楽、かわいい」 <br /> <br /> 穏やかな微笑はいつしか偏執的な欲望を孕んでいた。 <br /> ゆったりと流れる雰囲気の中、またもや話題転換がなされる。 <br /> <br /> 「そうだ、私が猫らしくなったら最強だろ、いいアイデア!」 <br /> <br /> 傷口を残しながらも輝きを保つ榊の手に、一途な体育少女の開いた唇が近づく。 <br /> 細く生々しい裂け目に体温を持った舌先があてがわれる。 <br /> <br /> 「お前がしてほしいように、猫みたいに舐めてやるぜ」 <br /> 「温かい……刺激が、強い、けど、いい」 <br /> <br /> 表皮が削られ、神経が晒された部位に意図的な感触が作用する。 <br /> 痛覚に訴えかけるざらついた粘膜が、榊の内に潜む欲求を煽動する。 <br /> 一匹の愛しげな獣と化しつつある少女は、彼女の飼い主によりよく仕えんとして <br /> 赤く開いた箇所だけでなく、治癒を終えた周囲にも唾液を広げてゆく。 <br /> <br /> 「榊のその顔、大好きだよ。 今が一番きれい」 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:335" target="_top" name="335"><font color="#0000ff">335</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 9</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:59:59 <a href="id:335" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 恍惚した様で手を引き渡している少女に向かって神楽が素直に語りかける。 <br /> 程よく湿潤な表皮にますます水分が加えられ、従順な猫の頭部がますます上に滑り込む。 <br /> <br /> 「何度も引っかかれてるのに、全然跡もないし真っ白」 <br /> <br /> 艶やかで、かつ謙虚な肢体を褒め称えつつ、愛しき小動物は舌を回しつづける。 <br /> 口元がおもむろに手先から胴体との分岐点へ、さらにふくよかな胸部へと向かう。 <br /> しかし、なし崩しで行為に移ろうとする猫を飼い主は一旦制止した。 <br /> <br /> 「このままじゃ、だめ」 <br /> 「え、別に慣れてるだろ?」 <br /> 「今日はやめて、ほら、私の親を、見ただろう」 <br /> <br /> 扉の外ではかすかな足音がしている。 <br /> この状態で始めてしまったら、自室に近づかれた時の対応を取れない。 <br /> <br /> 「たまには楽しもうぜ、女同士、別に誰にも怪しまれないだろ」 <br /> 「いや、それは……声が」 <br /> 「ずっと閉じててやるよ」 <br /> <br /> 神楽は飼い主の部屋に入った時から立ったままであった。 <br /> 一方、長身の榊は視点を猫の顔に近づけるため、学習机の椅子に腰掛けていた。 <br /> <br /> 「私の口で」 <br /> <br /> 猫になるとは言いながらも、実際、現時点では神楽が榊を飼っていると見受けられる。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:336" target="_top" name="336"><font color="#0000ff">336</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 10</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:00:55 <a href="id:336" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd>「今日はベッドじゃなくて、このままやってみるか。 面白そう」 <br /> 「そんな」 <br /> 「大丈夫、右手で支えてやるから」 <br /> <br /> 当惑しつつも、主導する獣に人形のごとく従属し、姿勢を整えんとする家の住人。 <br /> <br /> 「お前も乗り気じゃん」 <br /> 「違う」 <br /> 「だから、いいんだって。そんなお前も好きなんだからさ」 <br /> <br /> 限定された空間の片隅に席が一つ。 <br /> 榊は背もたれを自らの右側になるようにして座面に腰を置く。 <br /> 一方、彼女のやんちゃな飼い猫は、先ほど言ったとおりに肩甲骨を右腕で引き上げる。 <br /> <br /> 「力は抜かないから、安心しろ」 <br /> 「服は」 <br /> 「左手で脱がせてやるって。 大丈夫だよ」 <br /> <br /> 首より上は強靭な筋力によって支えられつつも、あでやかに伸びる黒髪は床まで垂れている。 <br /> <br /> 「本当に、このまま」 <br /> 「ああ。 榊は楽にしてろ、気持ちいいところは毎日ので知ってる」 <br /> <br /> 不安げな表情を取り去らない主人をなだめながら、着々と衣装に手を掛けてゆく。 <br /> まずは上半身。 会話を続けるうちに、胸だけが覆われるようになった。 <br /> 神楽はふと腕を止め、急峻な二つの丘、その谷間や頂上までを調べる。 <br /> <br /> 「このブラ、バネとかそういうの入ってないよな。 <br />  それなのによ、なんでこんなにきれいな張り方してるんだ。 すっげえ羨ましい。 <br />  で……こう、外しても、垂れてこないし」 <br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:337" target="_top" name="337"><font color="#0000ff">337</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 11</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:02:39 <a href="id:337" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「あんまり、言わないで」 <br /> 「榊って全身きれいだし、いるものが全部あるのにいらないものは何もないしさ」 <br /> 「身長も、胸も、必要ない」 <br /> 「お前がいるかいらねえかの話じゃねえよ、私が好きだから必要なんだ」 <br /> <br /> あまりに直接的な表現にはにかみながら、首を上げしきりに扉に目を向ける下の少女。 <br /> 少し前に彼女がつぶやいた通り、部屋の外には親がいる。 <br /> 多少も気にせずに手先での愛撫を始める悪戯好きの猫。 <br /> その時である、ちょうど良い頃合とでも言うべき戸の音が、玄関から壁全体に響き渡った。 <br /> 神楽の体重を半分ほど預かる少女は、部屋に入る前の会話を思い出した。 <br /> 曰く、あと十数分か数十分で晩の食材を買い出しに行く、と。 <br /> <br /> 「あれ、出たんじゃねえか? なんだ、これなら」 <br /> <br /> 心配の種は消え去った、神楽にとっては当然ながら、今まで消極的だった榊にとっても。 <br /> 飼い主が飼い主らしい行動に出るのは次の瞬間である。 <br /> 無抵抗に椅子から垂れていた両手で上に被さる背中を包み込み、 <br /> 背筋を駆使して自ら率先した口付けを行う。 <br /> 最初に声を漏らさない手段として提案したその猫は、予想もしない逆襲にたじろぐ。 <br /> 寡黙で慎重な普段の彼女からはうかがい知れないほどの勢いで強引に服を剥ぎ取る。 <br /> 一分もしないうちに、榊と神楽はそれぞれ同じく下半身の衣類を残すのみとなった。 <br /> 呼吸を奪われた迂闊な猫の鼻から、熱気を持った息が吐き出される。 <br /> 動きだした主人は、手を懸命に嘗め回していた小動物の舌に自身のそれを絡める。 <br /> 思わず口腔を犯された相手は、行き場のない息を鼻腔からのこもった発音に変える。 <br /> 榊が唇を離すと、力の抜けた猫との間に粘液の糸が引き伸ばされた。 <br /> <br /> 「待てよ、お前、こんな時に勝負かよ」 <br /> 「君は、正直すぎる」 <br /> <br /> 急な発言の真意をつかめず、神楽の動きと思考が停止する。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:338" target="_top" name="338"><font color="#0000ff">338</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 12</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:03:44 <a href="id:338" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「正直すぎるよ。 <br />  胸や腕を、じっくりと見て……わざわざ、一つ一つ口に出して。 <br />  当たってると、思ったら、何も考えずに、剣道だ、とか、言ったりする。 <br />  でも、それは、悪くない。 むしろ、それでこそ、君だ。 <br />  君の、正直さが……かわいさを、より増すんだ」 <br /> <br /> いかなる時よりも冗長な少女の言葉はしかし、慌てた子猫をなだめることとなった。 <br /> <br /> 「そっか、いや、ありがとよ。 正直に受け取ってお、あわっ?」 <br /> <br /> 完全に気を許した飼い猫に、先ほどまでの所業に対するしつけが始まる。 <br /> <br /> 「まず、君の胸は、きれいに整っている。 支えがなくても、十分に、張りを、保っている」 <br /> <br /> 指摘した実りの先端に伸びやかな指たちを進め、突端部を挟んでこねる。 <br /> さらに榊は、頭を従順な猫の肩上に近づけ、分泌された塩分を掬い取り意図的に告げる。 <br /> <br /> 「首筋から、流れ出る汗、これは、君自身の、濃い、味がする」 <br /> 「待て、やっ、乳首まわしながら、へんなこと、言うな」 <br /> 「それに、手も、筋肉と脂肪が、ほどよく、調和している。 理想的な、美しさだ」 <br /> 「榊、おまえ、おかしいよぉ」 <br /> 「何を。 君が、言ったようなことを、そのまま」 <br /> <br /> 頬や耳の裏から、指先で刺激している胸まで丁寧に舌を這わせる様は、 <br /> まるで猫同士のとりとめもないじゃれ合いである。 <br /> <br /> 「ひゃ、反対のほうを、しゃぶるな、ずるいよ、またお前が勝つにゃんて」 <br /> <br /> 攻める少女の猫好きに感化されたか、あるいは単に呂律が回らなくなったか、 <br /> 愛玩される小動物がまさに猫の言葉遣いとなる。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:339" target="_top" name="339"><font color="#0000ff">339</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 13</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:04:37 <a href="id:339" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「ずるいよっ、おまあ、おまえが、かちっぱなし」 <br /> 「勝負に、そこまで、意味は、あるか」 <br /> 「榊に、さかきにぃ、あう、勝ちたいんだよ」 <br /> 「私と君が良ければ、それで構わない。 <br />  私は既に良くなっている。 そして君も、そのうち良くなるはずだ」 <br /> <br /> この言葉をもって、調教を施す主人は再び寡黙さを取り戻す。 <br /> 学習机に付属した椅子は不自然な体勢で二人を支える。 <br /> 完全に榊の手中に収まった神楽も、嬌声を上げながらも <br /> 失った攻勢を取り戻そうとして、背後に回した右腕の力を解かない。 <br /> また、彼女の下敷きとなった大きな少女は、背もたれのある側の手で上の体を揉みしだき、 <br /> 反対の左腕を机の上面に伸ばして力を加え、姿勢を安定させている。 <br /> <br /> 「やめ、にゃめすぎだよ、んあぁ、そっちも、もむにゃあ」 <br /> <br /> 猫なで声を発しつつも、やはり神楽はあきらめていなかった。 <br /> 左手が余っている。 <br /> 無駄にぶらつかせずに有効活用しなければ。 <br /> そうとっさに発案し、必死に榊の、まだ着衣された下腹部に手を伸ばす。 <br /> 黙々と胸やその周囲に頭を近づけて刺激を加える少女の視界にはそれが見えなかった。 <br /> 腰と衣服の境目から指を入れるが、このままではあいにく身長差で奥に届かない。 <br /> そこで、神楽は思い切って右腕を持ち上げ、更に体そのものを下に動かす。 <br /> 応じるように、榊の上半身全体が、力を十分に持った腹筋によって起こされる。 <br /> 手先が下着を越して秘められた場所に到着し、剛直な指が予告なしに愛撫を加える。 <br /> <br /> 「やっぱりここは私が勝つ!」 <br /> 「ん、かぐら、まだ、勝負に、っ」 <br /> 「パンツの下で、動かしづらいけど、気持ちいいだろ」 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:340" target="_top" name="340"><font color="#0000ff">340</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 14</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:05:30 <a href="id:340" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd>まずは神経の集中する核から。 <br /> <br /> 「ふ、はあ、君は、自分に、く、正直だ」 <br /> 「負け惜しみ、やぅ、いうんじゃ、にぇーぞ」 <br /> <br /> 胸が遠ざかる体勢になってもまだ、意表を突かれた榊は執拗に手と口をあてがう。 <br /> 負け惜しみ、と吐き捨てた猫は、しかし自分の不用意さに気づいていなかった。 <br /> <br /> 「そのうち、君も、快感を、感じるだろう」 <br /> <br /> 体格が大きければ腕も長い。 その上、机の上にやはり左手が残っている。 <br /> 言葉とともに、上半身と同じ要領で下半身の服装を易々と下ろす冷静な飼い主。 <br /> <br /> 「え、うそだろ、ひ、しゃかき、や」 <br /> 「詰めが、あ、甘い」 <br /> 「やぁっ、ひどいよ、また、まけちゃうよぉ」 <br /> 「神楽、かわいいよ、ふあ、かわいいっ」 <br /> <br /> 榊は下半身に服を残したまま、一方神楽はとうとう全裸で、 <br /> それぞれの陰所をそれぞれの力と技で操る。 <br /> おのおのの左手の間から、快感による分泌液が溢れ漏れ出す。 <br /> <br /> 「さかき、ひあ、ひどい、でも」 <br /> 「ああ、かわいい、かわいいよ、んむぅ」 <br /> 「でも、やっぱり、いいよぉ」 <br /> 対等な攻守関係となりつつも、唯一残った下半身の服がふと邪魔だと感じた榊。 <br /> ほんのわずかに動きをやめ、神楽を上にしたまま自分の着衣をしっかりと下ろす。 <br /> これで何の問題もない。 <br /> <br /> 「え、どうしたんだよ、急に」 <br /> 「……なんでもない、続けよう」 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:341" target="_top" name="341"><font color="#0000ff">341</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 15</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:07:16 <a href="id:341" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 限定された領域内で、常々とは違った体位で行為は止まらずになされる。 <br /> 人間としての本質的な姿を現した二人。 <br /> <br /> 「ぁ、さかき、きす、してぇ」 <br /> <br /> 積極的に求め合う中で、再び口腔内で体温が交わされる。 <br /> 背の高さを補うために下の少女は体を曲げる。 <br /> 双方とも、核と入り口のみに止めていた指での蹂躙を段々と胎内へ進めてゆく。 <br /> 一本、二本と。 <br /> 二つの粘膜を互いに侵食しあう二人は、既に艶かしい獣と化していた。 <br /> 喉に喘ぎを掛けながら、潤滑液に浸った内部で指を摩擦させる。 <br /> 加速度的に間隔を縮める呼吸に耐え切れず唇が離れる。 <br /> 包み隠しのない情欲の声が漏れ出し、共に絶頂が近いことを知らせる。 <br /> <br /> 「さかきぃ、はぁ、ぅん、いいよ、すごく、いい」 <br /> 「もう、かわいいな、きみはぁっ、ん、だいす、き」 <br /> 「わたしも、さかき、はう、あ、だいすきぃ」 <br /> <br /> 極限の快感に興じた神楽が、榊に密着した全身を上で前後運動させる。 <br /> 四つの乳房、その先端の突起が強く擦れ合う。 <br /> <br /> 「あうぅ、これ、すごい、さかきもっ、いいだろお」 <br /> 「いいよ、とてもっ、いい、んあ、かぐら、いきそうな、かお、してる」 <br /> <br /> 表情をつかさどる筋肉は緩みきり、目の焦点も合っていない。 <br /> <br /> 「ん、わたし、もう、ほんとに、いきそうだ、さかきぃ、くあ、いい、 <br />  もう、だめ、あ、ひゃ、はああう、ん」 <br /> <br /> 痙攣の中で、愛しい小猫の体躯が榊に全ての重量を預けた。 <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:342" target="_top" name="342"><font color="#0000ff">342</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 16</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:08:14 <a href="id:342" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd>「結局、君は……勝っていない、それでいい」 <br /> <br /> 一歩手前で途切れた悦楽に耐え、先に達してしまった不躾な少女を持ち上げる主人。 <br /> 不安定さの上に打ち立てられた二人の行為は、そのまま現在の関係を示唆していた。 <br /> 親友という言葉では決して満たされない許されざる情愛。 <br /> <br /> 「動かない、かな、次は」 <br /> <br /> 正気を取り戻すには程遠い上の体に、聞く耳を持てないと知りつつも一言。 <br /> <br /> 「ちゃんと、寝るところで、しようか」 <br /> <br /> 操り人形となった相手の身を持ち前の体力で抱え、興じる場所であった椅子から離す。 <br /> <br /> 「ただいまー、早かったでしょう」 <br /> <br /> 頂点にたどり着いていない少女が、壁に隔てられた下の名を呼ぶ声をふと聞く。 <br /> <br /> 「神楽さんの勉強、手伝ってあげてるかしら?」 <br /> 「大丈夫」 <br /> <br /> 学習机は有効に使われていないが、それは試行錯誤の習熟活動である。 <br /> 部屋の主は飼いならしと表現し、愛しき猫は勝負だと言って聞かないだろう。 <br /> 考えは違っていても、根底に流れる恋慕と情欲は通じている。 <br /> <br /> 「後は任せたわよ、手合わせの予定を考えなくちゃいけないから」 <br /> <br /> 完璧な身体比を持つ外見にたくましい力を与えてきた武道。 <br /> <br /> 「とりあえず、来週の日曜も師範さんと、ね。 気を引き締めなさい」 <br /> <br /> そう残して、鍵のかかった扉の前から親が消えるのを見計らい、寝台の上で神楽にささやく少女。 <br /> <br /> </dd><dt><a href="menu:343" target="_top" name="343"><font color="#0000ff">343</font></a> 名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 17</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:14:36 <a href="id:343" target="_top"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS </dt><dd><br /> 「強くて、何に、なるのかな?」 <br /> <br /> 快感の対岸から未だ帰り着かず、汗を染み渡らせている全身。 <br /> <br /> 「君は、どう思う」 <br /> <br /> 強靭さと淫靡さをたたえた体が眠るべき所で横になっている。 <br /> 行為の結果にもかかわらず、愚直な飼い猫は勝利でもしたかのような笑みを浮かべていた。 <br /> <br /> 「次は、私が……君の、猫になろう」 <br /> <br /> <br /> <br /> (おわりですよ) <br /> </dd></p>
<dl><dt><a target="_top" href="menu:327" name="327"><font color="#0000ff">327</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 1</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:50:08<a target="_top" href="id:327"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「そろそろ慣れたけど、本当に猫とか多いよな」<br /> <br /> 部屋に入り、招かれた少女が一言。<br /> <br /> 「私と猫、どっちが好きかな、なんて」<br /> <br /> 余りにも陳腐と言えば陳腐な台詞回し。<br /> <br /> 「比べることに……意味を、見出しては、いけない」<br /> <br /> 無難な答えでやり過ごす空間の主。<br /> <br /> 「でもよ、たまに気になっちまうんだ。<br />  私を置いて野良ばっかり追ってるときにさ」<br /> 「ごめん」<br /> 「お前が何を考えてるかわかんねえけど、とりあえず私は悔しいし、<br />  馬鹿だからさ、あいつらとも勝負したくなっちまうんだ。<br />  猫は猫だし、私は私だって分かってるんだけど、わざと、や、つい」<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:328" name="328"><font color="#0000ff">328</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 2</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:51:26<a target="_top" href="id:328"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 語る彼女を上から静かに見つめる少女は、在りし日を想起する。<br /> 今は別としても、道端に現れる小動物を追い払っていた行動に<br /> それほどの目的があったかどうかを知ることはできない。<br /> もしあの時、彼女の深層に既にその類の感情があったのだとしたら。<br /> 少しでも意を汲み取って早く応じるべきだっただろうか、と榊は憂えた。<br /> だが、幸いにも憂慮は次の声により打ち消された。<br /> <br /> 「まあ、こうやって呼んでくれただけでも嬉しいけど」<br /> <br /> 事実、現在二人は意志を通わせ、内密に結ばれた存在となっている。<br /> 他愛無い嫉妬のふとした表出により、思いがけず<br /> 彼女の好意、否、より強く、愛慕の情を改めて伺い知ることができた。<br /> <br /> 「そういやあ、おととい噛まれた手は大丈夫か?」<br /> <br /> 高木から端麗に伸張した腕を掬い上げて神楽は問うた。<br /> 一つ前に彼女が目にした時、鮮やかな生気の液体を滲ませていた皮膚は、<br /> 不必要な痕跡を一切残さず回復を遂げようとしていた。<br /> <br /> 「まだちょっと切れてるけど、きれいだよなあ」<br /> 「そんなこと、ない」<br /> 「いや、きれいって言ったらきれいなんだからいいだろ」<br /> 「君の方が」<br /> <br /> 緩やかに掌が翻り、会話の対象が移る。<br /> 榊のしなやかに曲折する指が他方の手先に絡みつく。<br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:329" name="329"><font color="#0000ff">329</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 3</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:52:30<a target="_top" href="id:329"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「あんまり見るなよ? ほら、カサカサだろ、塩素って結構肌に悪いらしいぜ」<br /> <br /> 謙遜を耳にしながらも、ただただ視点を下ろして爪の先端まで探る少女。<br /> <br /> 「見過ぎだって、恥ずかしいだろ、胸ほどじゃないけど」<br /> 「神楽の手」<br /> 「そんなに私の手が好きか」<br /> 「君がかわいいから、君の手も同じようにかわいい」<br /> <br /> ささやきを受けた神楽の両頬に、かすかながらも血潮が集まる。<br /> <br /> 「榊、お前も結構変なこと言うなぁ」<br /> <br /> 落ち着いた面構えで手のひらを眺め続ける少女に、恥じらいの返答。<br /> <br /> 「……握って、いいか」<br /> <br /> より強い結束を目論んでか否か、はにかむ少女に新たな提案がなされる。<br /> <br /> 「握る? 握力勝負か! それならやってやるぜ」<br /> 「君こそ、妙な考えを、口に出す」<br /> <br /> 特殊な雰囲気に耐え切れなかったのだろう、神楽は再び主導権を奪い<br /> 大雑把に傷ついた手を包んで力を掛けようとする。<br /> <br /> 「いいんだよ! とにかくやろうぜ、せーの」<br /> <br /> 些細な提案は結局競い合いに変わり、勝手な号令がかけられた。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:330" name="330"><font color="#0000ff">330</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 4</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:53:29<a target="_top" href="id:330"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 彼女が一所懸命に力を集中させるが、榊は受け流すようにして応じない。<br /> <br /> 「おい、本気でやれよぉ、なんか手加減されてるみたいじゃねえか」<br /> 「力は適切な所で使うものだ」<br /> 「お前がちゃんとやってくれないと、私が満足できないんだよ」<br /> <br /> 挑まれた一方は、しかし、きょとんとした表情を未だに変えなかった。<br /> <br /> 「とにかく、何でもいいから力を入れてくれ。 頼むぞ、せーの!」<br /> <br /> 再び開始された小さな争い。<br /> 双方が顔を見合わせ、視線を揺らさずに筋肉に荷重を加える。<br /> 今度は榊もある程度挑戦者の要求に反応しているようだ。<br /> <br /> 「そこまで君が言うなら、私は止めない」<br /> 「いいぞー、もっとやれ、マジでやってくれ」<br /> 「いいのか」<br /> 「遠慮すんなよ! 私も思いっきりやってやるぜ」<br /> 「そうか」<br /> 「負けないぞ、わたし、は、い、いてててて、負けない、いた」<br /> <br /> 調子付いた口調が突然うめきに変わり、反射的に勝者の力が解かれた。<br /> 対して取り乱した榊の声は、常時の落ち着きからは考えられないほどに震えたものであった。<br /> また、もろくも崩れた神楽の嘆きも、負けず嫌いの彼女らしからず正直であった。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:331" name="331"><font color="#0000ff">331</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 5</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:54:20<a target="_top" href="id:331"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「いや、これって、私も45キロ位行ってんのに、異常だろ」<br /> 「すまない、神楽が喜ぶなら答えなければ、と」<br /> 「いいんだけど、いいんだけどさ、これは予想外だよ、これで帰宅部なのか」<br /> 「ああ、申し訳ない、君を痛めつけようとは思わなかった」<br /> 「こんなに握力使うのって、剣道か何かくらいじゃないかよ」<br /> <br /> 問いかけられた少女は一瞬はっと目を見開き、その直後、きまり悪そうに俯いた。<br /> その態度が、発言の内容が正しいということを明らかに証明していた。<br /> しばらくして榊は赤らみつつも首を縦に下げた。<br /> <br /> 「あれ? 適当に言ったんだけど、もしかして当たってる?」<br /> 「……どうして」<br /> 「お前って着物合わせてくれるし、髪も和風に結えるじゃん」<br /> <br /> いい加減な推量だが、確かに今時の女子高生ではそこまで多くないのかもしれない。<br /> <br /> 「なんで私にまで秘密にしてるんだよ、 お前との仲だろ」<br /> 「知らなくて、いいよ」<br /> <br /> 垂れたままの頭を上げようとせず、榊はか細い声で返す。<br /> 神楽は相手の心情を考えずに質問を浴びせる。<br /> <br /> 「何級とか?」<br /> <br /> 問われた相手は微動だにせず口も開かない。<br /> <br /> 「お? 榊なら何段とかかもしれないな、どっちだ」<br /> <br /> だんまりを決め込む大きな恋人の前で、いかにも興味津々な少女がいた。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:332" name="332"><font color="#0000ff">332</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 6</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:55:20<a target="_top" href="id:332"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「おーい、聞いてんのか、早く教えろよ」<br /> <br /> だがそれでもよほど恥ずかしいのか、自発的に行っているのではないのだろうか、<br /> 期待された答えはひとつも発されることはなかった。<br /> <br /> 「くそ、私でもダメか。 まあ、さすが榊だな、一本取られた。でも今度は負けないぜ」<br /> <br /> そう言いつつ、一向に詳細を語らない少女に対し不服そうに面を作りながらも、<br /> 彼女の運動能力、素養の飛びぬけた高さを知ったことで、すぐ喜びの顔をあらわにした。<br /> 一方で、真の姿をひとつ明かされてしまった寡黙で剛健な少女は未だに内気のまま、<br /> <br /> 「勝負が、そんなに、楽しいか」<br /> <br /> と、他方の核心を突くような疑問を呈する。<br /> それでも神楽は臆することなく、ただ一言で、それ以上必要のない説明を済ませた。<br /> <br /> 「お前となら」<br /> <br /> 普段はこの時点で微笑む榊だが、今回は納得することなく反論に打って出る。<br /> <br /> 「そうか。 私は、こんな事するよりも……かわいいものを、守っていたい」<br /> 「ふーん、じゃあ私は?」<br /> 「君も」<br /> 「かわいいだけは嫌いだ」<br /> <br /> 神楽の瞳はまっすぐ、黒髪の麗しい少女の目を凝視していた。<br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:333" name="333"><font color="#0000ff">333</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 7</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:57:30<a target="_top" href="id:333"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd>「かわいいだけじゃ嫌だ。 好きだ、って」<br /> 「好きだよ」<br /> 「まだまだ、もっと言ってくれ。 好きでも足りねえみたいだ」<br /> 「愛している。 私は神楽をこの上なく愛している」<br /> 「猫より?」<br /> 「ああ」<br /> <br /> 二人が親密を超えた交際を始めてから幾度ともなく交わされた告白の嵐。<br /> 神楽が主導する場合、必ず猫や何やらとの比較になるのもお決まりであった。<br /> それでも飽きずに榊が二つ返事をするのは、要領を得ない比較の底に健気さと独占欲を感じ取るから。<br /> <br /> 「剣道かあ。 お前が一本取るのも見たいぜ」<br /> 「それは、多分、駄目だ」<br /> 「どうしてだよ、やっぱり私じゃ無理なわけがあるのか? ガサツだから?」<br /> 「家が、まだ、許してくれないと、思う」<br /> 「い、いえか。 榊んとこって本当に凄そうだな。 わかった、良くなったら見せろよ」<br /> <br /> 要求された少女は、淡々としたうなずきで従った。<br /> <br /> 「いいな、約束だぞ。 お前のビシッと決まった姿を、な」<br /> <br /> 強い願いに、ようやく榊の笑顔が戻ってきた。<br /> <br /> 「そう、榊、それでいいんだ。 もう一回、手貸せよ」<br /> <br /> 神楽も陽気な表情を見せ、一度は自分を打ち負かした掌を求めて一握りさせる。<br /> <br /> 「あ、本当にここまで筋肉ついてるな」<br /> 「そんな」<br /> 「私も勝てないな、こんなに堅いんじゃ。 だから榊は強いんだな」<br /> 「強いより、かわいい方が、好き」<br /> 「いいんだよ、私はかっこいいお前が好きなんだから。 こっちも、また触ってみるか?」<br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:334" name="334"><font color="#0000ff">334</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 8</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:58:51<a target="_top" href="id:334"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd>恥らう中にも自分の主張を曲げない少女に手を差し出す神楽。<br /> すると少女は甲を凝視して、親指を中に入れて拳を作るように言った。<br /> 神楽が同意し行動に移るのを見て取ると、<br /> 彼女は固められた手にできた隆起を撫で回したり軽く押したりして遊びだした。<br /> <br /> 「肉球」<br /> 「にくきゅー?」<br /> <br /> 急な発語に戸惑い、軽い疑問文が投げ返される。<br /> <br /> 「そう、肉球」<br /> 「へえ、やっぱり猫好きだよなあお前」<br /> 「ああ、神楽、かわいい」<br /> <br /> 穏やかな微笑はいつしか偏執的な欲望を孕んでいた。<br /> ゆったりと流れる雰囲気の中、またもや話題転換がなされる。<br /> <br /> 「そうだ、私が猫らしくなったら最強だろ、いいアイデア!」<br /> <br /> 傷口を残しながらも輝きを保つ榊の手に、一途な体育少女の開いた唇が近づく。<br /> 細く生々しい裂け目に体温を持った舌先があてがわれる。<br /> <br /> 「お前がしてほしいように、猫みたいに舐めてやるぜ」<br /> 「温かい……刺激が、強い、けど、いい」<br /> <br /> 表皮が削られ、神経が晒された部位に意図的な感触が作用する。<br /> 痛覚に訴えかけるざらついた粘膜が、榊の内に潜む欲求を煽動する。<br /> 一匹の愛しげな獣と化しつつある少女は、彼女の飼い主によりよく仕えんとして<br /> 赤く開いた箇所だけでなく、治癒を終えた周囲にも唾液を広げてゆく。<br /> <br /> 「榊のその顔、大好きだよ。 今が一番きれい」<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:335" name="335"><font color="#0000ff">335</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 9</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 21:59:59<a target="_top" href="id:335"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 恍惚した様で手を引き渡している少女に向かって神楽が素直に語りかける。<br /> 程よく湿潤な表皮にますます水分が加えられ、従順な猫の頭部がますます上に滑り込む。<br /> <br /> 「何度も引っかかれてるのに、全然跡もないし真っ白」<br /> <br /> 艶やかで、かつ謙虚な肢体を褒め称えつつ、愛しき小動物は舌を回しつづける。<br /> 口元がおもむろに手先から胴体との分岐点へ、さらにふくよかな胸部へと向かう。<br /> しかし、なし崩しで行為に移ろうとする猫を飼い主は一旦制止した。<br /> <br /> 「このままじゃ、だめ」<br /> 「え、別に慣れてるだろ?」<br /> 「今日はやめて、ほら、私の親を、見ただろう」<br /> <br /> 扉の外ではかすかな足音がしている。<br /> この状態で始めてしまったら、自室に近づかれた時の対応を取れない。<br /> <br /> 「たまには楽しもうぜ、女同士、別に誰にも怪しまれないだろ」<br /> 「いや、それは……声が」<br /> 「ずっと閉じててやるよ」<br /> <br /> 神楽は飼い主の部屋に入った時から立ったままであった。<br /> 一方、長身の榊は視点を猫の顔に近づけるため、学習机の椅子に腰掛けていた。<br /> <br /> 「私の口で」<br /> <br /> 猫になるとは言いながらも、実際、現時点では神楽が榊を飼っていると見受けられる。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:336" name="336"><font color="#0000ff">336</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 10</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:00:55<a target="_top" href="id:336"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd>「今日はベッドじゃなくて、このままやってみるか。 面白そう」<br /> 「そんな」<br /> 「大丈夫、右手で支えてやるから」<br /> <br /> 当惑しつつも、主導する獣に人形のごとく従属し、姿勢を整えんとする家の住人。<br /> <br /> 「お前も乗り気じゃん」<br /> 「違う」<br /> 「だから、いいんだって。そんなお前も好きなんだからさ」<br /> <br /> 限定された空間の片隅に席が一つ。<br /> 榊は背もたれを自らの右側になるようにして座面に腰を置く。<br /> 一方、彼女のやんちゃな飼い猫は、先ほど言ったとおりに肩甲骨を右腕で引き上げる。<br /> <br /> 「力は抜かないから、安心しろ」<br /> 「服は」<br /> 「左手で脱がせてやるって。 大丈夫だよ」<br /> <br /> 首より上は強靭な筋力によって支えられつつも、あでやかに伸びる黒髪は床まで垂れている。<br /> <br /> 「本当に、このまま」<br /> 「ああ。 榊は楽にしてろ、気持ちいいところは毎日ので知ってる」<br /> <br /> 不安げな表情を取り去らない主人をなだめながら、着々と衣装に手を掛けてゆく。<br /> まずは上半身。 会話を続けるうちに、胸だけが覆われるようになった。<br /> 神楽はふと腕を止め、急峻な二つの丘、その谷間や頂上までを調べる。<br /> <br /> 「このブラ、バネとかそういうの入ってないよな。<br />  それなのによ、なんでこんなにきれいな張り方してるんだ。 すっげえ羨ましい。<br />  で……こう、外しても、垂れてこないし」<br /> <br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:337" name="337"><font color="#0000ff">337</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 11</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:02:39<a target="_top" href="id:337"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「あんまり、言わないで」<br /> 「榊って全身きれいだし、いるものが全部あるのにいらないものは何もないしさ」<br /> 「身長も、胸も、必要ない」<br /> 「お前がいるかいらねえかの話じゃねえよ、私が好きだから必要なんだ」<br /> <br /> あまりに直接的な表現にはにかみながら、首を上げしきりに扉に目を向ける下の少女。<br /> 少し前に彼女がつぶやいた通り、部屋の外には親がいる。<br /> 多少も気にせずに手先での愛撫を始める悪戯好きの猫。<br /> その時である、ちょうど良い頃合とでも言うべき戸の音が、玄関から壁全体に響き渡った。<br /> 神楽の体重を半分ほど預かる少女は、部屋に入る前の会話を思い出した。<br /> 曰く、あと十数分か数十分で晩の食材を買い出しに行く、と。<br /> <br /> 「あれ、出たんじゃねえか? なんだ、これなら」<br /> <br /> 心配の種は消え去った、神楽にとっては当然ながら、今まで消極的だった榊にとっても。<br /> 飼い主が飼い主らしい行動に出るのは次の瞬間である。<br /> 無抵抗に椅子から垂れていた両手で上に被さる背中を包み込み、<br /> 背筋を駆使して自ら率先した口付けを行う。<br /> 最初に声を漏らさない手段として提案したその猫は、予想もしない逆襲にたじろぐ。<br /> 寡黙で慎重な普段の彼女からはうかがい知れないほどの勢いで強引に服を剥ぎ取る。<br /> 一分もしないうちに、榊と神楽はそれぞれ同じく下半身の衣類を残すのみとなった。<br /> 呼吸を奪われた迂闊な猫の鼻から、熱気を持った息が吐き出される。<br /> 動きだした主人は、手を懸命に嘗め回していた小動物の舌に自身のそれを絡める。<br /> 思わず口腔を犯された相手は、行き場のない息を鼻腔からのこもった発音に変える。<br /> 榊が唇を離すと、力の抜けた猫との間に粘液の糸が引き伸ばされた。<br /> <br /> 「待てよ、お前、こんな時に勝負かよ」<br /> 「君は、正直すぎる」<br /> <br /> 急な発言の真意をつかめず、神楽の動きと思考が停止する。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:338" name="338"><font color="#0000ff">338</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 12</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:03:44<a target="_top" href="id:338"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「正直すぎるよ。<br />  胸や腕を、じっくりと見て……わざわざ、一つ一つ口に出して。<br />  当たってると、思ったら、何も考えずに、剣道だ、とか、言ったりする。<br />  でも、それは、悪くない。 むしろ、それでこそ、君だ。<br />  君の、正直さが……かわいさを、より増すんだ」<br /> <br /> いかなる時よりも冗長な少女の言葉はしかし、慌てた子猫をなだめることとなった。<br /> <br /> 「そっか、いや、ありがとよ。 正直に受け取ってお、あわっ?」<br /> <br /> 完全に気を許した飼い猫に、先ほどまでの所業に対するしつけが始まる。<br /> <br /> 「まず、君の胸は、きれいに整っている。 支えがなくても、十分に、張りを、保っている」<br /> <br /> 指摘した実りの先端に伸びやかな指たちを進め、突端部を挟んでこねる。<br /> さらに榊は、頭を従順な猫の肩上に近づけ、分泌された塩分を掬い取り意図的に告げる。<br /> <br /> 「首筋から、流れ出る汗、これは、君自身の、濃い、味がする」<br /> 「待て、やっ、乳首まわしながら、へんなこと、言うな」<br /> 「それに、手も、筋肉と脂肪が、ほどよく、調和している。 理想的な、美しさだ」<br /> 「榊、おまえ、おかしいよぉ」<br /> 「何を。 君が、言ったようなことを、そのまま」<br /> <br /> 頬や耳の裏から、指先で刺激している胸まで丁寧に舌を這わせる様は、<br /> まるで猫同士のとりとめもないじゃれ合いである。<br /> <br /> 「ひゃ、反対のほうを、しゃぶるな、ずるいよ、またお前が勝つにゃんて」<br /> <br /> 攻める少女の猫好きに感化されたか、あるいは単に呂律が回らなくなったか、<br /> 愛玩される小動物がまさに猫の言葉遣いとなる。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:339" name="339"><font color="#0000ff">339</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 13</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:04:37<a target="_top" href="id:339"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「ずるいよっ、おまあ、おまえが、かちっぱなし」<br /> 「勝負に、そこまで、意味は、あるか」<br /> 「榊に、さかきにぃ、あう、勝ちたいんだよ」<br /> 「私と君が良ければ、それで構わない。<br />  私は既に良くなっている。 そして君も、そのうち良くなるはずだ」<br /> <br /> この言葉をもって、調教を施す主人は再び寡黙さを取り戻す。<br /> 学習机に付属した椅子は不自然な体勢で二人を支える。<br /> 完全に榊の手中に収まった神楽も、嬌声を上げながらも<br /> 失った攻勢を取り戻そうとして、背後に回した右腕の力を解かない。<br /> また、彼女の下敷きとなった大きな少女は、背もたれのある側の手で上の体を揉みしだき、<br /> 反対の左腕を机の上面に伸ばして力を加え、姿勢を安定させている。<br /> <br /> 「やめ、にゃめすぎだよ、んあぁ、そっちも、もむにゃあ」<br /> <br /> 猫なで声を発しつつも、やはり神楽はあきらめていなかった。<br /> 左手が余っている。<br /> 無駄にぶらつかせずに有効活用しなければ。<br /> そうとっさに発案し、必死に榊の、まだ着衣された下腹部に手を伸ばす。<br /> 黙々と胸やその周囲に頭を近づけて刺激を加える少女の視界にはそれが見えなかった。<br /> 腰と衣服の境目から指を入れるが、このままではあいにく身長差で奥に届かない。<br /> そこで、神楽は思い切って右腕を持ち上げ、更に体そのものを下に動かす。<br /> 応じるように、榊の上半身全体が、力を十分に持った腹筋によって起こされる。<br /> 手先が下着を越して秘められた場所に到着し、剛直な指が予告なしに愛撫を加える。<br /> <br /> 「やっぱりここは私が勝つ!」<br /> 「ん、かぐら、まだ、勝負に、っ」<br /> 「パンツの下で、動かしづらいけど、気持ちいいだろ」<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:340" name="340"><font color="#0000ff">340</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 14</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:05:30<a target="_top" href="id:340"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd>まずは神経の集中する核から。<br /> <br /> 「ふ、はあ、君は、自分に、く、正直だ」<br /> 「負け惜しみ、やぅ、いうんじゃ、にぇーぞ」<br /> <br /> 胸が遠ざかる体勢になってもまだ、意表を突かれた榊は執拗に手と口をあてがう。<br /> 負け惜しみ、と吐き捨てた猫は、しかし自分の不用意さに気づいていなかった。<br /> <br /> 「そのうち、君も、快感を、感じるだろう」<br /> <br /> 体格が大きければ腕も長い。 その上、机の上にやはり左手が残っている。<br /> 言葉とともに、上半身と同じ要領で下半身の服装を易々と下ろす冷静な飼い主。<br /> <br /> 「え、うそだろ、ひ、しゃかき、や」<br /> 「詰めが、あ、甘い」<br /> 「やぁっ、ひどいよ、また、まけちゃうよぉ」<br /> 「神楽、かわいいよ、ふあ、かわいいっ」<br /> <br /> 榊は下半身に服を残したまま、一方神楽はとうとう全裸で、<br /> それぞれの陰所をそれぞれの力と技で操る。<br /> おのおのの左手の間から、快感による分泌液が溢れ漏れ出す。<br /> <br /> 「さかき、ひあ、ひどい、でも」<br /> 「ああ、かわいい、かわいいよ、んむぅ」<br /> 「でも、やっぱり、いいよぉ」<br /> 対等な攻守関係となりつつも、唯一残った下半身の服がふと邪魔だと感じた榊。<br /> ほんのわずかに動きをやめ、神楽を上にしたまま自分の着衣をしっかりと下ろす。<br /> これで何の問題もない。<br /> <br /> 「え、どうしたんだよ、急に」<br /> 「……なんでもない、続けよう」<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:341" name="341"><font color="#0000ff">341</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 15</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:07:16<a target="_top" href="id:341"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 限定された領域内で、常々とは違った体位で行為は止まらずになされる。<br /> 人間としての本質的な姿を現した二人。<br /> <br /> 「ぁ、さかき、きす、してぇ」<br /> <br /> 積極的に求め合う中で、再び口腔内で体温が交わされる。<br /> 背の高さを補うために下の少女は体を曲げる。<br /> 双方とも、核と入り口のみに止めていた指での蹂躙を段々と胎内へ進めてゆく。<br /> 一本、二本と。<br /> 二つの粘膜を互いに侵食しあう二人は、既に艶かしい獣と化していた。<br /> 喉に喘ぎを掛けながら、潤滑液に浸った内部で指を摩擦させる。<br /> 加速度的に間隔を縮める呼吸に耐え切れず唇が離れる。<br /> 包み隠しのない情欲の声が漏れ出し、共に絶頂が近いことを知らせる。<br /> <br /> 「さかきぃ、はぁ、ぅん、いいよ、すごく、いい」<br /> 「もう、かわいいな、きみはぁっ、ん、だいす、き」<br /> 「わたしも、さかき、はう、あ、だいすきぃ」<br /> <br /> 極限の快感に興じた神楽が、榊に密着した全身を上で前後運動させる。<br /> 四つの乳房、その先端の突起が強く擦れ合う。<br /> <br /> 「あうぅ、これ、すごい、さかきもっ、いいだろお」<br /> 「いいよ、とてもっ、いい、んあ、かぐら、いきそうな、かお、してる」<br /> <br /> 表情をつかさどる筋肉は緩みきり、目の焦点も合っていない。<br /> <br /> 「ん、わたし、もう、ほんとに、いきそうだ、さかきぃ、くあ、いい、<br />  もう、だめ、あ、ひゃ、はああう、ん」<br /> <br /> 痙攣の中で、愛しい小猫の体躯が榊に全ての重量を預けた。<br /> <br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:342" name="342"><font color="#0000ff">342</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 16</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:08:14<a target="_top" href="id:342"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd>「結局、君は……勝っていない、それでいい」<br /> <br /> 一歩手前で途切れた悦楽に耐え、先に達してしまった不躾な少女を持ち上げる主人。<br /> 不安定さの上に打ち立てられた二人の行為は、そのまま現在の関係を示唆していた。<br /> 親友という言葉では決して満たされない許されざる情愛。<br /> <br /> 「動かない、かな、次は」<br /> <br /> 正気を取り戻すには程遠い上の体に、聞く耳を持てないと知りつつも一言。<br /> <br /> 「ちゃんと、寝るところで、しようか」<br /> <br /> 操り人形となった相手の身を持ち前の体力で抱え、興じる場所であった椅子から離す。<br /> <br /> 「ただいまー、早かったでしょう」<br /> <br /> 頂点にたどり着いていない少女が、壁に隔てられた下の名を呼ぶ声をふと聞く。<br /> <br /> 「神楽さんの勉強、手伝ってあげてるかしら?」<br /> 「大丈夫」<br /> <br /> 学習机は有効に使われていないが、それは試行錯誤の習熟活動である。<br /> 部屋の主は飼いならしと表現し、愛しき猫は勝負だと言って聞かないだろう。<br /> 考えは違っていても、根底に流れる恋慕と情欲は通じている。<br /> <br /> 「後は任せたわよ、手合わせの予定を考えなくちゃいけないから」<br /> <br /> 完璧な身体比を持つ外見にたくましい力を与えてきた武道。<br /> <br /> 「とりあえず、来週の日曜も師範さんと、ね。 気を引き締めなさい」<br /> <br /> そう残して、鍵のかかった扉の前から親が消えるのを見計らい、寝台の上で神楽にささやく少女。<br /> <br /> </dd><dt><a target="_top" href="menu:343" name="343"><font color="#0000ff">343</font></a>名前:<font color="#228b22"><strong>ねこのてしょうぶ 17</strong></font>[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 22:14:36<a target="_top" href="id:343"><font color="#0000ff">ID:</font></a>8d8OfVBS</dt><dd><br /> 「強くて、何に、なるのかな?」<br /> <br /> 快感の対岸から未だ帰り着かず、汗を染み渡らせている全身。<br /> <br /> 「君は、どう思う」<br /> <br /> 強靭さと淫靡さをたたえた体が眠るべき所で横になっている。<br /> 行為の結果にもかかわらず、愚直な飼い猫は勝利でもしたかのような笑みを浮かべていた。<br /> <br /> 「次は、私が……君の、猫になろう」<br /> <br /> <br /> <br /> (おわりですよ)<br /> </dd></dl>

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