校註『古事記』(一)
稗田の阿礼、太の安万侶武田祐吉(注釈・校訂)
古事記 上 つ巻 序并 わせたり
〔序文〕
〔過去の時代(一)〕
(一)過 ぎし時代のことを伝え、歴代の天皇これによって徳教を正しくしたことを説く。
(二)この序文は、天皇に奏上する文として書かれているので、この句をはじめすべてその詞 づかいがなされる。「安万侶」は、太の安麻呂、『古事記』の撰者、養老七年(七二三)没。
(三)「混元」以下、中国の宇宙創生説によって書いている。万物は形と気とからなる。形は天地にわかれ、気は陰陽にわかれる。
(四)アメノミナカヌシの神、タカミムスビの神、カムムスビの神の三神が、物をつくり出す最初の神となった。
(五)イザナギ・イザナミの二神が、万物を生み出す親となった。
(六)「幽と顕とに」以下、イザナギ・イザナミ二神の事跡。
(七)「鏡をかけ」以下、アマテラス大神とスサノオの命 との事跡。
(八)「安の河に」以下、ニニギの命 の事跡。
(九)神武天皇。
(一〇)崇神天皇。
(一一)仁徳天皇。
(一二)成務天皇。
(一三)允恭 天皇。
(二)この序文は、天皇に奏上する文として書かれているので、この句をはじめすべてその
(三)
(四)アメノミナカヌシの神、タカミムスビの神、カムムスビの神の三神が、物をつくり出す最初の神となった。
(五)イザナギ・イザナミの二神が、万物を生み出す親となった。
(六)
(七)
(八)
(九)神武天皇。
(一〇)崇神天皇。
(一一)仁徳天皇。
(一二)成務天皇。
(一三)
〔『古事記』の企画(一)〕
(一)天武天皇が『帝紀』と『本辞』とを正して稗田の阿礼にさずけたことを説く。
(二)天武天皇。
(三)酉の年の二月に。
(四)『帝紀』は歴代天皇のことを記した書、『本辞』は前の世の伝えごと。この二種が『古事記』の材料となっている。
(五)アメノウズメの命の子孫。男子説と女子説とがある。
(二)天武天皇。
(三)酉の年の二月に。
(四)
(五)アメノウズメの命の子孫。男子説と女子説とがある。
〔『古事記』の成立(一)〕
伏して
和銅五年(七一二)正月二十八日
正五位の上勲五等 太 の朝臣 安万侶
(一)『古事記』成立の過程、文章の用意方針。内容の区分を説く。
(二)元明 天皇、女帝。奈良時代の最初の天皇。
(三)七一一年。
(四)漢字の表示する意義によって書くのが、訓によるものであり、漢字の表示する音韻によって書くのが、音によるものである。歌謡および特殊の詞句は音をもちい、地名・神名・人名も音によるものが多い。ほかに漢字の訓を訓仮字 として使ったものが多少ある。
(五)読み方の注意、および内容に関して注が加えられている。
(六)固有名詞の類に使用される特殊の文字は、もとのままで改めない。これは材料として文字になっていたものをも使ったことを語る。
(七)推古天皇の時代(〜六二八)
(八)神武天皇から応神天皇まで。
(九)仁徳天皇。
(二)
(三)七一一年。
(四)漢字の表示する意義によって書くのが、訓によるものであり、漢字の表示する音韻によって書くのが、音によるものである。歌謡および特殊の詞句は音をもちい、地名・神名・人名も音によるものが多い。ほかに漢字の訓を
(五)読み方の注意、および内容に関して注が加えられている。
(六)固有名詞の類に使用される特殊の文字は、もとのままで改めない。これは材料として文字になっていたものをも使ったことを語る。
(七)推古天皇の時代(〜六二八)
(八)神武天皇から応神天皇まで。
(九)仁徳天皇。
〔一、伊耶那岐 の命 と伊耶那美 の命 〕
〔天地のはじめ〕
つぎに国
上の件 、五柱の神は別 天 つ神 。
つぎになりませる神の名は、国の
上の件、国の常立の神より下 、伊耶那美 の神より前 を、あわせて神世 七代 ともうす。〈上の二柱は、独神おのもおのも一代ともうす。つぎに双 びます十神はおのもおのも二神をあわせて一代ともうす。〉
(一)中心、中央の思想の神格表現。空間の表示であるから活動を伝えない。
(二)以上二神、生成の思想の神格表現。事物の存在を「生む」ことによって説明する日本神話にあって原動力である。タカミは高大、カムは神秘・神聖の意の形容語。この二神の活動は多く伝えられる。
(三)対立でない存在。
(四)天地の間に溶合した。
(五)葦 の芽。十分に春になったことを感じている。
(六)葦牙の神格化。神名は男性である。
(七)天の確立を意味する神名。
(八)名義不明。以下神名によって、土地の成立、動植物の出現、整備などを表現するらしい。
(九)驚きを表現する神名。
(一〇)以上二神、誘 い出す意味の表現。
(二)以上二神、生成の思想の神格表現。事物の存在を「生む」ことによって説明する日本神話にあって原動力である。タカミは高大、カムは神秘・神聖の意の形容語。この二神の活動は多く伝えられる。
(三)対立でない存在。
(四)天地の間に溶合した。
(五)
(六)葦牙の神格化。神名は男性である。
(七)天の確立を意味する神名。
(八)名義不明。以下神名によって、土地の成立、動植物の出現、整備などを表現するらしい。
(九)驚きを表現する神名。
(一〇)以上二神、
〔島々の生成〕
ここに天つ神もろもろの
ここにその妹
ここに二柱の神
かれここに
(一)天神の命によって若い神が降下するのは日本神話の基礎形式の一つ。祭典の思想に根拠を有している。
(二)りっぱな矛をたまわって命をくだした。
(三)天からの通路である空中の階段。
(四)海水をゴロゴロとかきまわして。
(五)大阪湾内にある島。今の何島か不明。
(六)家屋の中心となる神聖な柱を立てた。
(七)結婚しよう。
(八)アナニヤシ、感動の表示。エオトコヲ、愛すべき男だ。ヲは感動の助詞。
(九)ヒルのようなよくないものが、不合理な婚姻によって生まれたとする。
(一〇)虫送りの行事。
(一一)四国の阿波の方面の名。この部分は阿波方面に対してわるい感情を表示する。
(一二)古代の占法は種々あるが、鹿の肩骨を焼いてヒビの入り方によって占なうのを重んじ、これをフトマニといった。これは後に亀の甲を焼くことに変わった。
(一三)淡路島の別名。ワケは若い者の義。
(一四)四国の称。伊予の方面からいう。
(一五)北九州。
(一六)誤伝があるのだろう。肥の国(肥前・肥後)のほかに、日向の別名があげられているのだろうというが、日向を入れると五国になって、「面四つあり」というのにあわない。
(一七)クマ(肥後南部)とソ(薩摩)とをあわせた名。
(一八)対馬島。
(一九)本州。
(二〇)山口県の屋代島だろう。
(二一)大分県の姫島だろう。
(二二)長崎県の五島。
(二三)所在不明。
(二)りっぱな矛をたまわって命をくだした。
(三)天からの通路である空中の階段。
(四)海水をゴロゴロとかきまわして。
(五)大阪湾内にある島。今の何島か不明。
(六)家屋の中心となる神聖な柱を立てた。
(七)結婚しよう。
(八)アナニヤシ、感動の表示。エオトコヲ、愛すべき男だ。ヲは感動の助詞。
(九)ヒルのようなよくないものが、不合理な婚姻によって生まれたとする。
(一〇)虫送りの行事。
(一一)四国の阿波の方面の名。この部分は阿波方面に対してわるい感情を表示する。
(一二)古代の占法は種々あるが、鹿の肩骨を焼いてヒビの入り方によって占なうのを重んじ、これをフトマニといった。これは後に亀の甲を焼くことに変わった。
(一三)淡路島の別名。ワケは若い者の義。
(一四)四国の称。伊予の方面からいう。
(一五)北九州。
(一六)誤伝があるのだろう。肥の国(肥前・肥後)のほかに、日向の別名があげられているのだろうというが、日向を入れると五国になって、
(一七)クマ(肥後南部)とソ(薩摩)とをあわせた名。
(一八)対馬島。
(一九)本州。
(二〇)山口県の屋代島だろう。
(二一)大分県の姫島だろう。
(二二)長崎県の五島。
(二三)所在不明。
〔神々の生成〕
すでに国を生みおえて、さらに神を生みたまいき。かれ生みたまう神の名は、
この
つぎに風の神名は
この大山津見の神、野椎の神の
つぎに生みたまう神の名は、鳥の
(一)以上の神の系列は、家屋の成立を語るものと解せられる。
(二)風に対して堪 えることを意味するらしい。
(三)河口など、海に対する出入口の神。
(四)海と河とで分担して生んだ神。以下、水に関する神。アワナギ・アワナミは動く水の男女の神。ツラナギ・ツラナミは静水の男女の神。ミクマリは水の配分。クヒザモチは水をくむ道具。
(五)息の長い男の義。
(六)木の間をもぐる男の義。
(七)山の神と野の神とが生んだ諸神の系列は、山野に霧がかかって迷うことを表現する。
(八)鳥のごとく早く軽く行くところの、石のように堅 いクスノキの船。
(九)穀物の神。この神に関する神話が三五ページ〔「須佐の男の神」の「穀物の種」〕 にある。
(一〇)吐瀉物 。以下、排泄物によって生まれた神は、火を防ぐ力のある神である。
(一一)埴土 の男女の神。
(一二)水の神。
(一三)若い生産力の神。
(一四)これも穀物の神。以上の神の系列は、野を焼いて耕作する生活を語る。
(一五)実数四十神だが、男女一対の神を一つとして数えれば三十五になる。
(二)風に対して
(三)河口など、海に対する出入口の神。
(四)海と河とで分担して生んだ神。以下、水に関する神。アワナギ・アワナミは動く水の男女の神。ツラナギ・ツラナミは静水の男女の神。ミクマリは水の配分。クヒザモチは水をくむ道具。
(五)息の長い男の義。
(六)木の間をもぐる男の義。
(七)山の神と野の神とが生んだ諸神の系列は、山野に霧がかかって迷うことを表現する。
(八)鳥のごとく早く軽く行くところの、石のように
(九)穀物の神。この神に関する神話が三五ページ〔
(一〇)
(一一)
(一二)水の神。
(一三)若い生産力の神。
(一四)これも穀物の神。以上の神の系列は、野を焼いて耕作する生活を語る。
(一五)実数四十神だが、男女一対の神を一つとして数えれば三十五になる。
〔黄泉 の国〕
かれここに
殺さえたまいし
ここにその妹
ここに
かれその
(一)奈良県磯城郡 の天の香具山。神話に実在の地名が出るばあいは、たいていその神話の伝えられている地方を語る。
(二)うねりのある地形の高み。
(三)香具山の麓 にあった埴安 の池の水神。泣沢 の森そのものを神体としている。
(四)広島県比婆郡 に伝説地がある。
(五)十つかみある長い剣。
(六)神聖な岩石。以下、神の系列によって鉄鉱を火力で処理して刀剣を得ることを語る。イワサクの神からイワヅツノオの神まで岩石の神霊。ミカハヤビ・ヒハヤビは火力。タケミカヅチノオは剣の威力。クラオカミ・クラミツハは水の神霊。クラは渓谷。御刀の手上 は剣のつか。タケミカヅチノオは五六ページ〔「天照 らす大御神と大国主の神」の「国ゆずり」〕 、七四ページ〔「神武天皇」の「熊野より大和へ」〕 に神話がある。
(七)以下、各種の山の神。
(八)幅の広い剣の義。水の神と解せられ、五六ページ〔「天照 らす大御神と大国主の神」の「国ゆずり」〕 に神話がある。別名のイツは威力の意。
(九)地下にありとされる空想上の世界。「黄泉」の文字は漢文からくる。
(一〇)宮殿の閉ざしてある戸。殿の騰戸とする伝えもある。
(一一)黄泉の国の火で作った食物を食 ったので黄泉の人となってしまった。同一の火による団結の思想である。
(一二)髪を左右にわけて耳のあたりで輪にする。それにさした神聖な櫛 。櫛は竹で作り魔よけとして女がさしてくれる。
(一三)ウジがわいてゴロゴロ鳴って。トロロギテとする伝えがあるが誤り。
(一四)黄泉の国の見にくいばけものの女。
(一五)植物を輪にして魔よけとして髪の上にのせる。
(一六)ヤマブドウ。
(一七)タケノコ。
(一八)黄泉の国の入口にある坂。黄泉の国に向かって下る。墳墓の構造からきている。
(一九)現実にある人間。
(二〇)『日本書紀』には絶妻の誓 とある。言葉で戸を立てる。別れの言葉をいう。
(二一)道路を追いかける神。
(二二)島根県八束郡 。
(二)うねりのある地形の高み。
(三)香具山の
(四)広島県
(五)十つかみある長い剣。
(六)神聖な岩石。以下、神の系列によって鉄鉱を火力で処理して刀剣を得ることを語る。イワサクの神からイワヅツノオの神まで岩石の神霊。ミカハヤビ・ヒハヤビは火力。タケミカヅチノオは剣の威力。クラオカミ・クラミツハは水の神霊。クラは渓谷。御刀の
(七)以下、各種の山の神。
(八)幅の広い剣の義。水の神と解せられ、五六ページ〔
(九)地下にありとされる空想上の世界。
(一〇)宮殿の閉ざしてある戸。殿の騰戸とする伝えもある。
(一一)黄泉の国の火で作った食物を
(一二)髪を左右にわけて耳のあたりで輪にする。それにさした神聖な
(一三)ウジがわいてゴロゴロ鳴って。トロロギテとする伝えがあるが誤り。
(一四)黄泉の国の見にくいばけものの女。
(一五)植物を輪にして魔よけとして髪の上にのせる。
(一六)ヤマブドウ。
(一七)タケノコ。
(一八)黄泉の国の入口にある坂。黄泉の国に向かって下る。墳墓の構造からきている。
(一九)現実にある人間。
(二〇)
(二一)道路を追いかける神。
(二二)島根県
〔身禊〕
ここをもちて
右の件 、船戸 の神より下、辺津甲斐弁羅の神より前、十二神 は、身に著 けたる物を脱 ぎうてたまいしによりて、生 りませる神なり。
ここに
ここに左の御目を洗いたまうときになりませる神の名は、
右の件、八十禍津日 の神より下、速須佐 の男 の命より前、十柱の神(一七)は、御身をすすぎたまいしによりて生 れませる神なり。
このとき、
かれ、おのもおのもよさし〔
(一)たいへん見にくい、きたない世界。
(二)九州の諸地方に伝説地があるが不明。「阿波岐 」は樹名だろうが不明。『日本書紀』に「檍原」と書く。
(三)道路に立って悪魔のくるのを追い返す神。柱の形であるから杖によってなったという。
(四)道路の長さの神。道路そのものに威力ありとする思想。
(五)時置師 の神とも伝える。時間のかかる意であろう。
(六)疲労の神霊。
(七)二股 になっている道路の神。
(八)口をあけて食う神霊。魔物を、である。
(九)以下は、みそぎをする土地の説明。
(一〇)災禍の神霊。
(一一)災禍をはらってよくする思想の神格化。まがったものをまっすぐにするという形で表現している。
(一二)威力のある女。巫女である。
(一三)以下六神、海の神。安曇系と住吉系と二種の神話の混合。
(一四)住吉神社の祭神。西方の海岸にこの神の信仰がある。
(一五)月の神、男神。『日本書紀』にはこの神が保食 の神(穀物の神)を殺す神話がある。
(一六)暴風の神であり出雲系の英雄でもある。
(一七)実数十四神。イヅノメと海神の一組三神とを除けば十神になる。
(一八)首にかけた珠の緒もゆらゆらとゆり鳴らして。
(一九)棚の上に安置してある神霊の義。
(二〇)夜の領国。神話は伝わらない。
(二一)長いヒゲが胸元までのびるまで泣きわめいた。以下、暴風の性質にもとづく叙述。
(二二)乱暴な神の物音。暴風のさわぎ。
(二三)死んだ母の国。イザナミの神の行っている黄泉の国である地下の固い土の世界。暴風がみずから地下へ行こうと言ったとする。
(二四)神が追いはらった。暴風を父の神が放逐 したとする思想。
(二五)真福寺本には「淡海の多賀」とする。イザナギの命の信仰は、淡路方面にひろがっていた。
(二)九州の諸地方に伝説地があるが不明。
(三)道路に立って悪魔のくるのを追い返す神。柱の形であるから杖によってなったという。
(四)道路の長さの神。道路そのものに威力ありとする思想。
(五)
(六)疲労の神霊。
(七)
(八)口をあけて食う神霊。魔物を、である。
(九)以下は、みそぎをする土地の説明。
(一〇)災禍の神霊。
(一一)災禍をはらってよくする思想の神格化。まがったものをまっすぐにするという形で表現している。
(一二)威力のある女。巫女である。
(一三)以下六神、海の神。安曇系と住吉系と二種の神話の混合。
(一四)住吉神社の祭神。西方の海岸にこの神の信仰がある。
(一五)月の神、男神。
(一六)暴風の神であり出雲系の英雄でもある。
(一七)実数十四神。イヅノメと海神の一組三神とを除けば十神になる。
(一八)首にかけた珠の緒もゆらゆらとゆり鳴らして。
(一九)棚の上に安置してある神霊の義。
(二〇)夜の領国。神話は伝わらない。
(二一)長いヒゲが胸元までのびるまで泣きわめいた。以下、暴風の性質にもとづく叙述。
(二二)乱暴な神の物音。暴風のさわぎ。
(二三)死んだ母の国。イザナミの神の行っている黄泉の国である地下の固い土の世界。暴風がみずから地下へ行こうと言ったとする。
(二四)神が追いはらった。暴風を父の神が
(二五)真福寺本には「淡海の多賀」とする。イザナギの命の信仰は、淡路方面にひろがっていた。
〔二、天照 らす大神 と須佐 の男 の命 〕
〔誓約 〕
かれここに
ここに
かれその先に
かれこの後に
(一)暴風の襲来するありさまで、歴史的には出雲族の襲来を語る。
(二)男装される。
(三)大きな曲玉のたくさんを緒につらぬいたもの。曲玉は、玉の威力の発動の思想を表示する。
(四)千本の矢を入れて背負 う武具。
(五)胸のたいらなところ。
(六)威勢のよい音のする鞆 。トモは皮で球形に作り、左の手にはめて弓を引いたときにそれにあたって音が立つようにする武具。
(七)威勢のよいさけび。
(八)神に誓 って神意をうかがう儀式。種々の方法があり、夢が多く使われる。ここは生まれた子の男女の別によって神意をうかがう。
(九)高天の原にありとする川。滋賀県の野洲 川だともいう。明日香川の古名か。
(一〇)玉の音もさやかに。
(一一)神聖な水の井。
(一二)以上の行為は、身を清 めるためにおこなう。剣を振って水を清 めてその水を口に含んで吐 く霧の中に神霊が出現するとする。以下は、剣が玉に変わっているだけ。
(一三)以上の三女神は福岡県の宗像 神社の神。
(一四)皇室のご祖先と伝える。
(一五)出雲氏らの祖先。
(一六)主として近畿地方に居住した諸氏の祖先。各種の系統の祖先が、この行事によって出現したとするのは、民族が同一祖から出たとする思想である。
(一七)出雲の国の熊野神社の神。
(一八)福岡県の海上、日本海の沖の島にある。
(一九)福岡県の海上、大島にある。
(二)男装される。
(三)大きな曲玉のたくさんを緒につらぬいたもの。曲玉は、玉の威力の発動の思想を表示する。
(四)千本の矢を入れて
(五)胸のたいらなところ。
(六)威勢のよい音のする
(七)威勢のよいさけび。
(八)神に
(九)高天の原にありとする川。滋賀県の
(一〇)玉の音もさやかに。
(一一)神聖な水の井。
(一二)以上の行為は、身を
(一三)以上の三女神は福岡県の
(一四)皇室のご祖先と伝える。
(一五)出雲氏らの祖先。
(一六)主として近畿地方に居住した諸氏の祖先。各種の系統の祖先が、この行事によって出現したとするのは、民族が同一祖から出たとする思想である。
(一七)出雲の国の熊野神社の神。
(一八)福岡県の海上、日本海の沖の島にある。
(一九)福岡県の海上、大島にある。
〔天 の岩戸 〕
ここに速須佐の男の命、
ここに
(一)自分が清 らかだから女子を得たとする。『日本書紀』では反対に、男子が生まれたらスサノオの命が潔白であるとしている。『古事記』の神話が女子によって語られたとする証明になるところ。オシホミミの命の出現によって勝ったとするのが原形だろう。
(二)勝ちにまかせて。
(三)田の畦 をやぶり溝をうめ、また御食事をなされる宮殿に不浄の物をまき散らすので、みな暴風の災害である。
(四)清浄な機おり場。
(五)これも暴風の災害。
(六)機おるときに横糸をまいて縦糸の中をくぐらせる道具。
(七)「イワ」は堅固である意をあらわすためにつけていう。墳墓の入口の石の戸とする説もある。
(八)永久の夜が続く。
(九)思慮・智恵の神格化。
(一〇)鶏。「常世」は恒久の世界の義で、空想上の世界から転じて海外をいう。
(一一)香具山の鹿の肩の骨をそっくり抜 いて。
(一二)樹名、カバノキ。これで鹿骨を焼く。
(一三)占いをし、適合させて。卜占によって祭の実行方法を定める。
(一四)香具山のしげった木を根とともに掘って。マサカキはしげった常緑木で、今いうツバキ科の樹名サカキに限らない。神聖な清浄な木を引く意味で、山からとってくる。
(一五)サカキに玉と鏡と麻楮をつけるのは、神霊をまねく意の行事で、他の例では剣をもつける。シラニギテはコウゾ、アオニギテはアサ。
(一六)力の神格。
(一七)ヒカゲカズラを手次 にかけ、マサキノカズラをカズラにする。神がかりをするための用意。
(一八)小竹の葉をつけて手で持つ。
(一九)中のうつろの箱のようなものをふせて。
(二〇)シメ縄 。出入禁止の意の表示。
(二一)罪を犯した者に多くの物を出させる。
(二)勝ちにまかせて。
(三)田の
(四)清浄な機おり場。
(五)これも暴風の災害。
(六)機おるときに横糸をまいて縦糸の中をくぐらせる道具。
(七)
(八)永久の夜が続く。
(九)思慮・智恵の神格化。
(一〇)鶏。
(一一)香具山の鹿の肩の骨をそっくり
(一二)樹名、カバノキ。これで鹿骨を焼く。
(一三)占いをし、適合させて。卜占によって祭の実行方法を定める。
(一四)香具山のしげった木を根とともに掘って。マサカキはしげった常緑木で、今いうツバキ科の樹名サカキに限らない。神聖な清浄な木を引く意味で、山からとってくる。
(一五)サカキに玉と鏡と麻楮をつけるのは、神霊をまねく意の行事で、他の例では剣をもつける。シラニギテはコウゾ、アオニギテはアサ。
(一六)力の神格。
(一七)ヒカゲカズラを
(一八)小竹の葉をつけて手で持つ。
(一九)中のうつろの箱のようなものをふせて。
(二〇)シメ
(二一)罪を犯した者に多くの物を出させる。
(つづく)
底本:
1956(昭和31)年5月20日初版発行
1965(昭和40)年9月20日20版発行
底本の親本:
※底本は校注が脚註の形で配置されています。このファイルでは校註者が追加した標題ごとに、書き下し文、校注の順序で編成しました。
※(一)〜(五五)は注釈番号です。底本では、直前の文字の右横に、ルビのように漢数字のみ付いています。このファイルでは本文の漢数字との混同を避けるため(漢数字)で表しました。
※〔 〕は底本の親本にはないもので、校註者が補った箇所を表します。
※頁数を引用している箇所には校註者が追加した標題を注記しました。
入力:川山隆
校正:しだひろし
YYYY年MM月DD日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
校註『古事記』(一)
稗田の阿礼、太の安万侶武田祐吉注釈校訂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)上《かみ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)神|蕃息《はんそく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+貌」、第3水準1-92-58]
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[#1字下げ]古事記 上《かみ》つ卷 序并はせたり[#「古事記 上つ卷 序并はせたり」は大見出し]
[#3字下げ]〔序文〕[#「〔序文〕」は中見出し]
[#5字下げ]〔過去の時代(一)〕[#「〔過去の時代(一)〕」は小見出し]
臣《やつこ》安萬侶《やすまろ》(二)言《まを》さく、それ混元既に凝りしかども、氣象いまだ敦《あつ》からざりしとき、名も無く爲《わざ》も無く、誰かその形を知らむ(三)。然《しか》ありて乾と坤と初めて分れて、參神造化の首《はじめ》と作《な》り(四)
(一) 過ぎし時代のことを傳え、歴代の天皇これによつて徳教を正しくしたことを説く。
(二) この序文は、天皇に奏上する文として書かれているので、この句をはじめすべてその詞づかいがなされる。安萬侶は、太の安麻呂、古事記の撰者、養老七年(七二三)歿。
(三) 混元以下、中國の宇宙創生説によつて書いている。萬物は形と氣とから成る。形は天地に分かれ、氣は陰陽に分かれる。
(四) アメノミナカヌシの神、タカミムスビの神、カムムスビの神の三神が、物を造り出す最初の神となつた。
(五) イザナギ、イザナミの二神が、萬物を生み出す親となつた。
(六) 幽と顯とに以下、イザナギ、イザナミ二神の事蹟。
(七) 鏡を懸け以下、天照らす大神とスサノヲの命との事蹟。
(八) 安の河に以下、ニニギの命の事蹟。
(九) 神武天皇。
(一〇) 崇神天皇。
(一一) 仁徳天皇。
(一二) 成務天皇。
(一三) 允恭天皇。
[#5字下げ]〔古事記の企畫(一)〕[#「〔古事記の企畫(一)〕」は小見出し]
飛鳥《あすか》の清原《きよみはら》の大宮に太八洲《おほやしま》しらしめしし天皇(二)の御世に曁《およ》びて、潛龍元を體し、※[#「さんずい+存」、第4水準2-78-43]《せん》雷期に應《こた》へき。夢の歌を聞きて業を纂《つ》がむことをおもほし、夜の水に投《いた》りて基を承けむことを知らしたまひき。然れども天の時いまだ臻《いた》らざりしかば、南の山に蝉のごとく蛻《もぬ》け、人と事《こと》と共に給《た》りて、東の國に虎のごとく歩みたまひき。皇輿たちまちに駕して、山川を凌ぎ度り、六師雷のごとく震ひ、三軍電のごとく逝きき。杖矛《ぢやうぼう》威を擧げて、猛士烟のごとく起り、絳旗《かうき》兵を耀かして、凶徒瓦のごとく解けぬ。いまだ浹辰《せふしん》を移さずして、氣※[#「さんずい+珍のつくり」、15-本文-17]《きれい》おのづから清まりぬ。すなはち牛を放ち馬を息《いこ》へ、※[#「りっしんべん+豈」、第3水準1-84-59]悌《がいてい》して華夏に歸り、旌《はた》を卷き戈《ほこ》を※[#「楫のつくり+戈」、第3水準1-84-66]《をさ》め、※[#「にんべん+舞」、第4水準2-3-4]詠《ぶえい》して都邑に停まりたまひき。歳《ほし》は大糜に次《やど》り、月は夾鐘に踵《あた》り(三)
(一) 天武天皇が帝紀と本辭とを正して稗田の阿禮に授けたことを説く。
(二) 天武天皇。
(三) 酉の年の二月に。
(四) 帝紀は歴代天皇の事を記した書、本辭は前の世の傳えごと。この二種が古事記の材料となつている。
(五) アメノウズメの命の子孫。男子説と女子説とがある。
[#5字下げ]〔古事記の成立(一)〕[#「〔古事記の成立(一)〕」は小見出し]
伏して惟《おも》ふに皇帝陛下(二)
[#2字下げ]和銅五年正月二十八日[#地から2字上げ]正五位の上勳五等 太《おほ》の朝臣《あそみ》安萬侶《やすまろ》
(一) 古事記成立の過程、文章の用意方針。内容の區分を説く。
(二) 元明天皇、女帝。奈良時代の最初の天皇。
(三) 七一一年。
(四) 漢字の表示する意義によつて書くのが、訓によるものであり、漢字の表示する音韻によつて書くのが、音によるものである。歌謠および特殊の詞句は音を用い、地名神名人名も音によるものが多い。外に漢字の訓を訓假字として使つたものが多少ある。
(五) 讀み方の注意、および内容に關して註が加えられている。
(六) 固有名詞の類に使用される特殊の文字は、もとのままで改めない。これは材料として文字になつていたものをも使つたことを語る。
(七) 推古天皇の時代(‐六二八)
(八) 神武天皇から應神天皇まで。
(九) 仁徳天皇。
[#3字下げ]〔一、伊耶那岐の命と伊耶那美の命〕[#「〔一、伊耶那岐の命と伊耶那美の命〕」は中見出し]
[#5字下げ]〔天地のはじめ〕[#「〔天地のはじめ〕」は小見出し]
天地《あめつち》の初發《はじめ》の時、高天《たかま》の原《はら》に成りませる神の名《みな》は、天《あめ》の御中主《みなかぬし》の神(一)。次に高御産巣日《たかみむすび》の神。次に神産巣日《かむむすび》の神(二)。この三柱《みはしら》の神は、みな獨神《ひとりがみ》(三)に成りまして、身《みみ》を隱したまひき(四)。
次に國|稚《わか》く、浮《う》かべる脂《あぶら》の如くして水母《くらげ》なす漂《ただよ》へる時に、葦牙《あしかび》(五)のごと萠《も》え騰《あが》る物に因りて成りませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遲《うましあしかびひこぢ》の神(六)。次に天《あめ》の常立《とこたち》の神(七)。この二柱《ふたはしら》の神もみな獨神《ひとりがみ》に成りまして、身《みみ》を隱したまひき。
[#ここから2字下げ]
上の件《くだり》、五柱の神は別《こと》天《あま》つ神《かみ》。
[#ここで字下げ終わり]
次に成りませる神の名は、國の常立《とこたち》の神。次に豐雲野《とよくもの》の神(八)。この二柱の神も、獨神に成りまして、身を隱したまひき。次に成りませる神の名は、宇比地邇《うひぢに》の神。次に妹須比智邇《いもすひぢに》の神。次に角杙《つのぐひ》の神。次に妹活杙《いもいくぐひ》の神二柱[#「二柱」は1段階小さな文字]。次に意富斗能地《おほとのぢ》の神。次に妹大斗乃辨《いもおほとのべ》の神。次に於母陀琉《おもだる》の神。次に妹《いも》阿夜訶志古泥《あやかしこね》の神(九)。次に伊耶那岐《いざなぎ》の神。次に妹《いも》伊耶那美《いざなみ》の神(一〇)。
[#ここから2字下げ]
上の件、國の常立の神より下《しも》、伊耶那美《いざなみ》の神より前《さき》を、并はせて神世《かみよ》七代《ななよ》とまをす。[#割り注]上の二柱は、獨神おのもおのも一代とまをす。次に雙びます十神はおのもおのも二神を合はせて一代とまをす。[#割り注終わり]
[#ここで字下げ終わり]
(一) 中心、中央の思想の神格表現。空間の表示であるから活動を傳えない。
(二) 以上二神、生成の思想の神格表現。事物の存在を「生む」ことによつて説明する日本神話にあつて原動力である。タカミは高大、カムは神祕神聖の意の形容語。この二神の活動は、多く傳えられる。
(三) 對立でない存在。
(四) 天地の間に溶合した。
(五) 葦の芽。十分に春になつたことを感じている。
(六) 葦牙の神格化。神名は男性である。
(七) 天の確立を意味する神名。
(八) 名義不明。以下神名によつて、土地の成立、動植物の出現、整備等を表現するらしい。
(九) 驚きを表現する神名。
(一〇) 以上二神、誘い出す意味の表現。
[#5字下げ]〔島々の生成〕[#「〔島々の生成〕」は小見出し]
ここに天つ神|諸《もろもろ》の命《みこと》以《も》ちて(一)
ここにその妹|伊耶那美《いざなみ》の命に問ひたまひしく、
ここに二柱の神|議《はか》りたまひて、
かれここに降りまして、更にその天の御柱を往き※[#「廴+囘」、第4水準2-12-11]りたまふこと、先の如くなりき。ここに伊耶那岐《いざなぎ》の命、まづ「あなにやし、えをとめを」とのりたまひ、後に妹|伊耶那美《いざなみ》の命、
然ありて後還ります時に、吉備《きび》の兒島《こじま》を生みたまひき。またの名は建日方別《たけひがたわけ》といふ。次に小豆島《あづきしま》を生みたまひき。またの名は大野手比賣《おほのでひめ》といふ。次に大島《おほしま》(二〇)を生みたまひき。またの名は大多麻流別《おほたまるわけ》といふ。次に女島《ひめじま》(二一)を生みたまひき。またの名は天一根《あめひとつね》といふ。次に知訶《ちか》の島(二二)を生みたまひき。またの名は天《あめ》の忍男《おしを》といふ。次に兩兒《ふたご》の島(二三)を生みたまひき。またの名は天《あめ》の兩屋《ふたや》といふ。[#割り注]吉備の兒島より天の兩屋の島まで并はせて六島。[#割り注終わり]
(一) 天神の命によつて若い神が降下するのは日本神話の基礎形式の一。祭典の思想に根據を有している。
(二) りつぱな矛を賜わつて命を下した。
(三) 天からの通路である空中の階段。
(四) 海水をゴロゴロとかきまわして。
(五) 大阪灣内にある島。今の何島か不明。
(六) 家屋の中心となる神聖な柱を立てた。
(七) 結婚しよう。
(八) アナニヤシ、感動の表示。エヲトコヲ、愛すべき男だ。ヲは感動の助詞。
(九) ヒルのようなよくないものが、不合理な婚姻によつて生まれたとする。
(一〇) 蟲送りの行事。
(一一) 四國の阿波の方面の名。この部分は阿波方面に對してわるい感情を表示する。
(一二) 古代の占法は種々あるが、鹿の肩骨を燒いてヒビの入り方によつて占なうのを重んじ、これをフトマニといつた。これは後に龜の甲を燒くことに變わつた。
(一三) 淡路島の別名。ワケは若い者の義。
(一四) 四國の稱。伊豫の方面からいう。
(一五) 北九州。
(一六) 誤傳があるのだろう。肥の國(肥前肥後)の外に、日向の別名があげられているのだろうというが、日向を入れると五國になつて、面四つありというのに合わない。
(一七) クマ(肥後南部)とソ(薩摩)とを合わせた名。
(一八) 對馬島。
(一九) 本州。
(二〇) 山口縣の屋代島だろう。
(二一) 大分縣の姫島だろう。
(二二) 長崎縣の五島。
(二三) 所在不明。
[#5字下げ]〔神々の生成〕[#「〔神々の生成〕」は小見出し]
既に國を生み竟《を》へて、更に神を生みたまひき。かれ生みたまふ神の名は、大事忍男《おほことおしを》の神。次に石土毘古《いはつちびこ》の神を生みたまひ、次に石巣比賣《いはすひめ》の神を生みたまひ、次に大戸日別《おほとひわけ》の神を生みたまひ、次に天《あめ》の吹男《ふきを》の神を生みたまひ、次に大屋毘古《おほやびこ》の神を生みたまひ(一)
この速秋津日子《はやあきつひこ》、速秋津比賣《はやあきつひめ》の二神《ふたはしら》、河海によりて持ち別けて生みたまふ神の名(四)は、沫那藝《あわなぎ》の神。次に沫那美《あわなみ》の神。次に頬那藝《つらなぎ》の神。次に頬那美《つらなみ》の神。次に天《あめ》の水分《みくまり》の神。次に國《くに》の水分《みくまり》の神。次に天《あめ》の久比奢母智《くひざもち》の神、次に國《くに》の久比奢母智《くひざもち》の神。[#割り注]沫那藝の神より國の久比奢母智の神まで并はせて八神。[#割り注終わり]
次に風の神名は志那都比古《しなつひこ》の神(五)を生みたまひ、次に木の神名は久久能智《くくのち》の神(六)を生みたまひ、次に山の神名は大山津見《おほやまつみ》の神を生みたまひ、次に野の神名は鹿屋野比賣《かやのひめ》の神を生みたまひき。またの名は野椎《のづち》の神といふ。[#割り注]志那都比古の神より野椎まで并はせて四神。[#割り注終わり]
この大山津見の神、野椎の神の二神《ふたはしら》、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、天の狹土《さづち》の神。次に國の狹土の神。次に天の狹霧《さぎり》の神。次に國の狹霧の神。次に天の闇戸《くらと》の神。次に國の闇戸の神。次に大戸或子《おほとまどひこ》の神。次に大戸或女《おほとまどひめ》の神(七)。[#割り注]天の狹土の神より大戸或女の神まで并はせて八神。[#割り注終わり]
次に生みたまふ神の名は、鳥の石楠船《いはくすぶね》の神(八)
(一) 以上の神の系列は、家屋の成立を語るものと解せられる。
(二) 風に對して堪えることを意味するらしい。
(三) 河口など、海に對する出入口の神。
(四) 海と河とで分擔して生んだ神。以下水に關する神。アワナギ、アワナミは、動く水の男女の神、ツラナギ、ツラナミは、靜水の男女の神。ミクマリは、水の配分。クヒザモチは水を汲む道具。
(五) 息の長い男の義。
(六) 木の間を潛る男の義。
(七) 山の神と野の神とが生んだ諸神の系列は、山野に霧がかかつて迷うことを表現する。
(八) 鳥の如く早く輕く行くところの、石のように堅いクスノキの船。
(九) 穀物の神。この神に關する神話が三五頁[#「三五頁」は「須佐の男の神」の「穀物の種」]にある。
(一〇) 吐瀉物。以下排泄物によつて生まれた神は、火を防ぐ力のある神である。
(一一) 埴土の男女の神。
(一二) 水の神。
(一三) 若い生産力の神。
(一四) これも穀物の神。以上の神の系列は、野を燒いて耕作する生活を語る。
(一五) 實數四十神だが、男女一對の神を一として數えれば三十五になる。
[#5字下げ]〔黄泉《よみ》の國〕[#「〔黄泉の國〕」は小見出し]
かれここに伊耶那岐の命の詔《の》りたまはく、
殺さえたまひし迦具土《かぐつち》の神の頭に成りませる神の名は、正鹿山津見《まさかやまつみ》の神(七)。次に胸に成りませる神の名は、淤縢山津見《おとやまつみ》の神。次に腹に成りませる神の名は、奧山津見《おくやまつみ》の神。次に陰《ほと》に成りませる神の名は、闇山津見《くらやまつみ》の神。次に左の手に成りませる神の名は、志藝山津見《しぎやまつみ》の神。次に右の手に成りませる神の名は、羽山津美《はやまつみ》の神。次に左の足に成りませる神の名は、原山津見《はらやまつみ》の神。次に右の足に成りませる神の名は、戸山津見《とやまつみ》の神。[#割り注]正鹿山津見の神より戸山津見の神まで并はせて八神。[#割り注終わり]かれ斬りたまへる刀の名は、天の尾羽張《をはばり》といひ(八)
ここにその妹伊耶那美の命を相見まくおもほして、黄泉國《よもつくに》(九)に追ひ往《い》でましき。ここに殿《との》の縢《くみ》戸(一〇)より出で向へたまふ時に、伊耶那岐の命語らひて詔りたまひしく、
ここに伊耶那岐の命、見《み》畏《かしこ》みて逃げ還りたまふ時に、その妹伊耶那美の命、
かれその伊耶那美の命に號《なづ》けて黄泉津《よもつ》大神といふ。またその追ひ及《し》きしをもちて、道敷《ちしき》の大神(二一)ともいへり。またその黄泉《よみ》の坂に塞《さは》れる石は、道反《ちかへし》の大神ともいひ、塞《さ》へます黄泉戸《よみど》の大神ともいふ。かれそのいはゆる黄泉比良坂《よもつひらさか》は、今、出雲の國の伊賦夜《いぶや》坂(二二)といふ。
(一) 奈良縣磯城郡の天の香具山。神話に實在の地名が出る場合は、大抵その神話の傳えられている地方を語る。
(二) うねりのある地形の高み。
(三) 香具山の麓にあつた埴安の池の水神。泣澤の森そのものを神體としている。
(四) 廣島縣比婆郡に傳説地がある。
(五) 十つかみある長い劒。
(六) 神聖な岩石。以下神の系列によつて鐵鑛を火力で處理して刀劒を得ることを語る。イハサクの神からイハヅツノヲの神まで岩石の神靈。ミカハヤビ、ヒハヤビは火力。タケミカヅチノヲは劒の威力。クラオカミ、クラミツハは水の神靈。クラは溪谷。御刀の手上は、劒のつか。タケミカヅチノヲは五六頁[#「五六頁」は「天照らす大御神と大國主の神」の「國讓り」]、七四頁[#「七四頁」は「神武天皇」の「熊野より大和へ」]に神話がある。
(七) 以下各種の山の神。
(八) 幅の廣い劒の義。水の神と解せられ、五六頁[#「五六頁」は「天照らす大御神と大國主の神」の「國讓り」]に神話がある。別名のイツは、威力の意。
(九) 地下にありとされる空想上の世界。黄泉の文字は漢文から來る。
(一〇) 宮殿の閉してある戸。殿の騰戸とする傳えもある。
(一一) 黄泉の國の火で作つた食物を食つたので黄泉の人となつてしまつた。同一の火による團結の思想である。
(一二) 髮を左右に分けて耳の邊で輪にする。それにさした神聖な櫛。櫛は竹で作り魔よけとして女がさしてくれる。
(一三) 蛆がわいてゴロゴロ鳴つて。トロロギテとする傳えがあるが誤り。
(一四) 黄泉の國の見にくいばけものの女。
(一五) 植物を輪にして魔よけとして髮の上にのせる。
(一六) 山葡萄。
(一七) 筍。
(一八) 黄泉の國の入口にある坂。黄泉の國に向つて下る。墳墓の構造から來ている。
(一九) 現實にある人間。
(二〇) 日本書紀には絶妻の誓とある。言葉で戸を立てる。別れの言葉をいう。
(二一) 道路を追いかける神。
(二二) 島根縣八束郡。
[#5字下げ]〔身禊〕[#「〔身禊〕」は小見出し]
ここを以ちて伊耶那岐の大神の詔りたまひしく、
[#ここから2字下げ]
右の件《くだり》、船戸《ふなど》の神より下、邊津甲斐辨羅の神より前、十二神《とをまりふたはしら》は、身に著《つ》けたる物を脱ぎうてたまひしに因りて、生《な》りませる神なり。
[#ここで字下げ終わり]
ここに詔りたまはく、
ここに左の御目を洗ひたまふ時に成りませる神の名は、天照《あまて》らす大御神《おほみかみ》。次に右の御目を洗ひたまふ時に成りませる神の名は、月讀《つくよみ》の命(一五)。次に御鼻を洗ひたまふ時に成りませる神の名は、建速須佐《たけはやすさ》の男《を》の命(一六)。
[#ここから2字下げ]
右の件、八十禍津日《やそまがつび》の神より下、速須佐《はやすさ》の男《を》の命より前、十柱の神(一七)は、御身を滌ぎたまひしに因りて生《あ》れませる神なり。
[#ここで字下げ終わり]
この時伊耶那岐の命|大《いた》く歡ばして詔りたまひしく、
かれおのもおのもよさし賜へる命のまにま知らしめす中に、速須佐の男の命、依さしたまへる國を知らさずて、八拳須《やつかひげ》心前《むなさき》に至るまで、啼きいさちき(二一)。その泣く状《さま》は、青山は枯山なす泣き枯らし河海《うみかは》は悉《ことごと》に泣き乾《ほ》しき。ここを以ちて惡《あら》ぶる神の音なひ(二二)
(一) 大變見にくいきたない世界。
(二) 九州の諸地方に傳説地があるが不明。アハギは樹名だろうが不明。日本書紀に檍原と書く。
(三) 道路に立つて惡魔の來るのを追い返す神。柱の形であるから杖によつて成つたという。
(四) 道路の長さの神。道路そのものに威力ありとする思想。
(五) 時置師の神とも傳える。時間のかかる意であろう。
(六) 疲勞の神靈。
(七) 二股になつている道路の神。
(八) 口をあけて食う神靈。魔物をである。
(九) 以下は禊をする土地の説明。
(一〇) 災禍の神靈。
(一一) 災禍を拂つてよくする思想の神格化。曲つたものをまつすぐにするという形で表現している。
(一二) 威力のある女。巫女である。
(一三) 以下六神、海の神。安曇系と住吉系と二種の神話の混合。
(一四) 住吉神社の祭神。西方の海岸にこの神の信仰がある。
(一五) 月の神、男神。日本書紀にはこの神が保食《うけもち》の神(穀物の神)を殺す神話がある。
(一六) 暴風の神であり出雲系の英雄でもある。
(一七) 實數十四神。イヅノメと海神の一組三神とを除けば十神になる。
(一八) 頸にかけた珠の緒もゆらゆらとゆり鳴らして。
(一九) 棚の上に安置してある神靈の義。
(二〇) 夜の領國。神話は傳わらない。
(二一) 長い髯が胸元までのびるまで泣きわめいた。以下暴風の性質にもとづく敍述。
(二二) 亂暴な神の物音。暴風のさわぎ。
(二三) 死んだ母の國。イザナミの神の行つている黄泉の國である地下の堅い土の世界。暴風がみずから地下へ行こうと言つたとする。
(二四) 神が追い拂つた。暴風を父の神が放逐したとする思想。
(二五) 眞福寺本には淡海の多賀とする。イザナギの命の信仰は、淡路方面にひろがつていた。
[#3字下げ]〔二、天照らす大神と須佐の男の命〕[#「〔二、天照らす大神と須佐の男の命〕」は中見出し]
[#5字下げ]〔誓約《うけひ》〕[#「〔誓約〕」は小見出し]
かれここに速須佐の男の命、言《まを》したまはく、
ここに天照らす大御神、速須佐《はやすさ》の男の命に告《の》りたまはく、
かれその先に生れませる神、多紀理毘賣《たきりびめ》の命は、※[#「匈/(胃−田)
かれこの後に生《あ》れませる五柱の子の中に、天の菩比《ほひ》の命の子|建比良鳥《たけひらとり》の命、こは出雲の國の造《みやつこ》、无耶志《むざし》の國の造、上《かみ》つ菟上《うなかみ》の國の造、下《しも》つ菟上《うなかみ》の國の造、伊自牟《いじむ》の國の造、津島《つしま》の縣《あがた》の直《あたへ》、遠江《とほつあふみ》の國の造等が祖《おや》なり。次に天津日子根《あまつひこね》の命は、凡川内《おふしかふち》の國の造、額田部《ぬかたべ》の湯坐《ゆゑ》の連《むらじ》、木《き》の國の造、倭《やまと》の田中の直《あたへ》、山代《やましろ》の國の造、馬來田《うまくた》の國の造、道《みち》の尻岐閇《しりきべ》の國の造、周芳《すは》の國の造、倭《やまと》の淹知《あむち》の造《みやつこ》、高市《たけち》の縣主《あがたぬし》、蒲生《かまふ》の稻寸《いなぎ》、三枝部《さきくさべ》の造等が祖なり。
(一) 暴風の襲來する有樣で、歴史的には出雲族の襲來を語る。
(二) 男裝される。
(三) 大きな曲玉の澤山を緒に貫いたもの。曲玉は、玉の威力の發動の思想を表示する。
(四) 千本の矢を入れて背負う武具。
(五) 胸のたいらな所。
(六) 威勢のよい音のする鞆。トモは皮で球形に作り左の手にはめて弓を引いた時にそれに當つて音が立つようにする武具。
(七) 威勢のよい叫び。
(八) 神に誓つて神意を伺う儀式。種々の方法があり夢が多く使われる。ここは生まれた子の男女の別によつて神意を伺う。
(九) 高天の原にありとする川。滋賀縣の野洲《やす》川だともいう。明日香川の古名か。
(一〇) 玉の音もさやかに。
(一一) 神聖な水の井。
(一二) 以上の行爲は、身を清めるために行う。劒を振つて水を清めてその水を口に含んで吐く霧の中に神靈が出現するとする。以下は劒が玉に變つているだけ。
(一三) 以上の三女神は福岡縣の宗像《むなかた》神社の神。
(一四) 皇室の御祖先と傳える。
(一五) 出雲氏等の祖先。
(一六) 主として近畿地方に居住した諸氏の祖先。各種の系統の祖先が、この行事によつて出現したとするのは民族が同一祖から出たとする思想である。
(一七) 出雲の國の熊野神社の神。
(一八) 福岡縣の海上日本海の沖の島にある。
(一九) 福岡縣の海上大島にある。
[#5字下げ]〔天の岩戸〕[#「〔天の岩戸〕」は小見出し]
ここに速須佐の男の命、天照らす大御神に白したまひしく、
ここに天照らす大御神|怪《あや》しとおもほして、天の石屋戸を細《ほそめ》に開きて内より告《の》りたまはく、
(一) 自分が清らかだから女子を得たとする。日本書紀では反對に、男子が生まれたらスサノヲの命が潔白であるとしている。古事記の神話が女子によつて語られたとする證明になるところ。オシホミミの命の出現によつて勝つたとするのが原形だろう。
(二) 勝にまかせて。
(三) 田の畦を破り溝を埋め、また御食事をなされる宮殿に不淨の物をまき散らすので、皆暴風の災害である。
(四) 清淨な機おり場。
(五) これも暴風の災害。
(六) 機おる時に横絲を卷いて縱絲の中をくぐらせる道具。
(七) イハは堅固である意を現すためにつけていう。墳墓の入口の石の戸とする説もある。
(八) 永久の夜が續く。
(九) 思慮智惠の神格化。
(一〇) 鷄。常世は、恒久の世界の義で、空想上の世界から轉じて海外をいう。
(一一) 香具山の鹿の肩の骨をそつくり拔いて。
(一二) 樹名、カバノキ。これで鹿骨を燒く。
(一三) 占いをし適合させて。卜占によつて祭の實行方法を定める。
(一四) 香具山の繁つた木を根と共に掘つて。マサカキは繁つた常緑木で、今いうツバキ科の樹名サカキに限らない。神聖な清淨な木を引く意味で、山から採つてくる。
(一五) サカキに玉と鏡と麻楮をつけるのは、神靈を招く意の行事で、他の例では劒をもつける。シラニギテはコウゾ、アヲニギテはアサ。
(一六) 力の神格。
(一七) ヒカゲカズラを手次《たすき》にかけ、マサキノカズラをカヅラにする。神がかりをするための用意。
(一八) 小竹の葉をつけて手で持つ。
(一九) 中のうつろの箱のようなものを伏せて。
(二〇) シメ繩。出入禁止の意の表示。
(二一) 罪を犯した者に多くの物を出させる。
(つづく)
底本:
1956(昭和31)年5月20日初版発行
1965(昭和40)年9月20日20版発行
底本の親本:
※底本は校注が脚註の形で配置されています。このファイルでは校註者が追加した標題ごとに、書き下し文、校注の順序で編成しました。
※(一)〜(五五)は注釈番号です。底本では、直前の文字の右横に、ルビのように漢数字のみ付いています。このファイルでは本文の漢数字との混同を避けるため(漢数字)で表しました。
※〔〕は底本の親本にはないもので、校註者が補った箇所を表します。
※頁数を引用している箇所には校註者が追加した標題を注記しました。
※底本は書き下し文のみ歴史的かなづかいで、その他は新かなづかいです。なお拗音・促音は小書きではありません。
入力:川山隆
校正:しだひろし
YYYY年MM月DD日作成
青空文庫作成ファイル:
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*地名
(※ 市町村名は、平成の大合併以前の表記のまま。一般的な国名・地名などは解説省略。- 真福寺 しんぷくじ 名古屋市中区にある真言宗の寺。別称、宝生院。通称、大須観音。建久(1190〜1199)年中、尾張国中島郡大須郷(岐阜県羽島市)に建立、中島観音堂と称したものを1612年(慶長17)現在地に移建。古事記・日本霊異記などの古写本を蔵し、大須本・真福寺本と称する。
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- 安の河 やすのかわ 天上にあるという川。天の安の河。また、天の河。
- 高千の巓 たかちのたけ
- 高千穂の宮 たかちほのみや 彦火火出見尊から神武天皇に至る3代の皇居。宮崎県西臼杵郡高千穂町・同県西諸県郡の東霧島山などの諸説がある。
- 秋津洲・秋津島・蜻蛉洲 あきずしま 大和国。また、本州。また広く、日本国の異称。あきずしまね。あきずね。(もと御所市付近の地名から。神武天皇が大和国の山上から国見をして「蜻蛉の臀�の如し」と言った伝説がある)
- 高倉
- 高天の原 たかまのはら 高天原。(1) 日本神話で、天つ神がいたという天上の国。天照大神が支配。
「根の国」や「葦原の中つ国」に対していう。たかまがはら。(2) 大空。 - 黄泉国 よもつくに (→)黄泉に同じ。
- 黄泉 よみ (ヤミ(闇)の転か。ヤマ(山)の転ともいう)死後、魂が行くという所。死者が住むと信じられた国。よみのくに。よもつくに。よみじ。こうせん。冥土。九泉。
- 殿の縢戸 とののくみど
- 黄泉比良坂 よもつひらさか 安来市の隣、東出雲町と比定されている。
- 坂本 さかもと
- 葦原の中つ国 あしはらの なかつくに (
「中つ国」は、天上の高天原と地下の黄泉の国との中間にある、地上の世界の意)(→) 「葦原の国」に同じ。 - 葦原の国 あしはらのくに 記紀神話などに見える、日本国の称。
- 夜の食国 よの おすくに
- 天の安の河 あまの やすのかわ 日本神話で天上にあったという河。神々の会合した所とする。
- 淤能碁呂島 おのごろじま → f馭慮島
- f馭慮島 おのころじま 日本神話で、伊弉諾・伊弉冉二尊が天の浮橋に立って、天瓊矛で滄海を探って引き上げた時、矛先からしたたり落ちる潮の凝って成った島。転じて、日本の国を指す。
- 大倭豊秋津島 おおやまと とよあきつしま 本州。天つ御虚空豊秋津根別。
- 天つ御虚空豊秋津根別 あまつ みそら とよあきつねわけ → 大倭豊秋津島
- 大八島国 おおやしまぐに 大八洲国・大八島国。
(→) 「おおやしま」に同じ。 - 大八洲・大八島 おおやしま (多くの島から成る意)日本国の古称。おおやしまぐに。
- [佐渡] さど 旧国名。北陸地方北辺、日本海最大の島。新潟県に属する。面積857平方km。佐州。
- 佐渡の島 さどのしま → 佐渡島
- 佐渡島 さどがしま 新潟県に属し、新潟市の北西方にある日本海最大の島。
- [滋賀県]
- 野洲川 やすがわ 鈴鹿山脈から北西に流れ、琵琶湖に注ぐ川。琵琶湖に大きく張り出した川の三角州は、琵琶湖を北湖と南湖に二分している。全長61km。
- 明日香川
- [奈良県]
- 吉野 よしの 奈良県南部の地名。吉野川流域の総称。大和国の一郡で、平安初期から修験道の根拠地。古来、桜の名所で南朝の史跡が多い。
- 近つ淡海・近江 ちかつ おうみ 浜名湖を「遠つ淡海」というのに対して、琵琶湖の称。また、近江の古称。
- 遠つ飛鳥 とおつ あすか 大和の飛鳥のことか。
- 飛鳥 あすか 飛鳥・明日香。奈良盆地南部の一地方。畝傍山および香具山付近以南の飛鳥川流域の小盆地。推古天皇以後百余年間にわたって断続的に宮殿が造営された。
- 清原の大宮 きよみはらの おおみや → 飛鳥浄御原宮か
- 飛鳥浄御原宮 あすかの きよみはらのみや 天武・持統天皇の皇居。672年天武天皇が造営して都とし、694年持統天皇は藤原宮に遷る。
- 太八洲 おおやしま 大八洲・大八島。(多くの島から成る意)日本国の古称。おおやしまぐに。
- 小治田 おわりだ → 小墾田宮か
- 小墾田宮 おはりだのみや 推古天皇の皇居の一つ。伝承地は奈良県高市郡明日香村。皇極天皇も一時皇居とし、奈良後期にも行在所となる。小治田宮。
- 磯城郡 しきぐん 奈良県の郡。奈良盆地中央部の低平地。ほぼ東境から北境を初瀬川(大和川上流)が流れ、北端で大和川に注ぐ。
- 天の香具山 あまの かぐやま 天香山・天香具山。(1) 高天原にあったという山。(2) かぐやま。
- 香具山・香久山 かぐやま 奈良県橿原市の南東部にある山。標高152m。耳成山・畝傍山と共に大和三山と称する。樹木が繁茂して美しい。麓に埴安池の跡がある。天の香具山。
(歌枕) - 香山の畝尾 かぐやまの うねお
- 埴安の池 はにやすのいけ 奈良盆地南部、香具山の北西麓にあった池。
- [大阪]
- 住吉神社 すみよし じんじゃ 大阪市住吉区住吉にある元官幣大社。住吉神の三神と神功皇后とを祀る。二十二社の一つ。摂津国一の宮。今は住吉大社と称す。同名の神社は、下関市一の宮住吉(長門国一の宮)や福岡市博多区住吉(筑前国一の宮)など各地にある。
- [淡路] あわじのくに 旧国名。今の兵庫県淡路島。淡州。
- 多賀 たが 真福寺本には「淡海の多賀」とする。
- 淡島 あわしま (1) 日本神話で伊弉諾尊・伊弉冉尊が生んだという島。(2) 日本神話で少彦名神がそこから常世に渡ったという島。(3) 和歌山市にある淡島神社。祭神は少彦名神。各地に分祀。婦人病に霊験があるとされる。また神の名を針才天女とも伝え針供養が行われる。加太神社。淡島(粟島)明神。あわしまがみ。(4) 淡島 (3) のお札や神像を入れた厨子を負って、その由来を語りながら門付けをした遊行者。淡島願人。淡島殿。
- 淡道の穂の狭別の島 あわじのほの さわけのしま 淡道之穂之狭別島 → 淡路島
- 淡路島 あわじしま 瀬戸内海東部にある同海最大の島。本州とは明石海峡・友ヶ島水道(紀淡海峡)で、四国とは鳴門海峡で隔てられる。1985年鳴門海峡に橋が完成。兵庫県に属する。面積592平方km。
- 伊予の二名の島 いよのふたなのしま 伊予之二名島。四国。
- [吉備国] きびのくに 山陽地方の古代国名。大化改新後、備前・備中・備後・美作(みまさか)に分かつ。
- 児島 こじま タケヒガタワケ。岡山県児島半島南部の地区。古くから海上交通の要地で、水軍の拠点。瀬戸内海国立公園の一部で鷲羽山がある。倉敷市に属し、学生服・ジーンズなどの縫製加工業が盛ん。瀬戸大橋の起点。
- 建日方別 たけひがたわけ → 吉備の児島
- 吉備の児島 きびのこじま 吉備子洲。神代記国生みの段にみえる。岡山県児島郡の児島半島。
(神名) - [伊予国] いよのくに 旧国名。今の愛媛県。伊余。伊与。予州。
- 愛比売 えひめ 愛媛。四国地方の北西部の県。伊予国全域。県庁所在地は松山市。面積5674平方km。人口146万8千。全11市。
- [讃岐国] さぬきのくに 旧国名。今の香川県。讃州。
- 飯依比古 いいよりひこ 飯依彦。讃岐国の擬人名。
- 小豆島 あずきじま/しょうどしま オオノデ姫。香川県小豆郡に属する瀬戸内海東部の島。面積約153平方km。星ヶ城山を中心に景勝多く、中でも寒霞渓は有名。主要産物は醤油・オリーブ油・素麺。瀬戸内海国立公園の一部。
- 大野手比売 おおのでひめ
- [阿波国] あわのくに 旧国名。今の徳島県。粟国。阿州。
- 粟の国 あわのくに → 阿波国
- 大宜都比売 おおげつひめ 大宜津比売。(
「け」は食物)食物をつかさどる女神。古事記で、鼻・口・尻から種々の食物を取り出して奉り、穢らわしいとして素戔嗚尊に殺されたが、死体から五穀が化生した。日本書紀では保食神。 - [土佐国] とさのくに (古く「土左」とも書く)旧国名。今の高知県。土州。
- 土左の国 とさのくに → 土佐国
- 建依別 たけよりわけ 土佐国の美称。現、高知県。
- [伯耆国] ほうきのくに 旧国名。今の鳥取県の西部。伯州。
- 伯伎の国 ははきのくに → 伯耆国
- 比婆の山 ひばのやま 日本神話においてイザナミが葬られたと記される地。
- 湯津石村 ゆついわむら
- [隠岐国] おきのくに 中国地方の島。旧国名。山陰道の一国。今、島根県に属する。隠州。 → 隠岐島
- 隠岐の三子の島 おきのみつごのしま 億岐三子洲(紀)。イザナギ・イザナミ神の国生みの三番目に生まれた島。またの名を天之忍許呂別。紀の一書では佐度洲と双とする。
(神名) - 天の忍許呂別 あめのおしころわけ 天之忍許呂別。隠岐三子島の別名。
- 隠岐島 おきのしま 島根県に属し、本州の北約50km沖にある島。最大島の島後と島群である島前とから成る。後鳥羽上皇・後醍醐天皇の流された地。大山隠岐国立公園に属する。隠岐諸島。
- [島根県]
- [出雲国] いずものくに 旧国名。今の島根県の東部。雲州。
- 伊賦夜坂 いぶやざか 黄泉比良坂。
- 八束郡 やつかぐん 明治29年(1896)島根郡・秋鹿郡・意宇郡が合併して成立。県北部に位置。郡中央部に松江市があり、南西部には宍道湖が広がり、北は日本海に面する。
- 熊野神社 くまの じんじゃ 島根県松江市にある元国幣大社。祭神は神祖熊野大神櫛御気野命(素戔嗚尊)。鑽火祭の神事が有名。熊野大社。
- [広島県]
- 比婆郡 ひばぐん 広島県東部にあった郡。1898年10月1日に恵蘇・奴可・三上各郡が統合されて成立した。
- 竺紫 つくし → 筑紫か
- 筑紫の島 つくしのしま
- [筑紫国] つくしのくに 九州の古称。また、筑前・筑後を指す。
- 白日別 しらひわけ イザナギ・イザナミ二神の子。筑紫島の四面の一つで筑紫の国名。肥前国南高来郡筑柴魂神社に祀られている。
(神名) - [福岡県]
形の奥津宮 むなかたの おきつのみや → 宗像神社 形の中津宮 むなかたの なかつのみや → 宗像神社 形の辺津宮 むなかたの へつのみや → 宗像神社 - 宗像神社 むなかた じんじゃ 福岡県宗像市にある元官幣大社。祭神は田心姫命・湍津姫命・市杵島姫命で、玄界灘の沖ノ島にある沖津宮、大島の中津宮、内陸にある辺津宮の三宮に祀る。沖ノ島の祭祀遺跡は著名。宗像大社。
- 沖ノ島 おきのしま 玄界灘にある島。本州から約60km離れ、福岡県宗像市に属する。大陸との往来の安全を願う信仰の対象となり、宗像神社の沖津宮がある。古墳時代以降の多くの祭祀遺跡が確認され、貴重な奉献品が発見されている。
- 大島 おおしま 大多麻流別。現、福岡県宗像郡大島村大島。宗像郡の北部、玄界灘に浮かぶ。中央部の御岳山(224m)を中心に丘陵部が多く、平地は少ない。前九年の役で敗れた安倍宗任がのちに大島に流されて没したという。東西約3.2キロ、南北約2.7キロ。字大岸に宗像大社中津宮が鎮座する。
- 大多麻流別 おおたまるわけ イザナギ・イザナミ神の国生みで生まれた大島の別名。
(神名) - [壱岐] いき 九州と朝鮮との間に対馬とともに飛石状をなす島。もと壱岐国。九州本土から約25km離れる。緩やかな丘陵・台地が多い。面積134平方km。壱州。
- 伊岐の島 いきのしま 壱岐島か。長崎県。 → 壱岐
- 天比登都柱 あめのひとつ/あめひとつはしら 国生みで生まれた伊伎島の別名で、長崎県の壱岐のこと。
(神名) - [対馬国]
- 津島 つしま → 対馬
- 対馬 つしま (一説に、津島の意という) 旧国名。九州と朝鮮半島との間にある島。主島は上島・下島。今は長崎県の一部。中心地は厳原。対州。
- 天の狭手依比売 あめのさでよりひめ 国生みで生まれた津島(対馬)の別名。
(神名) - [長崎県]
- 知訶の島 ちかのしま アメノオシオ。値嘉島。長崎県の五島列島の古称。
- 天の忍男 あめのおしお 天之忍男。国生みで生まれた知訶島(長崎県五島列島)の別名。
(神名) - 両児の島 ふたごのしま 天両屋。アメフタヤ。五島列島の男女群島の男島・女島とされている。
- 天の両屋 あめのふたや
- [豊国] とよのくに 豊の国。九州地方北東部の古い国名。のち豊前・豊後に分かれた。
- 豊日別 とよひわけ 豊日別国魂神。豊前・豊後の総称で、豊国の国魂の神を意味する。豊後国下毛郡国毛浜神社その他に祀られている。
(神名) - 女島 ひめじま 天一つ根。大分県の姫島(東国東郡姫島村)。
- 天一根 あめひとつね 国生みで生まれた女嶋の別名で、大分県の姫島にあたる。
(神名) - [肥国] ひのくに 肥の国。肥前国・肥後国の略。
- 建日向日豊久士比泥別 たけひむかひとよくじひねわけ イザナギ・イザナミ神の国生みにより、四番目に生まれた筑紫島の中の肥国の美称。現在の九州、球磨地方を除く熊本県・長崎県・佐賀県・宮崎県にあたる。
(神名) - [日向国] ひむか/ひゅうがのくに (古くはヒムカ)旧国名。今の宮崎県。
- 橘の小門 たちばなの おど 橘之小戸。紀・神代巻に出てくる地で、日向国にあるという小さい瀬戸。イザナギ命が黄泉国から帰って禊祓をしたという所。
- 阿波岐原 あわぎはら 九州の諸地方に伝説地があるが不明。
「阿波岐」は樹名だろうが不明。 『日本書紀』に「檍原」と書く。 - [熊曽国] くまそのくに 熊曽の国
- 建日別 たけひわけ イザナギ・イザナミ神の国生みにより、四番目に生まれた筑紫島の中の熊曽国の美称。現在の熊本県球磨地方・鹿児島県にあたる。
(神名)
◇参照:Wikipedia、
*年表
- 和銅四(七一一)九月十八日 元明天皇、臣安万侶に詔して、稗田の阿礼が誦める勅語の『旧辞』を撰録して、献上せよとのりたまう。
- 和銅五(七一二)正月二八日
『古事記』献上。 - 養老七(七二三) 太の安麻呂、没。
◇参照:Wikipedia、
*人物一覧
(人名、および組織・団体名・神名)- 稗田阿礼 ひえだの あれ 天武天皇の舎人。記憶力がすぐれていたため、天皇から帝紀・旧辞の誦習を命ぜられ、太安万侶がこれを筆録して「古事記」3巻が成った。
- 太安万侶 おおの やすまろ ?-723 奈良時代の官人。民部卿。勅により、稗田阿礼の誦習した帝紀・旧辞を筆録して「古事記」3巻を撰進。1979年、奈良市の東郊から遺骨が墓誌銘と共に出土。
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- 番の仁岐の命 ほのににぎのみこと → ににぎのみこと
- ににぎのみこと 瓊瓊杵尊・邇邇芸命 日本神話で天照大神の孫。天忍穂耳尊の子。天照大神の命によってこの国土を統治するために、高天原から日向国の高千穂峰に降り、大山祇神の女、木花之開耶姫を娶り、火闌降命・火明尊・彦火火出見尊を生んだ。天津彦彦火瓊瓊杵尊。
- アメノミナカヌシの神
- タカミムスビの神
- カムムスビの神
- イザナギ 伊弉諾尊・伊邪那岐命 いざなぎのみこと (古くはイザナキノミコト)日本神話で、天つ神の命を受け伊弉冉尊と共にわが国土や神を生み、山海・草木をつかさどった男神。天照大神・素戔嗚尊の父神。
- イザナミ 伊弉冉尊・伊邪那美命 いざなみのみこと 日本神話で、伊弉諾尊の配偶女神。火の神を生んだために死に、夫神と別れて黄泉国に住むようになる。
- アマテラス大神 あまてらす おおみかみ 天照大神・天照大御神 伊弉諾尊の女。高天原の主神。皇室の祖神。大日�t貴とも号す。日の神と仰がれ、伊勢の皇大神宮(内宮)に祀り、皇室崇敬の中心とされた。
- スサノオの命 すさのおのみこと 素戔嗚尊・須佐之男命 日本神話で、伊弉諾尊の子。天照大神の弟。凶暴で、天の岩屋戸の事件を起こした結果、高天原から追放され、出雲国で八岐大蛇を斬って天叢雲剣を得、天照大神に献じた。また新羅に渡って、船材の樹木を持ち帰り、植林の道を教えたという。
- 崇神天皇 すじん てんのう 記紀伝承上の天皇。開化天皇の第2皇子。名は御間城入彦五十瓊殖。
- 仁徳天皇 にんとく てんのう 記紀に記された5世紀前半の天皇。応神天皇の第4皇子。名は大鷦鷯。難波に都した最初の天皇。租税を3年間免除したなどの聖帝伝承がある。倭の五王のうちの「讃」または「珍」とする説がある。
- 成務天皇 せいむ てんのう 記紀伝承上の天皇。景行天皇の第4皇子。名は稚足彦。
- 允恭天皇 いんぎょう てんのう 記紀に記された5世紀中頃の天皇。仁徳天皇の第4皇子。名は雄朝津間稚子宿祢。盟神探湯で姓氏の混乱を正したという。倭の五王のうち「済」に比定される。
- 天武天皇 てんむ てんのう ?-686 7世紀後半の天皇。名は天渟中原瀛真人、また大海人。舒明天皇の第3皇子。671年出家して吉野に隠棲、天智天皇の没後、壬申の乱(672年)に勝利し、翌年、飛鳥の浄御原宮に即位する。新たに八色姓を制定、位階を改定、律令を制定、また国史の編修に着手。
(在位673〜686) - アメノウズメの命 あまのうずめのみこと 天鈿女命・天宇受売命 日本神話で、天岩屋戸の前で踊って天照大神を慰め、また、天孫降臨に随従して天の八衢にいた猿田彦神を和らげて道案内させたという女神。鈿女命。猿女君の祖とする。
- 天御中主神 あまのみなかぬしのかみ 古事記で、造化の三神の一柱。天地開闢のはじめ、高天原に最初に出現、天の中央に座して宇宙を主宰したという神。中国の思想による天帝の観念から作られたという。
- 神倭の天皇 かむやまとの すめらみこと → 神武天皇
- 神武天皇 じんむ てんのう 記紀伝承上の天皇。名は神日本磐余彦。伝承では、高天原から降臨した瓊瓊杵尊の曾孫。彦波瀲武��草葺不合尊の第4子で、母は玉依姫。日向国の高千穂宮を出、瀬戸内海を経て紀伊国に上陸、長髄彦らを平定して、辛酉の年(前660年)大和国畝傍の橿原宮で即位したという。日本書紀の紀年に従って、明治以降この年を紀元元年とした。畝傍山東北陵はその陵墓とする。
- 神倭伊波礼毘古の天皇 かむやまといわれびこの すめらみこと → 神武天皇
- 品陀 ほむだ → 誉田別、応神天皇
- 応神天皇 おうじん てんのう 記紀に記された天皇。5世紀前後に比定。名は誉田別。仲哀天皇の第4皇子。母は神功皇后とされるが、天皇の誕生については伝説的な色彩が濃い。倭の五王のうち「讃」にあてる説がある。異称、胎中天皇。
- 大雀の皇帝 おおさざきの すめらみこと → 仁徳天皇
- 仁徳天皇 にんとく てんのう 記紀に記された5世紀前半の天皇。応神天皇の第4皇子。名は大鷦鷯。難波に都した最初の天皇。租税を3年間免除したなどの聖帝伝承がある。倭の五王のうちの「讃」または「珍」とする説がある。
- 元明天皇 げんめい てんのう 661-721 奈良前期の女帝。天智天皇の第4皇女。草壁皇子の妃。文武・元正天皇の母。名は阿閉。都を大和国の平城(奈良)に遷し、太安万侶らに古事記を撰ばせ、諸国に風土記を奉らせた。
(在位707〜715) - 推古天皇 すいこ てんのう 554-628 記紀に記された6世紀末・7世紀初の天皇。最初の女帝。欽明天皇の第3皇女。母は堅塩媛(蘇我稲目の娘)。名は豊御食炊屋姫。また、額田部皇女。敏達天皇の皇后。崇峻天皇暗殺の後を受けて大和国の豊浦宮で即位。後に同国の小墾田宮に遷る。聖徳太子を摂政とし、冠位十二階の制定、十七条憲法の発布などを行う。
(在位592〜628) - -----------------------------------
- 伊耶那岐の命 いざなぎのみこと 伊弉諾尊・伊邪那岐命。(古くはイザナキノミコト)日本神話で、天つ神の命を受け伊弉冉尊と共にわが国土や神を生み、山海・草木をつかさどった男神。天照大神・素戔嗚尊の父神。
- 伊耶那美の命 いざなみのみこと 伊弉冉尊・伊邪那美命。日本神話で、伊弉諾尊の配偶女神。火の神を生んだために死に、夫神と別れて黄泉国に住むようになる。
- 天の御中主の神 あめのみなかぬしのかみ → 天御中主神
- 高御産巣日の神 たかみむすびのかみ/たかみむすひのかみ 高皇産霊神・高御産巣日神・高御産日神・高御魂神。古事記で、天地開闢の時、高天原に出現したという神。天御中主神・神皇産霊神と共に造化三神の一神。天孫降臨の神勅を下す。鎮魂神として神祇官八神の一神。別名、高木神。
- 神産巣日の神 かむむすびのかみ/かみむすひのかみ 神産巣日神・神皇産霊神。記紀神話で天地開闢の際、天御中主神・高皇産霊神と共に高天原に出現したと伝える神。造化三神の一神。女神ともいう。かむみむすひのかみ。
- 宇摩志阿斯訶備比古遅の神 うましあしかびひこぢのかみ → 可美葦牙彦舅神
- 可美葦牙彦舅神 うましあしかびひこじのかみ 記紀神話で、国土がまだ出来あがらず天地混沌の時、アシカビ(葦の芽の意)のように生まれたとされる神。
- 天の常立の神 あめのとこたちのかみ/あまのとこたちのかみ 天常立神。古事記で、天地開闢の時、現れたという神。
- 別天神 ことあまつかみ 古事記で、天地開闢の初めに出現したとされる神。天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神・宇摩志阿斯訶備比古遅神・天之常立神の称。
- 国の常立の神 くにのとこたちのみこと 国常立尊。日本書紀の冒頭に記されている、天地開闢とともに最初に現れた神。国底立尊。
- 豊雲野の神 とよくものかみ 豊斟渟神。天地開闢の時、国常立神に次いで高天原に出現したという神。天神七代の一つ。豊雲野神。豊斟渟尊。
- 宇比地迩の神 うひじにのかみ 宇比邇神。男神。
- 須比智迩の神 すひじにのかみ 須比智邇神。女神。宇比地迩の神の妹。
- 角杙の神 つのぐいのかみ 男神。
- 活杙の神 いくぐいのかみ 女神。角杙の神の妹。
- 意富斗能地の神 おおとのぢのかみ 男神。
- 大斗乃弁の神 おおとのべのかみ 女神。意富斗能地の神の妹。
- 於母陀琉の神 おもだるのかみ 淤母陀琉神。男神。
- 阿夜訶志古泥の神 あやかしこねのかみ 女神。於母陀琉の神の妹。
- 蛭子 ひるこ 日本神話で、伊弉諾・伊弉冉二神の間に最初に生まれた子。3歳になっても脚が立たず、流し捨てられたと伝える。中世以後、これを恵比須として尊崇。ひるのこ。
- 大事忍男の神 おおことおしおのかみ 大事忍男神。
- 石土毘古の神 いわつちびこのかみ 石土毘古神。家宅六神。
- 石巣比売の神 いわすひめのかみ 石巣比売神。家宅六神。
- 大戸日別の神 おおとひわけのかみ 家宅六神。
- 天の吹男の神 あめのふきおのかみ 天之吹男神。家宅六神。
- 大屋毘古の神 おおやびこのかみ 家宅六神。
- 風木津別の忍男の神 かざもつわけのおしおのかみ 風木津別之忍男神。家宅六神。
- 大綿津見の神 おおわたつみのかみ 海神・綿津見。海の神。
- 水戸の神 みなとのかみ 川口、港口を守護する神。速秋津日子神と速秋津比売の神の二柱のことをいう。
- 速秋津日子の神 はやあきつひこのかみ 速秋津比古。水戸の神。
- 速秋津比売の神 はやあきつひめのかみ 速秋津比売神。水戸の神。
- 沫那芸の神 あわなぎのかみ
- 沫那美の神 あわなみのかみ
- 頬那芸の神 つらなぎのかみ
- 頬那美の神 つらなみのかみ
- 天の水分の神 あめの みくまりのかみ 天之水分神。
- 国の水分の神 くにの みくまりのかみ 国之水分神。
- 水分神 みくまりのかみ 流水の分配をつかさどる神。古事記に速秋津日子・速秋津比売2神の子、天之水分神・国之水分神の2神が見え、吉野水分神社・宇太水分神社など各地の水源地に分祀される。
「みこもり」と転じて、俗に子守神として信仰される。 - 天の久比奢母智の神 あめの くひざもちのかみ 天之久比奢母智神。
- 国の久比奢母智の神 くにの くひざもちのかみ 国之久比奢母智神。
- 志那都比古の神 しなつひこのかみ 級長津彦神。風をつかさどる神。竜田神・竜田風神と同神ともいう。級長戸辺神。
- 久久能智の神 くくのちのかみ 久久能智神。日本神話で、木の神。木の守護神。
- 大山津見の神 おおやまつみのかみ 大山祇神。山をつかさどる神。伊弉諾尊の子。
- 鹿屋野比売の神 かやのひめのかみ 野の神名。またの名は野椎の神。
- 野椎の神 のづちのかみ → 鹿屋野比売の神
- 天の狭土の神 あめの さづちのかみ 天之狭土神。
- 国の狭土の神 くにの さづちのかみ 国之狭土神。
- 天の狭霧の神 あめの さぎりのかみ 天之狭霧神。
- 国の狭霧の神 くにの さぎりのかみ 国之狭霧神。
- 天の闇戸の神 あめの くらとのかみ 天之闇戸神。
- 国の闇戸の神 くにの くらとのかみ 国之闇戸神。
- 大戸或子の神 おおとまどいこのかみ 大戸惑子神。
- 大戸或女の神 おおとまどいめのかみ 大戸惑女神。
- 鳥の石楠船の神 とりのいわくすぶねのかみ またの名は天の鳥船。鳥磐樟船。鳥のように速く、岩のように堅固なクスノキで作った船。あまのいわくすぶね。
- 天の鳥船 あめの とりぶね → 鳥の石楠船の神
- 天の鳥船 あまの とりふね 日本神話にみえる、速力のはやい船。また、それを神として呼んだ称。
- 大宜都比売の神 おおげつひめのかみ 大宜津比売。(
「け」は食物)食物をつかさどる女神。古事記で、鼻・口・尻から種々の食物を取り出して奉り、穢らわしいとして素戔嗚尊に殺されたが、死体から五穀が化生した。日本書紀では保食神。 - 火の夜芸速男の神 ほのやぎはやおのかみ またの名は火の�f毘古の神。またの名は火の迦具土の神。
- 火の�f毘古の神 ほのかがびこのかみ
- 火の迦具土の神 ほのかぐつちのかみ 迦具土神。記紀神話で、伊弉諾・伊弉冉二尊の子。火をつかさどる神。誕生の際、母を焼死させたため、父に切り殺される。火産霊神。
- 金山毘古の神 かなやまびこのかみ たぐりに生りませる神の名。金山毘古神。鉱山の神。金山姫を配する。
- 金山毘売の神 かなやまびめのかみ 金山毘売神。
- 波迩夜須毘古の神 はにやすびこのかみ 屎になりませる神の名。波邇夜須毘古神。土の神。
- 波迩夜須毘売の神 はにやすびめのかみ 波邇夜須毘売。
- 弥都波能売の神 みつはのめのかみ 尿になりませる神の名。弥都波能売神。罔象女。罔象に同じ。水をつかさどる神。
- 和久産巣日の神 わくむすびのかみ 和久産巣日神。穀物・養蚕の神。
- 豊宇気毘売の神 とようけびめのかみ 豊宇気毘売・豊受姫。豊受大神。伊弉諾尊の孫、和久産巣日神の子。食物をつかさどる神。伊勢神宮の外宮の祭神。豊宇気毘売神。とゆうけのかみ。
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- 泣沢女の神 なきさわめのかみ 御涙になりませる神は、香山の畝尾の木のもとにます神。/古事記神話で、伊邪那岐命が伊邪那美命の死を嘆いた涙から成ったという神。
- 石拆の神 いわさくのかみ 磐裂神。
「岩をも裂く力」という名義を持つ神。イザナギ命が火の神カグツチを斬ったとき、その剣の先についた血が岩にほとばしりついて生まれたとされる。 - 根拆の神 ねさくのかみ 根裂神。
「根をも裂く力」という名義を持つ神。 - 石筒の男の神 いわづつのおのかみ 石筒之男神。刀剣の神。磐筒男命。
- 甕速日の神 みかはやびのかみ (
「みか」は、勢いが激しいさまの意)雷の神。 - 樋速日の神 ひはやびのかみ (
「樋」は「火」の意)火の神。 - 建御雷の男の神 たけみかづちのおのかみ またの名は建布都の神、またの名は豊布都の神
- 武甕槌命・建御雷命 たけみかずちのみこと 日本神話で、天尾羽張命の子。経津主命と共に天照大神の命を受けて出雲国に下り、大国主命を説いて国土を奉還させた。鹿島神宮はこの神を祀る。
- 建布都の神 たけふつのかみ → 建御雷の男の神
- 豊布都の神 とよふつのかみ → 建御雷の男の神
- 御刀の手上に集まる血、手俣より漏き出てなりませる神の名は、
- 闇淤加美の神 くらおかみのかみ 淤加美神。闇�。(
「くら」は谷の意)高�と共に、水をつかさどる神。古来、祈雨・止雨の神として有名。京都の貴船神社の祭神。 - 闇御津羽の神 くらみつはのかみ 闇御津羽神。雨をつかさどる竜神。水神。
- 正鹿山津見の神 まさかやまつみのかみ 迦具土神の頭から生まれる。
- 淤縢山津見の神 おとやまつみのかみ 胸に出現した神。
- 奥山津見の神 おくやまつみのかみ 腹に出現した神。
- 闇山津見の神 くらやまつみのかみ 御陰に出現した神。
- 志芸山津見の神 しぎやまつみのかみ 左の手に出現した神。
- 羽山津美の神 はやまつみのかみ 右の手に出現した神。
- 原山津見の神 はらやまつみのかみ 左の足に出現した神。
- 戸山津見の神 とやまつみのかみ 右の足に出現した神。/外山をつかさどる神。伊弉諾尊が迦具土神を斬った時、その死体の右足から生まれたという。
- 黄泉神 よもつかみ 黄泉の国を支配する神。
- 大雷 おおいかづち 頭。
- 火の雷 ほのいかづち 胸。
- 黒雷 くろいかづち/いかずち イザナミ命の死体の腹(記)または尻(紀)に生じたという雷神。
- 拆雷 さくいかづち 陰《ほと》。
- 若雷 わきいかづち 左の手。
- 土雷 つちいかづち 右の手。
- 鳴雷 なるいかづち 左の足。
- 伏雷 ふしいかづち 右の足。
- 雷神 らいじん 雷電を起こす神。鬼のような姿をして虎の皮の褌をまとい、太鼓を輪形に連ねて負い、手に桴を持つ。中国で天帝の属神とされ、日本では北野天神の眷属神ともされる。光の神。雷公。雷師。かみなり。
- 黄泉醜女 よもつ しこめ 黄泉の国にいる鬼女。
- 醜女 しこめ 容貌のみにくい女。醜婦。また、黄泉にいるという女の鬼。
- 意富加牟豆美の命 おおかむづみのみこと イザナギが桃に与えた名。
- 黄泉津大神 よもつ おおかみ イザナミの命。
- 道敷の大神 ちしきの おおかみ 道敷大神。イザナミの命。
- 道反の大神 ちかえしの/ちがえしの おおかみ イザナミ命を道から追い返した大神の意。
(神名) - 黄泉戸の大神 よみどの おおかみ 黄泉の入口の大神。泉門塞之大神、塞坐黄泉戸大神。道反大神の別名。
(神名) - -----------------------------------
- 衝き立つ船戸の神 つきたつ ふなどのかみ 御杖になりませる神。
- 道の長乳歯の神 みちの ながちはのかみ なげすてる帯であらわれた神。道中の安全を守る。
- 時量師の神 ときはかしのかみ 時置師の神。黄泉国を脱したイザナギ神が、黄泉国のけがれを清めるために禊祓した際、第三に投げた袋に化成した神。名義不詳。
(神名) - 時置師の神 ときおかしのかみ → 時量師の神
- 煩累の大人の神 わずらいの うしのかみ 御衣になりませる神。和豆良比能宇斯神。
- 道俣の神 ちまたのかみ 御褌になりませる神。岐の神。
- 飽咋の大人の神 あきぐいの うしのかみ 御冠になりませる神。
- 奥疎の神 おきざかるのかみ 左の御手の手纏になりませる神。
- 奥津那芸佐毘古の神 おきつ なぎさびこのかみ
- 奥津甲斐弁羅の神 おきつ かいべらのかみ
- 辺疎の神 へざかるのかみ 右の御手の手纏になりませる神。
- 辺津那芸佐毘古の神 へつ なぎさびこのかみ
- 辺津甲斐弁羅の神 へつ かいべらのかみ
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- 八十禍津日の神 やそまがつびのかみ 中つ瀬に降り潜きて、滌ぎたまう時になりませる神。 → 禍津日神
- 大禍津日の神 おおまがつひのかみ → 禍津日神
- 禍津日神 まがつひのかみ 災害・凶事・汚穢の神。伊弉諾尊のみそぎの時、黄泉の国の汚れから化生したという。←
→直日神 - 神直毘の神 かむなおびのかみ 禍をなおさんとしてなりませる神。 → 直毘神
- 大直毘の神 おおなおびのかみ (
「なおび」は物忌みから平常に復し、また凶事を吉事に転ずる意)大直毘神の祭。また、大直毘神の略。 → 直毘神 - 直日神・直毘神 なおびのかみ 罪悪・禍害を改め直す神。伊弉諾尊が檍原のみそぎのとき生まれ出た神という。←
→禍津日神 - 伊豆能売 いずのめ/いづのめのかみ イザナギ命が橘之小門で禊のとき生まれた神。
『古事記伝』には伊豆は汚垢をはらって清まった意。 『神名考』には伊豆の伊は斎庭、清らかな意とある。事跡不詳。速秋津日子神・速秋津比女二柱の神と同神。 (神名) - 海神・綿津見 わたつみ (ワダツミとも。ツは助詞「の」と同じ、ミは神霊の意) (1) 海をつかさどる神。海神。わたつみのかみ。(2) 海。
- 底津綿津見の神 そこつわたつみのかみ 水底に滌ぎたまう時になりませる神。
- 底筒の男の命 そこづつの おのみこと → 参照:墨江神
- 中津綿津見の神 なかつわたつみのかみ 中に滌ぎたまうときになりませる神。
- 中筒の男の命 なかづつの おのみこと → 参照:墨江神
- 上津綿津見の神 うわつわたつみのかみ 水の上に滌ぎたまう時になりませる神。
- 上筒の男の命 うわづつの おのみこと → 参照:墨江神
- 綿津見の神 わたつみのかみ 阿曇の連らが祖神と斎く神。
- 阿曇の連 あづみの むらじ 綿津見の神の子、宇都志日金拆の命の子孫。
- 宇都志日金拆の命 うつしひがなさくのみこと 『延喜式神名帳』に信濃国更級郡に氷鉋斗売神社があり、これから出た名であると推定される。拆は信濃の佐久郡から出た。イザナギ神の禊により化成した綿津見神の子で、阿曇連らの祖神。事跡不詳。
(神名) - 墨の江の三前の大神 すみのえのみまえのおおかみ → 墨江神
- 住吉神・墨江神 すみのえのかみ 大阪の住吉神社の祭神である表筒男命・中筒男命・底筒男命の三神。伊弉諾尊が筑紫の檍原で、禊をした時に生まれたという。航海の神、また和歌の神とされる。すみよしのかみ。
- 天照大神・天照大御神 あまてらす おおみかみ → アマテラス大神
- 月読の命 つくよみのみこと 右の御目を洗いたまうときになりませる神。
- 月読・月夜見・月夜霊 つくよみ (1) (月を数える意からか、また月の意のツクヨに神の意のミが付いた形か)月の神。(2) 月。
- 建速須佐の男の命 たけはやすさの おのみこと 御鼻を洗いたまうときになりませる神。 → 須佐之男命
- 素戔嗚尊・須佐之男命 すさのおのみこと 日本神話で、伊弉諾尊の子。天照大神の弟。凶暴で、天の岩屋戸の事件を起こした結果、高天原から追放され、出雲国で八岐大蛇を斬って天叢雲剣を得、天照大神に献じた。また新羅に渡って、船材の樹木を持ち帰り、植林の道を教えたという。
- 御倉板挙の神 みくらたなのかみ 御首珠の名。
- 保食の神 うけもちのかみ 保食神。五穀をつかさどる神。食物の神。うかのみたま。
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- 速須佐の男の命 はやすさのおの みこと → 素戔嗚尊・須佐之男命
- 多紀理毘売の命 たぎりびめのみこと 田心姫命。天照大神と素戔嗚尊が誓約をしたときに生まれた宗像三女神の一神。宗像神社の祭神。多紀理毘売命。/またの御名は奥津島比売の命。
- 奥津島比売の命 おきつしまひめのみこと → 多紀理毘売の命
- 市寸島比売の命 いちきしまひめのみこと 市杵島姫命。天照大神と素戔嗚尊との誓の際に生じた宗像三女神の一神。のち弁財天に付会し、また市神として信仰。市姫。厳島神社の祭神ともいう。/またの御名は狭依毘売の命。
- 狭依毘売の命 さよりびめのみこと → 市寸島比売の命
- 多岐都比売の命 たぎつひめのみこと 湍津姫命。日本神話で、素戔嗚尊と天照大神との誓約によって生まれた宗像の三女神の一神。大国主神の妻で、事代主神の母。
- 正勝吾勝勝速日天の忍穂耳の命 まさかあかつかちはやび あめの おしほみみ のみこと 天忍穂耳尊。日本神話で、瓊瓊杵尊の父神。素戔嗚尊と天照大神の誓約の際に生まれた神。正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊。
- 天の菩卑の命 あめの ほひ のみこと 天之菩卑能命、天穂日命、天菩比神。日本神話で、素戔嗚尊と天照大神の誓約の際に生まれた子。天孫降臨に先だち、出雲国に降り、大国主命祭祀の祭主となる。出雲国造らの祖とする。千家氏はその子孫という。
- 天津日子根の命 あまつひこね のみこと 古事記では天津日子根命、日本書紀では天津彦根命と書かれる。アマテラスとスサノオの誓約の際に、天照大神の八尺勾玉の五百箇の御統の珠から生まれた五柱の男神のうちの一柱である。古事記や日本書紀本文ほかでは3番目に生まれ、天照大神の物種より生まれたので天照大神の子であるとされる。その後、神話の記述には登場しない。多くの氏族の祖神とされている。
- 活津日子根の命 いくつひこねのみこと 天の安の河でスサノオ尊とアマテラス大神が誓約をおこなった際生まれた、五男神中の一神。
- 熊野久須毘の命 くまの/くまぬくすびのみこと スサノオ命がアマテラス大神の右手に巻かれた珠をもらいうけ、かみにかんで吹き捨てた息吹の狭霧にできた神。五男神のうち一番最後に生まれた。
(神名) - 建比良鳥の命 たけひらとりのみこと 天の菩比の命の子。/出雲の国の造・ムザシの国の造・カミツウナカミの国の造・シモツウナカミの国の造・イジムの国の造・津島の県の直・遠江の国の造たちの祖先。
- 出雲国造 いずもの くにのみやつこ 出雲の国を支配した豪族。律令制成立以後は大社の神官を世襲し、のち千家・北島の両家に分かれた。
- 无耶志の国の造 むざしの くにのみやつこ 无邪志国造。
- 上つ兎上の国の造 かみつうなかみの くにのみやつこ
- 下つ兎上の国の造 しもつうなかみの くにのみやつこ
- 伊自牟の国の造 いじむの くにのみやつこ
- 津島の県の直 つしまのあがたのあたえ
- 遠江の国の造 とおつおうみの くにのみやつこ
- 凡川内の国の造 おおしこうちの くにのみやつこ
- 額田部の湯座の連 ぬかたべのゆえのむらじ
- 木の国の造 きの くにのみやつこ
- 倭の田中の直 やまとの田中のあたえ
- 山代の国の造 やましろの くにのみやつこ
- 馬来田の国の造 うまくたの くにのみやつこ
- 道の尻岐閇の国の造 みちのしりきべの くにのみやつこ
- 周芳の国の造 すわの くにのみやつこ
- 倭の淹知の造 やまとのあむちのみやつこ
- 高市の県主 たけちのあがたぬし
- 蒲生の稲寸 かまうのいなぎ
- 三枝部の造 さきくさべの
- 出雲族 → 出雲氏
- 出雲氏 いずもうじ 天穂日命を祖とする古代の豪族。姓は臣。出雲国と山城国愛宕郡雲上里・雲下里に集中し、大和・河内・播磨・丹波などにも分布。出雲連が摂津国、無姓の出雲が越前国にみえる。出雲国の出雲臣は意宇郡を本拠とし、郡大領・出雲国造を兼帯した家系を本宗とし、九郡中五郡の郡司として現れ、大勢力を有した。律令制下でも出雲国造の任命が知られる。国造家は南北朝期に千家・北島両家に分裂。出雲連には医書「大同類聚方」を著した出雲広貞がでて、医道の道として栄えた。
(日本史) - -----------------------------------
- 思金の神 おもいがねのかみ 思兼神。記紀神話で高皇産霊神の子。天照大神が天の岩戸に隠れた時、謀を設けて誘い出した、思慮のある神。思金命。
- 天津麻羅 あまつまら 記に見える鍛冶の神。天の岩屋戸に隠れた天照大神を導き出すため、伊斯許理度売神(いしこりどめのみこと)とともに、祭祀用の鏡を作った。天目一箇神(あめのまひとつのかみ)と同じ神ともいわれる。天津真浦とも。
- 天津麻羅 あまつまら (→)天目一箇神に同じ。
- 天目一箇神 あまの まひとつのかみ 天照大神が天岩屋戸に隠れた時、刀・斧など、祭器を作ったという神。後世、金工・鍛冶の祖神とする。天津麻羅。
- 伊斯許理度売の命 いしこりどめのみこと 石凝姥命。記紀神話で、天糠戸神の子。天照大神が天の岩戸に隠れた時、鏡を作った神。鏡作部の遠祖とする。五部神の一神。
- 玉祖命 たまのおやのみこと 古事記神話で、天岩屋戸の前で玉を作ったという神。五部神の一神。玉屋命。
- 天の児屋の命 あまの こやねのみこと 天児屋命・天児屋根命。日本神話で、興台産霊の子。天岩屋戸の前で、祝詞を奏して天照大神の出現を祈り、のち、天孫に従ってくだった五部神の一人で、その子孫は代々大和朝廷の祭祀をつかさどったという。中臣・藤原氏の祖神とする。
- 布刀玉の命 ふとだまのみこと 太玉命。日本神話で天照大神の岩戸ごもりの際に、天児屋根命と共に祭祀の事をつかさどった神。忌部氏の祖。五部神の一神。
- 天の手力男の神 あまのたぢからおのかみ 天手力男命。天岩屋戸を開いて天照大神を出したという大力の神。天孫の降臨に従う。
- 天の宇受売の命 あまのうずめのみこと 天鈿女命・天宇受売命。日本神話で、天岩屋戸の前で踊って天照大神を慰め、また、天孫降臨に随従して天の八衢にいた猿田彦神を和らげて道案内させたという女神。鈿女命。猿女君の祖とする。
◇参照:Wikipedia、
*書籍
(書名、雑誌名、論文名、能・狂言・謡曲などの作品名)- 『古事記』 こじき 現存する日本最古の歴史書。3巻。稗田阿礼が天武天皇の勅により誦習した帝紀および先代の旧辞を、太安万侶が元明天皇の勅により撰録して712年(和銅5)献上。上巻は天地開闢から鵜葺草葺不合命まで、中巻は神武天皇から応神天皇まで、下巻は仁徳天皇から推古天皇までの記事を収め、神話・伝説と多数の歌謡とを含みながら、天皇を中心とする日本の統一の由来を物語る。ふることぶみ。
- 『帝紀』 ていき 天皇の系譜の記録。帝皇日嗣(ていおうのひつぎ)。
- 『本辞』 ほんじ 皇族や氏族の伝承、また、民間の説話などを書きとどめたもの。旧辞。
- 『旧辞』 くじ 神話・伝承の記録または口誦されたもの。
- 『帝皇の日継』 すめらみことの ひつぎ 歴代の天皇の系譜、事績を書き記した書。すめらみことのふみ。
- 『日本書紀』 にほん しょき 六国史の一つ。奈良時代に完成した日本最古の勅撰の正史。神代から持統天皇までの朝廷に伝わった神話・伝説・記録などを修飾の多い漢文で記述した編年体の史書。30巻。720年(養老4)舎人親王らの撰。日本紀。
◇参照:Wikipedia、
*難字、求めよ
- 敦い あつい 安定していて重みがある。重厚である。まことがある。
- 乾坤 けんこん (1) 易の卦の乾と坤。(2) 天地。(3) 陰陽。(4) いぬい(北西)とひつじさる(南西)。(5) 二つで一組をなすものの順序を表す語。多く書物の上冊・下冊の意。
- 造化 ぞうか (2) 天地を創造し、その間に存在する万物を創造、化育すること。また、それをなす者。造物主。造物者。
- 群品 ぐんぴん (1) すべてのもの。万物。(2)「ぐんぽん」に同じ。/ぐんぽん (
「ほん」は「品」の呉音)仏語。多くの生物。生きとし生けるもの。群生。有生。衆生。 - 太素 たいそ 大素。天地開闢以前の混沌とした時。始源。
- 杳冥 ようめい 奥深く暗いさま。暗く、はっきりしないさま。
- 綿 めんばく 緬。年代や場所がはるかに遠いこと。
- 蕃息 はんそく しげりふえること。蕃殖。
- ことむく 言趣く・言向く ことばで説いて従わせる。転じて、平定する。
- 巓 たけ 山のいただき。山頂。みね。
- あもる 天降る (1) あまくだる。(2) 天皇が行幸する。
- 天の剣 あまの つるぎ → 天叢雲剣
- 天叢雲剣 あまの むらくもの つるぎ 日本神話で、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治した時、その尾から出たという剣。これを天照大神に奉った。後に、草薙剣と称して熱田神宮に祀る。
- 生尾 せいび 尾のある人。古く、夷賊をさした表現。
- 黎元 れいげん (
「黎」は黒、 「元」は首の意で、冠をかぶらない黒髪の人。一説に「黎」はもろもろ、 「元」は善人の意ともいう)人民。万民。黎民。 - 勒す ろくす (1) おさえる。制御する。(2) とりしまる。すべる。統御する。整理する。(3) 彫る。刻む。ほりつける。また、書き留める。
- 歩と驟と
- 歩驟 ほしゅう (1) 歩くことと走ること。足どり。
「驟」は馬がかけ足する。小またで、はやがけする。(2) 物事の順序・次第。 - おのもおのも 各も各も おのおの。めいめい。
- 風猷 ふうゆう 教化と道徳。
- 典教
- 潜龍 せんりょう (
「りょう」は「龍」の正音。 「りゅう」は慣用音。水中にひそみ隠れていて、まだ天に昇らない龍の意から)しばらく帝位につくのを避けている人。まだ世に出る機会を得ていない英雄、豪傑。せんりゅう。 - 雷 せんらい (
『易経-震卦』の「象曰、雷震、君子以恐懼脩省」による)雷がしきりになることの意。転じて、畏敬すべき人。太子のこと。また、天子の徳があって、まだ位につかない時のこと。潜龍。 - 皇輿 こうよ 天皇乗用の輿。
- 駕す がす (1) 車馬などに乗る。(2) 他をしのいで上に出る。
- 六師 りくし 天子・天皇の率いる軍隊。六軍(りくぐん)。
- 杖矛 じょうぼう
- 絳旗 こうき 赤い旗。
- 浹辰 しょうしん 辰すなわち十二支が一周する意で、12日間。
- 気
きれい 人を惑わすような、あやしいけはい。悪気。妖気。 - 憩う・息う いこう (1) 息をつぐ。やすむ。のんびり休息する。(2) いこわせる。やすませる。
- �悌 がいてい 豈弟。人柄のおだやかなこと。また、やわらぎ楽しむこと。
- 華夏 かか (
「華」は文華、 「夏」は大の意。文華の開けた国の意から、もと、中国人が自国を誇っていった語)文化の開けた地。都。 - 詠 ぶえい 舞詠。(1) 舞い歌う。(2) 舞と歌。
- 大糜 おおがゆ?
- 夾鐘 きょうしょう (2) 陰暦2月の異称。
- 軒后 → 賢后か?
- 賢后 けんこう (
「后」は君主)賢い天皇。 - 軼ぎる すぎる イツ (1) 後の車が前の車を追い越す。(2) すぐれる。ぬきんでる。(3) 襲う。(4) うせる。なくなる。
- 邦家 ほうか くに。国家。
- 王化 おうか 王者の徳で世の中をよくすること。
- 鴻基 こうき 帝王の大事業の基礎。洪基。
- 周王
- 乾符 けんぷ 天皇であるしるし。神器。
- 六合 りくごう 天地と四方とを合わせていう。上下四方。全宇宙。
- 天統 てんとう (1) 自然ののり。(2) 天子の系統。皇統。
- 八荒 はっこう 国の八方の果て。全世界。八極。
- 二気 にき 陰と陽。二儀。両儀。
- 五行 ごぎょう 中国古来の哲理にいう、天地の間に循環流行して停息しない木・火・土・金・水の五つの元気。万物組成の元素とする。木から火を、火から土を、土から金を、金から水を、水から木を生じるを相生という。また、木は土に、土は水に、水は火に、火は金に、金は木に剋つのを相剋という。これらを男女の性に配し、相生のもの相合すれば和合して幸福あり、相剋のもの相対すれば不和で災難が来るという。
- 浩汗 こうかん (1) 広くかぎりのないさま。水の広大なさま。(2) 物が多く、ゆたかなさま。
- 潭い ふかい 深い。奥深い。
- �u煌 いこう (1) 光かがやくこと。
「煌」は光が四方に大きく広がる。(2) 文章のりっぱなこと。 - 睹る みる よく見る。注目する。
つ もつ 持つ。 - 討覈 とうかく たずねしらべること。たずねきわめて事実を明らかにすること。
- 舎人 とねり (1) 大化前代の天皇や皇族の近習。(2) 律令制の下級官人。内舎人・大舎人・中宮舎人・東宮舎人などの称。(3) 貴人に従う雑人。牛車の牛飼または乗馬の口取。(4) 旧宮内省式部職の判任名誉官。式典に関する雑務に従ったもの。
- 光宅 こうたく 光臨して鎮座すること。天下を統べて、徳を満ちあふれさせること。
- 亭育 ていいく そだて養うこと。
- 紫宸 ししん (
「紫」は紫微垣で天帝の座、 「宸」は帝居の意)天子の御殿。禁中。 - 被る かがふる (1) かぶる。(2) 身に受ける。特に、上からの仰せをお受けする。承る。
- 玄扈 げんこ/げんご (中国の皇帝がいた石室の名から転じて)皇居。御所。
- 暉 ひかり (1) ひかり。太陽の光。四方にひろがる光線。(2) かがやく。
(同)輝。 - 柯 えだ (1) 木の枝。
- 史 ふみひと (書人(ふみひと)の意)大和政権で文筆を職とした官。ふびと。
- 飛ぶ火・烽 とぶひ 古代の軍事施設。また、そこで火をたき煙をあげて行う、非常を通報するための合図。烽火。
- 文命 ぶんめい 中国古代伝説上の聖王、禹か。夏の始祖。
- 天乙 てんいつ 殷の湯王か。殷王朝の創始者。
- 先紀 せんぎ 「古事記-序」に見える語で、
「帝紀」 「帝皇日継(すめらみことのひつぎ) 」と同じものをさすと考えられている。 - 撰録 せんろく 文章を作って記録すること。
- �いる ひりいる セキ/シャク ひろう。ひろいあつめる。また、寄せ集める。
- い かたい 難い。
- 意況 いきょう 心のさま。意味。
- 訖う おう (1) おわる。おえる。止む。(2) いたる。及ぶ。
(同)迄。 - 誠惶誠恐 せいこう せいきょう 「誠惶」を鄭重にいう語。
- 訓仮字 よみがな?
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- 葦牙 あしかび 葦の若芽。
- 神代七代・神世七代 かみよ ななよ 天地開闢のとき、別天神五柱につづいて出現した国之常立神以下伊邪那岐神・伊邪那美神までの7代。古事記では十二神、日本書紀では十一神。天神七代。
- 天つ神 あまつかみ 天にいる神。高天原の神。また、高天原から降臨した神、また、その子孫。←
→国つ神。 - 天の沼矛 あめのぬぼこ 瓊矛。ぬほこ・にほこ。玉で飾った立派な矛。
- 言依さす ことよさす 言寄さす・事寄さす。(古く四段に活用した「ことよす」に敬意を表す「す」の付いた形)御命令になる。御委任になる。
- 天の浮橋 あめの/あまのうきはし 神が高天原から地上へ降りるとき、天地の間にかかるという橋。
- 画き鳴す かきなす → 掻き鳴す
- 掻き鳴す かきなす (1) 音をたてて、かきまわす。かきたてる。(2) かきならす。
- 天の御柱 あめの/あまのみはしら 日本神話で、伊弉諾・伊弉冉2神がf馭慮島にくだって立てた柱。そのまわりを回って結婚した。また、天地を支えたという柱。
- 八尋殿 やひろどの 幾尋もある広い御殿。
- 善けむ よしけむ? けん・けむ 推量の助動詞。
- 美斗の麻具波比 みとのまぐわい (
「みと」の「み」は御の意、 「と」は男性・女性の象徴部・陰部の意。 「まぐわい」は「目合い」の意から転じ、男女の交接の意)男女が契りを結ぶこと。みとのまくばい。 - 遘合 みとの まぐわい (トは入口。陰部の意)男女の交合。まぐわい。
- 美哉 あなにやし (ヤは感動、シは強めの助詞)ああ美しいことよ。あなにえや。
- 隠処 くみど くみ所。(
「くみ」は組む意。また、隠る意とも)男女のこもり寝る所。 - 葦舟・葦船 あしぶね (1) 葦で作った船。(2) 葦を積んだ船。あしかりおぶね。(3) 水に浮かんだ葦の葉を舟にたとえていう。
- うべ 宜・諾 (1) もっともであること。なるほど。(2) 肯定する意にいう語。ほんとうに。なるほど。道理で。むべ。
- 太卜 ふとまに 太占・太兆。(フトは美称)古代に行われた卜占の一種。鹿の肩甲骨を焼いて、その面に生じた割れ目の形で吉凶を占う。
- たぐり 吐。吐くこと。吐いたもの。嘔吐。へど。
- 神避り かむさり/かみさり 神去。(1) 天皇など、高貴の人が死去する。崩御する。薨去する。かんさる。神上がる。
- 埴土 はにつち 粘土。赤土。
- 汝妹 なにも (ナノイモの約。ナは我の意)男から女を親しんでいう語。
- 一木 ひとつけ
- 御佩かす みはかす 「佩く」の尊敬語。
- 十握・十拳 とつか (
「つか」は小指から人差指までの幅)10握りの長さ。約80〜100cm。 - 十拳の剣 とつかの つるぎ 十握剣。刀身の長さが10握りほどある剣。
- 殺さえたまいし
- 天の尾羽張 あまの おはばり 伊弉諾尊が迦具土神を斬った剣の名。伊都尾羽張。
- 伊都の尾羽張 いつの おはばり → 天の尾羽張
- 黄泉戸喫 よもつ へぐい (
「へ」は竈の意)黄泉の国のかまどで煮焚きした物を食べること。これを食べると死者の国の者になり、再び現世には戻れないと信じられていた。ギリシア・北欧などの神話にも見られる。 - 汝兄 なせ (ナは我の意)女から男を親しんで呼ぶ称。わがせ。あなた。
- しまらく 暫く。
「しばらく」の古形。 - な視たまいそ な みたまいそ 決して見るな、の意。
- な…そ 副詞「な」を伴い、
「な…そ」の形で禁止を表す。 「な」が禁止を表し、 「そ」は添えられた語とする解釈もある。 …するな。 - 殿内 とのぬち
- 御髻 みみずら → 髻
- 角髪・角子・鬟・髻 みずら (ミミツラ(耳鬘)の約という)古代の男の髪の結い方。頂の髪を中央から左右に分け、耳のあたりでわがねて緒で結び耳の前に垂れたもの。奈良時代には少年の髪型となる。後世の総角はその変形。びんずら。びずら。
- 湯津 ゆつ 斎つ、か。[接頭] 神聖・清浄の意をあらわす語。ゆついはむら、ゆつかしら、など。
- 湯津爪櫛 ゆつつまぐし
- 爪櫛 つまぐし 妻櫛。歯のこまかい櫛。一説に、爪形の櫛。
- ころろく 嘶咽く ころころと音を立てる。声がかれて、のどが鳴る。
- 黒御鬘 くろみかずら/かつら 魔よけのために、髪にかざす黒くなった蔓草。
- 鬘 かずら (1) 蔓草や花などを頭髪の飾りとしたもの。(2) 頭髪に添えるため髪の毛を束ねたもの。かもじ。そえがみ。仮髪。かつら。(3) 毛髪で、種々の髷型をつくり、俳優などが扮装のために頭にかぶるもの。また、毛髪などでつくり、髪型をかえるためにかぶるもの。かつら。
- 蒲子 えびかずら (1) ヤマブドウの古名。(2) エビヅルの古名。
- 笋 たかむな 筍。竹の子。たこうな。たかんな。
- 黄泉軍 よもつ いくさ 黄泉の国の軍勢。生死の戦における死の軍勢。
- 副える たぐえる 比える・類える (1) そわせる。ならばせる。(2) ともなわせる。あわせる。(3) ならう。まねる。(4) ひき比べる。比較する。
- 青人草 あおひとくさ (人のふえるのを草の生い茂るのにたとえていう)民。民草。国民。蒼生。
- 患惚む たしなむ 窘・困。苦しむ。苦しい目にあう。困窮する。苦労する。たしなぶ。
- 千引の石 ちびきのいわ 千引の岩。綱を千人で引くほどの重い岩。大きい岩。
- 事戸 ことど 配偶者と縁を切るための呪言の意か。
- 人草 ひとくさ もろもろの人。人民。あおひとくさ。
- 塞る さわる 障る。(1) 妨げとなる。じゃまになる。さえぎられる。
- 殿の縢戸 とのの くみど
- 殿の騰戸
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- 身禊
- 御帯
- 御冠 みかがふり 冠(かがふり)。(1) 頭にかぶるものの総称。こうぶり。かんむり。
- 手纏・環・鐶 たまき (1) 腕飾りの一つ。古代、玉・鈴などを紐に通し、ひじにまとった輪形の装飾品。(2) 弓を射る時、左のひじをおおう具。弓籠手。
- 潜く かずく (1) 水中にくぐり入る。もぐる。(2) 水中にもぐって貝・海藻などを取る。(3) 水にもぐらせる。また、水にもぐらせて魚などを取らせる。
- 祖神 おやがみ 先祖の神。氏神。
- 斎く いつく 心身のけがれを浄めて神に仕える。あがめまつる。
- 貴子 うづみこ 珍(うづ)か。
- 珍 うず (神や天皇に関して用いる)貴く立派であること。尊厳なこと。
- 御首珠 みくびたま 首玉・頸玉。(1) 古代の首飾りの玉。
- 玉の緒 たまのお (1) 玉をつらぬいた緒。(2) (
「魂の緒」の意)いのち。生命。いきのお。