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M-Tea* vol.8 no.10 [酒井 潔] エロエロ草紙(四)

2015.9.26 第八巻 第一〇号

エロエロ草紙(四)
酒井 潔

 すべての若い女を老人へ
 恋の神免二刀流
 IT(イット)!?
 〈モダン落語〉 円タク・ガール
 スワ! 強盗!
 男装流行時代
 レヴュー全盛時代
 好色な神様
 処女の祈り
 毛皮の女

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月末最終号:無料 p.120 / *99 出版
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(c) Copyright is public domain in Japan, 2015.

四つのお葬式と、一つのいしゃ先生*

 わしは、このごろの若い女性を尊敬する。なぜなれば、今日の年若い女は相手が老人といえども、これを老人あつかいにしないで、両者の間に立派に恋愛が成立するからです。これは、新時代の女性がいかに心理的ならびに生理的に進歩したかを如実に示すものじゃ。いや、それどころか、なかには年若い男よりも老人のほうが安心して身をまかされるという感心な娘さえいる。だからわしなども、そちこちの娘をまるでわが子のように平気な顔をして連れ歩かれるようになった。ワッハハハ……。

     ×    ×    ×

 わしは、こうした傾向がどこから発生したかということをつぶさに研究してみた。するとはなはだ愉快千万なのは、世の中が不景気だということに基因している。つまり今の若い青年どもが、恋だの女だのと呑気なことを言うていられんからじゃ。(「すべての若い女を老人へ」より)

※ #ref(8_10.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。


酒井 潔 さかい きよし
1895-1952(明治28-昭和27)
本名、酒井精一。名古屋市生まれ。編集者、著述家、翻訳家。大正末期から昭和初期にかけてのエログロナンセンス文化の火付け役。魔術、秘薬、性愛に関する研究を行い、自らの個人誌「談奇」や当時のエログロ雑誌にて発表。また海外文学の翻訳もおこなった。梅原北明との交流でも知られる。代表作に『愛の魔術』(1929)や『巴里上海歓楽郷案内』(1930)、訳書に『さめやま』(1929、フェリシアン・シャンスール作、梅原北明共訳)など。一方、『アラビヤン・ナイツ』(1927、ジョゼフ=シャルル・マルドリュス作、発禁)や『エロエロ草紙』(1930、発禁)など多くの著作は当局より発禁となり、出版が許可された『らぶ・ひるたぁ』(1929)なども膨大な伏字を余儀なくされた。2012年、『エロエロ草紙』が国立国会図書館のデジタルアーカイブ事業の一環としてインターネットで公開され、ダウンロード数が5ヶ月連続で1位となり、ネット上でにわかに注目された。

◇参照:Wikipedia「酒井潔」(2015.7. アクセス)。

底本

底本:『エロエロ草紙』竹醉書房 【NDL 近代デジタルライブラリー収録】
   1915(昭和5)年11月30日発行
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/list_inp1856_1.html

NDC 分類:700(芸術.美術)
http://yozora.kazumi386.org/7/0/ndc700.html

NDL 近代デジタルライブラリー収録
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1137261

難字、求めよ

神免二刀流 しんめん にとうりゅう?
モダン落語
喋舌って しゃべって?
裏長者 うらちょうじゃ?
お茶っ引き おちゃっぴき?
辻姫 つじひめ?
ベダーハー
スター
ホロ型
エセックスのセダン
クライスラー・セダン
御大家 おんたいか?
殺踏 さっとう、か。殺到か?
鼻下長連
夏枯れ時 なつがれどき
エログロ・ダンス
唾然 だぜん? 垂涎(すいぜん)か?
お座敷出張
売色家連 ばいしょくかれん?
レヴュー・ファン
女っちょ めっちょ?
エロガール
丸木砂土 不詳。国会図書館 NDL に著書あり。
河合澄子 かわい すみこ?
安藤文子 あんどう ふみこ?
パンタライ社
新カジノ・フォーリィ
河合澄子一座
松竹楽劇部 しょうちく がくげきぶ?
梅園龍子 うめぞの りゅうこ ?-? 昭和期の女優。(人レ)
最上千枝子 もがみ ちえこ?
阿部某
フォックス → 20世紀フォックスか
村山ホテル
銀座通り
金龍館 きんりゅうかん? 浅草。
松竹座 浅草。
羽田のエロガール はねだ?
『パラマウント・オン・パレード』 映画か。
『ハッピー・デイズ』 映画か。
『子守歌』 映画か。関屋敏子出演。(本文)

むしとりホイホイ

倭躯 → 矮躯 【矮か】わいく
サソパリ → サツパリ 【ツか】
コツト → イツト 【イか】
オチヤツピイです → オチヤツピイです。 【句点か】
跳ぬ → 跳ね 【ね?】
興業主 → 興行主 【行か】
拔扈 → 跋扈 【跋か】ばっこ
耐らない → 耐られない 【れ?】
パレード。 → パレード、 【読点か】

以上9件。底本は左辺のとおり。

スリーパーズ日記*

尖端 → 先端
プレルード → プレリュード


岡野玲子『画集 陰陽師』(白泉社、2002.3)より。

p.54 陰陽五行に見る数学の神秘

 河図・洛書と魔方陣
 ◎河図・洛書……易や暦の元となる。

〈河図〉 黄河から現れた大きな龍馬の背中に書いてあった模様を伏羲が復元したと伝えられる。易による五つの奇数を天の五行となし、五つの偶数を地陰の五行となし、両者があいまって万物が生成化育するものを意味する図と言われる。総和数は五十五となる。

〈洛書〉 同じく黄河から現れた神亀の背中の模様を禹王が復元したもの。縦横斜め、どれを足しても十五となる魔方陣で、総和数は四十五になっている。魔方陣は無限のフォルムを持ち広がるが、その最小単位のマジックスクエアがこの洛書だ。

  • 洛書は易の「九星図」にもリンクしている。
  • 河洛の舞、陵王乱序、安摩の舞

◎天と地を象(かたど)る「六壬式盤」
 陰陽師が星々の運行を占う式盤は、天を現す円陣と、地を現す方地からなる。十干十二支・二十八宿・十二月将などが刻されてあり、その組み合わせにより天地の運行を読む。式盤は全ての宇宙観が詰まった聖なるコンピュータのようなものだ。

◎宇宙の数の神秘と囲碁
  • 黒石と白石を交互に打つさまはまさに陰陽の循環の象徴。
  • 碁盤の目の総数は、天円の一周に天源数一を加えた三百六十一。
  • 河図・洛書をはじめとした陰陽道・天文学の宇宙の法則の多くもこの盤上で表現できた。

  • 真葛と菅公の囲碁対戦……真葛が並べたのは「明皇月宮に遊ぶ」という玄宗皇帝にまつわる手。
  • 晴明が安倍高子と碁盤で作った結界は、天を覆い地を載せる「天地覆載(てんち ふくさい)」の図と呼ばれるもの。
  • 晴明が後に著した「占事略決」は六壬式盤の占法を解説したもの。

p.63- 古典で読み解く「陰陽師」

  • 「ホキ内伝」……晴明の伝えたという陰陽道の秘書。
  • 仮名草紙「安倍晴明物語」
  • 「信太妻」……浄瑠璃・歌舞伎

  • 「今昔物語集」巻第二十四・十六話
 ・安倍晴明、百鬼夜行を見抜き難を逃れる
 ・晴明と智徳法師
 ・蛙を式神で殺した話

  • 「今昔物語集」巻第二十四・二十四話
  玄象が鬼に盗まれ博雅が取り戻した話、など

  • 「大鏡」第三巻右大臣師輔十二話
 「栄華物語」
  元方・祐姫親子が怨霊になったのは何故か

  • 「今昔物語集」巻第二十七・三十一話
  三善清行、五条堀川の化け物屋敷で鬼に説教

  • 「江談抄」巻三・第五十三
 「古今著門集」巻十二
 「教訓抄」「続教訓抄」
  博雅の笛の音の談。

  • 「大鏡」第三巻・右大臣師輔・二話
  中宮安子、新入り女御、芳子にジェラシー

  • 「伊勢物語」六話 「白玉か」
  在原業平の生涯の遍歴

  • 「今昔物語集」巻二十七・第三
  桃園邸(源高明、住居)の寝殿の柱から児の手の招くこと

  • 「十訓抄」巻十第二十
 「続教訓抄」巻十一下ほか
  源博雅、朱雀門の鬼に名笛「葉二」を授かる

  • 「菅家文草」九四
 菅原道真による漢詩文集。「菅家後集」は大宰府左遷後の作品を集めたもの。「日本三代実録」編纂、「類聚国史」を撰集。

  • 「扶桑略記」「日本紀略」
 内裏炎上

p.64 〈主な出典〉
「今昔物語集」……一千有数話収録の日本最大の説話集。
「大鏡」……藤原氏盛衰の歴史を紀伝体で伝える歴史書。
「伊勢物語」……在原業平の生涯を綴った歌読み物。
「江談抄」……平安末期の説話集。
「古今著聞集」……十三世紀半ばに成立した説話集。
「十訓抄」……鎌倉時代の説話集。
「教訓抄」……鎌倉時代の雅楽の研究書。
「菅家文草」……菅原道真による漢詩文集。全十二巻。
「扶桑略記」……平安時代末に記された編年体による歴史書。

p.92 菊理媛 くくりひめ
 黄泉の国から戻る際に争ったイザナギ・イザナミの争いを止めさせた女神として日本書紀のみに記述がある。
  • 白山(石川県)の山頂にある白山比〓神社に祀られている。
  • 菊理媛 =十一面観音、=北野天満宮の本地仏。

◎960年(天徳4)……晴明が最初に史実に名前を残す年。
  • 歌合わせ
  • 雨乞い
  • 内裏炎上 「中右記」にエピソードあり。



2015.9.26 公開予定
2015.11.4 公開
しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2015年11月08日 16:27