M-Tea* vol.7 no.47 文字禍 中島 敦

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M-Tea* vol.7 no.47 文字禍 中島 敦

2015.6.13 第七巻 第四七号

文字禍
中島 敦



100円(本体税抜93円)  p.65 / *99 出版
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

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(c) Copyright is public domain in Japan, 2015.

PDF マガジン 週刊ミルクティー*

 ナブ・アヘ・エリバはニネヴェの街中を歩きまわって、最近に文字を覚えた人々をつかまえては、根気よくいちいち尋ねた。文字を知る以前に比べて、なにか変わったようなところはないかと。これによって文字の霊の人間に対する作用を明らかにしようというのである。さてこうして、おかしな統計ができあがった。それによれば、文字を覚えてから急に蝨を捕るのが下手になった者、眼に埃が余計はいるようになった者、今まで良く見えた空の鷲の姿が見えなくなった者、空の色が以前ほど碧くなくなったという者などが圧倒的に多い。(略)文字を覚えて以来、咳が出はじめたという者、くしゃみが出るようになって困るという者、しゃっくりがたびたび出るようになった者、下痢するようになった者なども、かなりの数にのぼる。(略)文字を覚えてから、にわかに頭髪の薄くなった者もいる。脚の弱くなった者、手足のふるえるようになった者、顎がはずれやすくなった者もいる。(略)文字を覚える以前に比べて、職人は腕が鈍り、戦士は臆病になり、猟師は獅子を射損なうことが多くなった。(略)ナブ・アヘ・エリバはこう考えた。エジプト人は、ある物の影をその物の魂の一部とみなしているようだが、文字は、その影のようなものではないのか。

※ #ref(7_47.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。


中島 敦 なかじま あつし
1909-1942(明治42.5.5-昭和17.12.4)
小説家。東京生れ。東大卒。漢学の素養を生かした端正な文章で、人間の存在のあり方を描出。作「光と風と夢」「山月記」「李陵」など。

◇参照:『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)、Wikipedia(「日本語・オフライン版-2009.2.4」『iP』2009.4月号付録 DVD-ROM。

底本

底本:「ちくま日本文学全集 中島敦」ちくま文庫、筑摩書房
   1992(平成4)年7月20日第1刷発行
底本の親本:「中島敦全集 第一巻」筑摩書房
   1987(昭和62)年9月
初出:「文学界」
   1942(昭和17)年2月
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card622.html

NDC 分類:913(日本文学 / 小説.物語)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndc913.html

難字、求めよ

羊肝卜 ようかんぼく
縮髪 しゅくはつ
ボルシッパ ナブウの神の司りたもう所。
ピル・ナピシュチムの洪水
スメリヤ語
アラメヤ語 → アラム語か
粘土板 ねんどばん
奸猾 かんかつ 奸黠・姦黠に同じか。
ハルディア征討行 せいとうこう
アヌ・エンリルの書
大マルズック星(木星)
牧羊者(オリオン)の境
ピル・ナピシュチム
スメリヤ
ハルディア
フモオル人
古代スメリヤ人 → シュメール人か
ニネヴェ・アルベラ
リル
リリツ 雌。
ナムタル 疫病をふりまく。
エティンム 死者の霊。
ラバス 誘拐者。
ナブ・アヘ・エリバ 老博士。
ツクルチ・ニニブ一世王
サビツ 少女。
ナブ・シャリム・シュヌ 歴史家。

むしとりホイホイ

」」 → 」 【カギかっこ重複】(奥付、底本のところ)

以上1件。

スリーパーズ日記*

6/12 金曜 くもり
昨晩、松岡正剛『匠の流儀』読了。

6/13 土曜 晴れ
最高気温30度近いか。空気乾燥してるが、やや西からの風。それよりも空気が黄色い。この時期に黄砂? こころなし、肉眼で粒子が見える。



2015.6.13 公開予定
2015.9.11 公開
しだひろし/PoorBook G3'99
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