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M-Tea* vol.7 no.32 桜島噴火の概況 石川成章

2015.2.28 第七巻 第三二号

桜島噴火の概況
石川成章

 一、桜島の地理
 二、噴火の沿革
 三、噴火の前兆
 四、破裂当時の概況
 五、実査当時の概況
  新噴火口
  溶岩流
  火山噴出物
 六、要結

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月末最終号:無料 p.130 / *99 出版
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(c) Copyright is public domain in Japan, 2015.


PDF マガジン 週刊ミルクティー*


    三、噴火の前兆

(一)地震
【噴火の前兆たる地震】 大正三年(一九一四)一月十日ごろより頻繁に鹿児島市付近に地震ありたり。(略)
 そもそも火山噴火にともなう地震の多数は、左の如き特徴あり。

(一)初期微動および終期動、短くして著しからず。主要動のみ著し。
(二)主要動は、水平動に比し上下動わりあいに顕著なること多し。
(三)下より衝き上がるが如き衝動と轟鳴をともなう。
(四)震域狭小にして、震央よりの半径二里を出でざること多し。
(五)頻繁に続発し、性質急なり。

 これを前記の事実に適用して考察するに、一月十日ごろより鹿児島市付近に続発したる地震は火山性のものたりしを推知するに難からず。ただ、その水平動に比し上下動の軽微なりしは震央よりの距離遠きによるものと思考せざるを得ず。
 他の特徴は、いずれも具備したるが如し。

【地震以外の噴火の前兆】
(二)温泉ならびに井水の異状
 鹿児島造士館・篠本講師に宛てたる加治木中学校長・田代善太郎氏の通信によれば、加治木温泉は一月七日ごろより温度を増加し、また加治木・国分付近の井水はその水量増加せりと。
 避難民の言によれば、桜島の北岸白浜においては爆発前、井水涸れたりという。
 鹿児島市外西田・武・新照院付近の井水は濁り、または枯渇せる事実あり。

(三)地割れ
 入来温泉付近にては、著しき地割れを生じたりという。

(四)水産物の斃死
 一月十一月ごろ、瀬戸・有村付近沿海にエビ類のおびただしく斃死せるを見たりという。

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※ お休みしまーす。


石川成章 いしかわ せいしょう
1872-1945(明治5-昭和20)
以下、不詳。

◇参照:「Web NDL Authorities 国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス」(国立国会図書館、2015.1.9 アクセス)。

底本

底本‥『地學論叢 第六輯』東京地學協會
   1915(大正4)年9月6日発行
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/list_inp1835_1.html

NDC 分類:453(地球科学.地学 / 地震学)
http://yozora.kazumi386.org/4/5/ndc453.html

難字、求めよ

削壁 さくへき?
峻谷 しゅんこく?
迸流 ほうりゅう? へいりゅう?
終期動
轟鳴 ごうめい?
鳴轟 めいごう?
日本弧島
幾干もなく いくばく?
方に かたに? すぐさま。じきに、か。
火山活動期
溶岩原 ようがんばら?
火口底 かこうてい?
擲出 てきしゅつ? ちゃくしゅつ?
黝黒色 ゆうこくしょく? ようこく?
鉱※[#「金+宰」、p.164-10]状 鉱滓に同じか。
拍木状 拍子木状?
角礫状 かくれきじょう?
大カロリー だい カロリー、か。「キロカロリー」の意か。
石弾 せきだん?
水雷駆逐艇〔すいらい くちくてい〕
熱蒸気
塩素臭
望朔の交 ぼうさくのまじわり?
御岳 おんたけ? → 北岳
二俣沖の小島
大燃崎 おおもえさき? 黒神村の北方に突出。(本文)/島の東北岸。(「桜島の噴火」大森房吉)
持木 もちき? 現、鹿児島市持木町か。旧野尻村。
燃崎 もえさき? 島の南西端に突出する。野尻村付近。(「桜島の噴火」大森房吉)/野尻・持木両部落の間。(本文) → 参照:野尻村
観音崎 かんのんざき? 湯之・古里両部落の間。 → 参照:湯之
辰崎 たつざき? 南岸古里付近。(「桜島の噴火」大森房吉)/観音崎と湯の浜の間にある。(本文)
西迫鼻 高免の東。(本文)
浦の前
猪ノ子島
ドロ島
中ノ島
浜島 はましま? 桜島の東北海中に散布。
引平/引ノ平 ひきのたいら? 寄生火山。円頂丘。(「桜島火山の破裂」佐藤伝蔵)/海抜五五三メートル。(本文)
鍋山 なべやま 臼状火山。桜島の複合成層火山の一つ。/東桜島。(本文)
安永島
加治木温泉 姶良郡加治木町か。
愛宕山
東霧島山 → 高千穂峰か
上荒田 かみあらた? 旧、荒田村。現、鹿児島市上荒田町か。旧荒田村は鹿児島城下の南に位置し、北は甲突川、東は海。平成8年には県庁も新築移転され、鹿児島市の新しい中心地となりつつある。
篠本講師
鹿児島測候所
加治木中学校
田代善太郎 加治木中学校長。
福岡鉱務署
黒神小学校 東桜島村。
鹿児島県農事試験場 鹿児島市上荒田。
鹿児島県庁
県庁勧業課肥料係
『大日本地震史料』
『梅園拾遺』
『地理纂考』

むしとりホイホイ

離距 → 距離 【距離?】
十二月午後 → 十二日午後 【日か】
拍木状 → 拍子木状 【子か】
SO1[#「1」は下付き小文字] → SO3[#「3」は下付き小文字] 【3[#「3」は下付き小文字]か】三酸化硫黄。
ものもの → もの 【もの、重複か】

以上5件。底本は左辺のとおり。

スリーパーズ日記*

書きかえメモ。
引平 → 引ノ平
西々北 → 西北西
東々南 → 東南東
鉱※[#「金+宰」、p.164-10] → 鉱滓

おぼえがきメモ。
本文中「靈龜四年」とあるが、霊亀は3年までしかない。そこで Wikipediaで「桜島」を見ると、「有史以降の歴史」の項に「『薩藩名勝考』においては716年(霊亀2年)」ほかに桜島が湧出とある。

同じく本文中「周回九里三十一町」とあるが、9里×4km+31町×109m=およそ39.4kmとなる。そこで同様に Wikipedia「桜島」の項を見ると、「周囲約55km」との記載がある。55km÷4km=13.75里だから、本文記述とかなりの差が生じる。考えられるとしたら、その後の火山活動、あるいは地殻の隆起か。

そっか。噴火直後は内部のマグマだまりが収縮して、地表も沈下する。その数字が「九里三十一町=39.4km」であって、その後、100年かけてふたたび徐々にマグマだまりが膨張してきたと仮定する。そのぶん地表が押し上げられて隆起、現在の「55km」という数字になったと考えれば、つじつまがあってくるか。

実際、大森房吉は大正三年噴火後の潮位の変動に注目し、「鹿兒島灣内潮水増溢の原因は如何と云ふに次節に述ぶる如く土地の低下に歸すべきものならんと考へらる」と指摘している。平均海水面が上昇したのではなく鹿児島近隣の土地そのものが沈下したことを、百年前に大森房吉は気がついたわけだ。

「即ち安永噴火後に陷落したる鹿兒島灣北部附近の地盤は數十年を經て其の原位置に迄で恢復したるのみならず、火山活動力の増加に伴ひ、更に地下より上方に壓せられて、爾後は却つて隆起現象[#「隆起現象」に白丸傍点]を示すに至れるなるべし、即ち五六十年來潮水が漸次に減退せる所以にして、其の地盤隆起の極、遂に大正三年の大破裂となりたるなるべし、斯かる變化の順序は今後も繰り返へさるべきなり」(「櫻島の噴火」大森房吉より)



2015.2.28 公開予定
2015-05-23 公開
しだひろし/PoorBook G3'99
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  • ブラウザを Opera に変更。表紙画像の url 仕様が変わったっぽい。まあ、このほうが安全ってことか。 -- しだ (2015-05-23 20:55:09)
  • メニューへ若干、手をいれる。ページ更新時にツイートしようと思案中。やり方、すっかり忘れた。 -- しだ (2015-05-24 20:53:26)
  • アーカイブページを更新。 -- しだ (2015-05-25 20:11:52)
  • あ、もしかして、#atwiki のタグで自動ツイートしてくれてる? -- しだ (2015-05-25 20:14:29)
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最終更新:2015年06月10日 19:59