M-Tea*5_43-山の科学・森林と樹木と動物(一)本多静六
2013.5.18 第五巻 第四三号
山の科学
森林と樹木と動物(一)
本多静六
山と人
(一)森林の効用
(二)山を愛(あい)せよ
樹木(じゅもく)の話
(一)伝説の巨木(きょぼく)
(二)大きさによる樹木の区別
(三)葉の形による樹木の区別
(四)春のおとずれ
(五)新緑(しんりょく)
(六)夏の景色(けしき)
(七)秋の紅葉(こうよう)
(八)冬の森
(九)老樹(ろうじゅ)・名木(めいぼく)の話
imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
定価:200円 p.119 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(80項目)p.399
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ 現代表記版に加えてオリジナル版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて入力中です。著作権保護期間を経過したパブリック・ドメイン作品につき、引用・印刷および転載・翻訳・翻案・朗読などの二次利用は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.
トゥームレイダー、週刊、万有引力!
また森林が海岸にあれば、天災中(てんさいちゅう)の、おそろしい「津波」の害も少なくなります。かの明治二十九年(一八九六)の三陸地方の津波の被害区域は長さ一五〇マイル〔およそ二四〇キロメートル〕にわたり、死者二万二〇〇〇人、重傷者四四〇〇人、家や船の流されたもの、農地の損失などで損害総額は数千万円にのぼりました。こんな津波などは、とうてい人間の力で防ぎ止めることはできませんが、しかし、もし海岸に沿(そ)うて帯のように森林があれば、非常な速力でおし寄せてくる潮水のいきおいをそぎ、したがって惨害(さんがい)も少なくなる道理です。(「(一)森林の効用」より)
海岸には、枝ぶりのうつくしいクロマツがつらなり生えたりしています。同じマツでもアカマツは山に適していますが、クロマツは潮風にもっとも強い木です。その林があるので、ただに景色がいいばかりでなく、前にもお話したように津波の害を防ぐこともできます。また海のつよい風は浜辺の砂を吹き飛ばして砂丘をつくったり、その砂丘の砂をまた方々へ吹き運んで、だいじな田や畑や、ときによると人家(じんか)までもうずめてしまうことがあります。海岸のクロマツの林は、そういう砂の飛来を防ぎとめる役目をもするのです。(「(六)夏の景色」より)
5_43.rm
本多静六 ほんだ せいろく
1866-1952(慶応2.7.2-昭和27.1.29)
林学者。最初の林学博士。埼玉県生れ。ドイツ留学後、東大教授。林学の基礎をつくり、その普及に尽力、明治神宮の森・日比谷公園を設計、東京市水源林を設置・経営。大日本山林会会長。著「日本森林植物帯論」「本多造林学」など。
恩地孝四郎 おんち こうしろう
1891-1955(明治24.7.2-昭和30.6.3)
版画家。東京生れ。日本の抽象木版画の先駆けで、創作版画運動に尽力。装丁美術家としても著名。
岡 落葉 おか らくよう
1879-1962(明治12-昭和37)
明治~昭和期の画家。独歩と親しく、「武蔵野」の装幀をてがけた。(人レ)/挿画。
◇参照:Wikipedia
本多静六、
恩地孝四郎、
岡 落葉、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)、『人物レファレンス事典』(日外アソシエーツ、2000.7)。
底本
難字、求めよ
温根場 → 温根湯温泉か。北海道常呂郡留辺蘂町。
赤坂通り あかさかどおり
明治神宮大鳥居
末広町七本杉 富山県高岡。
杵島岳 きしまだけ → 杵島山か。佐賀県。
高田の行宮 たかだのあんぐう
林間野営 りんかん やえい
機状 きじょう
代闊葉樹 かかつようじゅ
緑色素 りょくしょくそ
むしとりホイホイ
電信《でんわ》 → 電話《でんわ》 【話か】
温根場 → 温根湯 【湯か】
浴《そ》うて → 沿《そ》うて 【沿か】
やまぎくら → やまざくら 【ざ?】
景色《かしき》 → 景色《けしき》 【け?】
以上5件。底本は左辺のとおり。
スリーパーズ日記*
書きかえメモ。
河《かわ》 → 川
等《とう》 → など
海嘯 → 津波
伐《き》る → 切る
畠《はた》 → 畑《はた》
紅葉《もみじ》 → 紅葉《こうよう》
小野忠博『縄文美術館』(平凡社、2013.3)読了。
縄文土器のあの過剰なビラビラは、ラジエーターではないだろうかという説を思いつく。
釉薬(うわぐすり)をかけてない焼物のことを「素焼き」という。素焼きの最大の特徴は、表面にたくさんの小さな穴があいていること。余分な水を排出したり、側面から空気を出し入れできるので、よく植木鉢に利用されている。植木屋の祖父からおそわったことだけれど、素焼きかそうでないかを区別する簡単な方法は、表面をなめてみるといいらしい。素焼きの器ならば、舌先に吸いつくような感触がある。舌の水分が、素焼きのザラザラした多孔質の表面に吸い取られるからだ。
また、素焼きの甕(かめ)に水をいれておくと、常温よりも数度低い水温をたもつことができるとなにかの本で読んだ記憶がある。表面の無数の小さな穴をとおして中の水が蒸発する。そのとき気化熱がうばわれて水温をさげる効果があるらしい。若干ながら水容量は減少するだろうが、それとひきかえに冷えた水を得ることができる。天然の冷却装置。
多数の縄文土器の写真を見ていて、あのビラビラが何かに似ていると思っていたら、スーパーの精肉コーナーにあるモツ、内臓表面のヒダヒダとそっくりなことに気がついた。
ただでさえ多孔質の素焼の表面。そこにヒダヒダを装飾することで外気と接触する表面積を増やしている。「焼き固めるさいの焼成効果をねらったもの」もしくは「煮炊きするさいの燃焼熱伝導をあげるため」かとも思ったが、それにしては表面の焦げつきが浅くて、きれいすぎる。長年酷使したような磨り減りぐあいにとぼしいから、常時持ち運びしてもいなかったはず。なにより、赤や黒など漆とみられる塗装の跡もある。
ラジエーターとするならば、第一に考えられるのは飲料水。それから揮発性の高いアルコール類。気化熱と毛細管現象をセットにして製塩という用途もありうるだろうか。
洪水はわが魂に及び。
踊る亀社長。SPT流星群。
2013.5.13:公開 おきゅぱいジョリー。
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
転載・印刷・翻訳は自由です。
カウンタ: -
最終更新:2013年06月01日 21:26