M-Tea*5_18-校註『古事記』(一〇)武田祐吉

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M-Tea*5_18-校註『古事記』(一〇)武田祐吉

2012.11.24 第五巻 第一八号

校註『古事記』(一〇)
武田祐吉
 古事記 下つ巻
  六、清寧天皇・顕宗天皇・仁賢天皇
   清寧(せいねい)天皇
   志自牟(しじむ)の新室楽
   歌垣
   顕宗(けんぞう)天皇
   仁賢天皇
  七、武烈天皇、以後九代
   武烈天皇
   継体天皇
   安閑(あんかん)天皇
   宣化(せんか)天皇
   欽明天皇
   敏達(びだつ)天皇
   用明天皇
   崇峻(すしゅん)天皇
   推古天皇




月末最終号:無料  p.147 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(45項目)p.212
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ 現代表記版に加えてオリジナル版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて校正中です。著作権保護期間を経過したパブリック・ドメイン作品につき、引用・印刷および転載・翻訳・翻案・朗読などの二次利用は自由です。
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うるるー♪ 週刊またごん♪


   〔用明天皇〕

 弟橘の豊日の命〔用明天皇〕、池の辺の宮にましまして、三歳天の下治(し)らしめしき。この天皇、稲目の大臣が女、意富芸多志(おおぎたし)比売に娶(あ)いて生みませる御子、多米の王〈一柱〉。また庶妹(ままいも)間人(はしひと)の穴太部(あなほべ)の王に娶いて生みませる御子、上の宮の厩戸の豊聡耳(とよとみみ)の命〔聖徳太子〕、つぎに久米の王、つぎに植栗の王、つぎに茨田の王〈四柱〉。また当麻の倉首(くらびと)比呂が女、飯の子に娶いて生みませる御子、当麻の王、つぎに妹須賀志呂古(すがしろこ)の郎女〈二柱〉。
 この天皇〈丁未の年四月十五日、崩(かむあが)りたまいき。〉御陵は石寸(いわれ)の池の上にありしを、のちに科長(しなが)の中の陵にうつしまつりき。

   〔崇峻天皇〕

 弟長谷部の若雀の天皇〔崇峻天皇〕、倉椅の柴垣の宮にましまして、四歳天の下治らしめしき。〈壬子の年十一月十三日、崩りたまいき。〉御陵は倉椅の岡の上にあり。

   〔推古天皇〕

 妹豊御食炊屋(とよみけかしぎや)比売の命〔推古天皇〕、小治田の宮にましまして、三十七歳天の下治らしめしき。〈戊子の年三月十五日癸丑の日、崩りたまいき。〉御陵は大野の岡の上にありしを、のちに科長の大陵にうつしまつりき。(「」より)

5_18.rm
(朗読:RealMedia 形式 328KB、2:39)
milk_tea_5_18.html
(html ソーステキスト版 232KB)

武田祐吉 たけだ ゆうきち
1886-1958(明治19.5.5-昭和33.3.29)
国文学者。東京都出身。小田原中学の教員を辞し、佐佐木信綱のもとで「校本万葉集」の編纂に参加。1926(昭和元)、国学院大学教授。「万葉集」を中心に上代文学の研究を進め、「万葉集全註釈」(1948-51)に結実させた。著書「上代国文学の研究」「古事記研究―帝紀攷」。「武田祐吉著作集」全8巻。

◇参照:Wikipedia 武田祐吉、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)、『日本人名大事典』(平凡社)。

底本:「古事記」角川文庫、角川書店
   1956(昭和31)年5月20日初版発行
   1965(昭和40)年9月20日20版発行
底本の親本:「眞福寺本」
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1349.html

NDC 分類:164(宗教 / 神話.神話学)
http://yozora.kazumi386.org/1/6/ndc164.html
NDC 分類:210(日本史)
http://yozora.kazumi386.org/2/1/ndc210.html

難字、求めよ

山部の連小楯 やまべのむらじ おたて
志毘の臣 しびのおみ 平群の臣が祖。
兎田の首 うだのおびと
宇非の王 おいのみこ
三尾の君 みおのきみ
凡の連 おおしのむらじ 尾張の連らの祖先。
志比陀の君
伊勢の大鹿の首 いせのおおかのおびと
春日の中つ若子 かすがのなかつわくご
漢の王 あやのみこ 大俣の王の兄。
飯の子 いいのこ? 当麻の倉首比呂が女。紀の伊比古郎女か。
末押し
小間 こま
置目もや

むしとりホイホイ

日續 → 日繼 【繼か?】

「日續」はテキスト中に1か所のみ。ほかはすべて「日繼」。
「日續」で「ひつぎ」と読めるので、修正・注記はほどこさず。ルビのみ付与した。

スリーパーズ日記*

 『古事記』に見る自然現象・自然災害(=荒ぶる神々の災い)について。

【ケース1 序文】
  • 「臣《やつこ》安萬侶《やすまろ》言《まを》さく、それ混元既に凝りしかども、氣象いまだ敦《あつ》からざりしとき、名も無く爲《わざ》も無く、誰かその形を知らむ。然《しか》ありて乾と坤と初めて分れて、參神造化の首《はじめ》と作《な》り、陰と陽とここに開けて、二靈群品の祖となりたまひき。所以《このゆゑ》に幽と顯とに出で入りて、日と月と目を洗ふに彰《あらは》れたまひ、海水《うしほ》に浮き沈みて、神と祇と身を滌ぐに呈《あらは》れたまひき。」

【ケース2 天地のはじめ】
  • 「次に國|稚《わか》く、浮《う》かべる脂《あぶら》の如くして水母《くらげ》なす漂《ただよ》へる時に、葦牙《あしかび》のごと萠《も》え騰《あが》る物に因りて成りませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遲《うましあしかびひこぢ》の神。次に天《あめ》の常立《とこたち》の神。」
  • 「かれ二柱の神、天《あめ》の浮橋《うきはし》に立たして、その沼矛《ぬぼこ》を指《さ》し下《おろ》して畫きたまひ、鹽こをろこをろに畫き鳴《な》して、引き上げたまひし時に、その矛の末《さき》より滴《したた》る鹽の積りて成れる島は、淤能碁呂《おのごろ》島なり。その島に天降《あも》りまして、天《あめ》の御柱《みはしら》を見立て八尋殿《やひろどの》を見立てたまひき。」

【ケース3】
  • 「この速秋津日子《はやあきつひこ》、速秋津比賣《はやあきつひめ》の二神《ふたはしら》、河海によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、沫那藝《あわなぎ》の神。次に沫那美《あわなみ》の神。次に頬那藝《つらなぎ》の神。次に頬那美《つらなみ》の神。次に天《あめ》の水分《みくまり》の神。次に國《くに》の水分《みくまり》の神。次に天《あめ》の久比奢母智《くひざもち》の神、次に國《くに》の久比奢母智《くひざもち》の神。」
  • 「次に風の神名は志那都比古《しなつひこ》の神を生みたまひ、次に木の神名は久久能智《くくのち》の神を生みたまひ、次に山の神名は大山津見《おほやまつみ》の神を生みたまひ、次に野の神名は鹿屋野比賣《かやのひめ》の神を生みたまひき。またの名は野椎《のづち》の神といふ。(略)この大山津見の神、野椎の神の二神《ふたはしら》、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、天の狹土《さづち》の神。次に國の狹土の神。次に天の狹霧《さぎり》の神。次に國の狹霧の神。次に天の闇戸《くらと》の神。次に國の闇戸の神。次に大戸或子《おほとまどひこ》の神。次に大戸或女《おほとまどひめ》の神。」

【ケース4 黄泉《よみ》の國】
  • 「かれ左の御髻《みみづら》に刺させる湯津爪櫛《ゆつつまぐし》の男柱|一箇《ひとつ》取り闕《か》きて、一《ひと》つ火《び》燭《とも》して入り見たまふ時に、蛆《うじ》たかれころろぎて、頭には大雷《おほいかづち》居り、胸には火《ほ》の雷居り、腹には黒雷居り、陰《ほと》には拆《さく》雷居り、左の手には若《わき》雷居り、右の手には土《つち》雷居り、左の足には鳴《なる》雷居り、右の足には伏《ふし》雷居り、并はせて八くさの雷神成り居りき。」

【ケース5 スサノオの命】
  • 「速須佐の男の命、依さしたまへる國を知らさずて、八拳須《やつかひげ》心前《むなさき》に至るまで、啼きいさちき。その泣く状《さま》は、青山は枯山なす泣き枯らし河海《うみかは》は悉《ことごと》に泣き乾《ほ》しき。ここを以ちて惡《あら》ぶる神の音なひ、狹蠅《さばへ》なす皆|滿《み》ち、萬の物の妖《わざはひ》悉に發《おこ》りき。」
  • 「かれここに速須佐の男の命、言《まを》したまはく、「然らば天照らす大御神にまをして罷りなむ」と言《まを》して、天にまゐ上りたまふ時に、山川悉に動《とよ》み國土皆|震《ゆ》りき。」
  • 「ここに速須佐の男の命、(略)勝さびに天照らす大御神の營田《みつくた》の畔《あ》離ち、その溝|埋《う》み、またその大|嘗《にへ》聞しめす殿に屎《くそ》まり散らしき。(略)なほその惡《あら》ぶる態《わざ》止まずてうたてあり。」
  • 「天照らす大御神の忌服屋《いみはたや》にましまして神御衣《かむみそ》織らしめたまふ時に、その服屋《はたや》の頂《むね》を穿ちて、天の斑馬《むちこま》を逆剥《さかは》ぎに剥ぎて墮し入るる時に、天の衣織女《みそおりめ》見驚きて梭《ひ》に陰上《ほと》を衝きて死にき。」

【ケース6 アマテラスの石屋戸ごもり】
  • 「かれここに天照らす大御神|見《み》畏《かしこ》みて、天の石屋戸《いはやど》を開きてさし隱《こも》りましき。ここに高天《たかま》の原皆暗く、葦原《あしはら》の中つ國悉に闇し。これに因りて、常夜《とこよ》往く。ここに萬《よろづ》の神の聲《おとなひ》は、さ蠅《ばへ》なす滿ち、萬の妖《わざはひ》悉に發《おこ》りき。」
  • 「かれ天照らす大御神の出でます時に、高天の原と葦原の中つ國とおのづから照り明りき。ここに八百萬の神共に議《はか》りて、速須佐の男の命に千座《ちくら》の置戸《おきど》を負せ、また鬚《ひげ》と手足の爪とを切り、祓へしめて、神逐《かむやら》ひ逐ひき。」

【ケース7 スサノオの命の八俣の大蛇退治】
  • 「我が女はもとより八|稚女《をとめ》ありき。ここに高志《こし》の八俣《やまた》の大蛇《をろち》、年ごとに來て喫《く》ふ。今その來べき時なれば泣く」とまをしき。ここに「その形はいかに」と問ひたまひしかば、「そが目は赤かがちの如くにして身一つに八つの頭《かしら》八つの尾あり。またその身に蘿《こけ》また檜榲《ひすぎ》生ひ、その長《たけ》谷《たに》八谷|峽《を》八|尾《を》を度りて、その腹を見れば、悉に常に血《ち》垂り爛《ただ》れたり」とまをしき。
  • 「ここに速須佐の男の命、その御佩《みはかし》の十拳《とつか》の劒を拔きて、その蛇を切り散《はふ》りたまひしかば、肥《ひ》の河血に變《な》りて流れき。かれその中の尾を切りたまふ時に、御刀《みはかし》の刃|毀《か》けき。ここに怪しと思ほして、御刀の前《さき》もちて刺し割きて見そなはししかば、都牟羽《つむは》の大刀あり。」

【ケース8 大穴牟遲(大国主命)】
  • 「かれここに八十神|忿《いか》りて、大穴牟遲の神を殺さむとあひ議《はか》りて、伯伎《ははき》の國の手間《てま》の山本に至りて云はく、「この山に赤猪《あかゐ》あり、かれ我どち追ひ下しなば、汝待ち取れ。もし待ち取らずは、かならず汝を殺さむ」といひて、火もちて猪に似たる大石を燒きて、轉《まろば》し落しき。ここに追ひ下し取る時に、すなはちその石に燒き著《つ》かえて死《う》せたまひき。」
  • 「またその天の沼琴《ぬごと》を取り持ちて、逃げ出でます時に、その天の沼琴樹に拂《ふ》れて地|動鳴《なりとよ》みき。かれその寢《みね》したまへりし大神、聞き驚かして、その室を引き仆《たふ》したまひき。」

【ケース9 安《やす》の河《かは》の議《はか》り】
  • 「ここに天の忍穗耳の命、天の浮橋に立たして詔りたまひしく、「豐葦原の千秋の長五百秋の水穗の國は、いたくさやぎてありなり」と告《の》りたまひて、更に還り上りて、天照らす大御神にまをしたまひき。」
  • 「この葦原の中つ國は、我が御子の知らさむ國と、言依さしたまへる國なり。かれこの國にちはやぶる荒ぶる國つ神どもの多《さは》なると思ほすは、いづれの神を使はしてか言趣《ことむ》けなむ」とのりたまひき。
  • 「ここに阿遲志貴高日子根の神、いたく怒りていはく、「我は愛《うるは》しき友なれこそ弔ひ來つらくのみ。何ぞは吾を、穢き死《しに》人に比《そ》ふる」といひて、御佩《みはかし》の十|掬《つか》の劒を拔きて、その喪屋《もや》を切り伏せ、足もちて蹶《く》ゑ離ち遣りき。」
  • 「またその天の尾羽張の神は、天の安の河の水を逆《さかさま》に塞《せ》きあげて、道を塞き居れば、他《あだ》し神はえ行かじ。(略)かれここに天の迦久の神を使はして、天の尾羽張の神に問ひたまふ時に答へ白さく、「恐《かしこ》し、仕へまつらむ。然れどもこの道には、僕《あ》が子建御雷の神を遣はすべし」とまをして、貢進《たてまつ》りき。」

【ケース10 海幸と山幸】
  • 「この鉤は、淤煩鉤《おばち》[#「おばち」は底本のまま]、須須鉤《すすち》、貧鉤《まぢち》、宇流鉤《うるち》といひて、後手《しりへで》に賜へ。然してその兄|高田《あげだ》を作らば、汝が命は下田《くぼだ》を營《つく》りたまへ。その兄下田を作らば、汝が命は高田を營りたまへ。然したまはば、吾水を掌《し》れば、三年の間にかならずその兄貧しくなりなむ。もしそれ然したまふ事を恨みて攻め戰はば、鹽《しほ》盈《み》つ珠《たま》を出して溺らし、もしそれ愁へまをさば、鹽《しほ》乾《ふ》る珠《たま》を出して活《いか》し、かく惚苦《たしな》めたまへ」とまをして、鹽盈つ珠鹽乾る珠并せて兩箇《ふたつ》を授けまつりて……」

【ケース11 神武天皇の東征】
  • 「かれ神倭伊波禮毘古の命、其地《そこ》より※[#「廴+囘」、第4水準2-12-11]り幸でまして、熊野《くまの》の村に到りましし時に、大きなる熊、髣髴《ほのか》に出で入りてすなはち失せぬ。ここに神倭伊波禮毘古の命|※[#「倏」の「犬」に代えて「火」、第4水準2-1-57]忽《にはか》にをえまし、また御軍も皆をえて伏しき。この時に熊野の高倉下《たかくらじ》、一|横刀《たち》をもちて、天つ神の御子の伏《こや》せる地《ところ》に到りて獻る時に、天つ神の御子、すなはち寤《さ》め起ちて、「長寢《ながい》しつるかも」と詔りたまひき。かれその横刀《たち》を受け取りたまふ時に、その熊野の山の荒《あら》ぶる神おのづからみな切り仆《たふ》さえき。ここにそのをえ伏せる御軍悉に寤め起ちき。」

【ケース12 意富多多泥古と美和の大物主】
  • この天皇の御世に「役病《えやみ》多《さは》に起り、人民《おほみたから》盡きなむとしき。ここに天皇|愁歎《うれ》へたまひて、神牀《かむとこ》にましましける夜に、大物主《おほものぬし》の大神《おほかみ》、御夢に顯はれてのりたまひしく、「こは我《あ》が御心なり。かれ意富多多泥古《おほたたねこ》をもちて、我が御前に祭らしめたまはば、神の氣《け》起らず、國も安平《やすらか》ならむ」とのりたまひき。

【ケース13 弟橘《おとたちばな》比賣】
  • 「ここにその后名は弟橘《おとたちばな》比賣の命の白したまはく、「妾、御子に易《かは》りて海に入らむ。御子は遣さえし政遂げて、覆奏《かへりごと》まをしたまはね」とまをして、海に入らむとする時に、菅疊《すがだたみ》八重《やへ》、皮疊《かはだたみ》八重《やへ》、※[#「糸+施のつくり」、第3水準1-90-1]疊《きぬだたみ》八重《やへ》を波の上に敷きて、その上に下りましき。ここにその暴《あら》き浪おのづから伏《な》ぎて、御船え進みき。」

【ケース14 天の日矛】
  • 「ここに天の日矛、その妻《め》の遁れしことを聞きて、すなはち追ひ渡り來て、難波に到らむとする間《ほど》に、その渡の神|塞《さ》へて入れざりき。かれ更に還りて、多遲摩《たぢま》の國に泊《は》てつ。」
  • 「かれその天の日矛の持ち渡り來つる物は、玉《たま》つ寶《たから》といひて、珠二|貫《つら》、また浪《なみ》振《ふ》る比禮《ひれ》、浪《なみ》切《き》る比禮、風振る比禮、風切る比禮、また奧《おき》つ鏡、邊《へ》つ鏡、并はせて八種なり。」

【ケース15 春山の霞壯夫の詛言い】
  • 「またうつしき青人草習へや、その物償はぬ」といひて、その兄なる子を恨みて、すなはちその伊豆志河《いづしかは》の河島の一|節竹《よだけ》を取りて、八《や》つ目《め》の荒籠《あらこ》を作り、その河の石を取り、鹽に合へて、その竹の葉に裹み、詛言《とこひい》はしめしく、「この竹葉《たかば》の青むがごと、この竹葉の萎《しな》ゆるがごと、青み萎えよ。またこの鹽の盈《み》ち乾《ふ》るがごと、盈ち乾《ひ》よ。またこの石の沈むがごと、沈み臥せ」とかく詛《とこ》ひて、竈《へつひ》の上に置かしめき。ここを以ちてその兄八年の間に干《かわ》き萎え病み枯れき。かれその兄患へ泣きて、その御祖に請ひしかば、すなはちその詛戸《とこひど》を返さしめき。ここにその身本の如くに安平《やすら》ぎき。」

【ケース16 仁徳天皇】
  • 「ここに天皇、高山に登りて、四方《よも》の國を見たまひて、詔《の》りたまひしく、「國中《くぬち》に烟たたず、國みな貧し。かれ今より三年に至るまで、悉に人民《おほみたから》の課役《みつきえだち》を除《ゆる》せ」とのりたまひき。ここを以ちて大殿|破《や》れ壞《こぼ》れて、悉に雨漏れども、かつて修理《をさ》めたまはず、※[#「木+威」、第4水準2-15-16]《ひ》をもちてその漏る雨を受けて、漏らざる處に遷り避《さ》りましき。」

【ケース17 口子《くちこ》の臣《おみ》と口比賣《くちひめ》】
  • 「かれこの口子《くちこ》の臣《おみ》、この御歌を白す時に、大雨降りき。ここにその雨をも避《さ》らず、前つ殿戸《とのど》にまゐ伏せば、後《しり》つ戸に違ひ出でたまひ、後つ殿戸にまゐ伏せば、前つ戸に違ひ出でたまひき。かれ匍匐《はひ》進起《しじま》ひて、庭中に跪ける時に、水潦《にはたづみ》腰に至りき。その臣、紅《あか》き紐《ひも》著けたる青摺《あをずり》の衣《きぬ》を服《き》たりければ、水潦紅き紐に觸りて、青みな紅《あけ》になりぬ。ここに口子の臣が妹|口比賣《くちひめ》、大后に仕へまつれり。」

【ケース18 葛城《かづらき》の一言主《ひとことぬし》の大神】
  • 「またある時、天皇葛城山に登りいでます時に、百官《つかさつかさ》の人ども、悉《ことごと》に紅《あか》き紐《ひも》著けたる青摺の衣《きぬ》を給はりて著《き》たり。その時にその向ひの山の尾より、山の上に登る人あり。既に天皇の鹵簿《みゆきのつら》に等しく、またその束裝《よそひ》のさま、また人どもも、相似て別れず。」


 いづも(izumo、出雲)、
 あづま(azuma、吾妻)、
 あざま(azama、浅間)、
 さつま(satsuma、薩摩)、
 たじま(tazima、但馬)、
 つくま/ちくま(筑摩・千曲)。

……、あいづ(相津)、いなづま(稲妻)、あづみ(安曇)、いづみ(和泉)、いづめ、うづめ、みずめ、もずめ、しずめ、しずみ、おうみ(近江)、いづ(伊豆)、えぞ(蝦夷)、さど(佐渡)。



のべんばー、れいん。
2012.11.25:公開 おきゅぱい迷人。
目くそ鼻くそ、しだひろし/PoorBook G3'99
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