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M-Tea*4_45-仙台五色筆 / ランス紀行 岡本綺堂

2012.6.2 第四巻 第四五号

仙台五色筆
 三人の墓
 三人の女
 塩竈神社の神楽
 孔雀船の舟唄
 金華山の一夜
ランス紀行
岡本綺堂

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【週刊ミルクティー*第四巻 第四五号】
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/199080
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(648KB)

定価:200円 p.150 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(61項目)p.460
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。著作権保護期間を経過したパブリック・ドメイン作品につき、引用・印刷および転載・翻訳・翻案・朗読などの二次利用は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.

また逢う日まで! 週刊ミリクティー*

 乗り合いの人たちも黙っている。わたしも黙っている。案内者はもう馴(な)れきったような口調で高々と説明しながら行く。幌(ほろ)のない自動車の上には暑い日が一面に照りつけて、眉(まゆ)のあたりには汗が滲(にじ)んでくる。死んだ町には風すらも死んでいるとみえて、今日はそよりとも吹かない。散らばっている石やレンガを避(よ)けながら、せまい路を走ってゆく自動車の前後には白い砂けむりが舞いあがるので、どの人の帽子も肩のあたりも白く塗られてしまった。(略)
 町を通りぬけて郊外らしいところへ出ると、路の両側はフランス特有のブルヴァーになって、大きい栗の木の並木がどこまでも続いている。栗の花はもう散りつくして、その青い葉が白い土のうえに黒い影を落としている。木の下にはヒナゲシの紅い小さい花がしおらしく咲(さ)いている。ここらへ来ると、ときどきは人通りがあって、青白い夏服を着た十四、五の少女が並木の下をうつむきながら歩いてゆく。彼は自動車の音におどろいたように顔をあげると、車上の人たちは帽子をふる。少女はうれしそうに微笑(ほほえ)みながら、これもしきりにハンカチーフをふる。砂煙がまいあがって、少女の姿がおぼろになったころに、自動車も広い野原のようなところに出た。
 戦争前には畑になっていたらしいが、今では茫々(ぼうぼう)たる野原である。原には大きい塹壕(ざんごう)のあとが幾重(いくえ)にも残っていて、ところどころには鉄条網もからみあったままで光っている。立木はほとんど見えない。眼のとどくかぎりはヒナゲシの花に占領されて、血を流したように一面に紅い。原に沿うた長い路を行き抜けると、路はだんだんに登り坂になって、石の多い丘の裾(すそ)についた。案内者はここが百八高地というのであると教えてくれた。

4_45.rm
(朗読:RealMedia 形式 492KB、3'59'')
milk_tea_4_45.html
(html ソーステキスト版 188KB)

岡本綺堂 おかもと きどう
1872-1939(明治5.10.15-昭和14.3.1)
劇作家・小説家。本名、敬二。東京生れ。戯曲「修禅寺物語」「番町皿屋敷」、小説「半七捕物帳」など。

◇参照:Wikipedia 岡本綺堂、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)。

綺堂むかし語り 仙台五色筆
底本:「綺堂むかし語り」光文社時代小説文庫、光文社
   1995(平成7)年8月20日初版1刷発行
初出:『やまと新聞』
   1913(大正2)年10月
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/card1306.html

綺堂むかし語り ランス紀行
底本:「綺堂むかし語り」光文社時代小説文庫、光文社
   1995(平成7)年8月20日初版1刷発行
初出:『新小説』
   1919(大正8)年9月
追記:『十番随筆』所収
   1923(大正12)年10月
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/card1306.html

NDC 分類:915(日本文学 / 日記.書簡.紀行)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndc915.html

難字、求めよ

光明院 → 光明寺か

むしとりホイホイ

阻《せば》め → 阻《はば》め 【は、か?】
艫 → 艪 【艪か】 「艫」は船尾のこと。
艫擢 → 艪櫂 【艪櫂か】 「擢」はテキ・タク。
レパプリク → レパブリク 【ブか】
以上4件。底本未確認。

スリーパーズ日記*

 本文、『広辞苑』ともに「きんかざん」だけれども、かつて聞いたことがない。『日本歴史地名体系』と Wikipedia は「きんかさん」。こっちを採用。

「将門に娘があったか無かったかを問いたくない。将門の遺族が相馬へはなぜ隠れないで、わざわざこんなところへ落ちてきたかを論じたくない。」(本文より)

 んん……、将門には弟が多かったようだから、将門の娘、もしくは将門の弟の娘、ということもありえるか。福島の相馬は、奥州合戦の恩賞として源頼朝から千葉氏がたまわってからの創建だから、将門の娘の時代の相馬といえば、下総国相馬郡のこと。
 将門と近い親族ならば、本拠の下総相馬では遅かれ早かれ面が割れるおそれがある。それが第一の理由。もう一つ考えられるのは、将門の父親・平良将(良持説あり)のこと。良将は鎮守府将軍として陸奥多賀城へ直接赴任した可能性が高いから、なんらかのつてがなかったとはいえないこと。

 宮崎駿『本へのとびら』(岩波新書、2011.10)読了。えええっ? 「今、ファンタジーをつくってはいけない」……って??? ナウシカももののけもファンタジーだと思うのだけれど、宮崎さんからファンタジーを取ったら、いったい何が残るのか。『柳川堀割物語』のようなドキュメンタリー?



2012.7.3:公開 玲瓏迷人。
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2012年07月03日 14:58