M-Tea*4_24-科学の不思議(二)アンリ・ファーブル
2012.1.7 第四巻 第二四号
科学の不思議(二)
アンリ・ファーブル
大杉栄、伊藤野枝(訳)
八 古い梨の木
九 樹木の齢(とし)
一〇 動物の寿命
一一 湯わかし
一二 金属
一三 被金(きせがね)
一四 金と鉄
一五 毛皮
一六 亜麻と麻
一七 綿
一八 紙
imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
登場するひと
- ポールおじさん フランス人。
- アムブロアジヌおばあさん ポールおじさんの家の奉公人。
- ジャックおじいさん アムブロアジヌおばあさんのつれあい。
- エミル いちばん年下。
- ジュール エミルの兄さん。
- クレール エミルのねえさん。いちばん年上。
定価:200円 p.180 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(35項目)p.205
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.
週刊恋せよ原子*
「
亜麻(あま)は小さな青い花が咲く細い植物で、毎年まいたり、刈ったりする。これは北フランスや、ベルギーや、オランダにたくさん栽培されている。そしてこれは、人間が一番はじめに織り物をつくるのに使った植物だ。四〇〇〇年以上もたった大昔のエジプトの
ミイラは、
リンネルの帯でまいてある。」(略)
「
麻は何百年もヨーロッパじゅうで栽培された。麻は一年生の、じょうぶな、いやな香(にお)いのする、緑色の陰気な小さな花を開く。そして茎は溝が深くて六尺くらいにのびる。麻は、亜麻と同じように、その皮と、麻の実という種子を取るために栽培せられるんだ。」(略)
「麻や亜麻が成熟すると、刈られて種子は扱(こ)きわけられてしまう。それから、それを湿して、皮の
繊維を取る仕事がはじまる。すなわち、その繊維がわけもなく木から離れるようにする仕事だ。実際この繊維は、茎にくっついていて、非常に抵抗力の強い、弾力の強い物で、くさってしまうまで離れないようになっている。時によると、この麻の皮を一、二週間も野原にひろげて、なんべんもなんべんもひっくり返して、皮が自然と木質の部分、すなわち、茎から離れるまでつづける。」
「だが、一番早い方法は、亜麻や麻を束にしてしばって、池の中にしずめておくことだ。すると、まもなく腐っていやなにおいを出し、皮は朽ちて、強い弾力を持った繊維がやわらかくなる。」
「それから麻束を乾かして、ブレーキという道具の歯の間でそれを押しつぶして、皮と繊維とを離してしまう。しまいに、その繊維のくずを取って、それを美しい糸にするために、刷梳(こきくし)という大きな櫛のような鋼鉄の歯のあいだを通す。そしてこの繊維は手なり機械なりでつむがれて、そうしてできた糸を機(はた)にかけるのだ。」
4_24.rm
アンリ・ファーブル Jean Henri Fabre
1823-1915(1823.12.21-1915.10.11)
フランスの昆虫学者。昆虫、特に蜂の生態観察で有名。進化論には反対であったが、広く自然研究の方法を教示した功績は大きい。主著「昆虫記」。
大杉栄 おおすぎ さかえ
1885-1923(明治18.1.17-大正12.9.16)
無政府主義者。香川県生れ。東京外語卒業後、社会主義運動に参加、幾度か投獄。
関東大震災の際、憲兵大尉
甘粕正彦により妻伊藤野枝らと共に殺害。
クロポトキンの翻訳・紹介、「自叙伝」などがある。
伊藤野枝 いとう のえ
1895-1923(明治28.1.21-大正12.9.16)
女性解放運動家。福岡県生れ。上野女学校卒。青鞜(せいとう)社・赤瀾会に参加。無政府主義者で、関東大震災直後に夫大杉栄らとともに憲兵大尉甘粕正彦により虐殺された。
難字、求めよ
円さ まるさ?
堆んでおいた つんで?
簇葉 ぞくよう
えらがり
白麻地
打木 うちぎ?
割り前 わけまえ、のことか。
小房 こふさ?
棉の木 わたのき、か。
パーケール
銀鈿 ぎんでん
サンサール
ヌウブ・セル ジェネヴァの湖水のあたり。
モンテリヌル
エザイ モンテリヌルの近所。
ウユルテンベルヒ ドイツ。
ドウ・セブル フランス。
シャイエ フランスのドウ・セブルにある城。
アルヴィル ノルマンディー。
ヘエ・ド・ルウト
ウウル県
アルダン ロシア。
ジェン アラゴンの女王。
むしとりホイホイ
壼 → 壺 【壺】
以上、1件。「壼」はコン。(1) 宮中の道。(2) 宮中の奥深い所。
スリーパーズ日記
震災後しばらくして、伊藤野枝の著作集に目を通してみた。たしかに当時としては先進的な主張なのだろうけれども固さがある。もうちょっとやわらかいのがないのかなあと探していたところ本書を見つける。
アルスからの出版が大正12年の8月1日のこと。
周知のように、その一月後が関東大震災。甘粕正彦による殺害が同月の16日のこととされる。
「混乱が大きくならないように」という名目による情報コントロールはしばしば試みられるが、その安直な選択の代償は小さくない。
太平洋戦争最中の
鳥取地震、
東南海地震、
三河地震の
情報統制と、福島の原発報道。根底には、市民と為政者とのあいだの相互疑心があるんだろうなと思った。お互いにお互いのことが信じられず、それでいながら依存せざるをえない矛盾をかかえた関係。隠蔽と過剰なたれ流しが、精神的な無気力と判断のマヒをさそう。相互共犯。
2012.1.9:公開 玲瓏迷人。
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
転載・印刷・翻訳は自由です。
カウンタ: -
最終更新:2012年01月14日 01:11