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M-Tea*4_5-作家のみた科学者の文学的活動/科学の常識のため 宮本百合子

2011.8.27 第四巻 第五号

作家のみた科学者の文学的活動
科学の常識のため
宮本百合子

 作家のみた科学者の文学的活動
  「生」の科学と文学
  科学と文学の交流
  科学者の社会的基調
  科学者の随筆的随想
  科学と探偵小説
  現実は批判する
 科学の常識のため

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月末最終号:無料 p.151 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(73項目)p.402
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.

山さんにほえろ! 週刊ホームズ。

 若い婦人の感情と科学とは、従来、縁の遠いもののように思われてきている。昔は人間の心の内容を知・情・意と三つのものにわけて、知は理解や判断をつかさどり、情は感情的な面をうけもち、意は意志で、判断の一部と行動とをうけもつという形式に固定して見られ、今でもそのことは、曖昧に受け入れられたままになっている点が多い。だから、科学というとすぐ理知的ということでばかり受けとって、科学をあつかう人間がそこに献身してゆく情熱、よろこびと苦痛との堅忍、美しさへの感動が人間感情のどんなに高揚された姿であるのも若い女のひとのこころを直接に打たないばあいが多い。このことは逆な作用ともなって、たとえばパストゥールを主人公とした『科学者の道』の映画や『キュリー夫人伝』に賛嘆するとき、若い婦人たちはそれぞれの主人公たちの伝奇的な面へロマンティックな感傷をひきつけられ、科学というとどこまでも客観的で実証的な人間精神の努力そのものの歴史的な成果への評価と混同するような結果をも生むのである。
 婦人の文化の素質に芸術の要素はあるが、科学的な要素の欠けていることを多くのひとが指摘しているし、自分たちとしても心ある娘たちはそれをある弱点として認めていると思う。しかしながら、人間精神の本質とその活動についての根本の理解に、昔ながらの理性と感情の分離対立をおいたままで科学という声をきけば、やっぱりそれは暖かく踊る感情のままでは触れてゆけない冷厳な世界のように感じられるであろう。そして、その情感にある遅れた低さには自身気づかないままでいがちである。 (「科学の常識のため」より)

4_5.rm
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宮本百合子 みやもと ゆりこ
1899-1951(明治32.2.13-昭和26.1.21)
小説家。旧姓、中条。東京生れ。日本女子大中退。顕治の妻。1927〜30年ソ連に滞在、帰国後プロレタリア作家同盟常任委員。32年から終戦までに3度検挙。戦後、民主主義文学運動の先頭に立つ。作「貧しき人々の群」「伸子」「二つの庭」「播州平野」「道標」など。

◇参照:Wikipedia 宮本百合子、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。

作家のみた科学者の文学的活動
底本:「宮本百合子全集 第十一巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年1月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
親本:「宮本百合子全集 第七巻」河出書房
   1951(昭和26)年7月発行
初出:「科学ペン」
   1937(昭和12)年10月号
http://www.aozora.gr.jp/cards/000311/card2787.html
NDC 分類:914(日本文学/評論.エッセイ.随筆)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndc914.html

科学の常識のため
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「新女苑」
   1940(昭和15)年8月号
http://www.aozora.gr.jp/cards/000311/card3116.html
NDC 分類:404(自然科学/論文集.評論集.講演集)
http://yozora.kazumi386.org/4/0/ndc404.html

難字、求めよ

流水相光を交し
山恋い やまこい?
毛生動物
レイモン・コフマン 著『科学の学校』『人類文化史物語』全二巻。
バード → Richard Evelyn Byrd か
バード Richard Evelyn Byrd 1888-1957 アメリカの探検家・海軍軍人。1926年最初の北極飛行に成功。27年大西洋横断飛行。29年より数回にわたり南極の調査・探検に従事。
アリス・ホバード 著『支那ランプの石油』。

むしとりホイホイ

科学の常識のため
声をきえば → 声をきけば 【け、か?】
以上、1件。

スリーパーズ日記

かく → 書く
おこって → 怒《おこ》って
云った → 言った
もって → 持って
よむ → 読む
あらそわれぬ → 争われぬ
のこされ → 残され
うけついで → 受け継《つ》いで
つかわれ → 使われ
ひきとめる → 引き止める
つよく → 強く
もとめ → 求め
もたない → 持たない

おくられた → 送られた
かくされ → 隠され
おくれ → 遅れ
ふかい → 深い
ひとの → 人の
のぞみ → 望み
うけいれ → 受け入れ
うたない → 打たない
つとめ → 勤め
のべられ → 述べられ
のがれる → 逃れる
ひと → 人
かげ → 陰《かげ》

 以上、変更しました。
 おもに意味を取りにくいひらがなを漢字に置き換え。「勝手なことをすな!」と彼岸のむこうから百合子ちゃんにごつかれそう。ほかにも「モウパッサン」「ファブル」「ダアウィン」を現行表記へ置き換えた。「レーニングラード」「インテリゲンツィア」「ソビエット」のように置き換えをためらった語句もある。
 現行表記へ置き換えることで(現代読者にとって)読みあたりが良くなり、単純検索へのヒット率も向上することが期待できる。そのかわり、著作者の作品にこめた真意や個性はかぎりなく排除されてしまう。理由はどうであれ、勝手な編集行為が意味の排除・表現の排除に加担しているわけで、百合子ちゃんが文中で指摘している“統制”以外の何ものでもない。
 読みやすくなれば、わかりやすくなれば、それでいいじゃないか……とは思わない。「わかりにくいこと」「理解しにくいこと」もまた作者の意図したことじゃないとはいいきれない。わかりにくいから読者は時間をかけて読む、なんどもくりかえして読んで意味を取ろうと努める。つまずきながら読みかえすことで記憶にとどまりやすくなる。わかりにくさもまた、作者が読者へ向けたメッセージなんじゃないだろうか。

「アインシュタイン」の特集第三回目として予定していたものの、読み込んでみると、内容がアインシュタインとはそうとうに離れているので「特集」の冠をはずした。

 8.25 ロンドン暴動、2700人逮捕。(NHK)

 七月だったろうか。県内向け NHK ニュースによれば、現在、山形には暴力団組織が4つあり、およそ400人いるという(要確認)。1989年、高校卒業の冬に暴力団抗争の発砲事件があって、ああ、山形はこういう土地柄だったんだなあとふるえた記憶がある。
 94年に帰郷して今に至るまで、これもそっち関係かと、ふと思うことがしばしばあった。会社上層から社員へ高額啓発セミナーへの勧誘が続いたこと、その直後の不当解雇の多発、少額景品やマッサージをネタに高齢者が集まる場を見たこと、ふりこめ詐欺がしばらく続いたこと、やけに住宅を建てると思ったら案の定ローン詐欺が発覚したこと、アパート近隣のあやしげな喫煙臭。
 市立図書館入口には「暴力団関係者、立ち入り禁止」の張り紙がある。いつもその前を通るとき、どぎまぎする。



2011.8.26:公開 八面玲瓏。
曲がり屋のアリエッティ。
藤原秀郷、シャーロック・ホームズ、バロン平泉!
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
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最終更新:2011年08月27日 10:57